15 / 109
第一章 出立
第13話 新世界
しおりを挟む
そこは時空に隔てられた、遥か彼方にある世界――。
世界の名は『トールキン』と言った。
トールキンは、創世の神――または創世主、創造主――オリジンに創造された『異世界』である。
地球に似た姿を持ち、しかし地球には無い非なる性質を持つ。
トールキンには『大精神』と呼ばれる、自然神にして精霊でもある超自然的存在がいた。
しかもそれらは一体ではなく、それぞれに司る自然があり、オリジンから与えられた名がある。
地上を照らす日光を司る大精神ソール。
夜を彩る月光を司る大精神マーニ。
万物を焦がす炎を司る大精神ドレイク。
水のうち淡水を司る大精神アプス。
水のうち海水を司る大精神ティアマト。
暖かい風と冷たい風を司る大精神ラシルとレシル。
生命が踏みしめる地を司る大精神パンゲア。
天を轟かす雷を司る大精神エクレール。
最後に……深淵なる闇を司る大精神アンブラ。
数は全体で九柱。
大精神たちは父であるオリジンから下命を受け、トールキンを支える役割を担っていた。
――見よ。空が見える。不純物の一切無い清純な空だ。
ぽつぽつと漂う雲を抜け、海が見える。山が見える。緑生えた地上が見える。
大きな塊に見えたもの、それは大陸だった。
パニティア大陸――。
そう呼ばれたこの大陸は、温暖な気候を基本とし、現実世界では滅多に見られない宝庫のような美しい自然に恵まれている。
中央から北は暖かく四季も存在するが、南に下っていくほど気温が高くなり暑くなっていく特徴があった。
各地で織り成す自然の姿は、些か常識ではかれない特徴が見える。この摩訶不思議な光景は、ひとえに自然を操る大精神の力が影響していた。
パニティア大陸には、一つの大きな国があった。
その国は『ヘリオスフィア』。パニティア大陸に唯一存在する国家だ。
太古から一国しか存在しなかったという意味ではなく、大昔は各地に様々な国が割拠していたが、ある出来事を経てヘリオスフィアを建国した初代王がそれらを平定し一つに纏めたという。
国教に『ソール教』を取り入れ、大陸の各地に住む民のほとんどがこれに入信している。彼らは教義に従い、今日まで慎み深い生活を送っていた。
建国して以来はや数百年の長い時が経ち、動乱や争いは決して起こらなかったとは言えぬものの、滅亡を迎えることなく恒久的な治政が続いていた。
そんな穏やかな地上に、小さな影がいきなり空から降る。
影は空を抜き、雲を散らし、宇宙から重力によって引き込まれた隕石のように大気を射抜いていく。
これはトールキンで常日頃見られるような光景ではなく、突然起きた異常なものだった。
天啓の前触れか、それとも災厄の予兆か。仮にこれを見捉える者がいたとしても、その時点で見極めることは難しい。
地上へ向かって落ち行く黒い彗星の正体は――人だった。
世界の名は『トールキン』と言った。
トールキンは、創世の神――または創世主、創造主――オリジンに創造された『異世界』である。
地球に似た姿を持ち、しかし地球には無い非なる性質を持つ。
トールキンには『大精神』と呼ばれる、自然神にして精霊でもある超自然的存在がいた。
しかもそれらは一体ではなく、それぞれに司る自然があり、オリジンから与えられた名がある。
地上を照らす日光を司る大精神ソール。
夜を彩る月光を司る大精神マーニ。
万物を焦がす炎を司る大精神ドレイク。
水のうち淡水を司る大精神アプス。
水のうち海水を司る大精神ティアマト。
暖かい風と冷たい風を司る大精神ラシルとレシル。
生命が踏みしめる地を司る大精神パンゲア。
天を轟かす雷を司る大精神エクレール。
最後に……深淵なる闇を司る大精神アンブラ。
数は全体で九柱。
大精神たちは父であるオリジンから下命を受け、トールキンを支える役割を担っていた。
――見よ。空が見える。不純物の一切無い清純な空だ。
ぽつぽつと漂う雲を抜け、海が見える。山が見える。緑生えた地上が見える。
大きな塊に見えたもの、それは大陸だった。
パニティア大陸――。
そう呼ばれたこの大陸は、温暖な気候を基本とし、現実世界では滅多に見られない宝庫のような美しい自然に恵まれている。
中央から北は暖かく四季も存在するが、南に下っていくほど気温が高くなり暑くなっていく特徴があった。
各地で織り成す自然の姿は、些か常識ではかれない特徴が見える。この摩訶不思議な光景は、ひとえに自然を操る大精神の力が影響していた。
パニティア大陸には、一つの大きな国があった。
その国は『ヘリオスフィア』。パニティア大陸に唯一存在する国家だ。
太古から一国しか存在しなかったという意味ではなく、大昔は各地に様々な国が割拠していたが、ある出来事を経てヘリオスフィアを建国した初代王がそれらを平定し一つに纏めたという。
国教に『ソール教』を取り入れ、大陸の各地に住む民のほとんどがこれに入信している。彼らは教義に従い、今日まで慎み深い生活を送っていた。
建国して以来はや数百年の長い時が経ち、動乱や争いは決して起こらなかったとは言えぬものの、滅亡を迎えることなく恒久的な治政が続いていた。
そんな穏やかな地上に、小さな影がいきなり空から降る。
影は空を抜き、雲を散らし、宇宙から重力によって引き込まれた隕石のように大気を射抜いていく。
これはトールキンで常日頃見られるような光景ではなく、突然起きた異常なものだった。
天啓の前触れか、それとも災厄の予兆か。仮にこれを見捉える者がいたとしても、その時点で見極めることは難しい。
地上へ向かって落ち行く黒い彗星の正体は――人だった。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる