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捨てられた
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「君を一生愛すから」
って言ってたのに捨てられた。
女神の加護を持つ国、フィアラテール。
この国に齡十六で神子として召喚され、女神から授かった浄化の力で各地の魔物を倒し、瘴気で汚れた土地を蘇らせ、世界に平和と安寧をもたらし、ついでに共に戦った王子と文字に起こすと辞書並みの厚さになるラブストーリーを繰り広げ、永遠の愛を誓ってから二十年。
「俺と別れて欲しい」
あっさりすっぱり捨てられた。
成木春也、三十六歳。
十六の時にこの国フィアラテールに浄化の神子として召喚され、各地に溢れていた魔物を倒し、世界に平和をもたらして、第一王子であるエリックと恋に落ち永遠の愛を誓ったはずが、二十年経って別れることになった。
いやもうマジで?今更すぎない?とは思うけれど、そこまでの驚きもないといえばない。
辞書も驚きの分厚さのラブストーリーを繰り広げても、二十年も経てば燃えに燃え上がった恋も冷めるわけで。
エリックと最後に熱い夜を過ごしたのは十年以上前で、ここ数年は熟年夫婦というか完全に空気という状態で、お互いの私室に行き来することもなく、ここ数ヶ月に至っては顔も満足に合わせてなくて、極めつけに数日前にエリックに新しい奥さんができた。
第一王子の奥さん、つまり未来の王妃である。
エリックに奥さんができたと側仕え伝に聞いて驚いた。驚いたと同時に仕方ないかと納得もした。
俺が浄化の神子として召喚されて二十年。
召喚された当初、国中に溢れていた魔物をすべて滅し、瘴気で汚れた地を浄化して、国に安寧と平和をもたらした功により国民たちから感謝と尊敬を一身に受けていたが、ここ数年というか数十年間、俺は名ばかりの神子だった。
魔物はいなくなり、土地は浄化され、平和そのものになった今、浄化の力は不要なものとなっていた。時々行事の一環として力をふるって土地を浄化をしたりもしてるけど形だけだ。これみよがしにゴテゴテした神子っぽい衣装着てそれっぽいセリフ並べ立ててそれっぽく天に手を向けてすでに綺麗になった大地にキラキラした光を降らせるだけ。全く意味はない。
年一回の行事以外に俺の神子としての役目はなく、城の中でくっちゃ寝くっちゃ寝すること二十年。さすがにそろそろちょっといやかなり肩身が狭くなってきたところでの、エリックの新しい奥さんの登場である。
俺が浄化の神子兼第一王子の恋人であることを知るのは城の人間だけだ。
国民にとって俺は、昔は活躍してたけど最近はもっぱら姿を見せない引きこもりの浄化の神子で、エリックはというといい歳でありながら妃の一人もいない訳アリ王子という認識になっていた。
十六の時、エリックは俺以外の妃は持たないと宣言した。だけれど男である俺が正妃になれるはずもなく、結果エリックは二十年間対外的には独り身の王子として過ごしてきた。それについて国民から色々と噂されていたのは俺も知っている。だからそろそろ正式な妃の一人くらい迎えるだろうことは予想していたし、それくらいは受け入れようと思っていた。エリック以外の王子には正妃以外に数人の側室がいるのが普通だったし。
新しい奥さんってどんな人だろ。仲良くなれるかなあ。なんて悠長に考えていたら久々にエリックに呼び出されて、妃のこと言われるんだろうな~なんて呑気に思ってたら第一声が「別れてほしい」ときたもんだ。
マジか。いやうんマジだなこれは。
エリックの顔は真剣そのもので、本気で言っていることがビシビシ伝わってくる。
別れる、か。
十六の俺なら絶対に嫌だと叫んでお前のことが好きなんだと腹立ちまぎれに一発殴るくらいの力があっただろうが、二十年経って三十六になった今の俺には叫ぶ気力も殴る力も縋り付くほどの愛も残っていなかった。
だからエリックからの申し出を「あ、ウン、分かった。別れよう」と二つ返事で受け入れた。
するとすぐさまエリックが「ではこちらが手切れ金代わりの金貨と指輪や腕輪などの貴金属だ。売れば金貨数十枚はくだらない」と言って革袋を差し出してきた。受け取るとずしりと重い。
「住む家も用意してある。中心部からは離れるが広くて住み良い家だ。しばらくはそこで暮らし、今後の生活を考えるといい。服や日用品などをすぐさままとめて移り住んでくれ。馬車も用意してある」
そんな今すぐ移動しなきゃダメな感じ?
確かにドラマとかでも同棲してても別れたらすぐさま家を出てたけど、俺もそうしなきゃダメ?
あ、その顔はダメな感じね。伊達に何年も熟年夫婦やってないから言葉なくともエリックが何を言いたいのか分かる。オッケー了解すぐに荷物まとめます。
そうして俺は二十年過ごした城を出ることになった。
服などを詰めたカバンを抱えて馬車に乗り込み、二十年間世話になった城を出た。馬車はガタガタと音を立てて、新しい住まいへと向かう。今馬車の中にあるものが俺の手元に残ったものの全てだ。手切れ金とカバンと一人の従者。他にも数人いた側仕えたちはみんな城に残った。名ばかり神子の俺に着いてくることを選んだ奇特な従者は、目の前に座るイアン一人だけだった。
俺がこちらの世界へやってきた十六の時から護衛兼従者としてついてくれているイアン。
年は俺よりも三つ上で、黒髪に切長の目をしたケモ耳の生えたイケメンである。
イアンは狼の獣人で、魔物に襲われ滅んだ獣人国の生き残りだ。浄化のために訪れた地で行く当てもなく彷徨っていたイアンを拾ったのが出会いだった。獣人族は人間とは異なる文化と常識をもっていて決して相容れない存在だからやめておけと大反対するエリックを押し切って、俺はイアンを従者にした。
だって可哀想じゃないか。故郷を失ってひとりぼっちになってこのまま放っておいたら死んじゃうなんて。
その時の俺は世界を救う役目を負った神子として慈悲と慈愛に満ち溢れていた。困っている人を救うことは当然だとエリックに涙ながらに切々と訴えた。エリックや周りの人間の意見なんてなんのその。俺は人助けをして良い気分になっていた。でも今ならエリックが反対した理由が理解できる。
素性の分からないましてや種族も違う者を、王族や位の高い人間や神子の側に置くことの危険性がどれほどのものか。当時の俺はそんなこと全く考えもしなかった。
結果としてイアンは無口で無表情だけれど護衛としての剣の腕は一流で、忠実に今日まで俺を守ってきてくれたのだから問題はなかったのだけど。
イアンは無口で無表情で、二十年間一緒にいるけど未だに何を考えているのかよく分からないし、なんで俺に着いてきてくれたのかも分からない。イアンの剣の腕は一級品で、俺についてくるよりも城に残った方が確実に出世できるのに。
俺の正面に座るイアンは、馬車の揺れにも動じることなく背筋をピンと伸ばしている。体幹すげえ。俺は馬車の揺れにぐらぐらとなりながらイアンに言った。
「イアン、無理して俺についてこなくてもいいんだよ」
「今更主人を変える気はありません」
「でも城に残る方が出世できるし、良い暮らしができるだろうに」
「私はあの日ハル様に命を拾っていただいた日からあなたに生涯お仕えすると決めましたので」
獣人の忠誠心は人のそれよりも厚いとは聞くがほんとなんだなあ。厚い忠誠心を語るイアンの顔は変わらず無表情だけど。
イアンに無理についてこなくても良いと言いながらも、イアンがついてきてくれたことが嬉しかった。
この世界へきて二十年。俺は一人でまともに城の外に出たことがない。魔物を倒すために各地を旅していたことはあるが、常に周りには多くの従者と護衛がいたし、何よりエリックがいた。
昔はどこへ行くにも何をするにもエリックと一緒だった。城下町へ下りたのだってエリックとお忍びデートと称してだった。懐かしいなあ。マントで顔と髪を隠してエリックと二人で城下町へ繰り出したっけ。街で人気だっていう揚げパンを食べたけど俺にはだいぶ脂っこすぎて途中で食べれなくなった。そのあとエリックが露店みたいなところで指輪を買って、それを俺の右手の薬指に嵌めて永遠の愛を誓ってくれたっけ。もらった指輪どっかにいったけど。さらにそのあとエリックが服を一式買ってくれて、お前は何を着ても可愛いなって褒めてくれたな。襟元がヒラッヒラのフリッフリの真っ白なブラウスとピチッとしたズボンを着た俺は完全にピエロみたいだったが。随分前にサイズアウトしたその服はタンスの肥やしになっていたので、今回の引っ越しに伴ってお別れしてきた。三十路にあの服は二重の意味でキツすぎる。
思い出すのはエリックとのことばかりだ。
あの頃は何かにつけてエリックとラブラブイチャイチャしていた。若かった。そんな若かった俺も今では三十路を過ぎ、四捨五入すると四十路だ。過去の思い出ばかりに縋ってる場合じゃない。これまで城の人たちに何でもしてもらってたけど、今日からは自分のことは自分でやらなきゃならんのだ。衣食住の用意からお金の管理、これからの人生設計について。考えることは山ほどある。城の外のことも街の常識も何もかも分からない状態だが、とにかく生きていかなきゃならんのだ。
でもまあ住むところも当面の金も一人の従者もいるのだから、お先真っ暗なわけじゃない。二十年来の恋人に捨てられたからって、卑屈になったり落ち込んでる場合ではないのだ。
「とにかくこれから頑張るぞー!」
オー!と腕を上げて声を張れば、無表情のイアンに「しっかりと座っていないと転びますよ」と言われ、言われた通り馬車の中ですっ転んで鼻を打った。イアンが抱き起こして座らせてくれた。先行きが不安だが、とにかくこの日から俺の第二の人生がスタートした。
って言ってたのに捨てられた。
女神の加護を持つ国、フィアラテール。
この国に齡十六で神子として召喚され、女神から授かった浄化の力で各地の魔物を倒し、瘴気で汚れた土地を蘇らせ、世界に平和と安寧をもたらし、ついでに共に戦った王子と文字に起こすと辞書並みの厚さになるラブストーリーを繰り広げ、永遠の愛を誓ってから二十年。
「俺と別れて欲しい」
あっさりすっぱり捨てられた。
成木春也、三十六歳。
十六の時にこの国フィアラテールに浄化の神子として召喚され、各地に溢れていた魔物を倒し、世界に平和をもたらして、第一王子であるエリックと恋に落ち永遠の愛を誓ったはずが、二十年経って別れることになった。
いやもうマジで?今更すぎない?とは思うけれど、そこまでの驚きもないといえばない。
辞書も驚きの分厚さのラブストーリーを繰り広げても、二十年も経てば燃えに燃え上がった恋も冷めるわけで。
エリックと最後に熱い夜を過ごしたのは十年以上前で、ここ数年は熟年夫婦というか完全に空気という状態で、お互いの私室に行き来することもなく、ここ数ヶ月に至っては顔も満足に合わせてなくて、極めつけに数日前にエリックに新しい奥さんができた。
第一王子の奥さん、つまり未来の王妃である。
エリックに奥さんができたと側仕え伝に聞いて驚いた。驚いたと同時に仕方ないかと納得もした。
俺が浄化の神子として召喚されて二十年。
召喚された当初、国中に溢れていた魔物をすべて滅し、瘴気で汚れた地を浄化して、国に安寧と平和をもたらした功により国民たちから感謝と尊敬を一身に受けていたが、ここ数年というか数十年間、俺は名ばかりの神子だった。
魔物はいなくなり、土地は浄化され、平和そのものになった今、浄化の力は不要なものとなっていた。時々行事の一環として力をふるって土地を浄化をしたりもしてるけど形だけだ。これみよがしにゴテゴテした神子っぽい衣装着てそれっぽいセリフ並べ立ててそれっぽく天に手を向けてすでに綺麗になった大地にキラキラした光を降らせるだけ。全く意味はない。
年一回の行事以外に俺の神子としての役目はなく、城の中でくっちゃ寝くっちゃ寝すること二十年。さすがにそろそろちょっといやかなり肩身が狭くなってきたところでの、エリックの新しい奥さんの登場である。
