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第二章 どうやら美少年との日常は甘くて危険らしい
第十六話 手伝ってください。はい喜んで!
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――Mapsリビングに戻って、二人が梅を咎め立てる。
「あ、れ、で、は、ただのストレートな痴女ではないですの!!」
「梅ちゃん自爆テロ。ダメ、絶対」
勢いよく詰め寄られ、梅はバツの悪そうな表情をする。だが、言い分があるらしく、口を尖らせぼそぼそと呟く。
「う、うっせえ……だってよ……確かなんかの本に書いてあったから――」
「そっ、そっ、そう言ったことは、その殿方の奥様方がすることですわあああああっ!」
顔を真っ赤にした五月が、梅の言い訳をさえぎってから説明をする。梅も深夜子も、その説明途中で察したらしく、耳まで真っ赤にして頭から湯気を上げている。
――結局、その後も上手い代案が出ることも無く、埒は明かない。最終的に、くじ引きで説明する者を決めるなんとも情けない結論となってしまった。……その結果、運悪く深夜子が当たりクジをゲット。説明役となって顔面蒼白である。
全員で決めたルールなので逃げ場は無し。意を決して朝日の元に向かうも、コミュニケーションを大の苦手とする深夜子。案の定、説明は要領を得ずグダグダになっていた。
「え、えと……み、深夜子さん? だから、その、この箱がどうしたのかな? ちょ、ちょっと理解できないんだけども……」
「あ、あわわわわ。そ、その、この箱が、あの……提出しなくちゃいけないけど。あっ、あたし、あたしじゃなくて、朝日君にこんなのして欲しいとは思わなくて、でも、どうしても……ひ、ひぐっ、あの、嫌いになら……いで、うえっ」
「ちょおっ!? な、なんで泣いてるの? え? てか、今のどこに泣く要素が?」
ついには半べそ状態になって、朝日に心配される始末である。
この後、気をきかせた朝日が深夜子にあれこれと質問する。最終的に、なんとなく察して「あー、うん。そんなのもあると思ってたよ。まあ、しょうがないよね」とあっさり受け入れたのだった。
「うえええええ……あしゃひくん。あたしのこと、嫌いに、嫌いにならないでえええええ」
「だから、もう泣かないで深夜子さん。僕、全然気にしてないから、ね、ね」
こんな感じで、扉の隙間からこっそり様子を伺っていた五月たちにとっても、肩透かしなほどあっさり決着はついた。まあ朝日のことなのでやっぱり、と二人は胸を撫で下ろす。しかし、深夜子だけは余程精神に負担だったのか、低めのテンションを引きずったまま、最後まで不安そうにしていた。
――さて、その晩。
実際、この精液提出についてまったく気にしていない朝日。すでにそんなことがあったと言う記憶すら頭から抜け去り、絶賛クリーチャーハンターをプレイ中である。
「うわぁ……またクエスト失敗だ。んー、やっぱソロじゃもう限界かなあ?」
そうひとりごちる。そろそろ一人プレイでは厳しいところまでゲームが進み、詰まり気味であった。どうしたものかと思いながら、朝日はふと時計を見上げる。
「あれ? いつもならそろそろ深夜子さんが手伝いに来てくれてる頃なのに……今日はどうしたんだろ?」
少し考えて、朝日はたまには自分の方から誘うことにした。時間的にも、ここから深夜子とガッツリ遊ぶため、先に風呂を済ませて来ようと一旦ゲームを終了する。
――片やこちらは、自室のベッドでダウン中の寝待深夜子さん。先ほどの一件で激しく消耗し、ぐったりである。ここ最近、日課のように朝日とゲームをしていたのだが、そんな日課すらも考えれないほどに精神が疲労していた。
今、深夜子の頭に浮かぶのは、朝日が精液採取を実際に行うとなった時に、やっぱり嫌だと思ったりしないだろうか? そして、そうなった時、依頼をした自分を嫌いになったりしないだろうか? ひたすら不安のみである。
――コンコン。
(!?)
