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吸血鬼編
闇の獣
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夜の国 バセスク城 式場
バセスク城の結婚式場は、野戦病院もかくやといった様相であった。
城内にいて難を逃れた使用人や、たまたま毒が入っていないワインを飲んだ吸血鬼達が、身内を助けるために奔走していたのだ。
「イオネスクは捕縛しておけ!」 「ユーゴ様!次の者達がやってきました!お願い申し上げます!」
「アウレル様はここにおられた!誰か手を貸してくれ!」 「おお!エウゲン様が目を覚まされた!」
「ああ、貴方!夫をどうか!」 「息子よ!イオネスクの首を落としたのをしかと見ていたぞ!」
「お任せあれ」
(これも飛ばせたらなあ。しかし、流石は吸血鬼。体の修復が早い)
そんななか、唯一の医者としてユーゴは孤軍奮闘していた。最も、一見すれば瀕死の患者を殴っているだけの様であったが。
周りの者達も最初は訳が分からなかったが、ユーゴが銀で苦しむ吸血鬼を殴ると、なんと体から銀と思わしき物だけが床に散らばり、その者の体の修復がすぐさま始まったのを見るや、次々と苦しむ者達が送られてくるようになったのだ。
「おお!アウレル様の体から銀が!ユーゴ様!主に代わってお礼申し上げます!」 「ああ、貴方!よかった!」 「父上…この無念は必ずや…」 「大人しくしない奴は首を刎ねてよい!」 「水をくれ…ワインは暫く飲まん」 「兄の恩人なのだがあの御方はどなただ?」
惨劇にもかかわらず、意外にも死者は少なかった。これはユーゴが来て早々周りを制圧したのと、元々吸血鬼の体が多種と比べて圧倒的に頑強であり、止めを刺すだけの時間がなかったことに起因していた。
「ふむ。一旦落ち着いたようですが、暫くはここにいますのでご安心ください」
「感謝いたします!辺りをくまなく探しておりますので、今しばらくご協力下さい!」
「ええ」
(見た限りはいない様だが一応だ)
「恩人殿。わしとアレクシアのみならず、皆も助けていただき、本当に感謝しております」
「…ありがとうございました」
「いえいえ。自己紹介が遅れました。私ユーゴと申します」
(あの厳つい爺様からこんな可愛い孫娘とはねえ。神秘だ)
「ユーゴ殿…。わし、失礼。私の名前はセラ・ナスターセ。アンドレイ・ナスターセの孫にあたります。そしてこちらが私の侍女のアレクシアです」
「アレクシアと申します。…名前が長いのでどうかアリーとお呼びください」
(なぬ!?アレクシア!?顔もなんだか普段と違うぞ!?)
恩人の手がようやく空いたらしいので、主従揃って自己紹介をするが、アレクシアが今までセラでも聞いたことがない愛称で呼ぶよう願ったことと、普段の鉄面皮が嘘の様な、目尻が下がった顔をしていたこともあって、実はまだ正気ではないのかと疑ってしまうセラであった。
「それではセラさんとアリーさんと」
「う、うむ!」
「はい。よろしくお願いします」
◆
その後、他に銀で苦しんでいる者もいなかったため、主要な人物を会議室に集め話し合いという事になった。
「ユーゴ殿。話は家臣から聞きました。我らバセスクの者、全てを代表してお礼を申します」
「…同じく、ナスターセもお礼申し上げる」
最初の話題は、エウゲンとアウレルが代表してユーゴに感謝を述べる事だった。2人とも気を失ってはいたが、家臣や娘から話を聞いている。
しかし、2人とも吸血鬼のわりに、今の顔は赤く染まっている。どう見てもイオネスクに対して怒り心頭の様子だった。
「いえ、大したことでは。アンドレイ翁との友誼の元参じただけです」
「父の?」
「おお。アンドレイ殿のお知り合いでしたか。道理で」
セラとアレクシアは、この腕輪を出した時のアンドレイの反応を見ているため、友誼なのかと少し疑問を持ったが、彼女達がユーゴを見るに、アンドレイがあそこまで怯えていたのは変に思えたため、どんな関係かよく分からなかった。
「これから皆様はどうするのです?」
「当然、イオネスクに今回の落とし前を払ってもらいますとも」
「…我が家も一旦帰り、準備が整えばすぐに」
「ああ、それならナスターセの皆様と一緒に付いて行ってよろしいでしょうか?アンドレイ翁に一度挨拶をしようかと」
「…それは」
「おお!助けて頂いたお礼をしたいと思っていたのです!私の馬車が空いていますので、是非ご一緒下され、!来ていただければお爺様も喜ぶでしょう!」
「我が家も落ち着いたら必ずお礼に行かさせてもらいますぞ」
「…どうぞ」
セラとエウゲンが続けて発言し、アウレルが最初に何かを言おうとしたのを妨げた。
「エウゲン殿。あの愚か者は何か吐きましたか?」
「それがですな。我が家のとっておきを使ってやったのですが、やはりというか、イオネスクが頂点に立つとかそういう類ですな。気を付けなければならないのは、どうもセラ殿を血を使って、始祖の力を悪用しようとしているようですな」
「わ、私のですか!?」
話題を変えるようにエウレルがエウゲンに質問すると、思わぬ所で名前が出てきたため、セラは困惑する。
「左様。どうやら始祖直系の乙女の血が必要で、そこから始祖の力を引き出すとかなんとか」
古来より、吸血鬼にとって乙女の血は切っても切り離せぬが、堂々と言われたセラは顔を赤くする。
「身辺に気を付けたほうがよかろう。そこの侍女、姉代わりの様なものと聞いている。誘拐でもされて交渉の材料にでも使われんようにな」
「何かの縁です。彼女達に何かあれば私がお助けしましょう」
「お、おお!よろしくお願いしますぞ!」
「…感謝致します」
あれだけの強さを誇った男が自分達を守ってくれることに安堵したのか、2人共頬を染めるほど嬉しそうであった。
◆
「それでは、これにて失礼します」
「ええ。次は戦地にて」
「セラよ。恩人殿はお前に任す」
「はい!」
イオネスク家に対する共同戦線の約束を交わし、ナスターセ家の一行は準備のため、早々に帰り支度を始める。
「ユーゴ殿。この馬車がそうです」
「おお。なんとまあ立派な」
「ささ、お入り下され」
「あ、少しお待ちを。急なことだったので、家内達に連絡を取らせて欲しいのです」
「奥様が…」
「家内の…方達ですか…。当然ですな…どうぞお取り下され。つかぬことを…お尋ねしますが、奥方は何人か?」
「ええ。3人います。皆自分にはもったいない人ばかりです」
「おお!それはそれは!」
(これほどの男なのじゃ。妻の4人や5人いて当たり前か!)
ユーゴに妻がいることを知ったセラとアレクシアは、何故か心に鋭い痛みが走ったが、複数いる事を知ると、途端に忘れてしまった。
「それでは少しお待ちを。すぐに戻りますので」
「はい。おお、転移か。……してアレクシア、アリーとは?」
「…幼少の時そう呼ばれていました」
「そうか…」
(一体いつのは話じゃ…)
「はい…」
そう言うや姿を消したユーゴを見送り、セラはずっと気になっていたことを訪ねたが、自分が物心付いたときから変わらぬシルキーの女性に何とも言えず、ユーゴが帰って来るまで、少し気まずい時間が流れた。
◆
「なるほど!奥方は御3人ともユーゴ殿が助けられたのがきっかけなのですな!」
「ええ。いやあ照れますな」
やっぱり結婚の話に興味津々なのか、馬車に乗ってから出会いとか生活とかよく聞かれる。
セラちゃん結婚式台無しになっちゃったもんな…まあ、あんな男が新郎なのがそもそも間違いなのだ。むしろ良かったのではなかろうか。アリーさんなんか強姦される寸前だったし。
よろしい!そうとなれば、結婚生活のいい所をお話ししましょう!嫌な物じゃないと分かってもらわねば!
