32 / 172
間が悪い編
寝た子を起こすな
しおりを挟む
リガの街 夜
夜も深け、一般の家庭ではそそろ夕食も終わった頃の時間帯であった。
そんな夜に、とある一軒屋の前で男が覚悟を決めていた。
体格がよく、筋骨隆々で首が太く、服の下には幾つもの傷跡のある、まさに戦う男と言った風貌であったが、その顔は緊張に強張り、額には汗をかいていた。
王宮から"青の歌劇"殲滅のため派遣された者たちの長であり、その中で、唯一この一軒家の主の事を知っている者でもあった。
彼にとって、本来であれば、絶対にこの場には来たくなかったが、懐には宰相がしたためた手紙があり、逃げ出すわけにもいかなかった。
意を決して扉を叩こうとしたその時であった。
「夜分遅くにご苦労様です」
全く気配を感じる事がない方向から声を掛けられ、長は悲鳴を上げそうになる。
街灯で辺りはそこそこ明るいはずなのに、長の視界からはまるで闇から湧き出ように黒髪黒目の男が佇んでいた。もはや彼にとってここは、暗黒の真っただ中だった。
この男の意識が自分1人に向けられている事実に、歯が震えそうになるのを必死に我慢しながら言葉を発する。
「お、王宮から派遣されたローワンと申します。宰相閣下より手紙を預かっております。こちらになります」
「宰相閣下から?」
幾分不思議そうな男の声を聞きながら、詳しいことは手紙に書いてあるから、自分を見ないでほしいと願っていた。
「ふーむ。ちと面倒ですな」
「はっ」
全く本心からの同意だった。面倒すぎて、下手人を必ずこの手で殺してやると誓うほどには。
「まあ、来たら来たでこちらで始末しますが…」
「宰相閣下からはお手を煩わす前に始末しろと」
心当たりがあるのか苦笑する男であったが、彼が仕出かした事を考えると、宰相の言う通りだと思うローワンであった。
「分かりました。では直接仕掛でもしてこない限り、そちらにお任せします」
「ありがとうございます」
最も懸念していた案件が片付き安堵していたが。
「それで申しわけありませんが、彼女を嗅ぎまわっていた者を5人捕まえましてね。大した情報を持っていなかったのですが、引き取って貰えませんかね?」
「は?」
その言葉と共に、どこからともなく縄で縛られた男5人が現れ、地面に落ちる。
全く意識が無い様で、呻き声も上げない。
「か、畏まりました」
既に"怪物"が起き上がっていることに、ローワンは恐怖した。
◆ ◆ ◆
テイラー伯爵邸
その後、部下を連れて捕まっている者たちを回収したローワンは、テイラー伯爵の前にいた。
「何たることだ、聖女リリアーナを誘拐しようとは、まさに神をも恐れぬ所業だ。ともすれば、直接神々による"天罰"すらあり得るというのに」
「はっ。仰る通りです」
ローワンが持ってきた、宰相からの手紙を読みテイラー伯爵は嘆息する。
元聖女が、自分の治める街に居を構えてくれるなど、とてつもない名誉なことだと思っているため、彼女の誘拐など許せるはずがない。
「単刀直入に聞くが、どれほど人員と支援を期待できる?」
「はっ。事は聖女誘拐です。出来る限りの人員を連れてきております。宮殿からの支援も最大限かと」
「そうか、安心した。礼を言う」
事情を知らない伯爵を、心底羨ましいと思いながらローワンは伯爵と打ち合わせをしていた。
「街の警備は増やして厳重に出来る。しかし、聖女が居られるのがただの一軒家では…。例えば聖女をこの館に数日招待して警護をするとして、その間に消せるか?」
「現時点では何とも…」
テイラー伯爵の提案と質問であったが、ローワンには2つの難題があった。
まず1つ目は、誘拐専門に近いとはいえ、"闇組織"に対する、殲滅の期間の見通しが現時点では立たなかったこと。
そしてもう1つは、"化け物"にそちらは危険ですので、伯爵邸に来てくださいと言わねばならないことであった。だが、ちゃんと警護の陣が敷かれた場所ならば、当の本人が出張ることは無いだろう。
「やはりそうか…勝手なことを言ったな。不便をかける事になるが、聖女とご家族に来て頂いて、滞在中にお守りしながら、少しずつ"青の歌劇"に対処していくか」
伯爵の提案は尤もな事であり、それに対する言葉をローワンは持たなかったため、お招きの使者を朝一番に送ることになった。
裏の警護の責任者として、毎日会う可能性を考えると、それだけで憂鬱になりながら。
◆ ◆ ◆
■ ■ ■
「私を誘拐…ですか」
「うん」
どうしよう。ひょっとして旦那様の迷惑に…。
「あ、今迷惑になってるとか考えたでしょ」
「きゃっ」
あ!?抱っこ!??
