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4-1*フィリップ
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若干呆れた顔をした俺と、鋭い視線で未だ睨むように俺を見るキースを(俺、一応この国の王太子なんだけど……、別にいいけどさっ)オロオロとしながら交互に見やり、それから話題を変えようと必死に口を開いたミア嬢の言葉に俺は冷や汗をかくこととなった。
「そういえば、姉とは最近会っていないのですが、殿下は先日お茶をされたとか。姉は元気にしていましたか?」
「あ、ああ、もちろん君の姉上はとても元気そうだったよ」
君の姉上は俺とは一度も目を合わせてくれないから、想像でしかないが……。
「そうですか。それは良かったです!」 姉を思ってか、優しい笑みでふわりと笑う。
そのふわりと笑った笑みを見て、”よく似ているな” と俺は母上との会話でふんわりと笑むエマアリア嬢を頭に浮かべて胸の中が少しだけ温かい気分になった。
しかし、”そうそう” と続けられた言葉に、再び俺は氷点下へと落ちることとなる。
「姉は甘いものが大好きなので、いつもお菓子をたくさん食べているのではないですか?」
”王宮で出されるケーキはとっても美味しいのよ!” って自慢げに語っていたことがあったので。と続けられたが、途中から俺の耳には入ってこなかった。
えっ!!?
甘いものが好き!?
一昨日、二人でお茶した時に紅茶と一緒に出したラズベリーパイには、一口も口をつけていなかった……。
「遠慮せずに食べてくれ」 と言った俺の言葉に「甘いものは少し苦手なんです」 と俯いたまま答えていたが……。
本当は違うのか??
もしかして俺がいたから食べなかっ……た??
俺のことが嫌いなの、か……??
段々と身体の熱が冷めていくのを感じる。
顔が蒼白になっているのではないかと少し焦った。
特に目の前にいる、肌がツヤツヤとしている奴には俺のこの心情を知られたくはない。
しかし、そんな俺の動揺をすぐに悟ったらしいあ奴は、今は聞いてほしくないことを的確に聞いて来る。
「そういえば、殿下は普段エマアリア様とはどのようなお話をなさっているのですか? 愛しい人に向ける愛の言葉など、是非とも参考までに教えていただきたい」 とニヤリと笑う顔はやはり魔王だ。くそぅ。
そんなの俺が教えて欲しいわ!!
声を大にして言いたいが、キラキラと瞳を光らせて俺の言葉を待っているミア嬢がいるため、俺はこの国の王太子らしく平静を装って、余裕の笑みで微笑むことにした。
内心は冷汗ダラダラの、背中には実際に冷たい汗がツー、と伝っているが……。
それでも俺は余裕の笑みを崩せない。
い、言えやしない……。
エマアリア嬢の前ではいつも緊張してどもってしまい、碌に話すことがままならないなんて。
この国の次期国王である俺が、好きな女の子の前では超が付くヘタレになるなんて!!
このバカップルの前では絶対に言えやしない!!!
長い時間待っていたが微笑むのみで口を開かない俺に、だんだんとどうでもよくなったらしく、俺のことは空気として扱うことにしたらしいキースは、ミア嬢の耳元で「今日の髪飾り、僕があげたのをつけてきてくれているんだね。良く似合っている。可愛いよ」と愛の言葉を囁き始めた。
そしてそれに対し、顔を赤くしながらも、嬉し恥ずかしの笑顔をキースに向けてはにかんでいるミア嬢は恋する乙女そのものだ。
目の前で甘い空気を漂わせた、そんな二人を見て俺は心の底から思う。
”リア充爆発しろ!!!”
「あーあ、全くやってらんねえ……」
俺は窓を開けて、エマアリア嬢がいるだろう方を眺めながら、苦い紅茶を一気に飲み干した。
(切ない恋の味がする……)
「そういえば、姉とは最近会っていないのですが、殿下は先日お茶をされたとか。姉は元気にしていましたか?」
「あ、ああ、もちろん君の姉上はとても元気そうだったよ」
君の姉上は俺とは一度も目を合わせてくれないから、想像でしかないが……。
「そうですか。それは良かったです!」 姉を思ってか、優しい笑みでふわりと笑う。
そのふわりと笑った笑みを見て、”よく似ているな” と俺は母上との会話でふんわりと笑むエマアリア嬢を頭に浮かべて胸の中が少しだけ温かい気分になった。
しかし、”そうそう” と続けられた言葉に、再び俺は氷点下へと落ちることとなる。
「姉は甘いものが大好きなので、いつもお菓子をたくさん食べているのではないですか?」
”王宮で出されるケーキはとっても美味しいのよ!” って自慢げに語っていたことがあったので。と続けられたが、途中から俺の耳には入ってこなかった。
えっ!!?
甘いものが好き!?
一昨日、二人でお茶した時に紅茶と一緒に出したラズベリーパイには、一口も口をつけていなかった……。
「遠慮せずに食べてくれ」 と言った俺の言葉に「甘いものは少し苦手なんです」 と俯いたまま答えていたが……。
本当は違うのか??
もしかして俺がいたから食べなかっ……た??
俺のことが嫌いなの、か……??
段々と身体の熱が冷めていくのを感じる。
顔が蒼白になっているのではないかと少し焦った。
特に目の前にいる、肌がツヤツヤとしている奴には俺のこの心情を知られたくはない。
しかし、そんな俺の動揺をすぐに悟ったらしいあ奴は、今は聞いてほしくないことを的確に聞いて来る。
「そういえば、殿下は普段エマアリア様とはどのようなお話をなさっているのですか? 愛しい人に向ける愛の言葉など、是非とも参考までに教えていただきたい」 とニヤリと笑う顔はやはり魔王だ。くそぅ。
そんなの俺が教えて欲しいわ!!
声を大にして言いたいが、キラキラと瞳を光らせて俺の言葉を待っているミア嬢がいるため、俺はこの国の王太子らしく平静を装って、余裕の笑みで微笑むことにした。
内心は冷汗ダラダラの、背中には実際に冷たい汗がツー、と伝っているが……。
それでも俺は余裕の笑みを崩せない。
い、言えやしない……。
エマアリア嬢の前ではいつも緊張してどもってしまい、碌に話すことがままならないなんて。
この国の次期国王である俺が、好きな女の子の前では超が付くヘタレになるなんて!!
このバカップルの前では絶対に言えやしない!!!
長い時間待っていたが微笑むのみで口を開かない俺に、だんだんとどうでもよくなったらしく、俺のことは空気として扱うことにしたらしいキースは、ミア嬢の耳元で「今日の髪飾り、僕があげたのをつけてきてくれているんだね。良く似合っている。可愛いよ」と愛の言葉を囁き始めた。
そしてそれに対し、顔を赤くしながらも、嬉し恥ずかしの笑顔をキースに向けてはにかんでいるミア嬢は恋する乙女そのものだ。
目の前で甘い空気を漂わせた、そんな二人を見て俺は心の底から思う。
”リア充爆発しろ!!!”
「あーあ、全くやってらんねえ……」
俺は窓を開けて、エマアリア嬢がいるだろう方を眺めながら、苦い紅茶を一気に飲み干した。
(切ない恋の味がする……)
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