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最終章「怪物の夢と少女の願い」
201話「覚醒」
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ガイ・エンドは暴走状態の良太郎を策にはめ、攻撃対象を自分からマリーネ達に変えさせた。
さらにそこに、ダメ押しとばかりに良太郎達の帰りを待っていた林檎をも呼び出してしまう。
「……!!」
目の前に立つ良太郎……いや、林檎からすれば巨大な化け物を前に林檎は腰を抜かして尻もちをついてしまう。
「グヴヴ……!!」
「「やっちゃいなよ良太郎クン!!」「自分の手で最愛の人を殺す……最高のショーだね。」」
完全に合体前の調子に戻ったガイ・エンドは、良太郎達を見下ろしながら良太郎に林檎達を殺す事を催促する。
「グア゙ア゙!!」
「え……いや……」
「やめてリョータロー君!!その子はリンゴちゃんよ!!貴方の大切な友達なのよ!!」
「……!?」
良太郎に必死に呼びかけるマリーネの言葉を聞いた林檎は耳を疑った。
目の前の巨大な化け物が、自分にとってかけがえのない存在である鬼島良太郎だと言うのだから。
「マリーネさん……それってどういう__」
「リョータロー君やめて!!」
マリーネに本当の事なのかと聞こうとする林檎だったが、マリーネの必死の顔を見て良太郎の方に振り向くと……
「グア゙ア゙!!」
目の前の良太郎は、自分目掛けて鋭い爪の生えた手を振り下ろしていた。
その爪によって林檎が無惨にも引き裂かれる……かに思われた瞬間……
「うおおお!!」
「ぐ……あああ!!」
「やめろリョータロー君!!」
良太郎の身体にしがみつき、良太郎を止めようとしたのはガオレオ、セリエ、ソレイユの3人だった。
魔力も体力も底を尽き、狂死郎とガイ・アステラに傷つけられた限界の身体を動かしなんとか良太郎を止めようと覚悟を決めたのだった。
「リョータローの旦那!!異世界人のアンタが俺達の為に影の一味と戦ってくれたの感謝してるんだぜ!!」
「そんなリョータローが!!人の為に戦う心の強さを持っているリョータローがそんな事しちゃダメ!!皆の為に戦ってきたのに、その中で1番大切なリンゴを自分で殺すなんて事、許さないんだから!!」
「自分を強く持てリョータロー君!!君はそんな力に負ける程弱い人間ではないはずだ!!私は君の心の強さを信じている!!だから__」
ドガッ!!
必死にうったえるガオレオ、セリエ、ソレイユの健闘も虚しく、ほとんど力の残ってなかった3人は良太郎が軽く振りほどこうとするだけでいとも容易く振りほどかれてしまった。
「ぐっ……!!」
「ダンナ……!!」
「やめるんだ、リョータロー君!!」
地面に這いつくばいながらもなんとか良太郎を沈めようとする3人。
そんな3人を鬱陶しく思ったのか、良太郎は林檎から3人へとターゲットを変える。
「グア゙ア゙……!!」
良太郎は爪を鋭く尖らせ殺傷力を強化し、まず初めにセリエに向かっていく。
何もできないセリエはただその場で良太郎が近づいてくるのを見ている事しかできなかった。
「リョータロー……!!」
見えない目を見開き、心で良太郎の存在を感じ取るセリエ。
そして、良太郎が勢いよく右手を振りかぶったのを感じたセリエは自分の最期を悟り、それを受け入れた……
が、その時であった……
「!!」
セリエは自分の目の前にある人物が立っていたのを感じ取った。
その人物は……
「リンゴ!!」
セリエの前に立ち塞がり、良太郎を止めたのは林檎だった。
まさか自分を庇って良太郎に……と、不安がよぎるセリエだったが、林檎は良太郎にやられておらず、良太郎の手は林檎を切り裂く直前で止まっていたのだった。
「良ちゃん……やめて!!」
恐怖で震える声でありながらも、勇気を振り絞って良太郎に叫んだ林檎。
その声が良太郎に届いたのか、良太郎は頭を抱えて悶えだした。
「グア゙……ガァ゙ッ゙……グ……ガ……ヴア゙ア゙ア゙ア゙!!」
そしてしばらくもがき苦しんだ後、その場に蹲り動かなくなってしまう。
「「なんだ……良太郎君に何が?」「まさか愛の力がバケモノを止めた、なんてクサイ展開じゃないよね?」」
予想外の展開に機嫌を損ねるガイ・エンド。
「……本当に良ちゃんなの?」
「グア゙……ガヴ……リ゙ン゙……ゴ……」
その時、それまで獣のように唸り声しかあげなかった良太郎が確かに呟いた……林檎の名前を。
「リョータロー君!!」
「良ちゃん!!」
そう叫んで良太郎に近づく林檎とマリーネ。
2人は良太郎の前で膝をついて良太郎の声を聞こうとした。
「リョータロー君……。」
「お願い……戻ってきて……。」
2人の呼び掛けに対して、良太郎は……
「……ン……」
「え?」
「ゴメン、リンゴ……ツキハナシテ、ゴメン……キズツケテ、ゴメン……ナカヨクシヨウト、シテクレタ、ノニ……マタツキハナソウトシテ、ゴメン……ゴメンナサイ……ウゥ……!!」
「……」
林檎とマリーネはその時初めて理解した。
良太郎はただバケモノになっていた訳ではない……今の良太郎は過去の過ちに囚われ何も見えなくなっている状態にあるのだと。
そして、闇に囚われた良太郎を救わなければと決意した。
「良ちゃん……私、良ちゃんに突き放されたとも傷つけられたとも思っていないよ。逆に……私こそごめん……良ちゃん、ずっと思い悩んでいたんだね。昨日私に話してくれた事でずっと悩んでたんだよね……。」
「リョータロー君はヒーローになりたいのよね?私、凄く立派な夢だと思ったわ。皆の為に戦えるリョータロー君ならきっとなれるわよ!リンゴちゃんもそう思うでしょ?」
「うん!あの日1人ぼっちの良ちゃんが「ヒーローになりたい」って言った時、私は応援してあげたいって思ったよ。私……良ちゃんの夢を応援したくて良ちゃんの事……ううん、そうじゃなくて……とにかく、良ちゃんは昔の事で苦しむ必要なんて無いの。ただ前を向いて進み続けてほしいの!」
「わ、私もそう思うわ!人は誰にでも夢を追いかける権利があるわ……リョータロー君だってそう。過去よりも未来の方が大事だわ!だからリョータロー君……」
林檎とマリーネ、良太郎を想う2人の少女は優しい笑顔を浮かべてこう言う。
「「帰ってきて!!」」
それが、2人の心の底からの願いだった。
「グ……グオ゙……グオ゙ア゙……ア゙ア゙ア゙アアアあああ!!」
叫び声をあげる良太郎。
そしてそれが鳴り止み、鬼人の血によって燃え滾るような赤い色をしていた良太郎の瞳は澄み渡る青空のような青色に変化した。
姿はバケモノのままだが、良太郎は林檎とマリーネの呼び掛けに応えて戻ってきたのだ。
「林檎……マリーネ……ありがとう。2人が呼びかけてくれなかったら、俺は……!」
「気にしないで。」
「リョータロー君が無事で良かったわ。」
「マリーネ……林檎……。」
林檎とマリーネに励まされた良太郎は気持ちを改め、すくっと立ち上がった。
「俺を目覚めさせてくれてありがとう。」
「見た目はそのままだけどね。」
「え、えぇそうね。」
「え?」
林檎の言葉を聞いた良太郎は自分の姿を確認すると、確かに自分の見た目が厳つい鬼の姿のままである事に気付かされた。
「あ、本当だ……俺の事、怖くない?」
「少し怖いけど……良ちゃんだから平気だよ!」
「わ、私もそうだわ!」
「そっか……。」
「「気に入らない……」「気に入らないねぇ!」」
良太郎とマリーネ、林檎がそう話していると、そこにこれまでになかった程の邪悪なオーラを放ちながらガイ・エンドが現れた。
「ガイ・エンド……!2人は離れていて!」
「ええ!」
「気をつけてね!」
良太郎に手短にそう伝えると林檎とマリーネはその場から速やかに退散した。
「「僕達の思い通りになっていればいいものを……」「なんでそうも勝手をするんだい……ねぇ!」」
「当たり前だ!人間には自分の心がある。その心のままに生きて、戦って、人と寄り添う……それが俺達の生きる道だ!お前がどれだけ強くても……それを奪う権利はお前には無い!」
「「ならば無理やりにでも奪うよ!」「僕達が世界の支配者となるんだよねぇ!」」