「で、でもだんなさま」
「うーん。癒される」
おなかにおかをが
「ほら、リリアーナがいなきゃダメみたいでしょ?」
「でもぉ…」
おむねにも
「ええい、最終手段」
ああ…
「だんなさまぁ…もっときすぅ」
「勝った」
すきすきすき
「じゃあ今夜はずっと引っ付いていよう。それならリリアーナも不安にならないでしょ?」
「あぃ」
やったぁ
「ルーもです!」
「あなた!?」
「じゃあみんな一緒だ」
えへへ しあわせぇ
夜も深け、一般の家庭ではそそろ夕食も終わった頃の時間帯であった。
そんな夜に、とある一軒屋の前で男が覚悟を決めていた。
体格がよく、筋骨隆々で首が太く、服の下には幾つもの傷跡のある、まさに戦う男と言った風貌であったが、その顔は緊張に強張り、額には汗をかいていた。
王宮から"青の歌劇"殲滅のため派遣された者たちの長であり、その中で、唯一この一軒家の主の事を知っている者でもあった。
彼にとって、本来であれば、絶対にこの場には来たくなかったが、懐には宰相がしたためた手紙があり、逃げ出すわけにもいかなかった。
意を決して扉を叩こうとしたその時であった。
「夜分遅くにご苦労様です」
全く気配を感じる事がない方向から声を掛けられ、長は悲鳴を上げそうになる。
街灯で辺りはそこそこ明るいはずなのに、長の視界からはまるで闇から湧き出ように黒髪黒目の男が佇んでいた。もはや彼にとってここは、暗黒の真っただ中だった。
この男の意識が自分1人に向けられている事実に、歯が震えそうになるのを必死に我慢しながら言葉を発する。
「お、王宮から派遣されたローワンと申します。宰相閣下より手紙を預かっております。こちらになります」
「宰相閣下から?」
幾分不思議そうな男の声を聞きながら、詳しいことは手紙に書いてあるから、自分を見ないでほしいと願っていた。
「ふーむ。ちと面倒ですな」
「はっ」
全く本心からの同意だった。面倒すぎて、下手人を必ずこの手で殺してやると誓うほどには。
「まあ、来たら来たでこちらで始末しますが…」
「宰相閣下からはお手を煩わす前に始末しろと」
心当たりがあるのか苦笑する男であったが、彼が仕出かした事を考えると、宰相の言う通りだと思うローワンであった。
「分かりました。では直接仕掛でもしてこない限り、そちらにお任せします」
「ありがとうございます」
最も懸念していた案件が片付き安堵していたが。
「それで申しわけありませんが、彼女を嗅ぎまわっていた者を5人捕まえましてね。大した情報を持っていなかったのですが、引き取って貰えませんかね?」
「は?」
その言葉と共に、どこからともなく縄で縛られた男5人が現れ、地面に落ちる。
全く意識が無い様で、呻き声も上げない。
「か、畏まりました」
既に"怪物"が起き上がっていることに、ローワンは恐怖した。
◆ ◆ ◆
テイラー伯爵邸
その後、部下を連れて捕まっている者たちを回収したローワンは、テイラー伯爵の前にいた。
「何たることだ、聖女リリアーナを誘拐しようとは、まさに神をも恐れぬ所業だ。ともすれば、直接神々による"天罰"すらあり得るというのに」
「はっ。仰る通りです」
ローワンが持ってきた、宰相からの手紙を読みテイラー伯爵は嘆息する。
元聖女が、自分の治める街に居を構えてくれるなど、とてつもない名誉なことだと思っているため、彼女の誘拐など許せるはずがない。
「単刀直入に聞くが、どれほど人員と支援を期待できる?」
「はっ。事は聖女誘拐です。出来る限りの人員を連れてきております。宮殿からの支援も最大限かと」
「そうか、安心した。礼を言う」
事情を知らない伯爵を、心底羨ましいと思いながらローワンは伯爵と打ち合わせをしていた。
「街の警備は増やして厳重に出来る。しかし、聖女が居られるのがただの一軒家では…。例えば聖女をこの館に数日招待して警護をするとして、その間に消せるか?」
「現時点では何とも…」
テイラー伯爵の提案と質問であったが、ローワンには2つの難題があった。
まず1つ目は、誘拐専門に近いとはいえ、"闇組織"に対する、殲滅の期間の見通しが現時点では立たなかったこと。
そしてもう1つは、"化け物"にそちらは危険ですので、伯爵邸に来てくださいと言わねばならないことであった。だが、ちゃんと警護の陣が敷かれた場所ならば、当の本人が出張ることは無いだろう。
「やはりそうか…勝手なことを言ったな。不便をかける事になるが、聖女とご家族に来て頂いて、滞在中にお守りしながら、少しずつ"青の歌劇"に対処していくか」
伯爵の提案は尤もな事であり、それに対する言葉をローワンは持たなかったため、お招きの使者を朝一番に送ることになった。
裏の警護の責任者として、毎日会う可能性を考えると、それだけで憂鬱になりながら。
◆ ◆ ◆
■ ■ ■
「私を誘拐…ですか」
「うん」
どうしよう。ひょっとして旦那様の迷惑に…。
「あ、今迷惑になってるとか考えたでしょ」
「きゃっ」
あ!?抱っこ!??
「で、でもだんなさま」
「うーん。癒される」
おなかにおかをが
「ほら、リリアーナがいなきゃダメみたいでしょ?」
「でもぉ…」
おむねにも
「ええい、最終手段」
ああ…
「だんなさまぁ…もっときすぅ」
「勝った」
すきすきすき
「じゃあ今夜はずっと引っ付いていよう。それならリリアーナも不安にならないでしょ?」
「あぃ」
やったぁ
「ルーもです!」
「あなた!?」
「じゃあみんな一緒だ」
えへへ しあわせぇ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる