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第5章
受付嬢ルナの憂鬱な午後
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「ふぅ、なるほどね」
片付けが終わった机の上に、読めないからと言って三郎から渡された資料を一旦置いた。
その資料にはテイマーギルド支部長就任の条件と、これからのタイムスケジュールが大まかに書いてあった。
「要するに、上の連中は人工精霊を従魔と勘違いしていたって事ね」
支部長の就任条件は至ってシンプルだ。
冒険者レベルが五十以上で、ジョブの熟練度がB以上。この二点だけだ。この条件に合致した者が担当地域の協会支部と、テイマーギルド本部の承認を受けて就任出来るのだ。
テイマーギルドは慢性的な人手不足なので、条件に当てはまった者は漏れなく支部長に抜擢される。
「今回のレベルアップもボーグ支部長が裏から手を回したみたいね。道理でいくらAランクの魔獣を倒したとは言っても、普通ならあんなに経験値を与える訳がないもの」
ボーグがテイマーギルド支部の復活をあちこちから要請されているのは、ルナも知っていた。
だからこそ、三郎が初めて協会を訪れた時にあれだけ熱心にテイマーを薦めたのだ。
その後に個人レッスンで言葉を教えたりしたのは、せめてもの罪滅ぼしという思いもあった。
「でも、Aランクの魔獣を従えているテイマーが、まさかまだFランク相当だなんて、誰も思わないわよね。まぁ、テイマーギルドが機能してないから小まめにチェックしてなかったからなんだけど」
ジョブの習熟度チェックは、そのジョブのギルドで行われている。協会では最初の登録のみ委託されてはいるものの、その他に関しては最寄りのギルドに行かなければならない。
そして、近辺の街や村には活動しているテイマーギルドはないのだ。
「えーと、GからFへの昇格は従魔を使役して二十体の魔獣を討伐する事なのね。これはクリアしてるわね」
資料の習熟度に関する項目を、ふんふんと頷きながら目を通していく。
「で、FからEへの条件が従魔を四体にする事ね。なるほど、ここで躓いている訳なのね。確かにドラゴが従魔だったらここもクリアしてたわね」
ここにボーグとテイマーギルドの錯誤があったわけだ。彼等には既に三郎が魔獣を四体連れているという報告が上がっていた。Gランクの従魔の登録枠は三体。戦狼、癒鳥、悪魔憑きオーガで一杯だ。なので、昇格によって従魔の枠が多くなればすぐに従魔として登録すると思っていたのだ。
だが、実際はドラゴがアビリティで物体化した人工精霊だった為、新たに従魔にする魔獣を探しに行かなければならなくなったのだ。
「EからDは一体の従魔を親密度MAXにする事か。これは三体とも赤色だったからクリアしてるわね」
シローの額を思い浮かべたルナは、次の項に目を移す。
「Cは従魔を使役して二百体の魔獣を討伐。これもオーケーね。後、BはAランク以上の魔獣を従魔にする事か。これもクリアっと。本当に、後一体従魔を増やせば条件が全て調うみたいね」
一応、AとSの条件も見るが、どうやらこちらはまだ達成できていないようだ。
だが、それでも何も問題ない。取り敢えずレベルが50あって熟練度がBならそれで良いのだ。
「で、タイムスケジュールがこれね。あら、結構タイトなのね」
パラパラと紙を捲り、今度はタイムスケジュールの部分に目を通していく。
「三郎さんが帰ってくるまでに建物の修繕………これの手配は協会がやるのね。あら、費用もこっち持ちか」
何年も使っていなかったギルド支部の建物は、やはりあちこち傷んでいたため、管理を任されていた協会が責任を持って修繕するようだ。
何か裏がありそうだと思いはするものの、余計な詮索は敢えてしないでおく。
「テイマーギルド本部から飼育員の手配と受け入れ、学院から研究員の受け入れ準備か。確かに、ギルド支部を一人で切り盛りするのは無理だわね」
テイマーギルドには預かった魔獣を世話する飼育員と、それらを観察、研究する研究員が常駐する事になっている。
飼育員はギルド本部や大きめの支部で養成しており、今回のように支部が活動再開したり、新たに開かれる場合はそこからやってくる。
研究員は魔獣の生態や能力を研究している学者が来る事になる。この学者は学院と呼ばれる研究機関に所属しており、研究で得た知識や研究成果を協会や各ギルドに還元している。
名簿を見ると、今回はそれぞれ一人ずつ名前が記してある。
「窓口業務は協会からの出向なのね。こっちはまだ決まってないのか」
ぐるりと室内を見渡す。
昼の部の仕事が一段落し、職員の数は疎らだ。
恐らく、この中の誰かが行くことになるのは間違いないだろう。
「ルナ先輩、ボーグ支部長が呼んでますよ。支部長室に来てほしいって」
周囲の様子を見ていたら、後輩職員に声をかけられた。
