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「アグネスの裏技」
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「アグネスの裏技」
デイリーLAの会議室に着くと、ホワイトボードに経過が書き込まれていた。C-MARTのリストにあった214人の小児をネットで検索をかけただけでも、全国で100人以上の不明者の捜索願いや行方不明の記事があることがわかった。編集長がスタッフ総出で調べてくれたらしい。アグネスとマチルダもプリントアウトしたリストを横に、ノートパソコンをたたいている。
セシルは、デビッドから連絡を受けたセオドア・トルーマンについて調べていた。フロリダの不動産王で難病家族の父母会の役員をやっている。トルーマンの長女が難病を患っていることも分かった。
ユジンは、USBのC-MARTのファイルから、アクセス先を探し出そうとスミからスミまでチェックしたが、電話番号どころかメールアドレスすら発見できなかった。
デビッドが帰ってきたことで、編集長を含め、6人でテーブルを囲み、今までの情報を整理することにした。セシルとデビッドが一通り終えた時、アグネスが聞いた。
「デビッドさん、預かったアイフォーンは、さわってないの?」
「最初に見た時に、2件の不在着信があった旨のメッセージが出ていたが、画面はロックされていたので開けていない。無理に暗証番号を入れちまうと、それこそ警察がアップルに持ち込んでも開けられなくなっちまうからな。」
「今のところ、着信先しかコンタクト先は無いが、ロックの解除が10の4乗じゃどうしようもねえな。」
とセシルが同意した。
「そのアイフォーン見せてもらえます?」
とマチルダが聞き、デビッドがポーチから取り出し、みんなに見せる。
(!!!)ふたりで向き合い、大きく頷くアグネスとマチルダ。
「かかってきた電話に折り返しかけられればいい?」
「一発勝負だけどやってみますか?」
???顔を合わせる男4人。アグネスに言われるがままに、セシルがピックアップ型のマイクレコーダーをスマホの裏面にセットした。アグネスがデビッドの横に着き
「いい?掛けるわよ」と言い、デビッドの手の中のアイフォーンを自分の方に向けて、ホームボタンを押して、言った。
「Siri、最後にかかってきた電話にかけて。」
プルルルルルルル。コールが鳴った。デビッドはアイフォーンを耳に当て、相手が出るのを待った。5コール目途中で
「はい、「D」です。トルーマンさん、決意されましたか?2度ほど、お電話させていただいたのですが、お出にならなかったので、悩んでおられるのかと。予定通り、明日の取引でよろしいですか?」
「あぁ。」
とだけデビッドは答えた。
「はい、では、明日午後6時にドジャースタジアム1番ゲート前で。必ず、おひとりでお越しください。お迎えに上がります。
古い100ドル札での100万ドルは今週中に準備の程、お願いします。明後日にはロス市内の病院でマッチングテスト、3日後には、しかるべき場所で手術です。これで、来年の夏にはお嬢様と一緒にフロリダの海で泳げますねぇ。では、また明日。」
と言って、電話は切れた。着信番号をメモに取り、アイフォーンを降ろした。
「やったぜ!コンタクトさえできちまえば、こっちのもんだ!」
セシルとユジンがハイタッチした。
「やはり、臓器移植のための人身売買もやっていやがったか・・・。」
と編集長が眉間にしわを寄せ、思わず、禁煙の会議室にもかかわらず煙草に火をつけ一服した。
アグネスとマチルダは小さくこぶしを握り締め、(ナンシーちゃん、絶対助けに行くから、待っててね)と心の中で思った。
「それにしても、何だ?今の?アグネス説明してくれよ。」
とセシルが聞いた。
「この間見たユーチューブで「彼氏の浮気を調べる方法」っていうのがあって、ちょっと前までのアイフォーンだとロック掛かってても、Siriを通すと、最後の通話記録先やラインのメッセージが見れちゃうっていうのがあって・・・。」
「なんだ、お前さん彼氏に浮気されてんのか?いや、そもそも、お前さん、そのぺったんこの胸で彼氏いたのかよ!」
とセシルが真顔でアグネスにツッコミを入れた。
「い、いないわよ!セシルさん、今のセクハラよ!」
と真っ赤になって、セシルのみぞおちに追い突きを入れた。「うぐっ!」セシル以外のみんなが笑った。マチルダも大笑いして、
「アグネスに彼氏ができるころには、今のアイフォーン12もアイフォーン20くらいになっているから、この手は使えないわねぇ。」
というと、更に会議室はどっと沸いた。
セシルがみぞおちを抑えながら、
「さて、冗談はここまでにしておいて、明日の事だが、もともとデビッドは、トルーマンってやつにそっくりだって話だから、デビッドが行くとして、後は市警に任せるか?」
「いや、今、市警はこの事件に関しては、FBIの下請け状態だ。そうなると、奴らはナンシーちゃんの救出よりも、組織の「上」探しに走る可能性がある。ここは俺たちでやろう。」
