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第114話 戦力の充実と
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そのときわたしはいつもの司令室、いつもの執務机に着いて、ザウエルからの報告を聞いていた。
「……と言う訳で、遺伝子改良して軽度洗脳を施した豚鬼、人食い鬼、邪鬼、邪妖精は、今までが嘘の様に使える様になりましたね。だいたい犬妖に匹敵するぐらい有用な種族になりましたよ」
「それは凄いね。素晴らしいよ」
「無論豚鬼を例に取ると、器用さが低いので射撃要員とか工場の工員とかには使いづらいです。ですが兵隊としては大犬妖程度には使えますし、大犬妖と違って戦い以外にも使えます。牧畜とか農業とか、なんとか可能ですからね」
そこへ、書類整理をしてくれていたアオイから声が上がる。
「魔王様、その事に関してなんだけど。大犬妖の一番大きい集落の長から、嘆願が上がってる」
「え?書類をこっちにくれるかい?」
「うん、これ」
わたしは大犬妖の長からの嘆願書を読んで見た。
『まおうさま、おれたちのーるも、おーくや、おーがー、ごぶりん、すぷりがんみたいに、いでんしかいぞうとか、してください。おねがいしますだ。おれたちも、あたまよくなりたい。もっと、まおうさまの、やくにたちたい。』
……いや、遺伝子改造が何なのか分かってるのかな。たぶん分かってないね。
「でもなあ……。大犬妖は今のままでも充分役に立ってくれてるんだよな。危険を冒して無理に遺伝子改造するのはなあ……。
どう思う? アオイ。それにザウエル」
「僕はちょっと、賛成しかねますね。大犬妖の場合費用対効果の面からも、そこまで手をかける意味があるかどうか。それはもうちょっと彼らの頭が良かったら、と思わない事もよくありますよ?
ですが、ぎりぎり崖っぷちだった豚鬼と違って、大犬妖は充分役立ってくれていますからね。遺伝子改造までやる必要があるかどうか……」
「わたしは逆かな。豚鬼や人食い鬼を遺伝子改造によって理想的な兵士にした。これはやらないと、仕方の無い事だった。で、確かに大犬妖は必要性や費用対効果の面から言えば、そこまでじゃない。
でも、大犬妖からすれば、今まで魔王様の役に立って無かった連中が、急に自分たちを追い抜いてしまった事になる。彼らからすれば、焦る。それだけじゃなく、悔しいと思う」
「……なるほど。その感情が鬱積していけば、『JOKER剣魔国』の軍内部から、場合によっては国内問題にも発展しかねませんか……」
なるほどなあ……。これは、仕方ないかあ。
「うん、たしかに一理ある。ここは大犬妖たちの遺志を酌んでやらんといけないか。急いで大犬妖たちの遺伝子改造のプランを立てないといけないなあ」
少なくとも、遺伝子改造後の豚鬼や人食い鬼と並ぶ程度には、強化してやらんとな。あー、だけどなあ……。
「他の魔物種族たちも、『自分たちにも遺伝子改造を!』って言いだすのが、目に見える様だ……」
「「あー……」」
アオイとザウエルが同時に相槌を打つ。まあ、この件については頑張るしかないか。気を取り直したザウエルが、報告の続きを始めた。
「まあ、それでですね。豚鬼、人食い鬼や邪鬼、邪妖精が使える様になったので、軍隊の兵力が一気に増強されました。魔道軍団も邪鬼と邪妖精が普通に使える様になったので、助かってます。
戦闘ドロイドやアンドロイドの数も、魔王様が頑張ってくださったおかげで相応に増えましたし、人工知能ロボットも頭脳の一部を除いては、魔王様の手を煩わせる事なく生産できる様になりました。魔像軍団も兵力アップです」
「となると、いよいよかな?」
