武者修行の仕上げは異世界で

丸八

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第1章

受付嬢ルナの説明という名の拷問2

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「では、服を脱いで下さい」

部屋には窓が無いので三郎には分からないが、時刻は既に深夜になっている。

しばらく前から、冒険者登録をしに来る者もいなくなっている。
そんな中、ルナは微笑みながら脱衣を迫る。
三郎は黙って頷くと、諸肌脱いだ。
逞しい上半身が薄暗い部屋の中であらわになる。
ルナは立ち上がり、机を回り込むと、三郎の目前まで歩み寄る。
ルナからかすかに漂う芳しい香気が、三郎の鼻腔をくすぐる。

「凄い筋肉。よく鍛えられた身体ですね」

上目遣いに潤んだ眼差しを向けられ、三郎の顔が赤くなる。

「あら、お顔の割にウブなんですね」

三郎の反応に、思わずいたずらな笑みをこぼす。

「良いですか?」

三郎の返事も待たず、ルナはおもむろに分厚い胸板に指を這わす。

「くっ」

微かな刺激に、三郎は思わず呻く。
ルナの指が離れると、先程までなかった黒子のようなものがあった。

ルナは三郎から離れ、画面を見る。

「うん、ちゃんとリンクしたようね」

黒子のようなものは三郎が拾ってきた魔石の一部だ。
ルナの説明によると、冒険者カードで持ち主の状態を確認出来るように、カード作成に使用した魔石の一部を埋め込むそうだ。

「では、これで冒険者登録は完了です。
本来はこれから所属するジョブのギルドで説明を受けて頂くのですが、残念ながらこの町にはテイマーギルドがありません。
なので、引き続き私から説明させて頂きます」


日付も変わったというのに、ルナは嬉しそうに喋り続ける。
その笑顔に三郎は戦慄する。

「ん、よろしく頼む」

しかし、それを表に出すことなく頭を下げる。

「先ずこれをどうぞ」

机の上に置かれたのは指輪だった。
三郎はその黒く光る石が嵌め込まれた銀色のリングを手に取ると、しげしげと見る。

「これは?」

指輪というもの自体、見た事の無い三郎は、これが何するものか分からない。
首を傾げ、ルナに尋ねる。

「それは、従魔の指輪と言いまして、仲間にした魔獣を自分の従魔として登録する為の魔道具です。
テイマーギルド員としての証でもあります」
「ほう、なるほど」

幾つか分からない単語が出てきたが、聞くと話が終わらなくなるとこの半日で理解した三郎は、とりあえず分かったふりをした。

「百聞は一見に如かずといいますし、まずは使ってもらった方が早いですね。
とりあえず、指に嵌めてもらえますか?」

言われるがまま、右手の中指に嵌める。
ゴツゴツとして太い三郎の指にも、若干大きいように見えたが、嵌めてみると不思議なくらい手に馴染んだ。

「先ずはシローちゃんからいきましょうか」

ルナに誘導され、三郎はシローの額に指輪に付いている石を当てる。
シローはきょとんとして、嫌がるそぶりも見せない。

「では、私の言うとおりに言ってください」


「「我が名に於いて汝を僕とす」」

三郎の言葉に反応し、指輪がうっすらと輝く。
しばらくして、その輝きが収まると、シローの額から指輪を離す。

「これは?」

シローの額には今まで無かった赤い紋様が刻まれていた。

「成功したみたいですね」

ルナは赤い紋様を確認する。

「この紋様が従魔の登録が上手くいった証です。
ちなみに、この紋様の色で友好の度合いが分かるようになっています。
全く懐いていない状態だと青い紋様が出ます。
それから徐々に赤みを帯びて紫になり、最終的にはこのように真っ赤になります」
「なるほど、シローはちゃんとなついてくれておるのだな」

三郎は満面の笑みを浮かべる。

「さて、これでシローちゃんとの従魔登録は終了です。
今度はミドリちゃんとも行ってください」

ルナの指示に従い、三郎は同じ事をミドリに行う。
こちらも赤い紋様が出た。

「ジョブにも習熟度に応じてランクが設定されています。
ランクに依って従魔として登録出来る魔獣の数が決まってきます。
三郎さんはテイマーになりたてなので、現在のランクはGです。
登録出来る魔獣は三体。
なので、残り後一体登録する事が出来ます」
「ふむ。仲間にしても町に入れる事が出来るのが後一体と言う事かの?」
「はい。今はそのように理解して頂いて結構です」

そこでルナは思い出したように手を打った。

「そうそう、従魔を町に入れる条件をまだ説明してなかったですね」

ルナは慌てて椅子に座ると、机の引き出しから一枚の紙を出した。

「ここに詳しい規定が書いてあるのですが、三郎さんは文字が読めなかったですよね?」
「恥ずかしながら」
「でしたら、私が口頭で簡単にご説明します。
先ず、5メートルを超える大型のものは入れません。
次に、ランクB以上の魔獣もダメです。
最後に、紋様の色が紫より赤い魔獣しか入れません。町の保安の為、ご理解下さい」
「町中で暴れる危険性のある魔獣は、入る事が出来ないと言う事か?」
「その通りです」
「なるほど。しかし、その条件ならばこの二匹は町に入れるな?」
「はい、それは大丈夫です。問題は紋様の色だったのですが、赤くて安心しました」

ルナは三郎の膝から机に乗りだし自分を見ているシローの頭を撫でようとするが、威嚇されて寂しそうに手を引っ込める。

「大まかな説明は以上になります。何かご質問等はございますか?」
「いや、今は結構」

長時間座って人の話を聞き続けるという事をしたことが無かった三郎え、猛烈な眠気と相まって頭が働かず、もう出来るだけ早く解放して欲しかった。

「では、ジョブの説明は終了しますね。また何かありましたら気軽にお尋ねください」

「終了」という言葉にこれほど安堵したことはあるだろうか。
三郎は気付かれないのタメ息をそっと吐いた。

「あ、そうそう。低級冒険者の為の宿舎があるんですが、どうされますか?」
「ほう、宿を用意して貰えるのか。それは有難い」
「では、宿舎の説明を軽く致しますね」

ルナの笑顔を絶望しながら見る三郎であった。

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