不意に部屋の扉がノックされる音が響いた。そう、風呂を済ませた朝日が深夜子を誘いにやって来たのだ。
『あ、あの、深夜子さん。今……いいかな?』
「ふえ? あれ、朝日君!? どうしたの。……あっ! もしかして何かあった」
ドキリと心臓が跳ね、深夜子は急いで扉を開ける。すると風呂上がりの良い香りをさせた朝日が、パジャマ姿で立っていた。鼻をくすぐる甘美な芳香に、ついつい深夜子の表情もふにゃっと緩んでしまう。
「あの、お願いがあるんだけど」
「えっ……お願い?」
深夜子の脳裏に不安な想像がよぎる。緩んでいた表情も引き締まっていく。まさか、やはり、精液提出が辛くなって相談に来たのでは? ……と。
「うん。あのさ、一人じゃ無理そうなんで手伝って欲しいんだけど」
「………………」
「………………」
ああ、やはりそうか。精液採取が一人では無理なので、自分に手伝って欲し――。
「いいいいいいいっ!? てっ、ててててててててててててつだうっ!?」
これぞ衝撃の一言! 『手伝って欲しい、手伝って欲しい、手伝って……』深夜子の脳内で、朝日の言葉が木霊する。手伝う? アレの採取を? 自分が? どういうこと!? 理解が追いつかず深夜子は言葉に詰まる。
「あれ、もしかして深夜子さん今日は無理だっ――」
「無理じゃない無理じゃない全然無理じゃないむしろ手伝わせて超手伝わせてっ!!!」
人生最速の返答記録樹立。ここはキープだ。むしろ断る選択肢が存在しない。本能先輩と直感姉貴が頭の中でそう告げている。
「あはは……だ、大丈夫なんだ」
「あっ……でも、あたしが、あたしの、あたし……で、いいの?」
しかし、手伝いをする相手が自分で良いのか? 深夜子はつい念を押して聞いてしまった。なんせ処女ですから!
「え? そんなの深夜子さんでないと無理に決まってるじゃん」
ご指名いただきました。
「うひょおおおお!? あ、ああああ朝日君? そうなの!? あたしで無いと無理? キターーーーッ!! そうなんだああああああ! ふへっ、ふへへへ」
深夜子の脳内でクリーチャーハンターのオープニングテーマ曲がフルオーケストラで再生される。壮大でテンションが上がるいい曲ですよ。ハンター冥利に尽きますねっ!
「朝日君! あ、あたし頑張るから! ただ……そ、その上手く手伝えるかは……その……あにょ」
はりきってみたが、自分にはハードルが高い気もする。……いや、そんな弱気ではいけない。確かこんなシチュエーションもあったはず。数々のエロゲー、エロ動画で培った経験を活かすのだ! エロシチュエーションジャンルの脳内検索をかける。
「え? 深夜子さんなら舐めプでもいけるでしょ」
朝日が軽く返した。それはもう深夜子の腕前にゲーム進行度なら、自分の手伝いなど楽勝だろう。
「んなっ、ななななな舐めプレイ!? 舐めちゃっていい!? 今日の朝日君は舐められちゃう感じ!? うわーお」
朝日の名誉のため説明するが、物理的に舐めることでも無ければ、エロシチュエーションのジャンルでも無い。『舐めプ』とは手を抜いて余裕でプレイすると言うゲーム用語である。
「えっ? ああ、もちろん深夜子さんの気分次第でガチプレイしてもいいよ」
「はぐわっ!? がっ、ががががが、ガチ!? …………うぷわぁっ」
違う。そっちじゃない。
残念なことに深夜子の頭の中では、傷心の美少年に精液採取の手伝いを頼まれ、舐めプレイから本番のストーリーが完成しまった。これ、AV企画モノで一本いけますやん。考えるだけで、深夜子の行き場を失った熱い血潮が鼻から抜け出してしまう。
「あっ!? 深夜子さん鼻血! ほんと大丈夫? 今日やっぱり体調が悪いんじゃ?」
「全然! 全然そんなことないよ! 良すぎるくらい健康! 健康すぎて鼻血が元気!」
言葉の意味はよくわからないが、とにかくすごい元気に見える。深夜子の様子にまあいいか、と納得する朝日。そして、自分と深夜子。どちらの部屋もゲームプレイ環境はバッチリなので、希望を確認することにする。
