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ダークエルフの姉妹 ジネット。ルー編
え、あの流れで婆さんメイン?
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剣の国 ユーゴ
あれから場所を我が家に移した。周りの男達がソワソワし始めたうえに、厨房の扉から包丁が見えたからだ。触らぬ神に祟りなし。
何の変哲もないただの一軒家に二人を招く。一人で住むには大きいかなとは思っているが。
「上がってくれ嬢さん方」
「ご主人様!名前で呼んでほしいです!」
「それをいうなら俺の名前はユーゴだ。ルーちゃん、でいいんだよな?」
「はいユーゴさん!でも私達メイドさんなのでご主人様って言います!あと、メイドのことは呼び捨てにしてください!」
えーい、この元気娘め。ダークエルフメイドだと?俺の性癖に刺さってるの分かってる?
姉ちゃん何とか言ってやれ!
だめだ、未だに顔真っ赤にして俯いてやがる。ギャップ萌えなの?睨まれてしかいなかったから、すごい可愛いんだけど。
「私達考えたんです!どうしたら命を助けていただいたご恩を返せるかって!」
「それで、あー、メイド?」
「はい!私達ダークエルフなんで潜入できるようメイドさんの訓練もしてます!お仕事もばっちりです!」
なんてこった、頑張りますっていう波動がビンビン伝わってくる。本気だ。
「ジネット…?は、どうなんだ?」
「あ、ああ…」
「お姉ちゃん!」
「はい…」
「いや、しかしメイドね…」
「あの…だめですか…?」
ああああ!純真な波動があああああ!絶対に恩返ししますって体中を叩いてくるんだけど!そんな目で俺を見ないで!鍛えすぎちゃってそういうのマジで分かるんだって!それにダークエルフメイド!
「その、なんだ…あー…分かった。お願いするよ」
押し負けた…
「やった!ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」
「よろしく…お願いします…」
大丈夫?姉ちゃん舌噛まない?
「それじゃあ明日から住み込みで恩返しさせてもらいます!家具はこっちで準備するから大丈夫です!」
「うん…よろしくね」
うん?
side ジネット
全く、ルーにも困ったものだ。自分だってあの男に恩は返さないといけないとは思う…だがなぜソレが寄りにもよって、住み込みのメイドなのだ!?
「お姉ちゃん良かったね!受け入れてもらえて!」
一旦、泊っている宿に帰ることになり、部屋でルーがそう言って来た。
「しかし、ルー…メイドと言っても…」
「もう!結論は出てたでしょ?私達他に出来ると言ったら暗殺か諜報じゃない。限定されすぎでしょ?」
「それは、そうだが…」
「でしょ?じゃあもう寝て、起きたらベッドとか買いに行こ!」
「分かった…」
元から元気な妹だったがこの件に関して輪にかけて積極的だ。
仕方ない、腹を括ろう。
しかし、いざあの男を前にすると上手く喋れなかった…あれはいったい……。いや、そんなはずない!寝る!!
side ユーゴ
いや、しかし困ったぞ。ダークエルフメイドのせい、いや、善意に押されてうっかり許可を出してしまった。どうすんだよ…
あの二人は買い物があるから来るのは昼過ぎになるみたいだから、午前中は俺も買い物に行ってると言ってある。家自体も定期的に掃除してるから、そう恥ずかしくないだろう。
悩んでいるといつの間にか目的地の薬屋に付いた。
「あ、ユーゴさんいらっしゃい」
ここの店主のばあさんの孫だったか曾孫だったか玄孫《やしゃご》の子が挨拶してくれる。
長命種の血が入ってると、どんな家系図だったか分からん!