「はい。旧『バルトン国』の北、旧『カンザ・アド王国』の西にある『ハルサンド都市国家連合』では、連合を形成している都市国家同士の連携が乱れつつあります。こちらが防諜の失敗を装って、わざと流した情報……。こちらの支配地域の様子の情報が、行き渡った様ですね。
そしてこちら側の民衆が、『リューム・ナアド神聖国』に搾取されている自分たちよりも良い生活、豊かな生活をしている事で、各都市国家の意見にズレが生じてきました。大きく分けて、それでも『リューム・ナアド神聖国』に従うべきだという派閥と、『リューム・ナアド神聖国』とは袂を分かち、独力で我々に対抗すべきだという派閥です」
ふむ、『ハルサンド都市国家連合』は、そろそろ頃合いだな。だけどあの国を陥とすと、その先にあるツヴォーラ国と国境を接する事になるんだよな。あの国は、面倒なんだよ……。
「その他の国々の反応は?」
「以前、先代魔王に蹂躙された経験を持つ『ツヴォーラ国』は、流石にまだまだですね。ですが、他の国々は『リューム・ナアド神聖国』に従順な派閥と反抗的な派閥に分かれ出しています」
「よし……。ザウエル、緊急幹部会議を招集してくれ。改造人間兵団の方に出向中のミズホも呼び出して欲しい」
結局改造人間たちの部隊名称は、ちょっと長ったらしいが改造人間兵団となった。まあ、さもありなん。今後大きく拡張して、改造人間軍団となった暁には、ミズホが元帥改造人間大将として正式にそれを率いる事になる。それに際し、ミズホは最高位の改造人間に改造される予定だ。
アオイの目が鋭くなる。ザウエルも、顔を引き締めた。
「すると、いよいよ?」
「いよいよですか……」
「ああ。我が『JOKER剣魔国』軍は、我魔王ブレイド・JOKERの名の元に、第二次コンザウ大陸侵攻作戦を開始する! 目標はコンザウ大陸西岸諸国だ!この作戦においては、目標に先代魔王軍一時占領地域であった、『ツヴォーラ国』西半分が含まれている! それにより『ツヴォーラ国』国民を従える事は、かなりな困難が予想される! アーカル大陸南端での経験を活かし、事にあたって欲しい!」
アオイとザウエルは、敬礼でわたしの言葉に応えた。さて、『ツヴォーラ国』……。支配するの、大変だろうなあ……。
「……と言う訳で、遺伝子改良して軽度洗脳を施した豚鬼、人食い鬼、邪鬼、邪妖精は、今までが嘘の様に使える様になりましたね。だいたい犬妖に匹敵するぐらい有用な種族になりましたよ」
「それは凄いね。素晴らしいよ」
「無論豚鬼を例に取ると、器用さが低いので射撃要員とか工場の工員とかには使いづらいです。ですが兵隊としては大犬妖程度には使えますし、大犬妖と違って戦い以外にも使えます。牧畜とか農業とか、なんとか可能ですからね」
そこへ、書類整理をしてくれていたアオイから声が上がる。
「魔王様、その事に関してなんだけど。大犬妖の一番大きい集落の長から、嘆願が上がってる」
「え?書類をこっちにくれるかい?」
「うん、これ」
わたしは大犬妖の長からの嘆願書を読んで見た。
『まおうさま、おれたちのーるも、おーくや、おーがー、ごぶりん、すぷりがんみたいに、いでんしかいぞうとか、してください。おねがいしますだ。おれたちも、あたまよくなりたい。もっと、まおうさまの、やくにたちたい。』
……いや、遺伝子改造が何なのか分かってるのかな。たぶん分かってないね。
「でもなあ……。大犬妖は今のままでも充分役に立ってくれてるんだよな。危険を冒して無理に遺伝子改造するのはなあ……。
どう思う? アオイ。それにザウエル」
「僕はちょっと、賛成しかねますね。大犬妖の場合費用対効果の面からも、そこまで手をかける意味があるかどうか。それはもうちょっと彼らの頭が良かったら、と思わない事もよくありますよ?
