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第六章 おいでよ!男性保護省の巻
第六十八話 トラウマと朝日の特別訓練
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寧々音は動きが停止してから少しの間、床に突っ伏し肩で息をしていた。だが、落ち着いたのか、パンパンとジャージの誇りをはたきながら立ち上がる。
「ふう……ま、まずまずかしら」
「全然まずまずじゃねーよっ!?」
「目測で九メートル。これが限界距離みたいっスね」
強がってはいるものの、足腰がおぼつかない。産まれたての子鹿状態である。
「くっ……や、大和先輩!」
それでも何か思うことがあるらしく、ビシッと梅を指差す。
「あん、なんだよ。よくも騙したな、とでも言うつもりかよ? お前の訓練だ――」
「男の人に女の手を握らせるとか、何を考えているの!?」
「はあっ!?」
「かっ、かっ、神崎さんがお婿に行けなくなったらどうするつもり!?」
「はああああっ!?」
寧々音は顔を真っ赤にして、もじもじとしながら話を続ける。
「も、もう……私、私。責任を取って神崎さんと結婚するしか――」
「ちょっと待てえええええ! どんな思考してやがんだよっ!?」
「だって……男と女が……手を……繋ぐなんて……ひゃん」
何やら恥ずかしさに耐えられなくなったらしく、両手で顔を覆いその場に座り込んでしまった。
「おい矢地……もしかしてこいつ?」
「閣下の言っていた箱入り娘は本当の意味だったか……」
「ここまで行くとむしろ面白いっスね」
梅の想像通り。寧々音は男性への性的知識がやたら乏しかった。もちろん原因はトラウマに起因する。
この世界の女性が思春期ともなれば、男性への性的興味は尋常ではない。それはもう貪るように知識も求める。医学書すらエロ本扱いだ。医学書に謝るべきである。
ところが寧々音はトラウマが原因で性的知識に興味はあれど、求めることができなかった。つまりは男性に対する苦手意識に加え、稚拙な性的知識と言う二重苦持ちなのだ。
ここで悲劇と言うか、仕方ないと言うべきか。矢地たちは目に見えるそれを問題の原因と捉える。無論、本質であるトラウマは寧々音が語らない限り認識することはできない。
――よって以降に行われた特別訓練の内容は。
「ふおおおおおおお!? あ、朝日さん、指っ、絡めてっ、ちょっ!? あっ、姐さん? 手を握るだけって――むひょおおおおおおっス!!」
「おら餡子! 一分は持たせろよ。手本になんねーだろうが!」
早速、朝日から恋人繋ぎの洗礼を受けている餡子を一番手に『美少年とのスキンシップお手本見学会』開催。恥ずかしがる十四歳乙女に色々と見せつける。日本の一部紳士諸兄からは評価が得られそうなシチュエーションである。
「あっ、ああああんなに、おっ、男の人と女の指がっ、濃密に求めあって、絡みあっ――いやあああっ、えっちいいいいいい!」
と言いつつも、ついつい凝視してしまう十四歳思春期真っ盛り。
――続いて。
「おい矢地。今度は協力して貰うぜ。人目もねえから問題ないだろ」
「少しやり過ぎな気もするが……仕方あるまい。まあ、既婚者である私の方が神崎君も相手として安心だろう。では笠霧、よく見ておくように」
既婚者の風格を漂わす矢地に、朝日は遠慮の必要なしと判断する。手を繋ぐつもりでのばした矢地の手をするりとかわし、その腕に絡みついてぎゅっと抱きついた。恋人繋ぎの上を行くラブラブ恋人腕組みを披露する。
「ほら笠霧。矢地だって訓練だったらこのくらいすんだからよ。お前の感覚は――」
「かっ、かかかかかか神崎君? そんな積極的に? も、もしかして!? ダ、ダメ! 私には夫が……夫がいるのっ!!」
「てめえが折れてどうすんだああああああ!?」
開始数分で二人がグロッキー状態となる。早くも残るは朝日現役担当の梅のみ。ここは慎重にお手本を見せたい。
「ねえ、梅ちゃん。さっきから気になってるんだけど、笠霧さんの問題ってこれで治るの?」
