召喚勇者は怪人でした

丸八

文字の大きさ
上 下
25 / 39
二章

24話

しおりを挟む
 四階層の突き当たりに座って、干し肉なんかを齧りながら、小休止をしていた。

「よし、MPも回復したし、締めに行きますか」

 制御装置によって、レベルとMPを視界の左上に表示させている。多分、網膜に投影しているとは思うけど、本当のところはよく分からない。

 取り敢えずMP管理に便利だから使っているだけだ。

 MPの表示が全回復しているのを見て、俺は休憩を止めて立ち上がる。

 ここ何日かで慣れた道を歩く。

 やがて、五階層に続く階段が現れたので、迷いなく進む。

 五階層はこのダンジョンの最下層で、広い部屋にダンジョンボスがいるだけだ。

 俺が階段を降りると、部屋の中央にいるボスが俺を認識したようだ。

 殺気のような圧がヒシヒシと伝わってくる。

 だけど、それももう慣れたものだ。

 牽制がてら魔力弾を撃つ。ボスはそれを盾で防ぐ。

 ダンジョンボスはタワーシールドと長剣を構えたアイアンソルジャーと呼ばれるゴーレムだ。

 3メートル程の身長に鎧を纏ったゴーレムは、重量を感じさせない素早さで突進してきた。

 アイアンソルジャーとの間に魔力盾を展開したが、やはりあっさり砕かれる。

 振るわれる長剣に魔力刃を纏った短剣を合わせる。アイアンソルジャーの力を流し、バランスを崩させる。

「よし」

「グガッ」

 よろめくアイアンソルジャーに魔力刃を切り返して振り下ろす。しかし、アイアンソルジャーは強引に態勢を立て直し、タワーシールドで魔力刃を受ける。

「やるなぁ」

 取り回しの利きにくいタワーシールドを自在に扱うとは、ステータスだけじゃなく技量も高い。俺は後に跳んでアイアンソルジャーから距離を取る。

「本当はもう少し楽しみたいんだけどね。変身」

 亜空間倉庫から出現した闘衣を身に纏うと、俺のステータスが底上げされる。その倍率は5倍にもなる。

 こうなってしまうと、いかにアイアンソルジャーと言えども相手にならない。

 他の階層のゴーレムと同じく四肢を切り落とし、ゴーレムコアを抜き取った。

「お、魔法使いのレベルがMAXになったな」

 変身を解除する。

 視界に映るレベルを確認すると、ジョブレベルが上がっていた。
しおりを挟む

処理中です...