俺が浄化の神子兼第一王子の恋人であることを知るのは城の人間だけだ。
国民にとって俺は、昔は活躍してたけど最近はもっぱら姿を見せない引きこもりの浄化の神子で、エリックはというといい歳でありながら妃の一人もいない訳アリ王子という認識になっていた。
十六の時、エリックは俺以外の妃は持たないと宣言した。だけれど男である俺が正妃になれるはずもなく、結果エリックは二十年間対外的には独り身の王子として過ごしてきた。それについて国民から色々と噂されていたのは俺も知っている。だからそろそろ正式な妃の一人くらい迎えるだろうことは予想していたし、それくらいは受け入れようと思っていた。エリック以外の王子には正妃以外に数人の側室がいるのが普通だったし。
新しい奥さんってどんな人だろ。仲良くなれるかなあ。なんて悠長に考えていたら久々にエリックに呼び出されて、妃のこと言われるんだろうな~なんて呑気に思ってたら第一声が「別れてほしい」ときたもんだ。
マジか。いやうんマジだなこれは。
エリックの顔は真剣そのもので、本気で言っていることがビシビシ伝わってくる。
別れる、か。
十六の俺なら絶対に嫌だと叫んでお前のことが好きなんだと腹立ちまぎれに一発殴るくらいの力があっただろうが、二十年経って三十六になった今の俺には叫ぶ気力も殴る力も縋り付くほどの愛も残っていなかった。
だからエリックからの申し出を「あ、ウン、分かった。別れよう」と二つ返事で受け入れた。
するとすぐさまエリックが「ではこちらが手切れ金代わりの金貨と指輪や腕輪などの貴金属だ。売れば金貨数十枚はくだらない」と言って革袋を差し出してきた。受け取るとずしりと重い。
「住む家も用意してある。中心部からは離れるが広くて住み良い家だ。しばらくはそこで暮らし、今後の生活を考えるといい。服や日用品などをすぐさままとめて移り住んでくれ。馬車も用意してある」
そんな今すぐ移動しなきゃダメな感じ?
確かにドラマとかでも同棲してても別れたらすぐさま家を出てたけど、俺もそうしなきゃダメ?
あ、その顔はダメな感じね。伊達に何年も熟年夫婦やってないから言葉なくともエリックが何を言いたいのか分かる。オッケー了解すぐに荷物まとめます。
そうして俺は二十年過ごした城を出ることになった。
服などを詰めたカバンを抱えて馬車に乗り込み、二十年間世話になった城を出た。馬車はガタガタと音を立てて、新しい住まいへと向かう。今馬車の中にあるものが俺の手元に残ったものの全てだ。手切れ金とカバンと一人の従者。他にも数人いた側仕えたちはみんな城に残った。名ばかり神子の俺に着いてくることを選んだ奇特な従者は、目の前に座るイアン一人だけだった。
俺がこちらの世界へやってきた十六の時から護衛兼従者としてついてくれているイアン。
年は俺よりも三つ上で、黒髪に切長の目をしたケモ耳の生えたイケメンである。
イアンは狼の獣人で、魔物に襲われ滅んだ獣人国の生き残りだ。浄化のために訪れた地で行く当てもなく彷徨っていたイアンを拾ったのが出会いだった。獣人族は人間とは異なる文化と常識をもっていて決して相容れない存在だからやめておけと大反対するエリックを押し切って、俺はイアンを従者にした。
だって可哀想じゃないか。故郷を失ってひとりぼっちになってこのまま放っておいたら死んじゃうなんて。
その時の俺は世界を救う役目を負った神子として慈悲と慈愛に満ち溢れていた。困っている人を救うことは当然だとエリックに涙ながらに切々と訴えた。エリックや周りの人間の意見なんてなんのその。俺は人助けをして良い気分になっていた。でも今ならエリックが反対した理由が理解できる。
