始まりから詰んでいる鬼ごっこ

もちごめ

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「あははははははは!!!」
「ひーっ!! 笑いすぎて、死ぬっ」


 なら死んでくれていいぞ。
 いっそのことそのままぽっくりいってくれ。国のためだ。


 まだ変化したままの俺の姿を見て笑い転げている二人を、さてどうやって料理してくれようか頭の中で考える。

「君、本当にその姿で行ったんだ!!」
「弟よ!! その勇気は勇者に値する!! それでこそ我が弟よ!!」
「でもさ、暗闇の中でそんなグロイ姿を見せられて、ミアちゃん可哀想だったね」

 グロイ? これは女の子に好まれる姿じゃないのか? 思わず可愛くて抱きしめたくなる姿じゃないのか?!

「恐怖に引きつった顔で、もの凄い勢いで逃げられた」
「あはは!! だよね~~。その姿を見て逃げない女の子はいないよね~~」
「でもお前たちが提案したことだろう?」
「ん? まさかそんな姿に変化するなんて思わないじゃん? いや、本当、あっぱれ!!」
「弟よ! 大丈夫さ! 例えどんな姿になろうとお兄ちゃんの愛は変わらない。さあ、私の胸に、ぐほぉっ!!」



「お前たちも同じ目に合うがいい」


 目の前の二人に自分と同じ姿になるように魔法をかけ、そのまま廊下へと放り出してやった。
 
 そして自分は元の姿へと戻る。




 ミア、俺のことを嫌いにならないでくれ。
 次の休みには大好きな焼き菓子をたくさん買って会いに行くから――。



 そしてもう、あいつらの提案にはもう二度と乗るもんか、と固く誓った。







 窓の外には夜空に浮かぶ月が見える。

 君も同じように月を眺めているかい? 愛しい人を浮かべそっと目を閉じた。





 夜の学園にいつまでも止むことのない生徒たちの絶叫がこだました――。
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