その男に触れるべからず ~過去にやらかし過ぎた最強男の結婚生活 反省しているので化け物呼ばわりは勘弁してください~

福郎

文字の大きさ
146 / 172
日常編

子供達と遊ぼう!

しおりを挟む
ユーゴ邸 sideユーゴ

やあ少尉。

カッ!

うむ。この一月大変ご苦労だった。グレン君たちがいたから、仕事の量も多かっただろう。その勤務を称えて、君を今日から中尉に任命する。はいリボンに星のシールをぺたりと。
うむ。似合っているぞ。

カッ!

本題なんだが聞いてくれ…。
昨日は本当に参った…。コレットとクリスが、中々泣き止まなかったんだ。お兄ちゃんとお姉ちゃんはって…。ソフィアちゃんも悲しそうだったし…。

実はソフィアちゃんが港の国に帰るときは、絶対子供達も泣くから、月に一回くらいの頻度で婆さんを連れて、向こうに様子見がてら、遊びに行こうかと考えてたんだけど、グレン君とジェナちゃんは王族だからなあ…。

気軽に会える立場じゃないし、周りも困るだろう。俺だって、国王様とウチの子供を遊ばせてくださいって言われたら困るしな…。
何か催しものがあって、招待でもされない限りなかなか難しいよなあ。こればっかりは我慢してもらうしかないか…。

出会いがあれば別れもある。それも人生だろう。乗り越えなければ。

だから子供達と全力で遊ぶのだ!協力してくれ中尉!

カッ!



「えっへえっへ!」

「えへへ!」

「わあすっごーい!」

流石中尉だ。
屋敷の一番大きいカーペットに憑りついた中尉が、俺と子供達を乗せて、庭でふよふよと浮いており、子供達は柔らかい感触にゴロゴロと転がりながら、空中での散歩に笑い転げていた。

「ほらクリス。空中飛行だ」

「えへへへ!」

「パパ!コーも!コーも!」

「わたしも!」

「よーし順番だ」

その転がっているクリスを腕で持ち上げると、体と地面が水平になるよう横にして、空中で飛行しているような体勢にする。
すると、それに興奮しているクリスが羨ましくなったようで、コレットとソフィアちゃんも次は私と言って来たので、順番に疑似的な空中飛行を楽しんでもらった。

「あらあらうふふ。クリスはお空を飛んでるの?」

「ママ!」

「それクリス。ママのとこまで飛んでくんだ」

「えへへへ!」

コレットとソフィアちゃんにもやって、またクリスの番になった時、リリアーナが様子を見に来たので、そのまま中尉に向かって貰うと、クリスは手足をパタパタさせて、加速しているような動作をする。

「まあクリス。飛ぶのが上手ね」

「えへへ!」

そのままリリアーナにクリスを渡すと、クリスは笑顔のまましっかりと母に抱き着きついた。

「ママも!」

「あらあら。それじゃあお邪魔しましょうか」

するとクリスは、ママもカーペットに乗ってとお願いし、リリアーナも一緒に庭巡りに参加する事となった。

あ、そうだ。中尉、一部だけ柔らかくできる?飛んでも大丈夫?よし、じゃあ頼む!

「それ、トランポリンだ」

「わ、わ、わ!?」

「えっへえっへ!」

中央だけ柔らかくなった部分に、優しくコレットとソフィアちゃんを投げると、まるでトランポリンの様に中尉が動いてくれて、子供達は驚きながらもぴょんぴょんと跳ねまわる。

「クーも!」

「うふふ」

2人が羨ましくなったのだろう、リリアーナに甘えて抱きついていたクリスも、母から離れて一緒にジャンプしだす。

「皆上手ね。ほら、私の所へ来て」

「リーママ!」

「うふふ、最初はコレットちゃんね。それ!」

「えっへえっへ!」

「わたしも!」

「うふふ、それ!」

「あはは!」

「ママ!クーも!クーも!」

「行くわねクリス。それ!」

「えへへ!」

トランポリンの反動で、リリアーナにジャンプして抱きついたコレットを、彼女はそのまま抱きしめると、柔らかくコレットを放って、次にやって来たソフィアちゃんも同じようにする。

口が裂けても言えないが、種族的に恐らく大陸の頂点に位置する、ハイエルフの生まれのリリアーナは、その位階の高さも相まって、細腕なのにそこらの高位冒険者よりも筋力が高い。

「わん!」
(ボクも!)

「にゃー」
(私も)

どうやら笑い声を聞きつけたポチとタマが、屋敷の裏手から走ってやって来る。

「ぽち!」

「たま!」

おお!今ハッキリとポチとタマの事を呼んだぞ!

(今クリス、ボクの事はっきり言った!)

(コレットも)

「きゃあ!」

「えっへ!」

ポチとタマも嬉しかったのだろう。
それぞれクリスとコレットの事を舐め回し、悲鳴なのか笑い声なのか分からない声を出させている。

「タマもぴょんぴょん!」

「ポチも!」

(うん!)

(了解)

「わあ。タマちゃんポチちゃんすごい!」

犬と猫がモデルだけあってか、タマとポチはソフィアちゃんよりも高く飛び上がり、子供達を笑わせている。

「よかったですね旦那様。皆あんな笑顔に」

「うん。そうだね」

ポチとタマがやって来たことにより、絨毯が狭くなってしまったので、静かに地面に降りてリリアーナと共に、後ろで子供達が落ちない様に見守りながら歩いていると、彼女がそう話しかけて来る。
リリアーナも子供達が泣いていた事を気にしていたので、今の笑いながら飛び回っている姿を見て安心したのだろう。笑顔で見つめていた。

「でもそろそろ、お水を飲まないといけませんね。ついでにおやつにしましょう」

「だね。あれだけ汗もかいてるし」

はしゃぎすぎて、子供達が水分不足になるといけない。

準備をしに行くリリアーナを見送って、また子供達を見守る。
そうとも、子供は笑顔が一番だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

辺境の最強魔導師   ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~

日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。 アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。 その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。

処理中です...