「お邪魔するよ。婆さん居るかい?」
「はい。いつもの奥にいますよ」
「あんがと」
気配で分かってはいたが、ずかずか入って行くわけにもいかん。
少し奥まったところに移動し、目的の人物を見つける。
「やあ、婆さんお変わりなく」
「フェッフェッ、いらっしゃい。そういう坊やもだんだん年が分かんなくなってきたね」
椅子に座っているしわくちゃの老婆だが耳が萎れているとはいえ長く、エルフということが分かる。エルフのくせに人間種の街に居を構える変人だ。どうもエルフ側もそう思っているらしい。しかし、色々旅してきたが、婆さんほどの薬師は見たことがない。
それにしても、少し気にしていることを言いやがった…だが…やはりそうか…。どうせならほうれい線が出る前にそうなってほしかった…。
「そうかい?今日は買いもんでね。」
「おや。何をだい?」
「転移魔具と遠見の触媒2つずつと、自白の薬をお願い」
「フェッフェッ、あれを使うたあ今度はどんな悪さをしたんだい?使われた奴が可哀そうだ」
「人助けだよ。人聞きの悪い」
というか作ったのはあんただ。
「そうだったねえ。改名までしたんだもの。お節介焼きって。フェッフェッフェッフェッ」
この婆なんで知ってやがる!?
「だあっ、たく、薬いつものとこかい?貰ってくよ」
「いつものとこさ、持ってきな。というか坊や、前も触媒を買っていったろ?十分あるんじゃないかい?」
「商店の品出し、補充と一緒さ。使ったらまたそのスペースを埋めとかないと気になるのさ」
背中越しに声を掛けられる。あら?転移魔具の触媒は、ああ、あの棚だ。
-
「坊や。年寄りの話を少し聞きな」
「うん?」
そもそもあんたより年寄りなんか人間種どころか人種に居るのか?
「まあ、知ってるかもしれんけど、ダークエルフってのは恋愛なんてほとんどしないが、一度惚れたらそいつを絶対に離さん。何があってもだ。そんでもって徹底的に尽くして、そいつが死んだら自分も一緒に墓場さ」
重すぎい。というかそんな関係じゃねえ。
「そんな関係じゃないと思ったね?……フェッフェッ、私くらい年を取ると何でも分かるのさ」
マジかよ婆さんすげえな。
「話を戻すが、恩を返すとはいえ、わざわざ住み込んでまで、身の回りの世話をするなんてことは絶対にしない。プライドも無駄に高いからね。しかし、うらやましいねえ二人も侍らせて」
この糞婆!それこそ昨日の今日だぞ!
「何でもわかる」
マジかよ糞婆すげえな。
「恩返しだが程度によるが、よっぽどでも"遺物"辺りで済む。あいつ等ならそれくらいある。なんせ見つけられないんだ。何処でも行き放題さ」
思わず振り返ってしまった。
「いや、妹の方はノリノリだったがまだちっせえし、姉の方はどうしてこんなことにって顔に出てたぞ」
「まだまだ初心だね坊や。惚れた腫れたに年は関係ないのさ。それに姉の方に関してはもう一度言うよ。そんなことはそもそも絶対にしないのさ。」
したり顔がウゼえ。
「その子らにとっちゃ、絶望から助けてくれたアンタは白馬の王子様なのさ。王子様というにはちょっと年食ってるが、それが関係ないくらいぞっこんなのさ」
さっきからこの糞婆、俺の事殺す気なのか?死ぬぞ?
「ま、坊やらしくやんな。そうすりゃ坊やもその子達も笑って暮らせるさ。何でも知ってる私が保証してあげるよ」
ばあさん、愛してるよ。
いやしかし、そう言われてもどうしたもんか…。
「それに、女っ気が全くない坊やのことを心配してたんだよ。そろそろ、見合いの話を持っていこうかと本気で考えててね」
「糞婆!薬あんがとよ!代金は表の子に渡して帰るからな!」
-
「フェッフェッ。毎度あり。それとあの子はやしゃ孫だよ」
ちくしょう!!二度と来ねえぞ!!
「金ここに置いてくな!」
「あ、ユーゴさんありがとうございました。またいらしてくださいね」
「おう、またな!!」
side ドロテア
フェッフェッ相変わらずからかい甲斐がある坊やだこと。
あの商品をポイポイ入れてた空間、調べさせてくれんかねえ。"遺物"にあんなのは多分無かったはずなんだが。
ダークエルフの二人か…いいこった。あの坊やは優しいは優しいんだが、めんどくさがって当事者置いてけぼりで解決しちまうからねえ。結構誰がやったか分かんないままのが多い。アフターケアは必要なら気を利かせるくせに…。
それを考えると、坊やがやったことを分かって、惚れたのが出たのはやっぱりいいこった。坊やも心の底では満更でもない様だしね。フェッフェッ。男だねえ。
-
ああ、妹の方をちっさいと言ってたが笑止だねえ。長命種なんだ、坊やよりきっと年上さ。寿命の問題も多分大丈夫だ。明らかに坊やの老化が遅くなっている。それもかなり。まあ、あんだけ色々殺して来たんだ。位階の強さなんざ私だって分からん。そのくらい起きるさね。
しっかし、ダークエルフが二人もねえ。ダメ男が出来るのが目に見えるようだが、昔のやんちゃを考えるとそれくらいがちょうどいいだろう。フェッフェッフェッフェッ。
人物事典
"最初のひとり"ドロテア:神々が劣勢に陥っていた竜との戦争中期に、世界樹が生み出した第一世代のエルフのひとり。対竜兵器【現代の"遺物"の大半を占める】開発の中心人物で、神々が竜を痛み分けに引きずり込めた一因となった。
終戦後何を思ったか、同じ世代のエルフの猛反対、というか哀願と懇願を無視し、戦争後に新たに発生した種、人間種の集落にエルフと隠した上でひっそりと居を構え、結婚もしている。
そのため、他の第一世代がいない現代、かなり古いエルフや後に生まれたハイエルフでも彼女のことを知らない、または伝説上の人物と思っているものが大多数を占める。
よくやってくるユーゴという人物は、駆け出しのころから彼女の世話になっており、本人は絶対に認めないが影響を受けており、たまに口調や思考が似てしまう。
現在は剣の国にて薬屋を営み、子孫たちに技術を教え込みながら穏やかに暮らしている。
なお、お迎えはまだ当分来そうにない。
ー飛び切りヤバい魔法使いはなにかしらで若返ってる場合が多い。だが、そんなこと気にもしなくなった魔法使いに喧嘩を売ったら死ぬしかないんだー
"化け物"ユーゴ:黒髪黒目の東方風の男。本名はユウゴと書くらしいが、周りが発音しにくいのを考慮して、ユーゴで通している。平民にも関わらず、高度な教育を受けているようで、姓があるらしいが、貴族が存在している大陸ではしょっちゅう勘違いされるため名乗っていないようだ。
自らも東方出身と言っているが、不思議なことに東方通の人物と、在り来たりな話以上の話をすると、会話が噛み合わないことが多い。
特段酒に強いというわけではないようだが、いつも酒場にいる。行きつけの酒場も多いが、とある店の店主曰く、普段の言動からはそんな感じじゃないが、なんだかんだ寂しがってるから、騒がしいところが好きなんだろう。と、いうことらしい。以前、似たようなことを直接言った剛の者がいたようだが、違うわい!酒場はお約束っていう固定観念が抜けないだけだ!と、よく分からない返答をされたようだ。意味は分からんが、絶対照れ隠しだ。と断言されていた。
何故かごくごく一部の人種から"化け物"と呼ばれているが、本人はかなり嫌なようだ。まだそのような呼び方は複数あるようだが。
「テレビと一緒さ。ちゃんとした角度で殴れば大抵何とかなる」
「はい陛下。仰る通り彼の者を招くことが成れば、いかに"杯"、いかにリュドヴィックが我が国で何かを企めど、木っ端のようなモノでしょう。しかしながら陛下、反論をお許しください。…ありがとうございます陛下。彼の者は確かに、我々のような貴族や階級、立場といったものをきちんと尊重し、配慮してくれます。それを考えると特級冒険者達の大半よりずっと扱いやすく感じるかもしれません。しかし、彼の者もそれらに服従している訳ではないのです。万が一、我々のことがどうしても気に入らなければ、たちまち制御不能の災害と化すでしょう。…はい陛下。特級達もその恐れはあります。しかし、決定的に違うことがあるのです。特級達が害になると判断すれば、相手が単独なら、私や我が国の"勇者"ならば一人で、それか犠牲を厭わなければ精鋭たちをぶつければなんとか抑え込めます。…しかし、彼の者だけは違うのです。彼の者がその気になればこの世界で止められるものなど存在しません。…はい陛下、仮に我々や特級達にリュドヴィックが協力しようともです。陛下、どうかお聴き取り下さい。彼の者に…"化け物"に"触れるべきではない"のです。」
ー海の国における王宮での国王と大将軍の会話ー
超余談 国王が知らないはずの名前が唐突に出てきて、大将軍の心臓は本当に止まる寸前だった。
あれから場所を我が家に移した。周りの男達がソワソワし始めたうえに、厨房の扉から包丁が見えたからだ。触らぬ神に祟りなし。
何の変哲もないただの一軒家に二人を招く。一人で住むには大きいかなとは思っているが。
「上がってくれ嬢さん方」
「ご主人様!名前で呼んでほしいです!」
「それをいうなら俺の名前はユーゴだ。ルーちゃん、でいいんだよな?」
「はいユーゴさん!でも私達メイドさんなのでご主人様って言います!あと、メイドのことは呼び捨てにしてください!」
えーい、この元気娘め。ダークエルフメイドだと?俺の性癖に刺さってるの分かってる?
姉ちゃん何とか言ってやれ!
だめだ、未だに顔真っ赤にして俯いてやがる。ギャップ萌えなの?睨まれてしかいなかったから、すごい可愛いんだけど。
「私達考えたんです!どうしたら命を助けていただいたご恩を返せるかって!」
「それで、あー、メイド?」
「はい!私達ダークエルフなんで潜入できるようメイドさんの訓練もしてます!お仕事もばっちりです!」
なんてこった、頑張りますっていう波動がビンビン伝わってくる。本気だ。
「ジネット…?は、どうなんだ?」
「あ、ああ…」
「お姉ちゃん!」
「はい…」
「いや、しかしメイドね…」
「あの…だめですか…?」
ああああ!純真な波動があああああ!絶対に恩返ししますって体中を叩いてくるんだけど!そんな目で俺を見ないで!鍛えすぎちゃってそういうのマジで分かるんだって!それにダークエルフメイド!
「その、なんだ…あー…分かった。お願いするよ」
押し負けた…
「やった!ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」
「よろしく…お願いします…」
大丈夫?姉ちゃん舌噛まない?
「それじゃあ明日から住み込みで恩返しさせてもらいます!家具はこっちで準備するから大丈夫です!」
「うん…よろしくね」
うん?
side ジネット
全く、ルーにも困ったものだ。自分だってあの男に恩は返さないといけないとは思う…だがなぜソレが寄りにもよって、住み込みのメイドなのだ!?
「お姉ちゃん良かったね!受け入れてもらえて!」
一旦、泊っている宿に帰ることになり、部屋でルーがそう言って来た。
「しかし、ルー…メイドと言っても…」
「もう!結論は出てたでしょ?私達他に出来ると言ったら暗殺か諜報じゃない。限定されすぎでしょ?」
「それは、そうだが…」
「でしょ?じゃあもう寝て、起きたらベッドとか買いに行こ!」
「分かった…」
元から元気な妹だったがこの件に関して輪にかけて積極的だ。
仕方ない、腹を括ろう。
しかし、いざあの男を前にすると上手く喋れなかった…あれはいったい……。いや、そんなはずない!寝る!!
side ユーゴ
いや、しかし困ったぞ。ダークエルフメイドのせい、いや、善意に押されてうっかり許可を出してしまった。どうすんだよ…
あの二人は買い物があるから来るのは昼過ぎになるみたいだから、午前中は俺も買い物に行ってると言ってある。家自体も定期的に掃除してるから、そう恥ずかしくないだろう。
悩んでいるといつの間にか目的地の薬屋に付いた。
「あ、ユーゴさんいらっしゃい」
ここの店主のばあさんの孫だったか曾孫だったか玄孫《やしゃご》の子が挨拶してくれる。
長命種の血が入ってると、どんな家系図だったか分からん!
「お邪魔するよ。婆さん居るかい?」
「はい。いつもの奥にいますよ」
「あんがと」
気配で分かってはいたが、ずかずか入って行くわけにもいかん。
少し奥まったところに移動し、目的の人物を見つける。
「やあ、婆さんお変わりなく」
「フェッフェッ、いらっしゃい。そういう坊やもだんだん年が分かんなくなってきたね」
椅子に座っているしわくちゃの老婆だが耳が萎れているとはいえ長く、エルフということが分かる。エルフのくせに人間種の街に居を構える変人だ。どうもエルフ側もそう思っているらしい。しかし、色々旅してきたが、婆さんほどの薬師は見たことがない。
それにしても、少し気にしていることを言いやがった…だが…やはりそうか…。どうせならほうれい線が出る前にそうなってほしかった…。
「そうかい?今日は買いもんでね。」
「おや。何をだい?」
「転移魔具と遠見の触媒2つずつと、自白の薬をお願い」
「フェッフェッ、あれを使うたあ今度はどんな悪さをしたんだい?使われた奴が可哀そうだ」
「人助けだよ。人聞きの悪い」
というか作ったのはあんただ。
「そうだったねえ。改名までしたんだもの。お節介焼きって。フェッフェッフェッフェッ」
この婆なんで知ってやがる!?
「だあっ、たく、薬いつものとこかい?貰ってくよ」
「いつものとこさ、持ってきな。というか坊や、前も触媒を買っていったろ?十分あるんじゃないかい?」
「商店の品出し、補充と一緒さ。使ったらまたそのスペースを埋めとかないと気になるのさ」
背中越しに声を掛けられる。あら?転移魔具の触媒は、ああ、あの棚だ。
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「坊や。年寄りの話を少し聞きな」
「うん?」
そもそもあんたより年寄りなんか人間種どころか人種に居るのか?
「まあ、知ってるかもしれんけど、ダークエルフってのは恋愛なんてほとんどしないが、一度惚れたらそいつを絶対に離さん。何があってもだ。そんでもって徹底的に尽くして、そいつが死んだら自分も一緒に墓場さ」
重すぎい。というかそんな関係じゃねえ。
「そんな関係じゃないと思ったね?……フェッフェッ、私くらい年を取ると何でも分かるのさ」
マジかよ婆さんすげえな。
「話を戻すが、恩を返すとはいえ、わざわざ住み込んでまで、身の回りの世話をするなんてことは絶対にしない。プライドも無駄に高いからね。しかし、うらやましいねえ二人も侍らせて」
この糞婆!それこそ昨日の今日だぞ!
「何でもわかる」
マジかよ糞婆すげえな。
「恩返しだが程度によるが、よっぽどでも"遺物"辺りで済む。あいつ等ならそれくらいある。なんせ見つけられないんだ。何処でも行き放題さ」
思わず振り返ってしまった。
「いや、妹の方はノリノリだったがまだちっせえし、姉の方はどうしてこんなことにって顔に出てたぞ」
「まだまだ初心だね坊や。惚れた腫れたに年は関係ないのさ。それに姉の方に関してはもう一度言うよ。そんなことはそもそも絶対にしないのさ。」
したり顔がウゼえ。
「その子らにとっちゃ、絶望から助けてくれたアンタは白馬の王子様なのさ。王子様というにはちょっと年食ってるが、それが関係ないくらいぞっこんなのさ」
さっきからこの糞婆、俺の事殺す気なのか?死ぬぞ?
「ま、坊やらしくやんな。そうすりゃ坊やもその子達も笑って暮らせるさ。何でも知ってる私が保証してあげるよ」
ばあさん、愛してるよ。
いやしかし、そう言われてもどうしたもんか…。
「それに、女っ気が全くない坊やのことを心配してたんだよ。そろそろ、見合いの話を持っていこうかと本気で考えててね」
「糞婆!薬あんがとよ!代金は表の子に渡して帰るからな!」
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「フェッフェッ。毎度あり。それとあの子はやしゃ孫だよ」
ちくしょう!!二度と来ねえぞ!!
「金ここに置いてくな!」
「あ、ユーゴさんありがとうございました。またいらしてくださいね」
「おう、またな!!」
side ドロテア
フェッフェッ相変わらずからかい甲斐がある坊やだこと。
あの商品をポイポイ入れてた空間、調べさせてくれんかねえ。"遺物"にあんなのは多分無かったはずなんだが。
ダークエルフの二人か…いいこった。あの坊やは優しいは優しいんだが、めんどくさがって当事者置いてけぼりで解決しちまうからねえ。結構誰がやったか分かんないままのが多い。アフターケアは必要なら気を利かせるくせに…。
それを考えると、坊やがやったことを分かって、惚れたのが出たのはやっぱりいいこった。坊やも心の底では満更でもない様だしね。フェッフェッ。男だねえ。
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ああ、妹の方をちっさいと言ってたが笑止だねえ。長命種なんだ、坊やよりきっと年上さ。寿命の問題も多分大丈夫だ。明らかに坊やの老化が遅くなっている。それもかなり。まあ、あんだけ色々殺して来たんだ。位階の強さなんざ私だって分からん。そのくらい起きるさね。
しっかし、ダークエルフが二人もねえ。ダメ男が出来るのが目に見えるようだが、昔のやんちゃを考えるとそれくらいがちょうどいいだろう。フェッフェッフェッフェッ。
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終戦後何を思ったか、同じ世代のエルフの猛反対、というか哀願と懇願を無視し、戦争後に新たに発生した種、人間種の集落にエルフと隠した上でひっそりと居を構え、結婚もしている。
そのため、他の第一世代がいない現代、かなり古いエルフや後に生まれたハイエルフでも彼女のことを知らない、または伝説上の人物と思っているものが大多数を占める。
よくやってくるユーゴという人物は、駆け出しのころから彼女の世話になっており、本人は絶対に認めないが影響を受けており、たまに口調や思考が似てしまう。
現在は剣の国にて薬屋を営み、子孫たちに技術を教え込みながら穏やかに暮らしている。
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自らも東方出身と言っているが、不思議なことに東方通の人物と、在り来たりな話以上の話をすると、会話が噛み合わないことが多い。
特段酒に強いというわけではないようだが、いつも酒場にいる。行きつけの酒場も多いが、とある店の店主曰く、普段の言動からはそんな感じじゃないが、なんだかんだ寂しがってるから、騒がしいところが好きなんだろう。と、いうことらしい。以前、似たようなことを直接言った剛の者がいたようだが、違うわい!酒場はお約束っていう固定観念が抜けないだけだ!と、よく分からない返答をされたようだ。意味は分からんが、絶対照れ隠しだ。と断言されていた。
何故かごくごく一部の人種から"化け物"と呼ばれているが、本人はかなり嫌なようだ。まだそのような呼び方は複数あるようだが。
「テレビと一緒さ。ちゃんとした角度で殴れば大抵何とかなる」
「はい陛下。仰る通り彼の者を招くことが成れば、いかに"杯"、いかにリュドヴィックが我が国で何かを企めど、木っ端のようなモノでしょう。しかしながら陛下、反論をお許しください。…ありがとうございます陛下。彼の者は確かに、我々のような貴族や階級、立場といったものをきちんと尊重し、配慮してくれます。それを考えると特級冒険者達の大半よりずっと扱いやすく感じるかもしれません。しかし、彼の者もそれらに服従している訳ではないのです。万が一、我々のことがどうしても気に入らなければ、たちまち制御不能の災害と化すでしょう。…はい陛下。特級達もその恐れはあります。しかし、決定的に違うことがあるのです。特級達が害になると判断すれば、相手が単独なら、私や我が国の"勇者"ならば一人で、それか犠牲を厭わなければ精鋭たちをぶつければなんとか抑え込めます。…しかし、彼の者だけは違うのです。彼の者がその気になればこの世界で止められるものなど存在しません。…はい陛下、仮に我々や特級達にリュドヴィックが協力しようともです。陛下、どうかお聴き取り下さい。彼の者に…"化け物"に"触れるべきではない"のです。」
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イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
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・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
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