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第十二章 私の選ぶ幸せ(二十歳~)
119 人生で一番、幸せな日1
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その日は、まるでルーカスと私が背負うものを取り払ったような、雲ひとつ無い青空が広がり、太陽がキラキラと輝いていた。風はそよそよと吹き、気持ちの良い陽気が王都を包み込む。空気中には花の香りが漂い、木々が新緑をまとい、自然の生命力を感じさせてくれている。
まるで世界中から祝福されるかのような、とても晴れやかな日に、ついに私はルーカスと結婚式を挙げる事になった。
城の広大な中庭には、白い絨毯が敷かれ、華やかに咲き誇る花々が飾りつけられている。そして今日の為に建てられた、装飾されたアーチの下。主役の一人である私は、これ以上ないくらい美しいウェディングドレスを身にまとい、頭の上には王家に伝わるという、大きなダイヤモンドで飾り立てられた立派な王冠が載せられていた。そして現在、白いローブを羽織った、厳かな表情をこちらに向ける神父様の前で、ルーカスと向き合っているところだ。
「――では、ルシア女王陛下より、新郎、ルーカス・アディントンへ誓いの言葉を」
大真面目な顔をした神父様に促され、私は真っ白なスーツに身を包んだ、ルーカスの手を取り、彼の顔を見上げる。
出会った時は、確実に私より背が小さかったルーカス。
それが今や、私を見下ろしているのが、地味にムカつく。
初めてルーカスを見た時、まるで全てから逃げるように、彼は窓から身を投げ出していた事を思い出す。今よりずっと幼かった彼は、青い空に反射し、明るい未来を見越したように紫色の瞳を輝かせていた。私がとっさにかけた魔法で空を浮く彼は、ふわりと黒い髪を風に靡かせ、私に笑顔を向けたいた。
私は出会ってから今日まで、共に過ごした日々。それと、彼から受けた重すぎる愛の数々を心で思い返し、ルーカスに笑顔を向ける。
「私はあなたに出会えて、恨みと愛。その二つが紙一重な事を知ったわ。だからこれからも、ずっと一緒にいてください。それと、死ぬのは私が先だから、よろしくお願いします」
打ち合わせにない言葉を口にした私に、神父様がギョッとした顔になる。それがおかしくて、思わずニヤニヤしてしまう。すると、私の笑いが伝染したのか、ルーカスも嬉しそうに頬を緩める。
そんな私達を見て、参列していた人々からも明るい笑い声が上がった。
「コホン。ではルーカス様より、ルシア・フォレスター陛下に誓いの言葉を。アレンジはなしでお願いしますよ」
神聖なる雰囲気を取り戻そうとしているのか、神父様がルーカスに予め釘を刺した。その言葉を受け、ルーカスは困ったような顔をした後、笑顔になると私の手を強く握りしめる。
「私も、あなたに出会えて本当に幸せです。あなたがいるから、どんな困難でも乗り越えることができたし、生きていける。だから永遠に一緒にいて欲しい。ルシア、愛してる」
ルーカスは言い終わるや否や、私の手を引っ張った。お陰で私はルーカスの胸の中に飛び込む事になる。
「ルシア、夫婦になれたなんて、嘘みたいだ。俺、ものすごく幸せなんだけど」
感極まってしまったのか、涙声で私に告げる。
彼につられて、がらにもなく私の目頭まで熱くなる。
「……私だってうれしい。でも、こんな所で泣かないで。それにまだ結婚式の途中なんだからね!」
照れ隠しもあって、私はわざと怒ったように言うと、ルーカスの腕の中から抜け出し、彼に向かってハンカチを差し出す。ルーカスは、私から受け取ったハンカチで目元を拭うと、仕切り直しとばかり、優しい笑みを浮かべた。
「神父様、おまたせしました。どうぞ続きを」
ルーカスが冷静さを取り戻したのを確認し、神父様に声をかける。
「それでは二人とも準備はよろしいですか?」
「「はい」」
確認するようにたずねてくる神父様に対し、私達は同時に返事をする。それを合図とし、神父様が再び口を開いた。
「では、お二人で再度、神に誓いの言葉を」
私達は互いの手をしっかりと取り、神父様と向き合う。
ルーカスと私は、「せーの」と小さく合図をし、何度も練習させられた言葉を共に口にする。
「「私たちは、今日、愛と忠誠をもって結ばれます。どんな時もお互いを尊重し、支え合い、幸せを共有することを誓います」」
定型文となる誓いの言葉が終わると、神父様は今度こそ満足気に微笑む。それから私たちに近づき祝福の言葉を授けてくれた。
「今ここにあなたたちを祝福します。全ての者があなた達の、永遠の愛と幸福を願います」
神父様の言葉に、私たちの周りにいる人々から拍手と歓声が起こった。
「では、誓いのキスをどうぞ。出来れば、軽めに願いますよ」
