43 / 51
悍ましき眷属達
これぞ主席か
しおりを挟む
「あなた起きて」
ふごごごご。ふっご。あと24時間……。
「起きてってば」
ふごごっ。昨日夜勤で。ふごっ。
「起きないと」
起きないと?
「塩水に沈めるわよ」
「おはようございますお姉様!」
僕東京湾に沈められちゃうんですか!?
「おはよう。昨日徹夜だったけど、主席がサボりはマズいわよ」
「そうですね! 主席ですから!」
昨日ちょっと徹夜で仕事だったけど、伊能学園の主席が眠いからってサボる訳にはいかない。今日も元気にブラックタール帝国の発展のため、内政をしなければならない。
そういや校門がちょっと寂しいよなあ。なんか飾りが必要だな。なんといっても帝国の玄関口なのだ。金剛力士像いっちゃう? いっちゃうか? う、げふん、か、げふん呼んじゃうか? 芸術家なら皆未練タラタラだろ? 常世から呼んじゃうか?
「それと今日は綺麗ね」
「え? 綺麗?」
おかしいな。仕事終わりにそのまま寝ても、真形態はそんなきゃああああああああ!?
何で第三形態になってるんだあああああああ!?
恥ずかしいいいいいい!
◆
『ギリシャを中心として起こったこの奇跡は』
朝起きてテレビをつけると、どこもかしこもギリシャのこと一色だ。しかし一体何が起こったんだ……。
『バチカンは沈黙を保っておりますが、世界各地の信者が巡礼に訪れようと空港に押しかけ』
ああ、やっぱり一神教だったかあ。流石だなあ。凄いなあ。憧れちゃうなあ。
「大騒ぎね」
「そうですねお姉様。いやあ、一体何があったんでしょうね」
「そうねえ。ところで新婚の新妻を放っておいて、一日家に帰らなかった旦那がいるらしいわよ。どこ行ってたのかしら」
「ききききっと新婚旅行の下見じゃないですかね!?」
「そうねえ。ヨーロッパとか?」
「ああああアメリカとかじゃないですか!?」
お姉様のいつものニタニタ笑い素敵です!
やべえよやべえよ、まな板の邪神だよ。完璧に出来るか分からなかったから、お姉様にはフワッとしか説明してないんだ。だって失敗したら恥ずかしいから!
「ほんとうぅ?」
「ほほほほほんとでしゅ!」
だからお姉様そやってつーってされるとおおおお!
「ふふふ。さあ朝食にしましょうか」
「はい!」
ふう誤魔化せた。お姉さまにこんな極悪極まった事をしているなんて、知られる訳にはいかない。昨日は達成感からいいことしたと思ったが、よくよく考えるといいことして、しかも喜ぶだなんて邪神の面汚しよ。危うく邪神カテゴリーから追放されてしまうところだった。
それにしても疲れたからお腹減ったなあ。
「はいおまたせ。ギリシャへの行き方は、前に言ってた怪物形態でのワープ? 恨みだけじゃなくて未練のある所でも行けるの?」
「はいそうです!」
ご飯! お姉さまの手作りご飯!
いただきまーす!
◆
「おはよう諸君。少々世間が騒ぎになっているが、それで学業を疎かにすることは出来ない。今日も一日普段通り頑張ってくれ」
流石ですね学園長。まあ、30年も前の事件だったんだ。ここの生徒で直接面識がある人はいないだろう。
「それと貴明は後で学園長室に来てくれ」
いきなりですね学園長。それにしても何で呼ばれたんだろう。あ、主席として何か用件があるんですね。分かりました。丁度校門の事を相談したかったんですよ。もう連絡して同意済みなんで、魔除けの意味も込めて金剛力士像とかどうですかね?
◆
「心当たりあるか?」
唐突ですね学園長。それだけじゃ何のことかさっぱり分かりませんよ。でも分かってるよ。あれだろあれ。
「30年越しとはいえ、3日後ってことはあの復活と丁度ですから、一神教でまず間違いないと思います。親父じゃ逆立ちしたって出来ません。あ、直接自分の復讐をしたいって言う人に、ちょっとだけ肉の器を用意する事なら出来ます。ただまあ、こんな世界中で福音鳴りまくる様な事は出来ませんね」
「やはりそうか」
学園長もまず親父は関係ないと思っているが、一応俺に聞いたのだろう。それにこれは本当の事だ。例え未練が残っていても、ヒュドラが討ち果たされ、恨みが残っていない者達をどうこうするのは、悪ではないが純粋な負である邪神の領分じゃない。
「世間話ですけど、日本でも信者増えて来年からここ大変じゃないですか?」
「言うな。昨日からずっとそれで悩んでいるんだ」
まあそうだろう。ただでさえ一神教の教師は取り合いと聞くのに、世界中で勧誘合戦が激化するだろう。しかしそれは宰相の役目なのだ。何とかしてくれたまえ。
「あ、そういえば校門に魔除けの金剛力士像とかどうですかね? ちょっと伝手がありまして、国宝とかに引けを取らない奴が手に入るんですけど。逸品ですよ」
「詳しく聞こう。製作費用と期間はどれくらいになる? 効力は私が霊力、東郷が浄力を付与すればかなりのものになる筈だ」
ちょろいですよ学園長。目の前に餌垂らされたブラックバスだって、もっと慎重になりますよ。
「費用の方は貸しがあるので大丈夫です。実物も、明日の朝早くに俺がワープで持って来るんで、じっくり見分してどうするか決めて下さい」
呼ぶと言ったがあれは嘘だ。もう呼んで実家の方で作ってもらってる。いやあ、もっといい物作りたいっていう未練に負けたよ。しかも邪神パワーで強化されて100倍速くらいの製作スピードだ。常世にいても国民の義務労働を提供してあげるなんて、俺ってなんていい子なんだろう。
あ、明日持ってくるって言っちゃったから、頑張って今日中に仕上げて下さいね。納期は厳守でお願いしますよ。
「至れり尽くせりだな。しかし国宝に引けを取らない逸品か」
「そこらの呪いじゃ近づいただけで吹っ飛びますよ」
「これ以上ない保証だ。明日楽しみにしている」
そうでしょうそうでしょう。何と言ってもほんもげふんげふん。本物そっくりの出来になるのは決まっているのだ。
「ところで今回の件、貴明じゃないよな?」
「え!? いやいや無理ですよ! 僕も仇を目の前にした怨霊に肉を上げるのは出来ますけど、今回のは僕じゃ無理です! 買い被りされ過ぎて照れちゃいますね! 兎に角僕じゃ無理です! それこそ神に誓ったっていいですよ!」
そんな、そういえばその可能性がって急に思いついたように言わなくても、そんなこと僕が出来るわけないじゃないですか!
「ははは。すまん急にその考えが思い浮かんでな」
全く。自分でもそんな事ないって分かってて聞くんだから宰相は意地が悪い。
「おっともうこんな時間か。今日の戦闘会で例の式符を使うから君も来てくれ。それでは主席四葉貴明。今日も頼んだぞ」
「はい! 四葉貴明、今日も主席として頑張ります!」
「うむ」
かーっ仕方ないな! なんたって主席だからな! 今日も主席として頑張ってやるよ!
ふごごごご。ふっご。あと24時間……。
「起きてってば」
ふごごっ。昨日夜勤で。ふごっ。
「起きないと」
起きないと?
「塩水に沈めるわよ」
「おはようございますお姉様!」
僕東京湾に沈められちゃうんですか!?
「おはよう。昨日徹夜だったけど、主席がサボりはマズいわよ」
「そうですね! 主席ですから!」
昨日ちょっと徹夜で仕事だったけど、伊能学園の主席が眠いからってサボる訳にはいかない。今日も元気にブラックタール帝国の発展のため、内政をしなければならない。
そういや校門がちょっと寂しいよなあ。なんか飾りが必要だな。なんといっても帝国の玄関口なのだ。金剛力士像いっちゃう? いっちゃうか? う、げふん、か、げふん呼んじゃうか? 芸術家なら皆未練タラタラだろ? 常世から呼んじゃうか?
「それと今日は綺麗ね」
「え? 綺麗?」
おかしいな。仕事終わりにそのまま寝ても、真形態はそんなきゃああああああああ!?
何で第三形態になってるんだあああああああ!?
恥ずかしいいいいいい!
◆
『ギリシャを中心として起こったこの奇跡は』
朝起きてテレビをつけると、どこもかしこもギリシャのこと一色だ。しかし一体何が起こったんだ……。
『バチカンは沈黙を保っておりますが、世界各地の信者が巡礼に訪れようと空港に押しかけ』
ああ、やっぱり一神教だったかあ。流石だなあ。凄いなあ。憧れちゃうなあ。
「大騒ぎね」
「そうですねお姉様。いやあ、一体何があったんでしょうね」
「そうねえ。ところで新婚の新妻を放っておいて、一日家に帰らなかった旦那がいるらしいわよ。どこ行ってたのかしら」
「ききききっと新婚旅行の下見じゃないですかね!?」
「そうねえ。ヨーロッパとか?」
「ああああアメリカとかじゃないですか!?」
お姉様のいつものニタニタ笑い素敵です!
やべえよやべえよ、まな板の邪神だよ。完璧に出来るか分からなかったから、お姉様にはフワッとしか説明してないんだ。だって失敗したら恥ずかしいから!
「ほんとうぅ?」
「ほほほほほんとでしゅ!」
だからお姉様そやってつーってされるとおおおお!
