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第五章 特殊保護事例Ⅹ案件~五月雨家へようこそ!
第四十八話 五月雨五月、苦悩する
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「んで……どうするつもりだよ? 五月」
「そっ、それは……」
机で頬杖をついている梅がジトッとした視線を投げかけながら五月に問いかける。しかし、五月はそれに答えることはできず、下唇を噛み押し黙ってしまった。
それもそのはず。この世界では、女性が男性を自分の家に泊まるように誘うなど、ありえるものではない。例えるなら、蟻に対して『ねえ、ちょっとそこのアリ地獄によってかない?』と言っているに等しい。それどころか、今回は男性に無断で決定事項ともなれば、世間から男性の人権迫害と糾弾されてもおかしくない案件である。
現在、五月の頭の中は脳が焼き切れんばかりに葛藤中だ。朝日ならば、あるいは理解してくれるかも……いや、いくらなんでも今回はまずい……とにもかくにも結論が出ない。今さら新月に断る道筋も断たれており、まさに八方ふさがりであった。
一方で深夜子と梅は、この現状が朝日を確実に守る手段実行の結果、仕方がないというのは理解できる。一人悩み、だんだんと憔悴していく五月の姿に同情も覚える。顔を見合わせ、小声で少し相談をしてから、梅が五月の肩に手を置き語りかけた。
「まあよ……五月。いっつもお前にばっか手間なことさせてっからな。たまにゃ――なっ、深夜子!」
「そう。五月、あたしたちが朝日君に説明する」
日ごろ、実務という実務のほとんどを五月が処理している。善し悪しはともかく、たまにはこういった役割を二人が請け負うのが、人として正しい道であろう。いかに深夜子と梅でも、察してしかるべき場面である。
「ええっ!? や、大和さん! 深夜子さん!」
その意外な発言に驚いた五月はカバッと顔を上げ、喜びの表情を浮かべながら二人を見る――のだが、何か思うところがあるのか、緩やかに表情が喜びから平坦へと変わってゆく。
深夜子を見つめる――。
(対話、交渉スキルゼロの半コミュ障……)
梅を見つめる――。
(脳筋、まごうことなき脳筋……)
「「「………………」」」
しばしの沈黙の後、暗く視線を落とした五月が重い口を開く。
「…………あっ、はい……よろしく……お願い……しますわ……」
「おいてめえ! 今ものすげえ失礼なこと考えただろ!?」
「よくわからないけど訴訟も辞さない」
そんな五月の不安をよそに、深夜子と梅は彼女らなりに対応を真剣に話し合い始めた。それを見た五月は少し面映ゆい気分になる。そして声には出さず、心の中で深夜子たちへの感謝の言葉を口にした。
さて、二人の出した朝日への説明方法の結論は……。
「決まりだぜ! やっぱ、こんなときゃあ小細工無しでストレートが一番ってな!!」
「さすが梅ちゃん。ならば朝日君の待つリビングまで、走れ正直者!」
「いやあああああああっ!」
まあ、そんなものである。
――十分後。
「あのさぁ……僕が聞いているのって、そこじゃないよね」
滅多にない、朝日の怒り交じりの冷たい声が部屋に響く。
「「「ひいいいいっ!!」」」
結局五月も含め、三人揃って見事に土下座中だ。正面に仁王立ちする朝日の顔は笑ってはいるが、目は全然、まったく笑っていない。話がこじれる原因となった二人が朝日を宥めようと努力はするが――。
「だからよ朝日。その……五月にも悪気があったわけ――」
「梅ちゃんは黙ってて!」
「ひいっ」
その剣幕にびびってしまう梅。
「あ、朝日君。お、落ち着いて――」
「深夜子さんも黙ってて!」
「ありがとうございます」
ご褒美になっている深夜子。
二人を両脇に避けさせ、真っ青になって顔面脂汗まみれの五月につかつかと近寄る。
「で……五月さん。どうして黙ってたんですか?」
「お許しを……お許しを……」
床につっぷして、ひたすらに許しを請う五月。どうやら話がすれ違いになっているらしく、朝日は困った顔をしている。
「もう、五月さん。だから言ってるじゃないですか、僕は謝って欲しいなんて言ってないです」
今、朝日が問いただしている『黙っていたこと』とは『五月の母、新月に後見人依頼をしたこと』である。当然、五月の実家に泊まりに行くことを怒っているのではない。
自分のため、五月の母に手間をかけさせたこと、それを知らなかった、知らされなかった事実に怒っているのだ。朝日にすれば、五月雨家に御礼訪問することは何も不自然でない。むしろ自発的にするべきだと考えている。朝日は礼儀正しい日本男児なのだ!