嫌な予感しかしないルナは、露骨に顔をしかめると立ち上がった。
「ありがと、行ってくるわ」
片付けが終わった机の上に、読めないからと言って三郎から渡された資料を一旦置いた。
その資料にはテイマーギルド支部長就任の条件と、これからのタイムスケジュールが大まかに書いてあった。
「要するに、上の連中は人工精霊を従魔と勘違いしていたって事ね」
支部長の就任条件は至ってシンプルだ。
冒険者レベルが五十以上で、ジョブの熟練度がB以上。この二点だけだ。この条件に合致した者が担当地域の協会支部と、テイマーギルド本部の承認を受けて就任出来るのだ。
テイマーギルドは慢性的な人手不足なので、条件に当てはまった者は漏れなく支部長に抜擢される。
「今回のレベルアップもボーグ支部長が裏から手を回したみたいね。道理でいくらAランクの魔獣を倒したとは言っても、普通ならあんなに経験値を与える訳がないもの」
ボーグがテイマーギルド支部の復活をあちこちから要請されているのは、ルナも知っていた。
だからこそ、三郎が初めて協会を訪れた時にあれだけ熱心にテイマーを薦めたのだ。
その後に個人レッスンで言葉を教えたりしたのは、せめてもの罪滅ぼしという思いもあった。
「でも、Aランクの魔獣を従えているテイマーが、まさかまだFランク相当だなんて、誰も思わないわよね。まぁ、テイマーギルドが機能してないから小まめにチェックしてなかったからなんだけど」
ジョブの習熟度チェックは、そのジョブのギルドで行われている。協会では最初の登録のみ委託されてはいるものの、その他に関しては最寄りのギルドに行かなければならない。
そして、近辺の街や村には活動しているテイマーギルドはないのだ。
「えーと、GからFへの昇格は従魔を使役して二十体の魔獣を討伐する事なのね。これはクリアしてるわね」
資料の習熟度に関する項目を、ふんふんと頷きながら目を通していく。
「で、FからEへの条件が従魔を四体にする事ね。なるほど、ここで躓いている訳なのね。確かにドラゴが従魔だったらここもクリアしてたわね」
ここにボーグとテイマーギルドの錯誤があったわけだ。彼等には既に三郎が魔獣を四体連れているという報告が上がっていた。Gランクの従魔の登録枠は三体。戦狼、癒鳥、悪魔憑きオーガで一杯だ。なので、昇格によって従魔の枠が多くなればすぐに従魔として登録すると思っていたのだ。
だが、実際はドラゴがアビリティで物体化した人工精霊だった為、新たに従魔にする魔獣を探しに行かなければならなくなったのだ。
「EからDは一体の従魔を親密度MAXにする事か。これは三体とも赤色だったからクリアしてるわね」
シローの額を思い浮かべたルナは、次の項に目を移す。
「Cは従魔を使役して二百体の魔獣を討伐。これもオーケーね。後、BはAランク以上の魔獣を従魔にする事か。これもクリアっと。本当に、後一体従魔を増やせば条件が全て調うみたいね」
一応、AとSの条件も見るが、どうやらこちらはまだ達成できていないようだ。
だが、それでも何も問題ない。取り敢えずレベルが50あって熟練度がBならそれで良いのだ。
「で、タイムスケジュールがこれね。あら、結構タイトなのね」
パラパラと紙を捲り、今度はタイムスケジュールの部分に目を通していく。
「三郎さんが帰ってくるまでに建物の修繕………これの手配は協会がやるのね。あら、費用もこっち持ちか」
何年も使っていなかったギルド支部の建物は、やはりあちこち傷んでいたため、管理を任されていた協会が責任を持って修繕するようだ。
何か裏がありそうだと思いはするものの、余計な詮索は敢えてしないでおく。
「テイマーギルド本部から飼育員の手配と受け入れ、学院から研究員の受け入れ準備か。確かに、ギルド支部を一人で切り盛りするのは無理だわね」
テイマーギルドには預かった魔獣を世話する飼育員と、それらを観察、研究する研究員が常駐する事になっている。
飼育員はギルド本部や大きめの支部で養成しており、今回のように支部が活動再開したり、新たに開かれる場合はそこからやってくる。
研究員は魔獣の生態や能力を研究している学者が来る事になる。この学者は学院と呼ばれる研究機関に所属しており、研究で得た知識や研究成果を協会や各ギルドに還元している。
名簿を見ると、今回はそれぞれ一人ずつ名前が記してある。
「窓口業務は協会からの出向なのね。こっちはまだ決まってないのか」
ぐるりと室内を見渡す。
昼の部の仕事が一段落し、職員の数は疎らだ。
恐らく、この中の誰かが行くことになるのは間違いないだろう。
「ルナ先輩、ボーグ支部長が呼んでますよ。支部長室に来てほしいって」
周囲の様子を見ていたら、後輩職員に声をかけられた。
嫌な予感しかしないルナは、露骨に顔をしかめると立ち上がった。
「ありがと、行ってくるわ」
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