その場で結婚したから皆と式は挙げてないな…帰ったら大急ぎでだ…でも俺、親族ご友人いないんだよな…。しかも多分3人とも…。
「いいものですよ、夫婦も。皆でご飯を食べたり」
「皆で」
そういやお貴族様の飯って誰と食べてるんだ?
「ソファで引っ付いてお話したり」
「くっついて」
実は未だに照れながらだ。
「一緒に買い物に出かけたり」
「一緒に…買い物」
だからルーはあんたらより年上なんだって!俺をそんな目で見るのは止めてくれ!!
「家族として、皆で幸せに暮らしていくんです」
「家族として、みんなでしあわせに」
そうとも、誰だってその権利はある。だから邪魔するんじゃあないよ。
◆
「ちょっと失礼しますね」
「え?」
「ユーゴ様?」
え!?ここは一体!?闇の中!?馬車は!?
「ぬあ!?」
「きゃっ!?おひい様!?」
おひい様が私の上に、一体どうなって!?ああ!?また私腕の中に!?熱い!!男ってこんなに熱いの!?
「んん?何処じゃろかい?」
「ユーゴ殿ここは一体?」
「さて…」
だ、ダメ!力強過ぎる!!?そんなに押さえつけられると私!?
【寄越せ…寄越すのだ!!!ちを「五月蠅い」
動かれると!?あうう!??
「ふむ。戻ってこれましたな」
「そ、その様じゃ…」
……申し訳ありません…おひい様…私どうしたら…。
種族辞典
シルキー:祖先は古い屋敷に宿った精霊が肉体を持ったもの。
発生からか、自分の住んでいる屋敷、または主人に愛着を持ている者が多く、侍女として活動している者が殆どである。シルキーが1人屋敷にいるだけで、大抵の屋敷は管理されることでも有名であり、経験の積んだシルキーは王侯貴族にとって必須の存在である。
精霊を祖とするだけあって侮れる存在でなく、強盗程度では返り討ちにあうのが関の山である。
ーあなた、そろそろシルキーが居ないと格好がつかないわよ?-とある貴族の奥方
バセスク城の結婚式場は、野戦病院もかくやといった様相であった。
城内にいて難を逃れた使用人や、たまたま毒が入っていないワインを飲んだ吸血鬼達が、身内を助けるために奔走していたのだ。
「イオネスクは捕縛しておけ!」 「ユーゴ様!次の者達がやってきました!お願い申し上げます!」
「アウレル様はここにおられた!誰か手を貸してくれ!」 「おお!エウゲン様が目を覚まされた!」
「ああ、貴方!夫をどうか!」 「息子よ!イオネスクの首を落としたのをしかと見ていたぞ!」
「お任せあれ」
(これも飛ばせたらなあ。しかし、流石は吸血鬼。体の修復が早い)
そんななか、唯一の医者としてユーゴは孤軍奮闘していた。最も、一見すれば瀕死の患者を殴っているだけの様であったが。
周りの者達も最初は訳が分からなかったが、ユーゴが銀で苦しむ吸血鬼を殴ると、なんと体から銀と思わしき物だけが床に散らばり、その者の体の修復がすぐさま始まったのを見るや、次々と苦しむ者達が送られてくるようになったのだ。
「おお!アウレル様の体から銀が!ユーゴ様!主に代わってお礼申し上げます!」 「ああ、貴方!よかった!」 「父上…この無念は必ずや…」 「大人しくしない奴は首を刎ねてよい!」 「水をくれ…ワインは暫く飲まん」 「兄の恩人なのだがあの御方はどなただ?」
惨劇にもかかわらず、意外にも死者は少なかった。これはユーゴが来て早々周りを制圧したのと、元々吸血鬼の体が多種と比べて圧倒的に頑強であり、止めを刺すだけの時間がなかったことに起因していた。
「ふむ。一旦落ち着いたようですが、暫くはここにいますのでご安心ください」
「感謝いたします!辺りをくまなく探しておりますので、今しばらくご協力下さい!」
「ええ」
(見た限りはいない様だが一応だ)
「恩人殿。わしとアレクシアのみならず、皆も助けていただき、本当に感謝しております」
「…ありがとうございました」
「いえいえ。自己紹介が遅れました。私ユーゴと申します」
(あの厳つい爺様からこんな可愛い孫娘とはねえ。神秘だ)
「ユーゴ殿…。わし、失礼。私の名前はセラ・ナスターセ。アンドレイ・ナスターセの孫にあたります。そしてこちらが私の侍女のアレクシアです」
「アレクシアと申します。…名前が長いのでどうかアリーとお呼びください」
(なぬ!?アレクシア!?顔もなんだか普段と違うぞ!?)