「ん? つか、これ以外に何があんだ? それに短時間で男慣れさせるにゃあ、ちっと過激に行くしかねえだろ」
「そっかなぁ……。まあ、それで梅ちゃんとは何するの? あっ! ふふん。もしかしてキスとか? いつもみたいに」
朝日が小悪魔的笑みを梅へと向ける。寧々音にもチラッと視線を送るのがポイントだ。
「きっ、きききききききしゅううう!?」
寧々音の乳白色の肌が瞳と同じ紅に染まる。
「いつも言うなああああああっ! おい、笠霧。冗談だからな、本気に――」
「やっ、大和先輩の痴女ぉっ! あっ、あっ…………赤ちゃんができたらどうするつもりなのおおおおおお!?」
「できるかあああああああ!!」
――こんな調子で、あれこれと試すが改善の気配は一向に見えない。もう打つ手なしではないか? 矢地を筆頭に梅、餡子ら三人にあきらめムードが漂う。そんな中、朝日だけは何か思案に暮れている。
「もう時間が無いな。ここまでか……」
腕時計を確認して矢地が呟く。
「あれだけやって縮んだ距離が二十センチっスか……これ、もう無理じゃないっスかね?」
「おいおい。これだといくら優秀でも使いもんにならねーじゃねえか?」
「!?」
『使い物にならない』その一言が寧々音の胸に突き刺さる。フルフルと肩を震わせ、きゅっと下唇を噛み締めた。
――薄々気づき始めていた。自分はMapsには適していない。いや、このトラウマを背負って男性警護など、夢のまた夢であることを。では、過去のトラウマをキッカケに今まで努力して来たことは? 全てが無意味!? 十四歳の少女には充分な絶望であった。
その濃紅の瞳からつうっと一筋の涙が流れ落ちる。
「ひっ……ひぐっ、うえ……うえええええええ」
その場に崩れ落ちるように座り込んで号泣を始める寧々音だった。
「ちょっと、姐さん言い過ぎっスよ」
「なっ? おっ、お前だってもう無理とか言ってたじゃねえか」
バツが悪そうに擦りつけ合う二人の前に矢地が出る。
「……笠霧そんなに落ち込むな。今回は無理だったがダメと決まった訳ではない。さあ、今日はもうこれで終了にしよう」
「あっ、矢地さん。ちょっと待って下さい!」
先ほどから黙って寧々音を見つめ、何かを考えていた朝日が口を開いた。
「どうした神崎君?」
「ちょっと気になることがあるんです。だから笠霧さんと話をさせてください」
朝日は元々、人の顔色を伺うタイプの性格である。寧々音の細かい仕草や言動――何よりも深夜子にどこか重なる印象を途中から感じていた。男性に対する苦手意識。恥ずかしいとか、純情とか、そう言ったものでは無いと直感的に理解したのだ。
「おい、朝日。つってもあんなザマでどうするんだよ?」
「ううん。今の方がいいと思う。普通の時だったら近づくのも大変そうだしね」
座り込んで号泣している寧々音の前で、高さを合わせてしゃがみ込む。
「ねえ、笠霧さん」
「うえっ? あ、あひっ!? か、かか神崎しゃん。らめ……わらしは……あぐううう」
泣きじゃくりながら朝日に気づく寧々音だが、ぐちゃぐちゃの感情が逆に作用しているのか、最低限のコミュニケーションは取れている。
「聞いて……君はまだ十四歳なんでしょ? それでMapsの学校で一番って凄いことだと思うよ」
ゆっくり、優しく、語りかけるように言い聞かせる。
「それに何よりも君の目の色と髪の色――」
核心に触れる。
朝日がそう告げた瞬間! 寧々音の身体が、びくりと強く跳ねあがるように反応した。伏せていた顔をゆっくりとあげ、目を見開いて朝日を見つめる。全身を小刻みに震わせ、怯えた表情は奈落の底でも見つめているかのようだ。
「――すごく綺麗で、すごく可愛いと思うよ!」
「…………………………………………えっ!?」
ピタリと震えが止まり、寧々音は呆然と朝日の顔を見上げた。そんな彼女の頭を朝日は優しくなでる。白金の細くさらりとした髪がとても心地よい。
「髪の毛もとっても綺麗。ふふふ、僕もこんな妹が欲しかったなぁ」
「そこは相変わらずだな、おい」
朝日お兄ちゃんモード健在!
