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第2話「2次元の彼R《リターンズ》」

③ 「AI快撥」

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③ 「AI活用」

 如志がコンビニからワインを買って戻ると、舞久利が如志を寝室に連れ込んだ。
「如志ちゃん、「これ」あげるから今晩頑張りや!弾嗣に任せとったら「あかん」と思ったから、私は如志ちゃんに託すわ。
 1週間も同棲してて、「何も」無いなんてあんたら生物学的におかしいで。「玉無し」の弾嗣に期待してもしゃあないから、今買ってきたワイン飲んだら、如志ちゃんが弾嗣を押し倒すんやで!「初体験」が「騎乗位」っていうのも最近は普通やからな!
 私は超「気遣いの人」やから、今日は「処女と童貞」の2人の為に気を遣って帰ったるわ。「佐藤二郎」さんとのチャットは次回に置いとくわな。あほの弾嗣でも「やる気」になる下着とコスに着替えるんや。えっと、これとこれと、うーん、ちょっと攻めてこれやな。無事に「やったら」ラインちょうだいよ。じゃあ、グッドラック!」
と如志のベッドの上にクローゼットの棚から、舞久利が買ってくれたセクシーな黒の上下の下着と、薄目のブラトップとレディースショートパンツを出しながら一方的に言い残すと、如志の右手に3枚のコンドームを握らせ帰っていった。

 (えっ、私がコンビニに行ってる間に舞久利さんと弾嗣君の間で何があったの?)と舞久利を見送った後、舞久利の用意した衣装に着替えることなく、恐る恐る弾嗣に「弾嗣君、私が出かけてる間に舞久利さんとなんかあったの?」と尋ねると、
「全然わかりません。この1週間の話をしたら、いきなり「中坊か!」って怒られたんです!何が「地雷」だったのかわかりません。如志さんに戻りの時間を連絡せずにお風呂上がりの現場に鉢合わせしちゃったことと、洗濯の時に如志さんの下着を見ちゃったって話をしただけなんですけどね…。」

 あっけらかんと話す弾嗣を見て(あー、やっぱり舞久利さんは、「H」な事を考えてたんだろうな。私たちがそういう関係じゃないことが納得いかなかったから「頑張れ!」って「これ」を…。)と思うと、一気に血圧が上がり顔が赤くなった。
 それを見た弾嗣は、「どうしたんですか?顔真っ赤ですよ!コンビニまで急いでいったんで「酔い」が回っちゃったんじゃないですか?冷たい烏龍茶入れましょうか?」といつも通りの気遣いを見せてくれた。如志は話を逸らそうと思い、弾嗣が手にしているタブレットに話を振った。
「ううん、大丈夫。ところで、この間からそのタブレットずっと修理してるけどもう3日もかかってるじゃない?見た感じ、7、8年前の古いモデルだと思うんだけど、修理するより買い替えた方が早いんじゃないの?」

 「はい、8年前、中2の誕生日にお父さんが買ってくれたタブレットなんです。スペック的にはもうダメダメなんですけどね。引っ越しの時に段ボール箱ごと落としちゃって…。新しいタブレットは買ってるんですけどお父さんの形見なんで…。変なこと言いますけど、お父さんとの思い出の品ってこれしか残ってないんでなかなか捨てられないんです。変なこと言いますけど、僕をいつも守ってくれてるような気がして…。」
 少し照れながら説明する弾嗣に、「それなら捨てられないわよね。弾嗣君が大事にしてるから、きっとお父さんも喜んでくれてると思うわよ。」と言葉をかけると、「コンドーム」は屑籠に捨てた。

 翌日、ネットニュースで如志と弾嗣が現在関わっている「大阪CPTS」と「厚生労働省」の共同開発を行っている医療系AIの中で2つのソフトが効果をあげているという記事が挙げられていた。
 一つはAIが、ネットサーチを行い、公開されているSNSの中から「自殺信号」を探し出すプログラムだった。京都のNPOの臨床心理士の「心尾世夢こころお・よむ」から、
「世の中には、「悩み」を相談できずに一人抱え込んで「最悪」の結果を選択する人がいるの…。心に抱えた「重いモノ」を吐露するのは、昔は「日記」だったんで家族くらいしか気づくことはできなかったんだけど、今はかすかな希望を求めてSNSに書き込んで救いの手を待つ人が多いの。
 けど、そう言った人はフォロワーも少ないし、「後ろ向き」な「呟き」を好んで読む人もいないんで、閲覧されることなくその呟きは埋もれてしまって誰からも「救いの言葉」が届くことが無いのよ。里景さんのプログラムでそういう「自殺信号」をキャッチすることができれば、AIカウンセリングに誘導して、いくつもの「命」を助けてあげられると思うんだけどできないかな?」
と言われたのをきっかけに作ったものだった。

 もう一つは。生成AIチャットが心に刻まれた深い「トラウマ」を解消する臨床実験に効果が出ているという内容の記事だった。「DV」や「いじめ」や「セクハラ・パワハラ」等で病んだ心の持ち主に対するカウンセラーの絶対数が足りないことから、カウンセリングを生成AIに置き換え、「患者」が患者のニーズに応えた「先読み生成AI」とチャットを繰り返すことで「トラウマ」を解消できる臨床例が多数認められ、更なるプログラム開発に予算が認められたという内容だった。
 
 その記事が掲載された当日、大阪CPTSに如志に対する取材依頼があり、事務長は「これでまた「我が校」の名前が売れますよ!里景先生、もちろん取材は受けていただけますよね。ボーナスは張り込みますので、よろしくお願いしますね!」と断れない雰囲気で話は進められてしまった。



今日のおまけは「快撥」先生と弾嗣です!





「快撥」先生を描くのは楽しいヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
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