恩人の手がようやく空いたらしいので、主従揃って自己紹介をするが、アレクシアが今までセラでも聞いたことがない愛称で呼ぶよう願ったことと、普段の鉄面皮が嘘の様な、目尻が下がった顔をしていたこともあって、実はまだ正気ではないのかと疑ってしまうセラであった。
「それではセラさんとアリーさんと」
「う、うむ!」
「はい。よろしくお願いします」
◆
その後、他に銀で苦しんでいる者もいなかったため、主要な人物を会議室に集め話し合いという事になった。
「ユーゴ殿。話は家臣から聞きました。我らバセスクの者、全てを代表してお礼を申します」
「…同じく、ナスターセもお礼申し上げる」
最初の話題は、エウゲンとアウレルが代表してユーゴに感謝を述べる事だった。2人とも気を失ってはいたが、家臣や娘から話を聞いている。
しかし、2人とも吸血鬼のわりに、今の顔は赤く染まっている。どう見てもイオネスクに対して怒り心頭の様子だった。
「いえ、大したことでは。アンドレイ翁との友誼の元参じただけです」
「父の?」
「おお。アンドレイ殿のお知り合いでしたか。道理で」
セラとアレクシアは、この腕輪を出した時のアンドレイの反応を見ているため、友誼なのかと少し疑問を持ったが、彼女達がユーゴを見るに、アンドレイがあそこまで怯えていたのは変に思えたため、どんな関係かよく分からなかった。
「これから皆様はどうするのです?」
「当然、イオネスクに今回の落とし前を払ってもらいますとも」
「…我が家も一旦帰り、準備が整えばすぐに」
「ああ、それならナスターセの皆様と一緒に付いて行ってよろしいでしょうか?アンドレイ翁に一度挨拶をしようかと」
「…それは」
「おお!助けて頂いたお礼をしたいと思っていたのです!私の馬車が空いていますので、是非ご一緒下され、!来ていただければお爺様も喜ぶでしょう!」
「我が家も落ち着いたら必ずお礼に行かさせてもらいますぞ」
「…どうぞ」
セラとエウゲンが続けて発言し、アウレルが最初に何かを言おうとしたのを妨げた。
「エウゲン殿。あの愚か者は何か吐きましたか?」
「それがですな。我が家のとっておきを使ってやったのですが、やはりというか、イオネスクが頂点に立つとかそういう類ですな。気を付けなければならないのは、どうもセラ殿を血を使って、始祖の力を悪用しようとしているようですな」
「わ、私のですか!?」
話題を変えるようにエウレルがエウゲンに質問すると、思わぬ所で名前が出てきたため、セラは困惑する。
「左様。どうやら始祖直系の乙女の血が必要で、そこから始祖の力を引き出すとかなんとか」
古来より、吸血鬼にとって乙女の血は切っても切り離せぬが、堂々と言われたセラは顔を赤くする。
「身辺に気を付けたほうがよかろう。そこの侍女、姉代わりの様なものと聞いている。誘拐でもされて交渉の材料にでも使われんようにな」
「何かの縁です。彼女達に何かあれば私がお助けしましょう」
「お、おお!よろしくお願いしますぞ!」
「…感謝致します」
あれだけの強さを誇った男が自分達を守ってくれることに安堵したのか、2人共頬を染めるほど嬉しそうであった。
◆
「それでは、これにて失礼します」
「ええ。次は戦地にて」
「セラよ。恩人殿はお前に任す」
「はい!」
イオネスク家に対する共同戦線の約束を交わし、ナスターセ家の一行は準備のため、早々に帰り支度を始める。
「ユーゴ殿。この馬車がそうです」
「おお。なんとまあ立派な」
「ささ、お入り下され」
「あ、少しお待ちを。急なことだったので、家内達に連絡を取らせて欲しいのです」
「奥様が…」
「家内の…方達ですか…。当然ですな…どうぞお取り下され。つかぬことを…お尋ねしますが、奥方は何人か?」
「ええ。3人います。皆自分にはもったいない人ばかりです」
「おお!それはそれは!」
(これほどの男なのじゃ。妻の4人や5人いて当たり前か!)
ユーゴに妻がいることを知ったセラとアレクシアは、何故か心に鋭い痛みが走ったが、複数いる事を知ると、途端に忘れてしまった。
「それでは少しお待ちを。すぐに戻りますので」
「はい。おお、転移か。……してアレクシア、アリーとは?」
「…幼少の時そう呼ばれていました」
「そうか…」
(一体いつのは話じゃ…)
「はい…」
そう言うや姿を消したユーゴを見送り、セラはずっと気になっていたことを訪ねたが、自分が物心付いたときから変わらぬシルキーの女性に何とも言えず、ユーゴが帰って来るまで、少し気まずい時間が流れた。
◆
「なるほど!奥方は御3人ともユーゴ殿が助けられたのがきっかけなのですな!」
「ええ。いやあ照れますな」
やっぱり結婚の話に興味津々なのか、馬車に乗ってから出会いとか生活とかよく聞かれる。
セラちゃん結婚式台無しになっちゃったもんな…まあ、あんな男が新郎なのがそもそも間違いなのだ。むしろ良かったのではなかろうか。アリーさんなんか強姦される寸前だったし。
よろしい!そうとなれば、結婚生活のいい所をお話ししましょう!嫌な物じゃないと分かってもらわねば!
その場で結婚したから皆と式は挙げてないな…帰ったら大急ぎでだ…でも俺、親族ご友人いないんだよな…。しかも多分3人とも…。
「いいものですよ、夫婦も。皆でご飯を食べたり」
「皆で」
そういやお貴族様の飯って誰と食べてるんだ?
「ソファで引っ付いてお話したり」
「くっついて」
実は未だに照れながらだ。
「一緒に買い物に出かけたり」
「一緒に…買い物」
だからルーはあんたらより年上なんだって!俺をそんな目で見るのは止めてくれ!!
「家族として、皆で幸せに暮らしていくんです」
「家族として、みんなでしあわせに」
そうとも、誰だってその権利はある。だから邪魔するんじゃあないよ。
◆
「ちょっと失礼しますね」
「え?」
「ユーゴ様?」
え!?ここは一体!?闇の中!?馬車は!?
「ぬあ!?」
「きゃっ!?おひい様!?」
おひい様が私の上に、一体どうなって!?ああ!?また私腕の中に!?熱い!!男ってこんなに熱いの!?
「んん?何処じゃろかい?」
「ユーゴ殿ここは一体?」
「さて…」
だ、ダメ!力強過ぎる!!?そんなに押さえつけられると私!?
【寄越せ…寄越すのだ!!!ちを「五月蠅い」
動かれると!?あうう!??
「ふむ。戻ってこれましたな」
「そ、その様じゃ…」
……申し訳ありません…おひい様…私どうしたら…。
種族辞典
シルキー:祖先は古い屋敷に宿った精霊が肉体を持ったもの。
発生からか、自分の住んでいる屋敷、または主人に愛着を持ている者が多く、侍女として活動している者が殆どである。シルキーが1人屋敷にいるだけで、大抵の屋敷は管理されることでも有名であり、経験の積んだシルキーは王侯貴族にとって必須の存在である。
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