異世界帰りの邪神の息子~ざまあの化身が過ごす、裏でコソコソ悪巧みと異能学園イチャイチャ生活怨怨怨恩怨怨怨呪呪祝呪呪呪~

福郎

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半人半神性

まあそうなるわな

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「まあ諸君達には言うまでもないから大雑把に説明するが、浄力は神道系、魔力は魔法、霊力は神仏や生命力、超力は超能力だ」

 学園長先生大雑把すぎます。それじゃあほわッとしか分かりません。いつもそうやって言うまでもないとか、もう知っているだろうがとか言いますが、僕は全くついて行けてないのでどうか勉強させてください。でも本当に他の皆さんには言うまでもない様で、誰もノートに書く事すらしていません。やっぱり一般クラスが僕には相応しいのではないでしょうか?

「ただ呪力の様なかなり希少な能力がある事も頭に入れて置いて欲しい。これは主に妖異が操る力だが稀に人間が操れることがある。神道や陰陽道に関わる者なら多少馴染みがあるだろうが、殆どの場合は迷信なため害は無い。そのためあまり知らない者もいるだろう。そうだな……四葉貴明、何か知っている事は?」

 だから授業について行けてないっつってんだろ!
 分かったよ恥かいてやるよ!

「はい先生。呪力とは主に生物が溜め込んだ恨みや怨念が放たれる場合が多く、殆どの場合は特に影響はありませんが、稀にそれが強力な指向性を持って対象に放たれる術という形となって、下は腹痛や頭痛、上になると狂気に陥る、呪い殺される場合がある非常に危険な物です。特に恐ろしいのは、一般的に認知されている他の力と比べて非常に遠距離からの攻撃が可能で、対象の髪や写真があれば更に攻撃可能距離が長くなる特殊性を持っています。その上厄介なのが、魔法等で負った火傷などは科学的治療法を行えますが、呪力によって負った傷は非常に治りが遅く、浄力を用いなかった場合腐敗や後遺症が残ります。しかもこれは土地や自然環境にも影響する、汚染と言っていい現象まで引き起こします。ただ勿論弱点や欠点もあり、自分の力量を超えた呪いや、陰陽道の呪詛返し等によって、術者本人も呪いに掛かってしまうリスクがあります。ただこの術者のリスクというのが厄介で、逆手に取ると自爆紛いの爆弾として自分を扱えるので、高位の術者を討伐する際は常に対象を浄力で包む必要があります。纏めると非常に希少な能力でありますが、対処はほぼ浄力しかない猛毒であると言えるでしょう」

 これくらいしか知らないよクソッタレ!
 何と言っても俺と親父は呪いそのものであって、呪力や呪術を使ってるとはまた微妙に違うからな!

「非常によろしい。現場の者として補足しておくと、四葉の言う通り浄力を高度に扱えない、またはその術者がいない場合は逃げろ。視線、吐息、体の模様、声、その全てがこちらの命を奪う毒と思え。いや言い直す。事実として命を奪う毒なのだ。私が先程の要点を書くから、必要な者は書き写しなさい」

 あれ? 皆さんノート取ってらっしゃる? 俺ひょっとして出来ちゃいました? これが主席ですよ皆さんんんん!しゅ! せ! き!

「四葉のお陰で説明の手間が省けたな礼を言う。それでだが、私が呪力を少し重点的に知っておいて欲しいのには理由がある。喜ばしい事に本学園に、呪術特化型の非鬼の式符が寄付されたのだ。先に言っておくが元々あった非鬼の式符は少々名前負けしていたため、本当の意味での非鬼の式符になる」

 蜘蛛君のことじゃないか! 先輩たちをボコってご満悦の蜘蛛君じゃないか! ローテーションも最上級生の推薦組が挑んでるだけで、非鬼はこんだけヤバいんだと上級生達に見せ終わったから 後は休めてる蜘蛛君じゃないか! おめでとう! 君の願いはかなったんだ!