「じゃあ、ここですぐしちゃう? それとも僕の部屋でする?」
「ちょっ!? すぐしちゃっ――はうっ、なんたる生々しい選択肢……」
恐るべき積極性。女の妄想を凝縮したかのごとき展開。深夜子はごくりと唾を飲み込む。
「えっ? な、なま?」
「んなあっ、あっ、いや、なんでもない、なんでもないから。そ、その朝日君の部屋で! うん。こ、こっちだと五月と梅ちゃんの部屋近いし」
「そうだね。もう夜だし、あんまうるさくすると迷惑だもんね。僕も熱中しちゃうと大きな声出ちゃうもんなぁ」
プレイヤー同士の声の掛け合いは、協力プレイには付き物ですよね。
「こ、え、が、で、ち、ゃ、う!?」
まずい。すでに会話だけで限界を向かえそうだ。しかし、深夜子は根性で耐える。この究極のクエストを失敗するなどあり得ない。一気に畳みかけに入る。
「そだ! あたしシャワー浴びて来ないと」
「お風呂まだだったんだ? ごめんね。じゃあ、準備して部屋で待ってるよ」
「らじゃ! それはもう光の速さで行ってくる」
「あはは。もう、深夜子さんたら、好きなんだから」
「ソンナコトナイヨー」
その後、シャワーを済ませピンクな期待で胸をいっぱいにして、朝日の部屋にルンルンで向かう深夜子であった。もう脳内で十回はフィニッシュまでシミュレーションした。やる気満々である。
一方、朝日の部屋には大量のおやつと冷えた飲み物が持ち込まれていた。ノートパソコンには攻略サイトが開かれ、万全な準備がしかれている。こちらも(ゲームを)やる気満々の朝日が待ち構えていることを、深夜子は知るよしもない。
「――おい、五月。さっき風呂場の前で深夜子の奴とすれ違ったんだけどよ。『あたしは大人の階段をのぼるシンデレラ~♪』とか変な歌をうたいながらスキップしてやがったけど……大丈夫かよアイツ?」
「それは何がどうなったらそうなるんですの? 深夜子さん……ついにアホにターボでも搭載しましたの?」
「さあな、ま、幸せそうだったしいいんじゃねぇか? アイツ昼はこの世の終わりみたく落ち込んでたしな」
「正直、ろくな予感はしませんが……ご本人が幸せそうなら、よろしいのではなくて?」
こうして、本日も無事朝日家の夜は過ぎて行くのであった。
「あ、れ、で、は、ただのストレートな痴女ではないですの!!」
「梅ちゃん自爆テロ。ダメ、絶対」
勢いよく詰め寄られ、梅はバツの悪そうな表情をする。だが、言い分があるらしく、口を尖らせぼそぼそと呟く。
「う、うっせえ……だってよ……確かなんかの本に書いてあったから――」
「そっ、そっ、そう言ったことは、その殿方の奥様方がすることですわあああああっ!」
顔を真っ赤にした五月が、梅の言い訳をさえぎってから説明をする。梅も深夜子も、その説明途中で察したらしく、耳まで真っ赤にして頭から湯気を上げている。
――結局、その後も上手い代案が出ることも無く、埒は明かない。最終的に、くじ引きで説明する者を決めるなんとも情けない結論となってしまった。……その結果、運悪く深夜子が当たりクジをゲット。説明役となって顔面蒼白である。
全員で決めたルールなので逃げ場は無し。意を決して朝日の元に向かうも、コミュニケーションを大の苦手とする深夜子。案の定、説明は要領を得ずグダグダになっていた。
「え、えと……み、深夜子さん? だから、その、この箱がどうしたのかな? ちょ、ちょっと理解できないんだけども……」
「あ、あわわわわ。そ、その、この箱が、あの……提出しなくちゃいけないけど。あっ、あたし、あたしじゃなくて、朝日君にこんなのして欲しいとは思わなくて、でも、どうしても……ひ、ひぐっ、あの、嫌いになら……いで、うえっ」
「ちょおっ!? な、なんで泣いてるの? え? てか、今のどこに泣く要素が?」
ついには半べそ状態になって、朝日に心配される始末である。
この後、気をきかせた朝日が深夜子にあれこれと質問する。最終的に、なんとなく察して「あー、うん。そんなのもあると思ってたよ。まあ、しょうがないよね」とあっさり受け入れたのだった。