一方の五月たちは、朝日のそんな考えなど知るよしもない。『実は五月の実家に強制お泊まりすることになっちゃいました。てへっ!』と言うことに怒ったと受け取ったのだ。そのため、朝日との会話が噛み合うわけもなく、ひたすらすれ違いが続くこと数分。
哀れ五月の精神耐久力は限界を迎えてしまう。
「ふふ……うふふふっ……朝日様……五月はもう、すっかり疲れ切ってしまいましたわ……ああ、五月は……五月は朝日様のそばで暮らしとうございました」
そう言うと、五月はテーブルに置いてあった果物ナイフに手に伸ばす。涙を流しながら、穏やかな笑顔を朝日に向け、その切っ先を自分の――。
「ちょっとおおおおお! 深夜子さん! 梅ちゃん! さっ、五月さんがまた勘違いしてるーーーっ!!」
「ぬわーーっ、五月ご乱心!」
「うぉぉい五月! さすがにシャレになんねえぞ、てめえ!」
「もうっ、もうっ、五月は死んでお詫びするしかありませんの! 朝日様ッ! どうかこれで五月をお許しくださいませーーーっ!」
「五月さんやめてえーーーっ!!」
ちょっと重たい系女子から、とても重たい系女子へしっかり進化中の五月であった。その後、三人がかりでの説得と説明が続くこと三十分。とりあえず全員の意思疎通は完了した。
――それから数日後。出発当日の朝がやってくる。
迎えは午後四時到着の予定となっており、時間近くになる頃に、玄関で荷物を準備しながら待つ。時間五分前、迎えに来た車は日本基準で言う超高級車リンカーンだ。ちなみにお値段は五千万円。
玄関近くの駐車場に車を止め、運手席から出てきたのは、黒の高級スーツと、紫柄のネクタイで身を包む身長175センチほどの女性。細めながらモデル並みのスタイルで、歩く姿も様になっている。五月雨コーポレーション社長秘書室長『播古田蘭子』三十歳である。
髪型はオールバックで、腰まである美しい漆黒のストレートヘア。サングラスをはずすと、少しアイシャドウがきつめだが、目力に溢れた切れ長の目が現れた。朝日は彼女を見て、宝塚の男役トップスターを思い浮かべる。五月と方向性は違うが、今まで出会った女性の中でもトップクラスの美形だった。
「お久しぶりね。蘭子さん」
「こうしてお会いするのは……四年ぶりでしょうか? 五月お嬢様。おかわりなく――いえ。より、お美しくなられましたね」
「んだぁ? また気障なヤロウだな」
「ふふっ、これはこれは、中々に元気なお嬢さんだ」
悪態をつく梅を見ても、蘭子は余裕を持って軽く受け流す。お互い、それ以上何を言うわけでもない。そして梅は黙って五月の側へと近づく。
「おい、五月」
「なんですの?」
「あいつ、相当やるだろ?」
「あら? さすがですわね。蘭子さんはお母様の秘書室長兼護衛部隊の隊長ですわ」
「ふーん。やっぱりそうかよ。一度手合わせしてみてえな……まっ、とりあえず荷物積んどくぜ」
そう言うと梅は蘭子から視線を外し、車のトランクに荷物を積み始めた。蘭子は車から離れ、朝日の前へと近づいて、丁寧に一礼をする。
「神崎朝日様、初めてお目にかかります。本日、お迎えに上がりました播古田蘭子と申します」
「こんにちは、神崎朝日です。今日はよろしくお願いしますね」
ここまで一分の隙もなく、流れるように華麗な所作を見せていた蘭子だったが、挨拶を返した朝日を見て動きを止める。しばし見つめると、軽くため息を一つこぼした。
「なるほどお噂通り……いや、噂以上にお美しい。この私ですら心を奪われんかと思うほどの美貌。貴方を五月雨家までご案内できること、光栄に思います」
なんとも歯の浮くようなセリフと共に、朝日の前で膝まづき、その左手を取って甲にキスをした。
