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23話
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「お、スズも忙しそうだな」
櫓の上から望遠スキルを使って山の様子を監視していると、ダイナ先輩の従魔であるスズが飛んでいくのが見えた。
望遠スキルは遠くの物が大きく見えるスキルで、習熟度によって見える倍率は違う。俺だと7倍くらいが限度だな。ちなみに熟達した斥候なら10倍以上だと言われている。
スズはしばらく飛ぶと、不意に姿を消した。おそらく隠密系のスキルを使ったんだろう。今からスズが第一の監視網になるんだ。
「なぁ、トール。早速これ食べようぜ。腹がペコペコだ」
スズが消えてしばらく経つと、ガルドがサヤが持たせてくれたバスケットを指して、空腹を訴えてきた。緊張感が続かない奴だな。
ただ、これから長丁場になる可能性が高い。ここらで腹ごしらえしておくのも良いかもしれない。ピコもバスケットの中が気になるようだしな。
「よし、少し食べておこうか」
「そうこなくっちゃな」
サンドウィッチをもくもくと食べながら、装備の確認をする。
俺たちは今、鷹獅子と戦闘する事も念頭において、完全装備をしている。と言っても、全身金属鎧を身に纏っているわけじゃない。
魔物の革を加工して作った鎧に、急所を金属で補強している。そして、ダンジョンでドロップした、物理的な防御力を上げるための護符も身に付ける。確かこれはアイアンゴーレムからドロップしたものだ。
今朝、チョイヤ山に行った時は身軽さと保温性重視だったので、ここまでの装備はしなかった。相手が鷹獅子と分かった以上、それなりの備えはしておかなければな。
そして、傍には弓も置いてある。ガルド用の物は普通の十倍は強い剛弓だ。矢も鍛冶屋に特注で作ってもらった鋼鉄製。当たればかなりのダメージを負わせられるだろう。まぁ、当たればだが。
俺のは取り回しの良い半弓だ。威力は低いが、射つ時に魔法を付与すれば嫌がらせくらいにはなるだろう。
「なぁ、トール。本当に鷹獅子は来ると思うか?」
唐突にガルドがそう聞いてきた。
「実際に見てないからだろうが、何故かそんな気がしないんだ」
「ほう」
ガルドは危機察知能力が高い。そのお陰で何度か助かった場面もある。まぁ、同じくらい危険な目にもあったけどな。なんにしろ、あまり当てには出来ないって事だ。
「まあ、今回は万が一の為だからな。最悪の場合に備えているだけだ」
「そりゃまあそうなんだが」
最悪の場合、鷹獅子クラスの魔物を複数伴った、より強い魔物が襲ってくる事だ。そんな事になったらこんな小さな開拓村はあっという間に壊滅してしまうがな。
サヤの差し入れを食べ終わり、装備のチェックを済ませると、櫓を上ってくる音がした。
まだ交代には早いなと思うと、現れたのはミアだった。
「お兄ちゃん。ここにいたんだ」
「ミアか。集会所で待機しているはずじゃなかったのか?」
ミアは大魔道師のギフトこそ持っているが、まだ経験も浅く魔力量も多くはない。鷹獅子と戦うには力不足という理由で、今回は集会所で待機するという形になったはずだ。
「えへへ、抜けてきちゃ「ダメだ。戻れ」
皆まで言わせず、俺はミアを櫓から突き落とした。もちろん、浮遊の魔法をかけたので、怪我はしないはずだ。
「集会所で役割を振られたはずだ。ちゃんとそれを果たせ」
ゆっくりと落ちながら、文句を言うミアにそう告げる。
普段のチョイヤ山みたいなE級の魔境なら守りながら魔引きを行う事も出来るが、今回はそうではない。
戦力的に考えれば、もし本当に鷹獅子が現れたら、例え一体であってもこの村にとって総力戦になる。それは野犬戦よりも厳しい戦いになるだろう。
そういう時に鍵になるのがバックアップの有無だ。その辺りを落ちていくミアに語っておいた。
無事、地面に着いたミアは、再度上るのは諦めたようで、そのまま集会所に向かうのだった。
櫓の上から望遠スキルを使って山の様子を監視していると、ダイナ先輩の従魔であるスズが飛んでいくのが見えた。
望遠スキルは遠くの物が大きく見えるスキルで、習熟度によって見える倍率は違う。俺だと7倍くらいが限度だな。ちなみに熟達した斥候なら10倍以上だと言われている。
スズはしばらく飛ぶと、不意に姿を消した。おそらく隠密系のスキルを使ったんだろう。今からスズが第一の監視網になるんだ。
「なぁ、トール。早速これ食べようぜ。腹がペコペコだ」
スズが消えてしばらく経つと、ガルドがサヤが持たせてくれたバスケットを指して、空腹を訴えてきた。緊張感が続かない奴だな。
ただ、これから長丁場になる可能性が高い。ここらで腹ごしらえしておくのも良いかもしれない。ピコもバスケットの中が気になるようだしな。
「よし、少し食べておこうか」
「そうこなくっちゃな」
サンドウィッチをもくもくと食べながら、装備の確認をする。
俺たちは今、鷹獅子と戦闘する事も念頭において、完全装備をしている。と言っても、全身金属鎧を身に纏っているわけじゃない。
魔物の革を加工して作った鎧に、急所を金属で補強している。そして、ダンジョンでドロップした、物理的な防御力を上げるための護符も身に付ける。確かこれはアイアンゴーレムからドロップしたものだ。
今朝、チョイヤ山に行った時は身軽さと保温性重視だったので、ここまでの装備はしなかった。相手が鷹獅子と分かった以上、それなりの備えはしておかなければな。
そして、傍には弓も置いてある。ガルド用の物は普通の十倍は強い剛弓だ。矢も鍛冶屋に特注で作ってもらった鋼鉄製。当たればかなりのダメージを負わせられるだろう。まぁ、当たればだが。
俺のは取り回しの良い半弓だ。威力は低いが、射つ時に魔法を付与すれば嫌がらせくらいにはなるだろう。
「なぁ、トール。本当に鷹獅子は来ると思うか?」
唐突にガルドがそう聞いてきた。
「実際に見てないからだろうが、何故かそんな気がしないんだ」
「ほう」
ガルドは危機察知能力が高い。そのお陰で何度か助かった場面もある。まぁ、同じくらい危険な目にもあったけどな。なんにしろ、あまり当てには出来ないって事だ。
「まあ、今回は万が一の為だからな。最悪の場合に備えているだけだ」
「そりゃまあそうなんだが」
最悪の場合、鷹獅子クラスの魔物を複数伴った、より強い魔物が襲ってくる事だ。そんな事になったらこんな小さな開拓村はあっという間に壊滅してしまうがな。
サヤの差し入れを食べ終わり、装備のチェックを済ませると、櫓を上ってくる音がした。
まだ交代には早いなと思うと、現れたのはミアだった。
「お兄ちゃん。ここにいたんだ」
「ミアか。集会所で待機しているはずじゃなかったのか?」
ミアは大魔道師のギフトこそ持っているが、まだ経験も浅く魔力量も多くはない。鷹獅子と戦うには力不足という理由で、今回は集会所で待機するという形になったはずだ。
「えへへ、抜けてきちゃ「ダメだ。戻れ」
皆まで言わせず、俺はミアを櫓から突き落とした。もちろん、浮遊の魔法をかけたので、怪我はしないはずだ。
「集会所で役割を振られたはずだ。ちゃんとそれを果たせ」
ゆっくりと落ちながら、文句を言うミアにそう告げる。
普段のチョイヤ山みたいなE級の魔境なら守りながら魔引きを行う事も出来るが、今回はそうではない。
戦力的に考えれば、もし本当に鷹獅子が現れたら、例え一体であってもこの村にとって総力戦になる。それは野犬戦よりも厳しい戦いになるだろう。
そういう時に鍵になるのがバックアップの有無だ。その辺りを落ちていくミアに語っておいた。
無事、地面に着いたミアは、再度上るのは諦めたようで、そのまま集会所に向かうのだった。
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