召喚勇者は怪人でした

丸八

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一章 変身

22話

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「こ、これはアルケニー!?」

 冒険者ギルドの受付嬢のマリーさんは、出された魔物の魔石に驚いていた。

 いや、それ以前に大量の魔石を出したところから驚いていたか。

「そうですよ。いやぁ、大変でした」

「そう、大変だったのよ。ダンジョンから帰ろうと歩いていたら、急に襲われたのよ」

 俺達はアルケニーを倒した経緯を説明した。

「ライナーラプトルに追われて、アルケニーが移動してきたってことね」

「多分。少なくとも俺にはそう見えました」

「ええ、私もよ」

「う~ん、ちょっと待っててね」

 一通りの説明をしたら、マリーさんが席を外した。その時、アルケニーの魔石を持って行ったようだ。

「お待たせしました」

 しばらく待つと、マリーさんが戻ってきた。

「一応、アルケニー討伐のクエストがB級依頼で出てたのよ」

「はあ」

 ランクが上のクエストは見ることが出来ないようになっている。

 興味本位で低級の冒険者が行かないような配慮らしい。

 いきなり襲われたらどうするのかと思ったけど、強い魔物は基本的に森や山岳地帯等の奥地にある魔素が濃い場所にいるらしく、間違って迷い込むのは珍しいとのことだ。

 今回みたいに森の浅い所に魔物が来てしまった場合は、最初から立ち入り禁止にしてしまうそうだ。

「それでですね、確認してからになりますが、そのクエスト報酬をお渡しします」

「お、ラッキー」

 所定の書類に記入すると、手続きは終了した。ゴーレムコア収集の依頼料と、ファミリアスパイダー他の素材を売った料金を受け取った。

 ファミリアスパイダーは半分くらい潰れたり焼け焦げたりしてダメになっていたけど、それでも量が多かったからなかなか良いお金になった。

 アルケニー討伐の依頼料は十日後位迄に振り込まれるそうだ。ゴーレム購入資金に充てよう。

 リコラとは受け取ったお金を山分けにし、食堂で軽く乾杯をして別れた。リコラも試験で忙しいみたいだからね。

 俺は一晩中警戒の為に起きていたので、お腹が膨れたら眠くなってきた。鍵を貰って宿舎の部屋に行くと、寝具を敷くのもめんどくさくなって、そのまま眠ってしまうのだった。
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