「綺麗……私の目の色が、綺麗?」
「うん」
「綺麗……私の髪の色も、綺麗?」
「うん、そうだね」
寧々音の内で甲高い金属音が響く。何かをがんじがらめにしていた”トラウマと言う名の鎖”が砕け散る。
「か、かわ……い、私が可愛い?」
「うん。すごく可愛いと思うよ。妹みたい」
呪縛が解ける。翼でも生えたかのように身体が軽い。天に、そう! 天に向けて飛んで行ける。いや、今、寧々音は天に向かって飛んでいるのだ!
「うっ!? ――――コヒュッ!」
突然、寧々音が力なく崩れ落ちる。
「うえっ!? ちょっ、ちょっと笠霧さん? か、顔が真っ青? 息してない? うっ、梅ちゃん! 餡子ちゃーん!」
朝日のヘルプに梅たちが駆け寄る。
「おいおい、笠霧。息しろって、餡子じゃあるまいし……ん? あれ? ――――心臓止まってんじゃねえかあああああ!?」
「「「えええええ(っス)!?」」」
本当に天に向かっていた。
「なにいっ!? これはいかん! すぐに蘇生を行うぞ。梅、餅月急げっ!」
「どんだけ手間かけんだよ! あー、気道確保して胸骨圧迫だったっけか?」
「AED! AED! っス!」
朝日によるショック療法ならぬ、ショック死療法であった――。
『笠霧寧々音』十四歳。
これより二年と数ヶ月後――男性への苦手意識も克服し、彼女はM校史上最高成績を収めて卒業。見事SランクMapsとして配属されることになる。
そんな彼女が在学中、口癖のように語っていたのは『愛しのお兄様』の担当になる。であったと言う。本当に『愛しのお兄様』の担当になれたのか? それはまた別の物語である。
「ふう……ま、まずまずかしら」
「全然まずまずじゃねーよっ!?」
「目測で九メートル。これが限界距離みたいっスね」
強がってはいるものの、足腰がおぼつかない。産まれたての子鹿状態である。
「くっ……や、大和先輩!」
それでも何か思うことがあるらしく、ビシッと梅を指差す。
「あん、なんだよ。よくも騙したな、とでも言うつもりかよ? お前の訓練だ――」
「男の人に女の手を握らせるとか、何を考えているの!?」
「はあっ!?」
「かっ、かっ、神崎さんがお婿に行けなくなったらどうするつもり!?」
「はああああっ!?」
寧々音は顔を真っ赤にして、もじもじとしながら話を続ける。
「も、もう……私、私。責任を取って神崎さんと結婚するしか――」
「ちょっと待てえええええ! どんな思考してやがんだよっ!?」
「だって……男と女が……手を……繋ぐなんて……ひゃん」
何やら恥ずかしさに耐えられなくなったらしく、両手で顔を覆いその場に座り込んでしまった。
「おい矢地……もしかしてこいつ?」
「閣下の言っていた箱入り娘は本当の意味だったか……」
「ここまで行くとむしろ面白いっスね」
梅の想像通り。寧々音は男性への性的知識がやたら乏しかった。もちろん原因はトラウマに起因する。
この世界の女性が思春期ともなれば、男性への性的興味は尋常ではない。それはもう貪るように知識も求める。医学書すらエロ本扱いだ。医学書に謝るべきである。
ところが寧々音はトラウマが原因で性的知識に興味はあれど、求めることができなかった。つまりは男性に対する苦手意識に加え、稚拙な性的知識と言う二重苦持ちなのだ。
ここで悲劇と言うか、仕方ないと言うべきか。矢地たちは目に見えるそれを問題の原因と捉える。無論、本質であるトラウマは寧々音が語らない限り認識することはできない。
――よって以降に行われた特別訓練の内容は。
「ふおおおおおおお!? あ、朝日さん、指っ、絡めてっ、ちょっ!? あっ、姐さん? 手を握るだけって――むひょおおおおおおっス!!」