「ふふふ。さあ朝食にしましょうか」
「はい!」
ふう誤魔化せた。お姉さまにこんな極悪極まった事をしているなんて、知られる訳にはいかない。昨日は達成感からいいことしたと思ったが、よくよく考えるといいことして、しかも喜ぶだなんて邪神の面汚しよ。危うく邪神カテゴリーから追放されてしまうところだった。
それにしても疲れたからお腹減ったなあ。
「はいおまたせ。ギリシャへの行き方は、前に言ってた怪物形態でのワープ? 恨みだけじゃなくて未練のある所でも行けるの?」
「はいそうです!」
ご飯! お姉さまの手作りご飯!
いただきまーす!
◆
「おはよう諸君。少々世間が騒ぎになっているが、それで学業を疎かにすることは出来ない。今日も一日普段通り頑張ってくれ」
流石ですね学園長。まあ、30年も前の事件だったんだ。ここの生徒で直接面識がある人はいないだろう。
「それと貴明は後で学園長室に来てくれ」
いきなりですね学園長。それにしても何で呼ばれたんだろう。あ、主席として何か用件があるんですね。分かりました。丁度校門の事を相談したかったんですよ。もう連絡して同意済みなんで、魔除けの意味も込めて金剛力士像とかどうですかね?
◆
「心当たりあるか?」
唐突ですね学園長。それだけじゃ何のことかさっぱり分かりませんよ。でも分かってるよ。あれだろあれ。
「30年越しとはいえ、3日後ってことはあの復活と丁度ですから、一神教でまず間違いないと思います。親父じゃ逆立ちしたって出来ません。あ、直接自分の復讐をしたいって言う人に、ちょっとだけ肉の器を用意する事なら出来ます。ただまあ、こんな世界中で福音鳴りまくる様な事は出来ませんね」
「やはりそうか」
学園長もまず親父は関係ないと思っているが、一応俺に聞いたのだろう。それにこれは本当の事だ。例え未練が残っていても、ヒュドラが討ち果たされ、恨みが残っていない者達をどうこうするのは、悪ではないが純粋な負である邪神の領分じゃない。
「世間話ですけど、日本でも信者増えて来年からここ大変じゃないですか?」
「言うな。昨日からずっとそれで悩んでいるんだ」
まあそうだろう。ただでさえ一神教の教師は取り合いと聞くのに、世界中で勧誘合戦が激化するだろう。しかしそれは宰相の役目なのだ。何とかしてくれたまえ。
「あ、そういえば校門に魔除けの金剛力士像とかどうですかね? ちょっと伝手がありまして、国宝とかに引けを取らない奴が手に入るんですけど。逸品ですよ」
「詳しく聞こう。製作費用と期間はどれくらいになる? 効力は私が霊力、東郷が浄力を付与すればかなりのものになる筈だ」
ちょろいですよ学園長。目の前に餌垂らされたブラックバスだって、もっと慎重になりますよ。
「費用の方は貸しがあるので大丈夫です。実物も、明日の朝早くに俺がワープで持って来るんで、じっくり見分してどうするか決めて下さい」
呼ぶと言ったがあれは嘘だ。もう呼んで実家の方で作ってもらってる。いやあ、もっといい物作りたいっていう未練に負けたよ。しかも邪神パワーで強化されて100倍速くらいの製作スピードだ。常世にいても国民の義務労働を提供してあげるなんて、俺ってなんていい子なんだろう。
あ、明日持ってくるって言っちゃったから、頑張って今日中に仕上げて下さいね。納期は厳守でお願いしますよ。
「至れり尽くせりだな。しかし国宝に引けを取らない逸品か」
「そこらの呪いじゃ近づいただけで吹っ飛びますよ」
「これ以上ない保証だ。明日楽しみにしている」
そうでしょうそうでしょう。何と言ってもほんもげふんげふん。本物そっくりの出来になるのは決まっているのだ。
「ところで今回の件、貴明じゃないよな?」
「え!? いやいや無理ですよ! 僕も仇を目の前にした怨霊に肉を上げるのは出来ますけど、今回のは僕じゃ無理です! 買い被りされ過ぎて照れちゃいますね! 兎に角僕じゃ無理です! それこそ神に誓ったっていいですよ!」
そんな、そういえばその可能性がって急に思いついたように言わなくても、そんなこと僕が出来るわけないじゃないですか!
「ははは。すまん急にその考えが思い浮かんでな」
全く。自分でもそんな事ないって分かってて聞くんだから宰相は意地が悪い。
「おっともうこんな時間か。今日の戦闘会で例の式符を使うから君も来てくれ。それでは主席四葉貴明。今日も頼んだぞ」
「はい! 四葉貴明、今日も主席として頑張ります!」
「うむ」
かーっ仕方ないな! なんたって主席だからな! 今日も主席として頑張ってやるよ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる