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22話
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「鷹獅子だって!?」
「ええ。何体いるのかは確認出来てないが、池に行く途中の川沿いで遭遇した」
リバサイ村に帰ると、すぐにダイナ先輩にチョイヤ山の様子を報告した。場所は集会所の会議室だ。
今度は自警団からゴルディも参加している。
「ダイナ、どうする?」
「鷹獅子はまずいな。なにより、行動範囲が広い。下手をするとここに急襲してくるかもしれん」
通常、ダンジョンや魔境に係わらず、魔物は自分のテリトリーから出ることは滅多にない。それは縄張り意識が強いからとも、魔素の薄い場所を嫌うからとも言われている。
しかし、物事には例外が付きものだ。あの鷹獅子がリバサイ村襲わないとは言いきれない。
「俺を見ても襲ってこなかったのも気になります。誰かの従魔ならまだしも、グリフォンを従える存在がいる可能性もある」
A級以上の冒険者でグリフォンを従魔にしている者がいるのは聞いたことがある。それならば、ヤーヴェ山脈の反対側から来ることも可能だろう。
また、魔物の中でも強い個体は、自分より弱い魔物を使役する事がある。例えば野犬を率いる凶犬がそうだ。ただ、その場合は鷹獅子よりも強い魔物が、チョイヤ山にいるという事だ。
「雛の為に食糧確保を優先したとも考えられるが、その場合でも番となるもう一体の成獣がいることになるな」
一体であれば、俺たちと自警団で力を合わせればなんとか討伐する事も可能だろう。だが、もう一体、最悪幼体も合わせた三体以上が襲ってくると勝てる可能性は極端に少なくなる。
「そうだな。ゴルディ、領都の冒険者ギルドに応援を要請してくれ。少なくともB級冒険者、出来ればA級が良い」
ダイナ先輩が応援の要請を決めた。そこで、俺は思い出したことがある。出発する前にギルドマスターに言われた件だ。
「先輩、今B級以上の冒険者は集まらないかも」
「どうしてだ?」
「ノストラ侯爵領のダンジョンでスタンピートの兆候が報告された。来月に大掛かりな魔引きをやる予定で、ギルドはB級を中心に召集をかけている。俺たちも呼ばれていて、ここの魔引きが終わり次第、向かう事になっていた」
「こんな時に………。ゴルディ、とりあえず、要請だけは出しておいてくれ」
「分かった。ハスティンを使いに出す。要望書を用意するから、後で判をくれ」
ハスティンは騎乗スキルに優れた自警団員だ。彼とその騎獣なら半日と掛からず領都に到着するだろう。
「トール。君達は魔引きを一旦中断して村の防備にあたってくれ」
「了解だ。櫓で監視しておこう」
「頼む」
バタバタと村中が動き出した。野犬の後処理が終わっていたのがせめてもの救いだな。
村人は再び集会所に集まり、厳戒態勢を敷いている。
これは鷹獅子が討伐されるか、何処かへ移動した事が確認されるまで続く。空を飛ぶ鷹獅子の存在はそれだけ脅威なんだ。
「坊っちゃん、これ後で食べて下さい」
櫓に監視に行く途中サヤに捕まり、バスケットを手渡された。中にはサンドウィッチとスープの入った水筒があった。
そう言えば、急いでいて今日は昼食もまだだったな。非常食はピコに持たせているが、これはありがたく受け取っておこう。
「ありがとう。サヤも避難しておいてくれ」
「かしこまりました」
集会所に向かうサヤを見送ってから、チョイヤ山方面の櫓に向かった。
「ええ。何体いるのかは確認出来てないが、池に行く途中の川沿いで遭遇した」
リバサイ村に帰ると、すぐにダイナ先輩にチョイヤ山の様子を報告した。場所は集会所の会議室だ。
今度は自警団からゴルディも参加している。
「ダイナ、どうする?」
「鷹獅子はまずいな。なにより、行動範囲が広い。下手をするとここに急襲してくるかもしれん」
通常、ダンジョンや魔境に係わらず、魔物は自分のテリトリーから出ることは滅多にない。それは縄張り意識が強いからとも、魔素の薄い場所を嫌うからとも言われている。
しかし、物事には例外が付きものだ。あの鷹獅子がリバサイ村襲わないとは言いきれない。
「俺を見ても襲ってこなかったのも気になります。誰かの従魔ならまだしも、グリフォンを従える存在がいる可能性もある」
A級以上の冒険者でグリフォンを従魔にしている者がいるのは聞いたことがある。それならば、ヤーヴェ山脈の反対側から来ることも可能だろう。
また、魔物の中でも強い個体は、自分より弱い魔物を使役する事がある。例えば野犬を率いる凶犬がそうだ。ただ、その場合は鷹獅子よりも強い魔物が、チョイヤ山にいるという事だ。
「雛の為に食糧確保を優先したとも考えられるが、その場合でも番となるもう一体の成獣がいることになるな」
一体であれば、俺たちと自警団で力を合わせればなんとか討伐する事も可能だろう。だが、もう一体、最悪幼体も合わせた三体以上が襲ってくると勝てる可能性は極端に少なくなる。
「そうだな。ゴルディ、領都の冒険者ギルドに応援を要請してくれ。少なくともB級冒険者、出来ればA級が良い」
ダイナ先輩が応援の要請を決めた。そこで、俺は思い出したことがある。出発する前にギルドマスターに言われた件だ。
「先輩、今B級以上の冒険者は集まらないかも」
「どうしてだ?」
「ノストラ侯爵領のダンジョンでスタンピートの兆候が報告された。来月に大掛かりな魔引きをやる予定で、ギルドはB級を中心に召集をかけている。俺たちも呼ばれていて、ここの魔引きが終わり次第、向かう事になっていた」
「こんな時に………。ゴルディ、とりあえず、要請だけは出しておいてくれ」
「分かった。ハスティンを使いに出す。要望書を用意するから、後で判をくれ」
ハスティンは騎乗スキルに優れた自警団員だ。彼とその騎獣なら半日と掛からず領都に到着するだろう。
「トール。君達は魔引きを一旦中断して村の防備にあたってくれ」
「了解だ。櫓で監視しておこう」
「頼む」
バタバタと村中が動き出した。野犬の後処理が終わっていたのがせめてもの救いだな。
村人は再び集会所に集まり、厳戒態勢を敷いている。
これは鷹獅子が討伐されるか、何処かへ移動した事が確認されるまで続く。空を飛ぶ鷹獅子の存在はそれだけ脅威なんだ。
「坊っちゃん、これ後で食べて下さい」
櫓に監視に行く途中サヤに捕まり、バスケットを手渡された。中にはサンドウィッチとスープの入った水筒があった。
そう言えば、急いでいて今日は昼食もまだだったな。非常食はピコに持たせているが、これはありがたく受け取っておこう。
「ありがとう。サヤも避難しておいてくれ」
「かしこまりました」
集会所に向かうサヤを見送ってから、チョイヤ山方面の櫓に向かった。
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