「おら餡子! 一分は持たせろよ。手本になんねーだろうが!」
早速、朝日から恋人繋ぎの洗礼を受けている餡子を一番手に『美少年とのスキンシップお手本見学会』開催。恥ずかしがる十四歳乙女に色々と見せつける。日本の一部紳士諸兄からは評価が得られそうなシチュエーションである。
「あっ、ああああんなに、おっ、男の人と女の指がっ、濃密に求めあって、絡みあっ――いやあああっ、えっちいいいいいい!」
と言いつつも、ついつい凝視してしまう十四歳思春期真っ盛り。
――続いて。
「おい矢地。今度は協力して貰うぜ。人目もねえから問題ないだろ」
「少しやり過ぎな気もするが……仕方あるまい。まあ、既婚者である私の方が神崎君も相手として安心だろう。では笠霧、よく見ておくように」
既婚者の風格を漂わす矢地に、朝日は遠慮の必要なしと判断する。手を繋ぐつもりでのばした矢地の手をするりとかわし、その腕に絡みついてぎゅっと抱きついた。恋人繋ぎの上を行くラブラブ恋人腕組みを披露する。
「ほら笠霧。矢地だって訓練だったらこのくらいすんだからよ。お前の感覚は――」
「かっ、かかかかかか神崎君? そんな積極的に? も、もしかして!? ダ、ダメ! 私には夫が……夫がいるのっ!!」
「てめえが折れてどうすんだああああああ!?」
開始数分で二人がグロッキー状態となる。早くも残るは朝日現役担当の梅のみ。ここは慎重にお手本を見せたい。
「ねえ、梅ちゃん。さっきから気になってるんだけど、笠霧さんの問題ってこれで治るの?」
「ん? つか、これ以外に何があんだ? それに短時間で男慣れさせるにゃあ、ちっと過激に行くしかねえだろ」
「そっかなぁ……。まあ、それで梅ちゃんとは何するの? あっ! ふふん。もしかしてキスとか? いつもみたいに」
朝日が小悪魔的笑みを梅へと向ける。寧々音にもチラッと視線を送るのがポイントだ。
「きっ、きききききききしゅううう!?」
寧々音の乳白色の肌が瞳と同じ紅に染まる。
「いつも言うなああああああっ! おい、笠霧。冗談だからな、本気に――」
「やっ、大和先輩の痴女ぉっ! あっ、あっ…………赤ちゃんができたらどうするつもりなのおおおおおお!?」
「できるかあああああああ!!」
――こんな調子で、あれこれと試すが改善の気配は一向に見えない。もう打つ手なしではないか? 矢地を筆頭に梅、餡子ら三人にあきらめムードが漂う。そんな中、朝日だけは何か思案に暮れている。
「もう時間が無いな。ここまでか……」
腕時計を確認して矢地が呟く。
「あれだけやって縮んだ距離が二十センチっスか……これ、もう無理じゃないっスかね?」
「おいおい。これだといくら優秀でも使いもんにならねーじゃねえか?」
「!?」
『使い物にならない』その一言が寧々音の胸に突き刺さる。フルフルと肩を震わせ、きゅっと下唇を噛み締めた。
――薄々気づき始めていた。自分はMapsには適していない。いや、このトラウマを背負って男性警護など、夢のまた夢であることを。では、過去のトラウマをキッカケに今まで努力して来たことは? 全てが無意味!? 十四歳の少女には充分な絶望であった。
その濃紅の瞳からつうっと一筋の涙が流れ落ちる。
「ひっ……ひぐっ、うえ……うえええええええ」
その場に崩れ落ちるように座り込んで号泣を始める寧々音だった。
「ちょっと、姐さん言い過ぎっスよ」
「なっ? おっ、お前だってもう無理とか言ってたじゃねえか」
バツが悪そうに擦りつけ合う二人の前に矢地が出る。
「……笠霧そんなに落ち込むな。今回は無理だったがダメと決まった訳ではない。さあ、今日はもうこれで終了にしよう」
