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第108話 戦線の現状報告を受けて
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通話水晶の映像の中で、ガウルグルクが戦況を報告している。わたしはそれを聞きながら、考えに耽る。
ガウルグルク率いるコンザウ大陸侵攻軍本隊が、『バルトン国』を陥としたのに続き、鉄之丞の死霊軍団が『シアンフ王国』を陥としたそうだ。ただ鉄之丞は『シアンフ王国』の兄弟国である『ジアンク王国』も同時に攻めており、そちらはもう少し時間がかかりそうだとも言っていた。
うーん、『シアンフ王国』の王と軍隊は、死霊軍団に抵抗不可能と見るや可能な限りの国民を連れて『ジアンク王国』へと逃げ出したんだよね。残ったのは、逃げる事を拒んだ一握りの国民だけだ。
ちなみに『ジアンク王国』は、半島の先端部にある国なのだが、半島の付け根側にある『シアンフ王国』を我々が陥としてしまった以上、他国との物資のやりとりは船で行うしか無い。
だが『ジアンク王国』は、かつて我々が支配下に置いたアーカル大陸をコンザウ大陸諸国家が連合して攻めた際に、『シアンフ王国』と共に軍隊を派兵している。そう、この2国の海軍は、我々『JOKER剣魔国』の海軍にけちょんけちょんにやられて、全滅しているのだ。
『ジアンク王国』と『シアンフ王国』に残された船の数は少ない。それだけでなく、半島先端部に孤立している形の『ジアンク王国』周辺海域では、我が海軍の軍艦が遊弋し、海上封鎖している。
通話水晶の映像の中で、ガウルグルクが言葉を発する。
『魔王様、進言いたします。本来の計画では、『ジアンク王国』まで陥落させた後にいったん侵攻を止め、南岸の占領地域の開発を行う予定でございましたが。なれど我々は、予定外の事象とは言えど『カンザ・アド王国』の領域までも手に入れてしまい申した』
「うん、そうなんだよね。言いたい事は予想がつくよ。最初の予定を変更して、今現在の占領地域の開発を優先し、侵攻を一時停止しようって事だね?」
『はっ! その通りでございます!』
うん、今現在戦線は『ジアンク王国』の北部を1/3程まで占領している。何故北部からかと言うと、海から強襲揚陸戦術で攻めたからねー。というわけで、相手には今のところ、南側2/3の領土しか残っていない。
「うん、たしかに。正式な決定は定例幹部会議を通すけど、とりあえずその前提で動いてくれていいよ。今の占領地域と、敵国との間に簡易要塞の建設を始めてくれ。幹部会議を正式に通ったら、それを拡張して正規の要塞にする」
『ははっ! では『ジアンク王国』は兵糧攻めですな?』
「うん。ただ、そんなに待つ必要は無いとは思う。元から『ジアンク王国』は海産物はともかく、主食の麦とかは海産物を輸出して得た外貨で近隣国家から購入してたからね。
しかも漁業も、海にはウチの軍艦が遊弋してる。漁獲量はがた落ちのはずさ。そこへ『シアンフ王国』の王族と軍隊、そして避難民がぞろぞろと加わった。……限界点は近いよ」
ガウルグルクは、頷きつつ考え込む。
『なれど『カンザ・アド王国』とは違い、降伏はいたしますまい。と、ならば……。近いうちに、無理な最終決戦でも挑んで来ますかな?』
「さもなくば、立ち枯れるだけだからね。こちらはその攻撃を、要塞をもって跳ね返せばいい。決戦の勝利をもって、わたしの名前で『ジアンク王国』に降伏勧告を出すよ。
いくら死後、地獄に落ちるとか言われてたってさ。現実の世界で、明日どころか今日生きる為の食べ物に事欠く状態になってれば……。降伏勧告に応じる可能性は高い、と見ている」
『そして降伏した者達には、暖かい扱いを与える、と……。それを内外に喧伝するのですな?』
そのガウルグルクの言葉に、わたしは頷く。