「うえええええ……あしゃひくん。あたしのこと、嫌いに、嫌いにならないでえええええ」
「だから、もう泣かないで深夜子さん。僕、全然気にしてないから、ね、ね」
こんな感じで、扉の隙間からこっそり様子を伺っていた五月たちにとっても、肩透かしなほどあっさり決着はついた。まあ朝日のことなのでやっぱり、と二人は胸を撫で下ろす。しかし、深夜子だけは余程精神に負担だったのか、低めのテンションを引きずったまま、最後まで不安そうにしていた。
――さて、その晩。
実際、この精液提出についてまったく気にしていない朝日。すでにそんなことがあったと言う記憶すら頭から抜け去り、絶賛クリーチャーハンターをプレイ中である。
「うわぁ……またクエスト失敗だ。んー、やっぱソロじゃもう限界かなあ?」
そうひとりごちる。そろそろ一人プレイでは厳しいところまでゲームが進み、詰まり気味であった。どうしたものかと思いながら、朝日はふと時計を見上げる。
「あれ? いつもならそろそろ深夜子さんが手伝いに来てくれてる頃なのに……今日はどうしたんだろ?」
少し考えて、朝日はたまには自分の方から誘うことにした。時間的にも、ここから深夜子とガッツリ遊ぶため、先に風呂を済ませて来ようと一旦ゲームを終了する。
――片やこちらは、自室のベッドでダウン中の寝待深夜子さん。先ほどの一件で激しく消耗し、ぐったりである。ここ最近、日課のように朝日とゲームをしていたのだが、そんな日課すらも考えれないほどに精神が疲労していた。
今、深夜子の頭に浮かぶのは、朝日が精液採取を実際に行うとなった時に、やっぱり嫌だと思ったりしないだろうか? そして、そうなった時、依頼をした自分を嫌いになったりしないだろうか? ひたすら不安のみである。
――コンコン。
(!?)
不意に部屋の扉がノックされる音が響いた。そう、風呂を済ませた朝日が深夜子を誘いにやって来たのだ。
『あ、あの、深夜子さん。今……いいかな?』
「ふえ? あれ、朝日君!? どうしたの。……あっ! もしかして何かあった」
ドキリと心臓が跳ね、深夜子は急いで扉を開ける。すると風呂上がりの良い香りをさせた朝日が、パジャマ姿で立っていた。鼻をくすぐる甘美な芳香に、ついつい深夜子の表情もふにゃっと緩んでしまう。
「あの、お願いがあるんだけど」
「えっ……お願い?」
深夜子の脳裏に不安な想像がよぎる。緩んでいた表情も引き締まっていく。まさか、やはり、精液提出が辛くなって相談に来たのでは? ……と。
「うん。あのさ、一人じゃ無理そうなんで手伝って欲しいんだけど」
「………………」
「………………」
ああ、やはりそうか。精液採取が一人では無理なので、自分に手伝って欲し――。
「いいいいいいいっ!? てっ、ててててててててててててつだうっ!?」
これぞ衝撃の一言! 『手伝って欲しい、手伝って欲しい、手伝って……』深夜子の脳内で、朝日の言葉が木霊する。手伝う? アレの採取を? 自分が? どういうこと!? 理解が追いつかず深夜子は言葉に詰まる。
「あれ、もしかして深夜子さん今日は無理だっ――」
「無理じゃない無理じゃない全然無理じゃないむしろ手伝わせて超手伝わせてっ!!!」
人生最速の返答記録樹立。ここはキープだ。むしろ断る選択肢が存在しない。本能先輩と直感姉貴が頭の中でそう告げている。
「あはは……だ、大丈夫なんだ」
「あっ……でも、あたしが、あたしの、あたし……で、いいの?」
しかし、手伝いをする相手が自分で良いのか? 深夜子はつい念を押して聞いてしまった。なんせ処女ですから!
「え? そんなの深夜子さんでないと無理に決まってるじゃん」
ご指名いただきました。
「うひょおおおお!? あ、ああああ朝日君? そうなの!? あたしで無いと無理? キターーーーッ!! そうなんだああああああ! ふへっ、ふへへへ」
深夜子の脳内でクリーチャーハンターのオープニングテーマ曲がフルオーケストラで再生される。壮大でテンションが上がるいい曲ですよ。ハンター冥利に尽きますねっ!
