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フークモバ職業学校
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3か月後。
中央広場を見下ろすようにして、フークモバ職業学校が建っている。
寮の食堂で夕食を取る。ジーヌ、エルネス、メリシテもいる。
4人が揃うのは久しぶりだ。
「必須スキルの取得は終わったけど、もう一周行くよね?」とメリシテ。
一周というのは、3ヵ月毎に繰り返される履修コースのことだ。
履修コースが被ることもあるので、6ヵ月で必須スキルを取得するのが普通だ。
任意スキルも取得すれば何かと役に立つので、更にもう一周することも珍しくは無い。
俺は、空間と身体操作の属性コースを履修した。
ジーヌたちは職業に応じて、それ以外にも、発動などの属性コースを履修している。
「欲しいスキルは大体OKだし、俺はもういいかな」と俺。
「どうして?」とジーヌが食い気味に。
例えば、探知スキルは空間でも身体操作でも取得できる。
属性が多ければスキルの種類に幅はでるが、俺はそんなに属性が多くない。
「俺はスキルをもう少し取得したい。だからもう一度履修したいな」とエルネス。
「じゃぁエルネスは残るのね、ジーヌは?」とメリシテ。
「もちろん、残る」
「でしょ」とメリシテ。
ヒョットして皆さん打ち合わせ済みですか?
「ゴメンね。それに履修届だしていないから、いずれにしても無理です」
履修届は明日までに出せばいいので、それで今日なのだろうな。
パネサが食事を持ってこちらに歩いて来た。
学校職員は自由に食堂を利用できる。
「パネサ、相談に乗って」とメリシテが手招きする。
何?と言って座ると食事を取りながら、話を聞く。
「それね。ダネルは、亜空間と多重空間という珍しいスキルを取得したでしょ?そういう人は、組み合わせた使い方を工夫するのがいいの。スキル深化って言うのよ」
キャンプからの帰り道に、同じようなことをパネサは言った。
スキル深化の意味はよく判らないが、結局は空間認識も指定も取得しなかったのに収納や結界は使える。
亜空間は別の系統のようだ。
「ダネルはここで学ぶことがもう無いということですか?」とメリシテ。
「取得できるスキルはまだありますが、ダネルが必要と思うかどうかね」
パネサのアドバイスに従い、森の中に入ってスキルの使い方を工夫してきた。
来週にでもギルドに職業登録をして、簡単な依頼を受けたいと考えていると伝えた。
学校を出たばかりの者を迎え入れるチームはない。
単独か同じような者で集まり、簡単な依頼をこなして経験を積んでいく。
もっとも、これはハンターに限ったことじゃないけど。
例えば薬師だって、いきなり人に薬を提供できるわけではない。
何処かで経験を積む必要がある。
どの職業でも同じだ。
***回想***
入学前夜、自宅にて。
ルーパット(父)、ブリサ(妹)と食事。
「荷物は全部送ったけど、何か必要なものがあったらマリタに買ってもらえばいいから」
とルーパット。
マリタは母マリアムの妹、叔母だ。
フークモバで道具商を経営している。
マリアムはハンターだったが、俺とブリサが幼い頃に“依頼”中に行方不明になった。
「就職祝いということでナイフを注文しておいたから、卒業したらそれも受け取るといい」
とルーパット。
「どんなナイフ?」
「ボルヴァン製さ」
「まさかのラッフィナイフ?」
ボルヴァン製の武器は人気が高い。
その中でもラッフィというシリーズのナイフは、実用性の高い名品だ。
「全部知ったら楽しみが減る。それに、マリタが張り切っていたからそれもお楽しみだ」
「注文する時にハンターの基本はナイフだねというような話をしていたら、変なスイッチが入ったみたいで・・・」
とルーパットが様子を思いだして笑う。
「“ハンターならナイフ一本それ以外の武器は甘え!”とか妙なことをわめいてたぞ」