「まあ、おおっぴらに宣伝ビラとか撒いたりするつもりは無いがね。『リューム・ナアド神聖国』の語ってる、我が国での市民たちの扱いが間違ってるって事を、相手の国々の民に教えないとね」
そうなんだよなー。『リューム・ナアド神聖国』とそのお仲間国家群は、わたしの占領下では民は塗炭の苦しみを味わってるので、急ぎ解放せねばならない、とか言ってるんだよ。でも、それが大嘘である事を知らしめる事が叶えば……。
「今予定しているのは、魔道軍団が作り上げた諜報網のツテを使って、こちらの情報を逆に流す事だね。『ここだけの話』って感じで、民の間にこちらの実情を流してやるんだ。飛行機や魔竜からビラをばら撒く事も考え無かったわけじゃ無いけれどさ。それはもう少し、占領地が広がってからだ」
『了解いたしました』
その後、2~3の事柄を話した後、敬礼と答礼を以ってわたしはガウルグルクとの通信を終える。わたしは司令室の執務机の椅子に腰かけると、大きく溜息を吐いた。
「アオイとミズホが訓練から戻って来るまでに、お茶の準備でもしておくかね?」
「魔王様、お命じくださればその様な事は我々が……」
「ん? ああ、そうか。じゃあ頼もうか? お菓子はスフレチーズケーキを人数分出してくれ」
「はっ!」
文官6人がお茶の用意を始める。いや、本当は気分転換にわたし自身がお茶の準備をしたかったんだけど、さ。でも彼らがやりたそうだったし。
そしてわたしは、世界地図を眺め遣る。
「さあて、『カンザ・アド王国』の隣国、『ハルサンド都市国家連合』までならば、まあもうちょっと頑張って占領してもいいんだけど……。その向こう側にある、『ツヴォーラ国』はなあ……」
そうなんだ、『ツヴォーラ国』とは今しばらく国境線を接したく無いんだよね。あの国は、色々と面倒な国なんだ。
何故って、あの国は先代魔王時代に、国の半分を先代魔王軍に占領されてたんだよ。先代魔王の統治はとても統治ってもんじゃ無く、略奪と虐殺、蹂躙しただけだった。アーカル大陸でも南岸部に先代魔王占領地があったけど、あそこを懐柔してモノにするのにどれだけ手間と時間をかけたか。
先代魔王の暴虐のおかげで魔物に対して、致命的なまでに怨みと憎しみが染み付いた土地柄なんだよね。『ツヴォーラ国』、どうしたものか……。
ガウルグルク率いるコンザウ大陸侵攻軍本隊が、『バルトン国』を陥としたのに続き、鉄之丞の死霊軍団が『シアンフ王国』を陥としたそうだ。ただ鉄之丞は『シアンフ王国』の兄弟国である『ジアンク王国』も同時に攻めており、そちらはもう少し時間がかかりそうだとも言っていた。
うーん、『シアンフ王国』の王と軍隊は、死霊軍団に抵抗不可能と見るや可能な限りの国民を連れて『ジアンク王国』へと逃げ出したんだよね。残ったのは、逃げる事を拒んだ一握りの国民だけだ。
ちなみに『ジアンク王国』は、半島の先端部にある国なのだが、半島の付け根側にある『シアンフ王国』を我々が陥としてしまった以上、他国との物資のやりとりは船で行うしか無い。
だが『ジアンク王国』は、かつて我々が支配下に置いたアーカル大陸をコンザウ大陸諸国家が連合して攻めた際に、『シアンフ王国』と共に軍隊を派兵している。そう、この2国の海軍は、我々『JOKER剣魔国』の海軍にけちょんけちょんにやられて、全滅しているのだ。
『ジアンク王国』と『シアンフ王国』に残された船の数は少ない。それだけでなく、半島先端部に孤立している形の『ジアンク王国』周辺海域では、我が海軍の軍艦が遊弋し、海上封鎖している。
通話水晶の映像の中で、ガウルグルクが言葉を発する。
『魔王様、進言いたします。本来の計画では、『ジアンク王国』まで陥落させた後にいったん侵攻を止め、南岸の占領地域の開発を行う予定でございましたが。なれど我々は、予定外の事象とは言えど『カンザ・アド王国』の領域までも手に入れてしまい申した』