ですが、ぎりぎり崖っぷちだった豚鬼と違って、大犬妖は充分役立ってくれていますからね。遺伝子改造までやる必要があるかどうか……」
「わたしは逆かな。豚鬼や人食い鬼を遺伝子改造によって理想的な兵士にした。これはやらないと、仕方の無い事だった。で、確かに大犬妖は必要性や費用対効果の面から言えば、そこまでじゃない。
でも、大犬妖からすれば、今まで魔王様の役に立って無かった連中が、急に自分たちを追い抜いてしまった事になる。彼らからすれば、焦る。それだけじゃなく、悔しいと思う」
「……なるほど。その感情が鬱積していけば、『JOKER剣魔国』の軍内部から、場合によっては国内問題にも発展しかねませんか……」
なるほどなあ……。これは、仕方ないかあ。
「うん、たしかに一理ある。ここは大犬妖たちの遺志を酌んでやらんといけないか。急いで大犬妖たちの遺伝子改造のプランを立てないといけないなあ」
少なくとも、遺伝子改造後の豚鬼や人食い鬼と並ぶ程度には、強化してやらんとな。あー、だけどなあ……。
「他の魔物種族たちも、『自分たちにも遺伝子改造を!』って言いだすのが、目に見える様だ……」
「「あー……」」
アオイとザウエルが同時に相槌を打つ。まあ、この件については頑張るしかないか。気を取り直したザウエルが、報告の続きを始めた。
「まあ、それでですね。豚鬼、人食い鬼や邪鬼、邪妖精が使える様になったので、軍隊の兵力が一気に増強されました。魔道軍団も邪鬼と邪妖精が普通に使える様になったので、助かってます。
戦闘ドロイドやアンドロイドの数も、魔王様が頑張ってくださったおかげで相応に増えましたし、人工知能ロボットも頭脳の一部を除いては、魔王様の手を煩わせる事なく生産できる様になりました。魔像軍団も兵力アップです」
「となると、いよいよかな?」
「はい。旧『バルトン国』の北、旧『カンザ・アド王国』の西にある『ハルサンド都市国家連合』では、連合を形成している都市国家同士の連携が乱れつつあります。こちらが防諜の失敗を装って、わざと流した情報……。こちらの支配地域の様子の情報が、行き渡った様ですね。
そしてこちら側の民衆が、『リューム・ナアド神聖国』に搾取されている自分たちよりも良い生活、豊かな生活をしている事で、各都市国家の意見にズレが生じてきました。大きく分けて、それでも『リューム・ナアド神聖国』に従うべきだという派閥と、『リューム・ナアド神聖国』とは袂を分かち、独力で我々に対抗すべきだという派閥です」
ふむ、『ハルサンド都市国家連合』は、そろそろ頃合いだな。だけどあの国を陥とすと、その先にあるツヴォーラ国と国境を接する事になるんだよな。あの国は、面倒なんだよ……。
「その他の国々の反応は?」
「以前、先代魔王に蹂躙された経験を持つ『ツヴォーラ国』は、流石にまだまだですね。ですが、他の国々は『リューム・ナアド神聖国』に従順な派閥と反抗的な派閥に分かれ出しています」
「よし……。ザウエル、緊急幹部会議を招集してくれ。改造人間兵団の方に出向中のミズホも呼び出して欲しい」
結局改造人間たちの部隊名称は、ちょっと長ったらしいが改造人間兵団となった。まあ、さもありなん。今後大きく拡張して、改造人間軍団となった暁には、ミズホが元帥改造人間大将として正式にそれを率いる事になる。それに際し、ミズホは最高位の改造人間に改造される予定だ。
アオイの目が鋭くなる。ザウエルも、顔を引き締めた。
「すると、いよいよ?」
「いよいよですか……」
「ああ。我が『JOKER剣魔国』軍は、我魔王ブレイド・JOKERの名の元に、第二次コンザウ大陸侵攻作戦を開始する! 目標はコンザウ大陸西岸諸国だ!この作戦においては、目標に先代魔王軍一時占領地域であった、『ツヴォーラ国』西半分が含まれている! それにより『ツヴォーラ国』国民を従える事は、かなりな困難が予想される! アーカル大陸南端での経験を活かし、事にあたって欲しい!」
アオイとザウエルは、敬礼でわたしの言葉に応えた。さて、『ツヴォーラ国』……。支配するの、大変だろうなあ……。
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