「えっ!?」
「んなあっ!? ちょっと待ったあっ!」
宝塚っぽい人だが行動までもか、と少し驚く朝日だが、あまりにも堂に入った蘭子の一連の動作に不快感は覚えなかった。ところがそうはいかない深夜子は、当然の如く間に割って入る。
「これはセクハラで立件もの。朝日君、大丈夫? あっ、あとでそこあたしが舐めて消毒してあげる」
「それ貴女も立件ものですわよねっ!?」
梅は荷物の積み込み中で気づいてないが、同じく五月はその場面を目撃している。だが、何故か気に止めていないようだ。
朝日の前に立った深夜子は、その猛禽類のような目をより鋭くして、睨みをきかせ威嚇する。しかし、なんと蘭子はつかつかと深夜子へ近寄ってゆき、クイッと顎に指をかけて持ち上げ、まじまじとその顔を見つめた。
「うええええええっ!?」
「フフッ……なんとも気の強いツバメちゃんだね。それに、君のその力強い目つき……私の好みだよ! 歳はいくつだい?」
「んななななななな、ちょっ、五月……ま、まさかこの人?」
播古田蘭子三十歳、モノホンのガチ百合である。
「はぁ……蘭子さん! 戯れるのはそのくらいで」
「これは失礼しました。深夜子さん……と言ったね。五月雨家にお泊まりの間、私でよろしければ何時でもお相手しますよ」
蘭子はウィンクしながら、チラリと舌をのぞかせた。
「ンノオオオオオオッ!!」
――深夜子。めでたくターゲットになったようである。
「そっ、それは……」
机で頬杖をついている梅がジトッとした視線を投げかけながら五月に問いかける。しかし、五月はそれに答えることはできず、下唇を噛み押し黙ってしまった。
それもそのはず。この世界では、女性が男性を自分の家に泊まるように誘うなど、ありえるものではない。例えるなら、蟻に対して『ねえ、ちょっとそこのアリ地獄によってかない?』と言っているに等しい。それどころか、今回は男性に無断で決定事項ともなれば、世間から男性の人権迫害と糾弾されてもおかしくない案件である。
現在、五月の頭の中は脳が焼き切れんばかりに葛藤中だ。朝日ならば、あるいは理解してくれるかも……いや、いくらなんでも今回はまずい……とにもかくにも結論が出ない。今さら新月に断る道筋も断たれており、まさに八方ふさがりであった。
一方で深夜子と梅は、この現状が朝日を確実に守る手段実行の結果、仕方がないというのは理解できる。一人悩み、だんだんと憔悴していく五月の姿に同情も覚える。顔を見合わせ、小声で少し相談をしてから、梅が五月の肩に手を置き語りかけた。
「まあよ……五月。いっつもお前にばっか手間なことさせてっからな。たまにゃ――なっ、深夜子!」
「そう。五月、あたしたちが朝日君に説明する」
日ごろ、実務という実務のほとんどを五月が処理している。善し悪しはともかく、たまにはこういった役割を二人が請け負うのが、人として正しい道であろう。いかに深夜子と梅でも、察してしかるべき場面である。
「ええっ!? や、大和さん! 深夜子さん!」
その意外な発言に驚いた五月はカバッと顔を上げ、喜びの表情を浮かべながら二人を見る――のだが、何か思うところがあるのか、緩やかに表情が喜びから平坦へと変わってゆく。
深夜子を見つめる――。
(対話、交渉スキルゼロの半コミュ障……)
梅を見つめる――。
(脳筋、まごうことなき脳筋……)
「「「………………」」」
しばしの沈黙の後、暗く視線を落とした五月が重い口を開く。
「…………あっ、はい……よろしく……お願い……しますわ……」
「おいてめえ! 今ものすげえ失礼なこと考えただろ!?」