「朝日君! あ、あたし頑張るから! ただ……そ、その上手く手伝えるかは……その……あにょ」
はりきってみたが、自分にはハードルが高い気もする。……いや、そんな弱気ではいけない。確かこんなシチュエーションもあったはず。数々のエロゲー、エロ動画で培った経験を活かすのだ! エロシチュエーションジャンルの脳内検索をかける。
「え? 深夜子さんなら舐めプでもいけるでしょ」
朝日が軽く返した。それはもう深夜子の腕前にゲーム進行度なら、自分の手伝いなど楽勝だろう。
「んなっ、ななななな舐めプレイ!? 舐めちゃっていい!? 今日の朝日君は舐められちゃう感じ!? うわーお」
朝日の名誉のため説明するが、物理的に舐めることでも無ければ、エロシチュエーションのジャンルでも無い。『舐めプ』とは手を抜いて余裕でプレイすると言うゲーム用語である。
「えっ? ああ、もちろん深夜子さんの気分次第でガチプレイしてもいいよ」
「はぐわっ!? がっ、ががががが、ガチ!? …………うぷわぁっ」
違う。そっちじゃない。
残念なことに深夜子の頭の中では、傷心の美少年に精液採取の手伝いを頼まれ、舐めプレイから本番のストーリーが完成しまった。これ、AV企画モノで一本いけますやん。考えるだけで、深夜子の行き場を失った熱い血潮が鼻から抜け出してしまう。
「あっ!? 深夜子さん鼻血! ほんと大丈夫? 今日やっぱり体調が悪いんじゃ?」
「全然! 全然そんなことないよ! 良すぎるくらい健康! 健康すぎて鼻血が元気!」
言葉の意味はよくわからないが、とにかくすごい元気に見える。深夜子の様子にまあいいか、と納得する朝日。そして、自分と深夜子。どちらの部屋もゲームプレイ環境はバッチリなので、希望を確認することにする。
「じゃあ、ここですぐしちゃう? それとも僕の部屋でする?」
「ちょっ!? すぐしちゃっ――はうっ、なんたる生々しい選択肢……」
恐るべき積極性。女の妄想を凝縮したかのごとき展開。深夜子はごくりと唾を飲み込む。
「えっ? な、なま?」
「んなあっ、あっ、いや、なんでもない、なんでもないから。そ、その朝日君の部屋で! うん。こ、こっちだと五月と梅ちゃんの部屋近いし」
「そうだね。もう夜だし、あんまうるさくすると迷惑だもんね。僕も熱中しちゃうと大きな声出ちゃうもんなぁ」
プレイヤー同士の声の掛け合いは、協力プレイには付き物ですよね。
「こ、え、が、で、ち、ゃ、う!?」
まずい。すでに会話だけで限界を向かえそうだ。しかし、深夜子は根性で耐える。この究極のクエストを失敗するなどあり得ない。一気に畳みかけに入る。
「そだ! あたしシャワー浴びて来ないと」
「お風呂まだだったんだ? ごめんね。じゃあ、準備して部屋で待ってるよ」
「らじゃ! それはもう光の速さで行ってくる」
「あはは。もう、深夜子さんたら、好きなんだから」
「ソンナコトナイヨー」
その後、シャワーを済ませピンクな期待で胸をいっぱいにして、朝日の部屋にルンルンで向かう深夜子であった。もう脳内で十回はフィニッシュまでシミュレーションした。やる気満々である。
一方、朝日の部屋には大量のおやつと冷えた飲み物が持ち込まれていた。ノートパソコンには攻略サイトが開かれ、万全な準備がしかれている。こちらも(ゲームを)やる気満々の朝日が待ち構えていることを、深夜子は知るよしもない。
「――おい、五月。さっき風呂場の前で深夜子の奴とすれ違ったんだけどよ。『あたしは大人の階段をのぼるシンデレラ~♪』とか変な歌をうたいながらスキップしてやがったけど……大丈夫かよアイツ?」
「それは何がどうなったらそうなるんですの? 深夜子さん……ついにアホにターボでも搭載しましたの?」
「さあな、ま、幸せそうだったしいいんじゃねぇか? アイツ昼はこの世の終わりみたく落ち込んでたしな」
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