「非鬼の式符が!?」

「そうだ橘」

 橘お姉さま褒めて下さい! あなたのための蜘蛛君なんです! 存分に挑んでボコボコにしてあげてください!

「という訳で午後の時間は、最上級生の推薦組が戦っている様子を見学しに行く。一般組には刺激が強すぎるが、現場に出る可能性がある君達には一度見せておかねばならない。君達にもショックが強いだろうが、逃げるという事を真剣に考えるのもまた能力者の学びなのだ」

 蜘蛛君頑張ってるかなあ。

 ◆

『キイイイイイイイイイイイイイイアアアアアアアアアアア死死死死死死死死死!』

 蜘蛛君頑張ってるなあ。
 いや泥玉状態だから泥君なのか? まあいいや。あ、1人吹っ飛ばされた。

「よしそうだ。意識をしっかり保て。自分の力で体全体を包むんだ。いいぞ素晴らしい。訓練場の結界が殆ど非鬼の力を遮断しているが、全員がしっかり意識を保っているのは驚くべきことだ。はっきり言って、私が君達の担任となったのは間違いないと思っている」

 皆さん顔色悪いみたいですけど大丈夫ですか? 今にも吐きそうな人まで。

「尽懐!」

『ギイイイイイギギギギギギキイイイイイイイイイ!』

 なんだあの上半身露出の細マッチョ!? 浄力でバフ掛けてるとはいえ蜘蛛君を素手でぶん殴るとはやるな!

「ああ、宮代の天才児ね。生徒会長って聞いてたけど、そこそこやるじゃない」

「お姉さま、ウチの生徒会長は露出癖を?」

「どうもそうみたいね」

 お姉さまがそう言うならあの生徒会長は露出狂なのだろう。なんてとこに入学してしまったんだ。やっぱり今からでも普通の学校に。

「そうだ慣れるんだ。動く必要はない。これ以上はきついと思ったら大きく顔を振るんだ。やせ我慢はするなよ。よし佐野と三村は一旦外へ出なさい。東雲もだ」

『カカカカカカッカッカッカッカ火火火火火火火火火!』

「なんだ!?」
「勝手に燃え始めたぞ!?」
「こいつまさか術を使えるのか!?」
「そんな馬鹿な!?」
「風で煙を押し返せ! 絶対に煙を吸うなよ!」

 お、蜘蛛君自分で泥を燃やし始めたな。となると火を使う人はいなかったんだな。

「あら。あれあなたのね?」

「お、お姉さま……」

 今俺はとっても赤い顔をしているだろう。なんたってあの泥は俺のタールを希釈したものだ。いやん恥ずかしい。うん? という事は俺の排せつ物が燃える匂いはこんな感じ? 俺も周りと一緒で真っ青になって来た。

「こ、こいつやっぱり蜘蛛だ!」

 おお! という事は本邦初公開なんだな蜘蛛君! 頑張れ蜘蛛君! 先輩たちをボコボコにするんだろう!

 さあ泥の下から現れました! 真っ黒な体! 蟷螂の鎌の様な足! 毛は極小の針! 真っ赤な8つの目玉は実は赤い髑髏で中には毒蛇! 垂らす涎は超劇毒!   

「落ち着け。あれは単に攻撃に向いた姿勢になっただけだ。泥は単なる鎧で圧は変わってない。よしそうだ。いいぞ。伊集院と京極は外に出なさい」

 あれ? 気が付けばウチの組は残り8人もいないや。

『キイイイイイイイイイイイイイイイイイキキキキッキッキッキッキッキ!』

「はやっ!?」
「ごはっ!?」

 あ、蜘蛛君に突っ込まれて訓練場の先輩達も8人だ。重い泥を外したから速くなるんだよね。シャカシャカって。しかも体の針とまだ残ってた泥を撒き散らすおまけ付きでだ。

 露出狂は、すげえや。蜘蛛君の左右の牙を両手でガッチリ押さえてらあ。涎も体に掛かってるのに戦闘不能のふっ飛ばされを食らってないってことは……うわすっげえ。あれ霊力か? 蜃気楼みたいに霊力が肩辺りから立ち上って涎を相殺している。あの露出狂とんでもないな。ってああ、そういう戦い方だから上の服が無くなってるのね。露出狂とか言ってすいませんでした。

「大柳いいい! 退却しろ!」

「おお!」

 おお、もう戦闘続行は不可能と見たのだろう。退却の指示が出た。あ、蜘蛛君がさせるかワレエ! って感じで超能力者かな? と祓詞を唱えてた女の人を見てる。どうもあのガンつけようは前にも一杯食わされたらしい。でも蜘蛛君、そのせいで目の前の人一瞬忘れちゃったでしょ。その人、この馬鹿めって今にも言いそうな顔してるよ?

「金剛脚うううううううううう!」

『ぎいいっいいいいいいいい!?』

 く、蜘蛛君んんんんんんんんん! 顎に超いい膝が入ったあああああああ!

「み、見事だ宮代! 見事だ!」

 ぬお!? 学園長びっくりした!?
 他の皆さんは? 俺とお姉さま以外いねえや。

「ぐはあっ!?」

 あ、流石におこな蜘蛛君にはやられちゃったか。でもあの露出狂、じゃなかった生徒会長すげえな。

「だっはっはっはっはっはっはっは!」
「ついに非鬼が自分から泥を外したか」
「宮代は飛びぬけているが、他の生徒達も目標点が出来たからメキメキと実力を伸ばしている」
「大柳君誇りなさい! 自分も含めて7人もテレポート出来たのは誇るべきことよ!」
「この数日で浄力に磨きをかけたな東郷。非鬼の呪いをほぼ完全に遮断出来たのはお前の力あってこそだ」
「あの非鬼、鼻息がここまで届きそうなんだけど。うわすげえガンつけてくる」

 あそこの人達は、単独者じゃないな。力もそうだが、戦闘者寄りの単独者よりもかなり教育の方に心が向いている。ということは最上級生の教師達か。ここデカすぎて教えてる教科も名前も分からん教師が多すぎるんだよ。

「ねえ先生、あの子と遊んでいいかしら?」

「お、お姉さま! それなら是非僕と!」

 蜘蛛君んんんんん! さては俺からお姉さまを奪う気だなあああ!? 許せん!

「少し待て。あの非鬼の扱いについて考えがある。ある程度ローテーションを組む必要があるが。それと四葉に色々聞いて保管方法も考えねばならんか」

 はあ考えですか。なんかローテーションって言った瞬間、蜘蛛君がブンッって音が聞こえそうな勢いでこっち向いたんですけど大丈夫っすかね?

 ◆

 ◆

 ◆

「学園長、世界中の異能養成所から非鬼の式符について使用の相談が」

「生徒の命に係わる案件だ。こちらの敷地内での使用に限るが、それでいいなら積極的に受け入れよう」

「各研究機関から要望が」

「一切応えられないと伝えろ」

「名家の方々から」

「それも一切応えられない。しつこいようなら俺は腹を切って秘密を守ると伝えろ」

「式符の保管場所を本当に変更してよろしいのですか?」

「ああ、学園の地下訓練場でいい」

「あそこは確かに単独者や各学年の訳ありが使用していますが、特別警護が厚い場所では……」

「詳細は言えないが式符自体にセキュリティ機能があるから大丈夫だ」

「そうでしたか。ではお話の通り」

「ああ、授業で使うとき以外は、特別に許可を得たものに限り地下訓練場での使用を認める。単独者も訳ありも生活リズムが全員ぐちゃぐちゃだからな。24時間でいいだろう。ああ、単独者は必ず月一回以上使用を義務付けろ。自分もそうだったが、やはり非鬼との戦いから遠ざかるのは良くないな。昔の俺が今の俺を見たら、特鬼に限りなく近いとはいえ、半死半生とはどういうことだと詰め寄ってくるだろう。クラスも持って忙しいが、空いている時間があれば俺も出来れば入れたい」

「はい。ではそのように調整します」

「ああ頼んだぞ」
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