「よくわからないけど訴訟も辞さない」
そんな五月の不安をよそに、深夜子と梅は彼女らなりに対応を真剣に話し合い始めた。それを見た五月は少し面映ゆい気分になる。そして声には出さず、心の中で深夜子たちへの感謝の言葉を口にした。
さて、二人の出した朝日への説明方法の結論は……。
「決まりだぜ! やっぱ、こんなときゃあ小細工無しでストレートが一番ってな!!」
「さすが梅ちゃん。ならば朝日君の待つリビングまで、走れ正直者!」
「いやあああああああっ!」
まあ、そんなものである。
――十分後。
「あのさぁ……僕が聞いているのって、そこじゃないよね」
滅多にない、朝日の怒り交じりの冷たい声が部屋に響く。
「「「ひいいいいっ!!」」」
結局五月も含め、三人揃って見事に土下座中だ。正面に仁王立ちする朝日の顔は笑ってはいるが、目は全然、まったく笑っていない。話がこじれる原因となった二人が朝日を宥めようと努力はするが――。
「だからよ朝日。その……五月にも悪気があったわけ――」
「梅ちゃんは黙ってて!」
「ひいっ」
その剣幕にびびってしまう梅。
「あ、朝日君。お、落ち着いて――」
「深夜子さんも黙ってて!」
「ありがとうございます」
ご褒美になっている深夜子。
二人を両脇に避けさせ、真っ青になって顔面脂汗まみれの五月につかつかと近寄る。
「で……五月さん。どうして黙ってたんですか?」
「お許しを……お許しを……」
床につっぷして、ひたすらに許しを請う五月。どうやら話がすれ違いになっているらしく、朝日は困った顔をしている。
「もう、五月さん。だから言ってるじゃないですか、僕は謝って欲しいなんて言ってないです」
今、朝日が問いただしている『黙っていたこと』とは『五月の母、新月に後見人依頼をしたこと』である。当然、五月の実家に泊まりに行くことを怒っているのではない。
自分のため、五月の母に手間をかけさせたこと、それを知らなかった、知らされなかった事実に怒っているのだ。朝日にすれば、五月雨家に御礼訪問することは何も不自然でない。むしろ自発的にするべきだと考えている。朝日は礼儀正しい日本男児なのだ!
一方の五月たちは、朝日のそんな考えなど知るよしもない。『実は五月の実家に強制お泊まりすることになっちゃいました。てへっ!』と言うことに怒ったと受け取ったのだ。そのため、朝日との会話が噛み合うわけもなく、ひたすらすれ違いが続くこと数分。
哀れ五月の精神耐久力は限界を迎えてしまう。
「ふふ……うふふふっ……朝日様……五月はもう、すっかり疲れ切ってしまいましたわ……ああ、五月は……五月は朝日様のそばで暮らしとうございました」
そう言うと、五月はテーブルに置いてあった果物ナイフに手に伸ばす。涙を流しながら、穏やかな笑顔を朝日に向け、その切っ先を自分の――。
「ちょっとおおおおお! 深夜子さん! 梅ちゃん! さっ、五月さんがまた勘違いしてるーーーっ!!」
「ぬわーーっ、五月ご乱心!」
「うぉぉい五月! さすがにシャレになんねえぞ、てめえ!」
「もうっ、もうっ、五月は死んでお詫びするしかありませんの! 朝日様ッ! どうかこれで五月をお許しくださいませーーーっ!」
「五月さんやめてえーーーっ!!」
ちょっと重たい系女子から、とても重たい系女子へしっかり進化中の五月であった。その後、三人がかりでの説得と説明が続くこと三十分。とりあえず全員の意思疎通は完了した。
――それから数日後。出発当日の朝がやってくる。
迎えは午後四時到着の予定となっており、時間近くになる頃に、玄関で荷物を準備しながら待つ。時間五分前、迎えに来た車は日本基準で言う超高級車リンカーンだ。ちなみにお値段は五千万円。
玄関近くの駐車場に車を止め、運手席から出てきたのは、黒の高級スーツと、紫柄のネクタイで身を包む身長175センチほどの女性。細めながらモデル並みのスタイルで、歩く姿も様になっている。五月雨コーポレーション社長秘書室長『播古田蘭子』三十歳である。
髪型はオールバックで、腰まである美しい漆黒のストレートヘア。サングラスをはずすと、少しアイシャドウがきつめだが、目力に溢れた切れ長の目が現れた。朝日は彼女を見て、宝塚の男役トップスターを思い浮かべる。五月と方向性は違うが、今まで出会った女性の中でもトップクラスの美形だった。
「お久しぶりね。蘭子さん」
「こうしてお会いするのは……四年ぶりでしょうか? 五月お嬢様。おかわりなく――いえ。より、お美しくなられましたね」
「んだぁ? また気障なヤロウだな」
「ふふっ、これはこれは、中々に元気なお嬢さんだ」
悪態をつく梅を見ても、蘭子は余裕を持って軽く受け流す。お互い、それ以上何を言うわけでもない。そして梅は黙って五月の側へと近づく。
「おい、五月」
「なんですの?」
「あいつ、相当やるだろ?」
「あら? さすがですわね。蘭子さんはお母様の秘書室長兼護衛部隊の隊長ですわ」
「ふーん。やっぱりそうかよ。一度手合わせしてみてえな……まっ、とりあえず荷物積んどくぜ」
そう言うと梅は蘭子から視線を外し、車のトランクに荷物を積み始めた。蘭子は車から離れ、朝日の前へと近づいて、丁寧に一礼をする。
「神崎朝日様、初めてお目にかかります。本日、お迎えに上がりました播古田蘭子と申します」
「こんにちは、神崎朝日です。今日はよろしくお願いしますね」
ここまで一分の隙もなく、流れるように華麗な所作を見せていた蘭子だったが、挨拶を返した朝日を見て動きを止める。しばし見つめると、軽くため息を一つこぼした。
「なるほどお噂通り……いや、噂以上にお美しい。この私ですら心を奪われんかと思うほどの美貌。貴方を五月雨家までご案内できること、光栄に思います」
なんとも歯の浮くようなセリフと共に、朝日の前で膝まづき、その左手を取って甲にキスをした。
「えっ!?」
「んなあっ!? ちょっと待ったあっ!」
宝塚っぽい人だが行動までもか、と少し驚く朝日だが、あまりにも堂に入った蘭子の一連の動作に不快感は覚えなかった。ところがそうはいかない深夜子は、当然の如く間に割って入る。
「これはセクハラで立件もの。朝日君、大丈夫? あっ、あとでそこあたしが舐めて消毒してあげる」
「それ貴女も立件ものですわよねっ!?」
梅は荷物の積み込み中で気づいてないが、同じく五月はその場面を目撃している。だが、何故か気に止めていないようだ。
朝日の前に立った深夜子は、その猛禽類のような目をより鋭くして、睨みをきかせ威嚇する。しかし、なんと蘭子はつかつかと深夜子へ近寄ってゆき、クイッと顎に指をかけて持ち上げ、まじまじとその顔を見つめた。
「うええええええっ!?」
「フフッ……なんとも気の強いツバメちゃんだね。それに、君のその力強い目つき……私の好みだよ! 歳はいくつだい?」
「んななななななな、ちょっ、五月……ま、まさかこの人?」
播古田蘭子三十歳、モノホンのガチ百合である。
「はぁ……蘭子さん! 戯れるのはそのくらいで」
「これは失礼しました。深夜子さん……と言ったね。五月雨家にお泊まりの間、私でよろしければ何時でもお相手しますよ」
蘭子はウィンクしながら、チラリと舌をのぞかせた。
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