大丈夫かな?マリタは加減を知らないから変なのだったら嫌だな。
中央広場を見下ろすようにして、フークモバ職業学校が建っている。
寮の食堂で夕食を取る。ジーヌ、エルネス、メリシテもいる。
4人が揃うのは久しぶりだ。
「必須スキルの取得は終わったけど、もう一周行くよね?」とメリシテ。
一周というのは、3ヵ月毎に繰り返される履修コースのことだ。
履修コースが被ることもあるので、6ヵ月で必須スキルを取得するのが普通だ。
任意スキルも取得すれば何かと役に立つので、更にもう一周することも珍しくは無い。
俺は、空間と身体操作の属性コースを履修した。
ジーヌたちは職業に応じて、それ以外にも、発動などの属性コースを履修している。
「欲しいスキルは大体OKだし、俺はもういいかな」と俺。
「どうして?」とジーヌが食い気味に。
例えば、探知スキルは空間でも身体操作でも取得できる。
属性が多ければスキルの種類に幅はでるが、俺はそんなに属性が多くない。
「俺はスキルをもう少し取得したい。だからもう一度履修したいな」とエルネス。
「じゃぁエルネスは残るのね、ジーヌは?」とメリシテ。
「もちろん、残る」
「でしょ」とメリシテ。
ヒョットして皆さん打ち合わせ済みですか?
「ゴメンね。それに履修届だしていないから、いずれにしても無理です」
履修届は明日までに出せばいいので、それで今日なのだろうな。
パネサが食事を持ってこちらに歩いて来た。
学校職員は自由に食堂を利用できる。
「パネサ、相談に乗って」とメリシテが手招きする。
何?と言って座ると食事を取りながら、話を聞く。
「それね。ダネルは、亜空間と多重空間という珍しいスキルを取得したでしょ?そういう人は、組み合わせた使い方を工夫するのがいいの。スキル深化って言うのよ」
キャンプからの帰り道に、同じようなことをパネサは言った。
スキル深化の意味はよく判らないが、結局は空間認識も指定も取得しなかったのに収納や結界は使える。
亜空間は別の系統のようだ。
「ダネルはここで学ぶことがもう無いということですか?」とメリシテ。
「取得できるスキルはまだありますが、ダネルが必要と思うかどうかね」
パネサのアドバイスに従い、森の中に入ってスキルの使い方を工夫してきた。
来週にでもギルドに職業登録をして、簡単な依頼を受けたいと考えていると伝えた。
学校を出たばかりの者を迎え入れるチームはない。
単独か同じような者で集まり、簡単な依頼をこなして経験を積んでいく。
もっとも、これはハンターに限ったことじゃないけど。
例えば薬師だって、いきなり人に薬を提供できるわけではない。
何処かで経験を積む必要がある。
どの職業でも同じだ。
***回想***
入学前夜、自宅にて。
ルーパット(父)、ブリサ(妹)と食事。
「荷物は全部送ったけど、何か必要なものがあったらマリタに買ってもらえばいいから」
とルーパット。
マリタは母マリアムの妹、叔母だ。
フークモバで道具商を経営している。
マリアムはハンターだったが、俺とブリサが幼い頃に“依頼”中に行方不明になった。
「就職祝いということでナイフを注文しておいたから、卒業したらそれも受け取るといい」
とルーパット。
「どんなナイフ?」
「ボルヴァン製さ」
「まさかのラッフィナイフ?」
ボルヴァン製の武器は人気が高い。
その中でもラッフィというシリーズのナイフは、実用性の高い名品だ。
「全部知ったら楽しみが減る。それに、マリタが張り切っていたからそれもお楽しみだ」
「注文する時にハンターの基本はナイフだねというような話をしていたら、変なスイッチが入ったみたいで・・・」
とルーパットが様子を思いだして笑う。
「“ハンターならナイフ一本それ以外の武器は甘え!”とか妙なことをわめいてたぞ」
大丈夫かな?マリタは加減を知らないから変なのだったら嫌だな。
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