『2次元の彼R《リターンズ》~天才理系女子(りけじょ)「里景如志(さとかげ・しし)のAI恋愛事情~』

あらお☆ひろ

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第2話「2次元の彼R《リターンズ》」

⑦「摘発」

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⑦ 「摘発」

 翌日の午前中に快撥が大阪CPTSに来て、コンピュータプログラムの設定方針を如志と弾嗣に伝えた。2時間ほどで、一般公開されているSNSや掲示板アプリや人材募集・アルバイト情報のホームページなど、大阪府警からもらった資料に出ていた「闇バイト」に関わったとされるアプリ類の過去ログをAIでサーチをかけた。

 高額バイトを求める発信側とそれに対するアクセス手段を研究すると、圧倒的に「経時履歴削除機能付きメッセージアプリ」が利用されていることが分かった。設定によっては、書き込み後1時間でその書き込み履歴は自動的に削除されてしまうので、専門捜査員がネットでページ検索をして追いかけている今の警察のやり方では間に合わないことも分かった。
 大阪府警の巴と連絡を取り、まずは過去によく使われていた9つのアプリと7つのサイトに絞って網をかけることにした。

 AIに個人のSNSで「#高額バイト」や「#短期現金払い」等の「闇バイト」に繋がりそうなワードを見つけ出すと、自動で発信者に「闇バイトは非合法なものが多くあります。安易に「高収入」に飛びつかないように!大阪府警より」とのメッセージをリツイートする機能をつけた。「闇バイト」元と思われるツイートに対しては、AIが自動的に誘いをかけるプログラムを組んだ。
 世に存在しない架空のアバターが「履歴書」を自動作成し、「闇バイト」の求める人物像になりすまし、「アクセス」を求めるシステムを取り入れた。
 「電話番号」、「面談場所」等の情報をAIアバターが「闇バイト」元から引き出すことに成功した。場合によっては、「犯罪現場」を直接抑えることで、「職務質問」の形で事件を未然に防ぐ方法を府警と共に形成していくシステムは、アメリカで使われている犯罪摘発システムにわずかな手直しだったので作業開始から3日で完成した。

 システム試運転可能の連絡を受けた門真警察の里相野と巴が大阪CPTSを訪れて如志からシステムの概要を聞くと興奮気味の里相野が
「こんなに早く仕上がるとは思ってませんでした。さっそく運用してみましょう。」
と言い、即、試運転が始まった。
 快撥が名付けた「悪者ホイホイ」の名称は採用されることは無かったが、「闇バイト・摘発・システム」の頭文字を取り「YTS」と名付けられたAIは初日から成果を上げた。

 闇バイトに関わる末端員については、「職務質問」から逃れる手立ても知らず、弁護士を呼ぶ人脈もないため多くの者を「任意同行」に持ち込むことができた。
 警察署の取調室で、「被疑者」のスマホの過去データをシステムに取り込むことでその「被疑者」が連絡を取り合っていたものの電話番号や通信・メッセージアプリなどから、ほとんどの場合、一つ上の人脈は追跡できた。AIはその人脈を自動で遡り、対象となった人物名を府警の過去の犯罪者履歴をクロス検索をかけることで「被疑者」の選定が数時間でできるようになった。

 また、「押し込み強盗」や、「空き巣狙い」など「闇バイト」で集められた人員が犯行現場に直接集合する案件では、現場に警察官を配備することで「現行犯」扱いで逮捕したり、事前の「職務質問」で未然に犯罪を防ぐことができた。
 運用初日から上がった多くの成功事例に里相野は多いに喜んだ。

 システムを稼働させて3日目、「闇バイト」グループのずさんな通信網から門真の大規模半グレグループを摘発することができた。
 「半グレ」グループは、 「反社」と違って事務所を持たず、行きつけの「店」等をミーティング場所や「報酬あがり」の配分で使うことが多いのだが、その現場を抑えることに成功したのだった。
 約20名の幹部メンバーが集まることを知った大阪府警は50名体制でその「アジト」を急襲した。里相野と巴もその突入員に入っていた。
 「アジト」の中は「半グレ」グループ構成員と警察官の格闘戦となり、次々と逮捕されていく半グレメンバーを数十台のパトカーに連行していく。
 
 ほぼ、その場にいた「半グレ」メンバーの逮捕・連行には成功した中で、巴の不注意で3人の幹部を逃がしてしまうミスはあったもの、年間5億を超える「特殊詐欺」や「違法売春」、「違法金貸し」等で利益を上げていたグループを壊滅させたことに里相野は十分満足し、その成果を如志に連絡をしてきた。
「里景先生、あなたの作ってくれた「YTS」は素晴らしいですよ。3日でこれだけの成果が出るとは全く予想していませんでした。
 システム開発にご協力いただいた里景先生のお師匠様の祖父斗先生にもお礼をしたいので、一度、門真署の方にお越しいただけないでしょうか?」

 快撥がアメリカに帰国する当日の昼に如志、弾嗣、快撥と大阪CPTSの事務長が門真署の所長室に招かれた。里相野と巴も同席する中、大阪CPTS事務長と快撥に感謝状が贈られ、松花堂弁当でのささやかな昼食会が開かれた。
「このシステムを大阪府警だけでなく、全国に広められたら「特殊詐欺」や「違法バイト」は半減、いや全滅させることも可能ですよね。
 いやー、このシステムをこんな華奢な美人が作ったとは驚きですなぁ!おっと、セクハラと思わないでくださいね。わははは!」
とご機嫌な署長の横で浮かない顔をした巴の暗い表情が、如志には気にかかったがそれを言葉にすることは無かった。
 事務長はこの成果を公表したいと申し出たが、快撥から
「それは、やめてください。システムの全容がばれると、別の犯罪手法に代わってしまうのを助長してしまいます。今しばらくは「内密」にしておくのが「吉」です。
 また、犯罪防止システムの開発者が「逆恨み」され、襲撃された事例もアメリカでは多いですから、そこは里景先生や助手の弾嗣に危険が及ばないよう御考慮願います。」
とくぎを刺した。

 門真署を後にすると、快撥は如志と弾嗣に「困ったことが有ったら、いつでも言ってきたらいいよ。がんばってな!」と笑顔で握手を交わすと、タクシーに乗り込み関西国際空港に向かった。



今日は、男性読者さんに忖度して「如志」ちゃんイラストです!









最後は「ちょっと」だけ「サービス」(笑)!



赤井先生にいただいたチャプターも残す所4話!
なかなかゆっくり執筆できる時間がないので、もしかすると更新空くかもしれません。
先に「ごめんなさい」言っておきます!
(。-人-。) ゴメンネ!
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