「そうはさせない!!俺達の未来は……この手で切り開く!!」
互いに睨み合う良太郎とガイ・エンド。
世界の命運をかけた最後の戦いが始まる……。
さらにそこに、ダメ押しとばかりに良太郎達の帰りを待っていた林檎をも呼び出してしまう。
「……!!」
目の前に立つ良太郎……いや、林檎からすれば巨大な化け物を前に林檎は腰を抜かして尻もちをついてしまう。
「グヴヴ……!!」
「「やっちゃいなよ良太郎クン!!」「自分の手で最愛の人を殺す……最高のショーだね。」」
完全に合体前の調子に戻ったガイ・エンドは、良太郎達を見下ろしながら良太郎に林檎達を殺す事を催促する。
「グア゙ア゙!!」
「え……いや……」
「やめてリョータロー君!!その子はリンゴちゃんよ!!貴方の大切な友達なのよ!!」
「……!?」
良太郎に必死に呼びかけるマリーネの言葉を聞いた林檎は耳を疑った。
目の前の巨大な化け物が、自分にとってかけがえのない存在である鬼島良太郎だと言うのだから。
「マリーネさん……それってどういう__」
「リョータロー君やめて!!」
マリーネに本当の事なのかと聞こうとする林檎だったが、マリーネの必死の顔を見て良太郎の方に振り向くと……
「グア゙ア゙!!」
目の前の良太郎は、自分目掛けて鋭い爪の生えた手を振り下ろしていた。
その爪によって林檎が無惨にも引き裂かれる……かに思われた瞬間……
「うおおお!!」
「ぐ……あああ!!」
「やめろリョータロー君!!」
良太郎の身体にしがみつき、良太郎を止めようとしたのはガオレオ、セリエ、ソレイユの3人だった。
魔力も体力も底を尽き、狂死郎とガイ・アステラに傷つけられた限界の身体を動かしなんとか良太郎を止めようと覚悟を決めたのだった。
「リョータローの旦那!!異世界人のアンタが俺達の為に影の一味と戦ってくれたの感謝してるんだぜ!!」
「そんなリョータローが!!人の為に戦う心の強さを持っているリョータローがそんな事しちゃダメ!!皆の為に戦ってきたのに、その中で1番大切なリンゴを自分で殺すなんて事、許さないんだから!!」
「自分を強く持てリョータロー君!!君はそんな力に負ける程弱い人間ではないはずだ!!私は君の心の強さを信じている!!だから__」
ドガッ!!
必死にうったえるガオレオ、セリエ、ソレイユの健闘も虚しく、ほとんど力の残ってなかった3人は良太郎が軽く振りほどこうとするだけでいとも容易く振りほどかれてしまった。
「ぐっ……!!」
「ダンナ……!!」
「やめるんだ、リョータロー君!!」
地面に這いつくばいながらもなんとか良太郎を沈めようとする3人。
そんな3人を鬱陶しく思ったのか、良太郎は林檎から3人へとターゲットを変える。
「グア゙ア゙……!!」
良太郎は爪を鋭く尖らせ殺傷力を強化し、まず初めにセリエに向かっていく。
何もできないセリエはただその場で良太郎が近づいてくるのを見ている事しかできなかった。
「リョータロー……!!」
見えない目を見開き、心で良太郎の存在を感じ取るセリエ。
そして、良太郎が勢いよく右手を振りかぶったのを感じたセリエは自分の最期を悟り、それを受け入れた……
が、その時であった……
「!!」
セリエは自分の目の前にある人物が立っていたのを感じ取った。
その人物は……
「リンゴ!!」
セリエの前に立ち塞がり、良太郎を止めたのは林檎だった。
まさか自分を庇って良太郎に……と、不安がよぎるセリエだったが、林檎は良太郎にやられておらず、良太郎の手は林檎を切り裂く直前で止まっていたのだった。
「良ちゃん……やめて!!」
恐怖で震える声でありながらも、勇気を振り絞って良太郎に叫んだ林檎。
その声が良太郎に届いたのか、良太郎は頭を抱えて悶えだした。
「グア゙……ガァ゙ッ゙……グ……ガ……ヴア゙ア゙ア゙ア゙!!」
そしてしばらくもがき苦しんだ後、その場に蹲り動かなくなってしまう。
「「なんだ……良太郎君に何が?」「まさか愛の力がバケモノを止めた、なんてクサイ展開じゃないよね?」」
予想外の展開に機嫌を損ねるガイ・エンド。
「……本当に良ちゃんなの?」
「グア゙……ガヴ……リ゙ン゙……ゴ……」