「うん、そうなんだよね。言いたい事は予想がつくよ。最初の予定を変更して、今現在の占領地域の開発を優先し、侵攻を一時停止しようって事だね?」
『はっ! その通りでございます!』
うん、今現在戦線は『ジアンク王国』の北部を1/3程まで占領している。何故北部からかと言うと、海から強襲揚陸戦術で攻めたからねー。というわけで、相手には今のところ、南側2/3の領土しか残っていない。
「うん、たしかに。正式な決定は定例幹部会議を通すけど、とりあえずその前提で動いてくれていいよ。今の占領地域と、敵国との間に簡易要塞の建設を始めてくれ。幹部会議を正式に通ったら、それを拡張して正規の要塞にする」
『ははっ! では『ジアンク王国』は兵糧攻めですな?』
「うん。ただ、そんなに待つ必要は無いとは思う。元から『ジアンク王国』は海産物はともかく、主食の麦とかは海産物を輸出して得た外貨で近隣国家から購入してたからね。
しかも漁業も、海にはウチの軍艦が遊弋してる。漁獲量はがた落ちのはずさ。そこへ『シアンフ王国』の王族と軍隊、そして避難民がぞろぞろと加わった。……限界点は近いよ」
ガウルグルクは、頷きつつ考え込む。
『なれど『カンザ・アド王国』とは違い、降伏はいたしますまい。と、ならば……。近いうちに、無理な最終決戦でも挑んで来ますかな?』
「さもなくば、立ち枯れるだけだからね。こちらはその攻撃を、要塞をもって跳ね返せばいい。決戦の勝利をもって、わたしの名前で『ジアンク王国』に降伏勧告を出すよ。
いくら死後、地獄に落ちるとか言われてたってさ。現実の世界で、明日どころか今日生きる為の食べ物に事欠く状態になってれば……。降伏勧告に応じる可能性は高い、と見ている」
『そして降伏した者達には、暖かい扱いを与える、と……。それを内外に喧伝するのですな?』
そのガウルグルクの言葉に、わたしは頷く。
「まあ、おおっぴらに宣伝ビラとか撒いたりするつもりは無いがね。『リューム・ナアド神聖国』の語ってる、我が国での市民たちの扱いが間違ってるって事を、相手の国々の民に教えないとね」
そうなんだよなー。『リューム・ナアド神聖国』とそのお仲間国家群は、わたしの占領下では民は塗炭の苦しみを味わってるので、急ぎ解放せねばならない、とか言ってるんだよ。でも、それが大嘘である事を知らしめる事が叶えば……。
「今予定しているのは、魔道軍団が作り上げた諜報網のツテを使って、こちらの情報を逆に流す事だね。『ここだけの話』って感じで、民の間にこちらの実情を流してやるんだ。飛行機や魔竜からビラをばら撒く事も考え無かったわけじゃ無いけれどさ。それはもう少し、占領地が広がってからだ」
『了解いたしました』
その後、2~3の事柄を話した後、敬礼と答礼を以ってわたしはガウルグルクとの通信を終える。わたしは司令室の執務机の椅子に腰かけると、大きく溜息を吐いた。
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「ん? ああ、そうか。じゃあ頼もうか? お菓子はスフレチーズケーキを人数分出してくれ」
「はっ!」
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そしてわたしは、世界地図を眺め遣る。
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そうなんだ、『ツヴォーラ国』とは今しばらく国境線を接したく無いんだよね。あの国は、色々と面倒な国なんだ。
何故って、あの国は先代魔王時代に、国の半分を先代魔王軍に占領されてたんだよ。先代魔王の統治はとても統治ってもんじゃ無く、略奪と虐殺、蹂躙しただけだった。アーカル大陸でも南岸部に先代魔王占領地があったけど、あそこを懐柔してモノにするのにどれだけ手間と時間をかけたか。
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