私はルーカスと顔を見合わせ、お互い満面の笑みを浮かべる。そして神父様の言う通り、触れるだけの軽いキスをした。
さきほどよりずっと、盛大な拍手と祝福の嵐に包まれる。
会場が幸せに包まれる中、ルーカスと私は無事に結婚式を終えたのだった。
まるで世界中から祝福されるかのような、とても晴れやかな日に、ついに私はルーカスと結婚式を挙げる事になった。
城の広大な中庭には、白い絨毯が敷かれ、華やかに咲き誇る花々が飾りつけられている。そして今日の為に建てられた、装飾されたアーチの下。主役の一人である私は、これ以上ないくらい美しいウェディングドレスを身にまとい、頭の上には王家に伝わるという、大きなダイヤモンドで飾り立てられた立派な王冠が載せられていた。そして現在、白いローブを羽織った、厳かな表情をこちらに向ける神父様の前で、ルーカスと向き合っているところだ。
「――では、ルシア女王陛下より、新郎、ルーカス・アディントンへ誓いの言葉を」
大真面目な顔をした神父様に促され、私は真っ白なスーツに身を包んだ、ルーカスの手を取り、彼の顔を見上げる。
出会った時は、確実に私より背が小さかったルーカス。
それが今や、私を見下ろしているのが、地味にムカつく。
初めてルーカスを見た時、まるで全てから逃げるように、彼は窓から身を投げ出していた事を思い出す。今よりずっと幼かった彼は、青い空に反射し、明るい未来を見越したように紫色の瞳を輝かせていた。私がとっさにかけた魔法で空を浮く彼は、ふわりと黒い髪を風に靡かせ、私に笑顔を向けたいた。
私は出会ってから今日まで、共に過ごした日々。それと、彼から受けた重すぎる愛の数々を心で思い返し、ルーカスに笑顔を向ける。
「私はあなたに出会えて、恨みと愛。その二つが紙一重な事を知ったわ。だからこれからも、ずっと一緒にいてください。それと、死ぬのは私が先だから、よろしくお願いします」
打ち合わせにない言葉を口にした私に、神父様がギョッとした顔になる。それがおかしくて、思わずニヤニヤしてしまう。すると、私の笑いが伝染したのか、ルーカスも嬉しそうに頬を緩める。
そんな私達を見て、参列していた人々からも明るい笑い声が上がった。
「コホン。ではルーカス様より、ルシア・フォレスター陛下に誓いの言葉を。アレンジはなしでお願いしますよ」
神聖なる雰囲気を取り戻そうとしているのか、神父様がルーカスに予め釘を刺した。その言葉を受け、ルーカスは困ったような顔をした後、笑顔になると私の手を強く握りしめる。
「私も、あなたに出会えて本当に幸せです。あなたがいるから、どんな困難でも乗り越えることができたし、生きていける。だから永遠に一緒にいて欲しい。ルシア、愛してる」
ルーカスは言い終わるや否や、私の手を引っ張った。お陰で私はルーカスの胸の中に飛び込む事になる。
「ルシア、夫婦になれたなんて、嘘みたいだ。俺、ものすごく幸せなんだけど」
感極まってしまったのか、涙声で私に告げる。
彼につられて、がらにもなく私の目頭まで熱くなる。
「……私だってうれしい。でも、こんな所で泣かないで。それにまだ結婚式の途中なんだからね!」
照れ隠しもあって、私はわざと怒ったように言うと、ルーカスの腕の中から抜け出し、彼に向かってハンカチを差し出す。ルーカスは、私から受け取ったハンカチで目元を拭うと、仕切り直しとばかり、優しい笑みを浮かべた。
「神父様、おまたせしました。どうぞ続きを」
ルーカスが冷静さを取り戻したのを確認し、神父様に声をかける。
「それでは二人とも準備はよろしいですか?」
「「はい」」
確認するようにたずねてくる神父様に対し、私達は同時に返事をする。それを合図とし、神父様が再び口を開いた。
「では、お二人で再度、神に誓いの言葉を」
私達は互いの手をしっかりと取り、神父様と向き合う。
ルーカスと私は、「せーの」と小さく合図をし、何度も練習させられた言葉を共に口にする。
「「私たちは、今日、愛と忠誠をもって結ばれます。どんな時もお互いを尊重し、支え合い、幸せを共有することを誓います」」
定型文となる誓いの言葉が終わると、神父様は今度こそ満足気に微笑む。それから私たちに近づき祝福の言葉を授けてくれた。
「今ここにあなたたちを祝福します。全ての者があなた達の、永遠の愛と幸福を願います」
神父様の言葉に、私たちの周りにいる人々から拍手と歓声が起こった。
「では、誓いのキスをどうぞ。出来れば、軽めに願いますよ」
私はルーカスと顔を見合わせ、お互い満面の笑みを浮かべる。そして神父様の言う通り、触れるだけの軽いキスをした。
さきほどよりずっと、盛大な拍手と祝福の嵐に包まれる。
会場が幸せに包まれる中、ルーカスと私は無事に結婚式を終えたのだった。
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