「あっ、矢地さん。ちょっと待って下さい!」
先ほどから黙って寧々音を見つめ、何かを考えていた朝日が口を開いた。
「どうした神崎君?」
「ちょっと気になることがあるんです。だから笠霧さんと話をさせてください」
朝日は元々、人の顔色を伺うタイプの性格である。寧々音の細かい仕草や言動――何よりも深夜子にどこか重なる印象を途中から感じていた。男性に対する苦手意識。恥ずかしいとか、純情とか、そう言ったものでは無いと直感的に理解したのだ。
「おい、朝日。つってもあんなザマでどうするんだよ?」
「ううん。今の方がいいと思う。普通の時だったら近づくのも大変そうだしね」
座り込んで号泣している寧々音の前で、高さを合わせてしゃがみ込む。
「ねえ、笠霧さん」
「うえっ? あ、あひっ!? か、かか神崎しゃん。らめ……わらしは……あぐううう」
泣きじゃくりながら朝日に気づく寧々音だが、ぐちゃぐちゃの感情が逆に作用しているのか、最低限のコミュニケーションは取れている。
「聞いて……君はまだ十四歳なんでしょ? それでMapsの学校で一番って凄いことだと思うよ」
ゆっくり、優しく、語りかけるように言い聞かせる。
「それに何よりも君の目の色と髪の色――」
核心に触れる。
朝日がそう告げた瞬間! 寧々音の身体が、びくりと強く跳ねあがるように反応した。伏せていた顔をゆっくりとあげ、目を見開いて朝日を見つめる。全身を小刻みに震わせ、怯えた表情は奈落の底でも見つめているかのようだ。
「――すごく綺麗で、すごく可愛いと思うよ!」
「…………………………………………えっ!?」
ピタリと震えが止まり、寧々音は呆然と朝日の顔を見上げた。そんな彼女の頭を朝日は優しくなでる。白金の細くさらりとした髪がとても心地よい。
「髪の毛もとっても綺麗。ふふふ、僕もこんな妹が欲しかったなぁ」
「そこは相変わらずだな、おい」
朝日お兄ちゃんモード健在!
「綺麗……私の目の色が、綺麗?」
「うん」
「綺麗……私の髪の色も、綺麗?」
「うん、そうだね」
寧々音の内で甲高い金属音が響く。何かをがんじがらめにしていた”トラウマと言う名の鎖”が砕け散る。
「か、かわ……い、私が可愛い?」
「うん。すごく可愛いと思うよ。妹みたい」
呪縛が解ける。翼でも生えたかのように身体が軽い。天に、そう! 天に向けて飛んで行ける。いや、今、寧々音は天に向かって飛んでいるのだ!
「うっ!? ――――コヒュッ!」
突然、寧々音が力なく崩れ落ちる。
「うえっ!? ちょっ、ちょっと笠霧さん? か、顔が真っ青? 息してない? うっ、梅ちゃん! 餡子ちゃーん!」
朝日のヘルプに梅たちが駆け寄る。
「おいおい、笠霧。息しろって、餡子じゃあるまいし……ん? あれ? ――――心臓止まってんじゃねえかあああああ!?」
「「「えええええ(っス)!?」」」
本当に天に向かっていた。
「なにいっ!? これはいかん! すぐに蘇生を行うぞ。梅、餅月急げっ!」
「どんだけ手間かけんだよ! あー、気道確保して胸骨圧迫だったっけか?」
「AED! AED! っス!」
朝日によるショック療法ならぬ、ショック死療法であった――。
『笠霧寧々音』十四歳。
これより二年と数ヶ月後――男性への苦手意識も克服し、彼女はM校史上最高成績を収めて卒業。見事SランクMapsとして配属されることになる。
そんな彼女が在学中、口癖のように語っていたのは『愛しのお兄様』の担当になる。であったと言う。本当に『愛しのお兄様』の担当になれたのか? それはまた別の物語である。
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