とデビッドが言った。皆が黙って頷いた。
デイリーLAの会議室に着くと、ホワイトボードに経過が書き込まれていた。C-MARTのリストにあった214人の小児をネットで検索をかけただけでも、全国で100人以上の不明者の捜索願いや行方不明の記事があることがわかった。編集長がスタッフ総出で調べてくれたらしい。アグネスとマチルダもプリントアウトしたリストを横に、ノートパソコンをたたいている。
セシルは、デビッドから連絡を受けたセオドア・トルーマンについて調べていた。フロリダの不動産王で難病家族の父母会の役員をやっている。トルーマンの長女が難病を患っていることも分かった。
ユジンは、USBのC-MARTのファイルから、アクセス先を探し出そうとスミからスミまでチェックしたが、電話番号どころかメールアドレスすら発見できなかった。
デビッドが帰ってきたことで、編集長を含め、6人でテーブルを囲み、今までの情報を整理することにした。セシルとデビッドが一通り終えた時、アグネスが聞いた。
「デビッドさん、預かったアイフォーンは、さわってないの?」
「最初に見た時に、2件の不在着信があった旨のメッセージが出ていたが、画面はロックされていたので開けていない。無理に暗証番号を入れちまうと、それこそ警察がアップルに持ち込んでも開けられなくなっちまうからな。」
「今のところ、着信先しかコンタクト先は無いが、ロックの解除が10の4乗じゃどうしようもねえな。」
とセシルが同意した。
「そのアイフォーン見せてもらえます?」
とマチルダが聞き、デビッドがポーチから取り出し、みんなに見せる。
(!!!)ふたりで向き合い、大きく頷くアグネスとマチルダ。
「かかってきた電話に折り返しかけられればいい?」
「一発勝負だけどやってみますか?」
???顔を合わせる男4人。アグネスに言われるがままに、セシルがピックアップ型のマイクレコーダーをスマホの裏面にセットした。アグネスがデビッドの横に着き
「いい?掛けるわよ」と言い、デビッドの手の中のアイフォーンを自分の方に向けて、ホームボタンを押して、言った。
「Siri、最後にかかってきた電話にかけて。」
プルルルルルルル。コールが鳴った。デビッドはアイフォーンを耳に当て、相手が出るのを待った。5コール目途中で
「はい、「D」です。トルーマンさん、決意されましたか?2度ほど、お電話させていただいたのですが、お出にならなかったので、悩んでおられるのかと。予定通り、明日の取引でよろしいですか?」
「あぁ。」
とだけデビッドは答えた。
「はい、では、明日午後6時にドジャースタジアム1番ゲート前で。必ず、おひとりでお越しください。お迎えに上がります。
古い100ドル札での100万ドルは今週中に準備の程、お願いします。明後日にはロス市内の病院でマッチングテスト、3日後には、しかるべき場所で手術です。これで、来年の夏にはお嬢様と一緒にフロリダの海で泳げますねぇ。では、また明日。」
と言って、電話は切れた。着信番号をメモに取り、アイフォーンを降ろした。
「やったぜ!コンタクトさえできちまえば、こっちのもんだ!」
セシルとユジンがハイタッチした。
「やはり、臓器移植のための人身売買もやっていやがったか・・・。」
と編集長が眉間にしわを寄せ、思わず、禁煙の会議室にもかかわらず煙草に火をつけ一服した。
アグネスとマチルダは小さくこぶしを握り締め、(ナンシーちゃん、絶対助けに行くから、待っててね)と心の中で思った。
「それにしても、何だ?今の?アグネス説明してくれよ。」
とセシルが聞いた。
「この間見たユーチューブで「彼氏の浮気を調べる方法」っていうのがあって、ちょっと前までのアイフォーンだとロック掛かってても、Siriを通すと、最後の通話記録先やラインのメッセージが見れちゃうっていうのがあって・・・。」
「なんだ、お前さん彼氏に浮気されてんのか?いや、そもそも、お前さん、そのぺったんこの胸で彼氏いたのかよ!」
とセシルが真顔でアグネスにツッコミを入れた。
「い、いないわよ!セシルさん、今のセクハラよ!」
と真っ赤になって、セシルのみぞおちに追い突きを入れた。「うぐっ!」セシル以外のみんなが笑った。マチルダも大笑いして、
「アグネスに彼氏ができるころには、今のアイフォーン12もアイフォーン20くらいになっているから、この手は使えないわねぇ。」
というと、更に会議室はどっと沸いた。
セシルがみぞおちを抑えながら、
「さて、冗談はここまでにしておいて、明日の事だが、もともとデビッドは、トルーマンってやつにそっくりだって話だから、デビッドが行くとして、後は市警に任せるか?」
「いや、今、市警はこの事件に関しては、FBIの下請け状態だ。そうなると、奴らはナンシーちゃんの救出よりも、組織の「上」探しに走る可能性がある。ここは俺たちでやろう。」
とデビッドが言った。皆が黙って頷いた。
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