その時、それまで獣のように唸り声しかあげなかった良太郎が確かに呟いた……林檎の名前を。
「リョータロー君!!」
「良ちゃん!!」
そう叫んで良太郎に近づく林檎とマリーネ。
2人は良太郎の前で膝をついて良太郎の声を聞こうとした。
「リョータロー君……。」
「お願い……戻ってきて……。」
2人の呼び掛けに対して、良太郎は……
「……ン……」
「え?」
「ゴメン、リンゴ……ツキハナシテ、ゴメン……キズツケテ、ゴメン……ナカヨクシヨウト、シテクレタ、ノニ……マタツキハナソウトシテ、ゴメン……ゴメンナサイ……ウゥ……!!」
「……」
林檎とマリーネはその時初めて理解した。
良太郎はただバケモノになっていた訳ではない……今の良太郎は過去の過ちに囚われ何も見えなくなっている状態にあるのだと。
そして、闇に囚われた良太郎を救わなければと決意した。
「良ちゃん……私、良ちゃんに突き放されたとも傷つけられたとも思っていないよ。逆に……私こそごめん……良ちゃん、ずっと思い悩んでいたんだね。昨日私に話してくれた事でずっと悩んでたんだよね……。」
「リョータロー君はヒーローになりたいのよね?私、凄く立派な夢だと思ったわ。皆の為に戦えるリョータロー君ならきっとなれるわよ!リンゴちゃんもそう思うでしょ?」
「うん!あの日1人ぼっちの良ちゃんが「ヒーローになりたい」って言った時、私は応援してあげたいって思ったよ。私……良ちゃんの夢を応援したくて良ちゃんの事……ううん、そうじゃなくて……とにかく、良ちゃんは昔の事で苦しむ必要なんて無いの。ただ前を向いて進み続けてほしいの!」
「わ、私もそう思うわ!人は誰にでも夢を追いかける権利があるわ……リョータロー君だってそう。過去よりも未来の方が大事だわ!だからリョータロー君……」
林檎とマリーネ、良太郎を想う2人の少女は優しい笑顔を浮かべてこう言う。
「「帰ってきて!!」」
それが、2人の心の底からの願いだった。
「グ……グオ゙……グオ゙ア゙……ア゙ア゙ア゙アアアあああ!!」
叫び声をあげる良太郎。
そしてそれが鳴り止み、鬼人の血によって燃え滾るような赤い色をしていた良太郎の瞳は澄み渡る青空のような青色に変化した。
姿はバケモノのままだが、良太郎は林檎とマリーネの呼び掛けに応えて戻ってきたのだ。
「林檎……マリーネ……ありがとう。2人が呼びかけてくれなかったら、俺は……!」
「気にしないで。」
「リョータロー君が無事で良かったわ。」
「マリーネ……林檎……。」
林檎とマリーネに励まされた良太郎は気持ちを改め、すくっと立ち上がった。
「俺を目覚めさせてくれてありがとう。」
「見た目はそのままだけどね。」
「え、えぇそうね。」
「え?」
林檎の言葉を聞いた良太郎は自分の姿を確認すると、確かに自分の見た目が厳つい鬼の姿のままである事に気付かされた。
「あ、本当だ……俺の事、怖くない?」
「少し怖いけど……良ちゃんだから平気だよ!」
「わ、私もそうだわ!」
「そっか……。」
「「気に入らない……」「気に入らないねぇ!」」
良太郎とマリーネ、林檎がそう話していると、そこにこれまでになかった程の邪悪なオーラを放ちながらガイ・エンドが現れた。
「ガイ・エンド……!2人は離れていて!」
「ええ!」
「気をつけてね!」
良太郎に手短にそう伝えると林檎とマリーネはその場から速やかに退散した。
「「僕達の思い通りになっていればいいものを……」「なんでそうも勝手をするんだい……ねぇ!」」
「当たり前だ!人間には自分の心がある。その心のままに生きて、戦って、人と寄り添う……それが俺達の生きる道だ!お前がどれだけ強くても……それを奪う権利はお前には無い!」
「「ならば無理やりにでも奪うよ!」「僕達が世界の支配者となるんだよねぇ!」」
「そうはさせない!!俺達の未来は……この手で切り開く!!」
互いに睨み合う良太郎とガイ・エンド。
世界の命運をかけた最後の戦いが始まる……。
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