素性の分からないましてや種族も違う者を、王族や位の高い人間や神子の側に置くことの危険性がどれほどのものか。当時の俺はそんなこと全く考えもしなかった。
結果としてイアンは無口で無表情だけれど護衛としての剣の腕は一流で、忠実に今日まで俺を守ってきてくれたのだから問題はなかったのだけど。
イアンは無口で無表情で、二十年間一緒にいるけど未だに何を考えているのかよく分からないし、なんで俺に着いてきてくれたのかも分からない。イアンの剣の腕は一級品で、俺についてくるよりも城に残った方が確実に出世できるのに。
俺の正面に座るイアンは、馬車の揺れにも動じることなく背筋をピンと伸ばしている。体幹すげえ。俺は馬車の揺れにぐらぐらとなりながらイアンに言った。
「イアン、無理して俺についてこなくてもいいんだよ」
「今更主人を変える気はありません」
「でも城に残る方が出世できるし、良い暮らしができるだろうに」
「私はあの日ハル様に命を拾っていただいた日からあなたに生涯お仕えすると決めましたので」
獣人の忠誠心は人のそれよりも厚いとは聞くがほんとなんだなあ。厚い忠誠心を語るイアンの顔は変わらず無表情だけど。
イアンに無理についてこなくても良いと言いながらも、イアンがついてきてくれたことが嬉しかった。
この世界へきて二十年。俺は一人でまともに城の外に出たことがない。魔物を倒すために各地を旅していたことはあるが、常に周りには多くの従者と護衛がいたし、何よりエリックがいた。
昔はどこへ行くにも何をするにもエリックと一緒だった。城下町へ下りたのだってエリックとお忍びデートと称してだった。懐かしいなあ。マントで顔と髪を隠してエリックと二人で城下町へ繰り出したっけ。街で人気だっていう揚げパンを食べたけど俺にはだいぶ脂っこすぎて途中で食べれなくなった。そのあとエリックが露店みたいなところで指輪を買って、それを俺の右手の薬指に嵌めて永遠の愛を誓ってくれたっけ。もらった指輪どっかにいったけど。さらにそのあとエリックが服を一式買ってくれて、お前は何を着ても可愛いなって褒めてくれたな。襟元がヒラッヒラのフリッフリの真っ白なブラウスとピチッとしたズボンを着た俺は完全にピエロみたいだったが。随分前にサイズアウトしたその服はタンスの肥やしになっていたので、今回の引っ越しに伴ってお別れしてきた。三十路にあの服は二重の意味でキツすぎる。
思い出すのはエリックとのことばかりだ。
あの頃は何かにつけてエリックとラブラブイチャイチャしていた。若かった。そんな若かった俺も今では三十路を過ぎ、四捨五入すると四十路だ。過去の思い出ばかりに縋ってる場合じゃない。これまで城の人たちに何でもしてもらってたけど、今日からは自分のことは自分でやらなきゃならんのだ。衣食住の用意からお金の管理、これからの人生設計について。考えることは山ほどある。城の外のことも街の常識も何もかも分からない状態だが、とにかく生きていかなきゃならんのだ。
でもまあ住むところも当面の金も一人の従者もいるのだから、お先真っ暗なわけじゃない。二十年来の恋人に捨てられたからって、卑屈になったり落ち込んでる場合ではないのだ。
「とにかくこれから頑張るぞー!」
オー!と腕を上げて声を張れば、無表情のイアンに「しっかりと座っていないと転びますよ」と言われ、言われた通り馬車の中ですっ転んで鼻を打った。イアンが抱き起こして座らせてくれた。先行きが不安だが、とにかくこの日から俺の第二の人生がスタートした。
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