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第七章 温泉旅行は愛と波乱に満ちている
第八十三話 寝待深夜子の判断
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――時間は前後する。こちら、本館六階の小宴会場は間もなく二十三時を迎えるところだ。
会場では末席あたりで廃人と化している黒髪、茶髪はともかく。他の影嶋一家の組員たちは酒を交わしながら、何やら相談をしている最中だ。
「へい。それで別館には親会社の仕事で入ってるモンもおりやすから、標的(朝日達のこと)が明日チェックアウトしたら、駐車場から出るとこを誘導して追い込みをかけれる手筈になってやす」
「だけどさ、向こうにゃ例の五月雨のお嬢がついてんでしょ? 五月雨に直接手をかけんのはマズくない?」
「いや、五月雨のお嬢さんに手を出す必要はねえさ。影嶋を舐めたらどうなるか。前の会合でやってくれたクソチビと、もう一人ついてる女。それを男の目の前でグサグサに潰してやりゃいいのさ」
「キャハッ! みんなマジでチョ~ウケるぅ~。でぇ、不知火ちゃんじゃなきゃダメだっつ~オチビちゃんってのがコレぇ?」
数人の幹部とおぼしき連中が不知火を囲んで話をしている。テーブルには深夜子、五月、梅の写真が置いてある。不知火がその中から梅の写真を手に取った。
「キャハハハハッ!! ちょっ! コレ! ガチリアルでマジオニおチビちゃんなんですけどぉ~!?」
「姐御、裏取ってあるんで間違いありやせん。そいつが例のタクティクスを一人で潰したってバケモンですわ」
「ふぅ~ん、へぇ~、タクティクスをねぇ~? キャハッ! まぁ、たまにはぁ、手ごたえある相手もいいかぁ~」
そんな会場のどこかから、影嶋一家を見つめる視線が一つ。もちろん、すでに潜伏中の深夜子である。
何せだだっ広いこの会場。それがパーティションで仕切ってあるわ、あちこちに机やイスが組上げてあるわ、実に隠れ場所が盛りだくさん。ぶっちゃけイージーモードであった。
ただいま侵入当初からの会話をスマホにばっちり録音中だ。もう少しすれば連中の悪巧みも核心にせまり、証拠にできるレベルになるだろう。
これは朝日との約束が簡単に果たせそうだ。そう思うと少し気が緩みそうになる深夜子だが、静かにかぶりを振り気を取り直す。
先ほどからやはり気になるのが影嶋不知火の存在。五月から聞いてはいたが、思った以上に厄介そうに感じる。
気配を消したまま、頭の悪そうな格好をしたピンク頭の様子をパーティションの隙間から伺う。あの気配、間違いない。深夜子にとって久々であった。勝てると断言できないレベルの相手を見たのは。
さらに五月へ伝えるため、影嶋一家の戦力分析を続ける。部屋には総勢十八名と何故か目が死んでる謎の怪我人が二名。
まずは不知火の側にいる巨体の黒服サングラス。こちらは朝日に色目を使う泥棒蛇女こと蛇内万里、あれと同レベル。驚いたことに半数がAランクMapsに匹敵する腕と思われた。武闘派とは聞いていたが相当な戦力だ。
――ちょうどその間に充分な証拠となりえる内容も録音できていた。我ながらいい仕事だ。帰ったらこっそり朝日の寝顔を見よう。と、深夜子は一人ニヤニヤとする。ちょっとキモいですね。
残すはこの会合のお開きに紛れて退散。それで無事任務完了――――なはずだった。しかし、とあるものが場に出た瞬間。深夜子の目の色が変わる。
「で、最後にこちらが今回のカモ。神崎朝日って坊やですわ」
どこからの手配かはわからない。写りは良くないものだが、間違いなく朝日の顔写真。それがこの場に提示されたのだ。
「ちょっ!? こ、ここここれマジかあああっ!?」
「やっべえ! 上物って次元の超越してんぞ!?」
「あ、あたしこんな坊や初めて見た」
「ふわああああ! こんな子があたいの情夫だったらなぁ」
当然、場は色めき立つ。それは朝日の美貌なら仕方がない。深夜子も理解していることだ。
しかし、深夜子にとって絶対に聞き逃がすことができない。冷静さを根こそぎ刈り取られる言葉が耳に入ってしまった。
「ねえねえ、この坊や。外に売ったら、千億……いや、兆超えするんじゃない?」
――今、なんと言った?
――朝日を……売る?
『男性売買』
この国で起こりうる最悪の男性犯罪の一つである。男性の拉致、誘拐に発端を成す人道に外れた行為。男性を求める外国へ売り渡す場合がほとんどで、恐ろしいほどの高額な金銭や貴金属、果ては資源や兵器までもがトレードされる。
朝日が拉致され海外に売られる可能性? 深夜子の脳裏にその光景がよぎった瞬間、目の前が真っ赤に染まった。
――まずい!
ほんのわずかな時間で我に返る。殺気を漏らすなどあってはならない。隠密行動で絶対にやってはならないことの一つだ。
自分らしからぬミス。いや大丈夫か。すぐに冷静さは取り戻した。殺気が漏れたのもほんのわずか一瞬のはずだ。これを察知できるとしたら、それは――――思考の最中、深夜子の背筋に寒気が走った!
コンマ数秒。反射的に影にしていたパーティションの側から飛び離れようとしたと同時にダンボールでも貫くかのような軽さで、分厚い合成プラスチックと合皮製パーティションの三箇所に穴が開いた。
「――くっ!?」
三つの穴から、ほぼ同時と思えるほどの速度で飛び出てきた、いや突き出てきたのは、太さ4センチほどの鉄製とおぼしき棒――棍と呼ばれる武器であった。
深夜子はそれを辛うじてかわし、そのまま数メートル後ろに飛び跳ね距離を取る。
「キャハハッ! いやぁ~ん。不知火ちゃんたちにノゾキかますとかマジ趣味悪ぅ~い。ちょっと、ちょっとちょっとぉ? どっちらさまですかぁ?」
そんな軽い口調で声が響き、穴の開いたパーティションが蹴り倒される。
ドンっとその上を右足で踏みつけ、右手に持った六尺(約180センチ)ほどの鉄棍を、まるでバトンのように小気味よい音で回転させる。ピンク髪のギャルツインテールに紫リボンのセーラー服姿、影嶋不知火がゆっくりとその上に進み出た。
その手に握られた鉄棍はやたらカラフルで、星やハートや蝶柄をデコレートした『ギャル系鉄棍?』とでも聞きたくなる代物であった。右手でバトンのように回された六尺(約180センチ)はあろうそれは虹色の円形を描き、最後に不知火の肩の上でピタリと止まる。
そのまま棍を軽く揺らしながら、不知火は少し並びの悪い歯をちらつかせ、ニヤついた表情を浮かべる。パーティションの上を中ほどまで進み、斜に構えて深夜子を見据えた。
「あっりゃりゃ~ん? その顔ぉ、例の五月雨ンとこの奴じゃね? キャハッ! な、ん、で、ここにいるのかなぁ? 不知火ちゃんチョ~びっくりしちゃったかもぉ~? キャハハッ!」
察しましたよ。ふざけた態度、ヘンテコな格好とは裏腹。不知火の目はそう言っている。一瞬だけ交差したお互いの視線、深夜子はそう感じた。
五月の狙いにどこまで勘づいているのかはわからない。だが、ここはなるべくそれを悟らせないようにするべき場面であろう。ふっ、我ながらちょっと格好いいな。と深夜子は無駄な思考も忘れない。
夜間迷彩柄の戦闘用スーツの腰に手を当て、薄手のグローブをはめた片手で前髪を軽くかきあげる。深夜子はその猛禽類のような眼差しをゆっくりと向け、涼しげに返す。
「んー。えと、道に、迷った?」
はい残念。深夜子なのでこれが精一杯。
――対して、不知火も深夜子を値踏みしていた。影嶋一家相手に一人で潜伏し、それが発覚。普通なら絶望的な状況であろうはずだ。しかしこの女は全く動じていない。どころか挑発ともとれる回答。相当に場馴れした手練れと評価する。
さらには気配の消し方。公務員だとは到底思えない。何よりもあの目つき。あれは間違いなくこちら側の人間の目だ。きっと裏では殺人もやっているに違いない。
一部は間違っていないものの、変な方向に評価がうなぎ登りである。だからと言って自分たちの圧倒的優位に変わりはない。不知火は余裕の態度を崩さず煽り返す。
「キャハッ! 何それぇ~、ギャグのつもりぃ? チョ~サムいんですけどぉ~。キャハハッ! ま、いっかぁ~わざわざ獲物ぴっぴが自分からお疲れちゃ~んな感じぃ?」
「んー。何言ってるかわかんない」
お互い様である。
――深夜子と不知火の微妙な会話を皮切りに、取り巻きたちにも動きが出始める。
『なっ、なんだてめえは?』
『ふざけたこと言いやがって!』
『くそっ、どこから入って来やがった?』
例えばアクション系漫画。取り巻きたちは動揺して、こんな反応を見せるのがテンプレ展開だ。ところが現実はそう甘くない。
「おう、出口をソッコーで固めな」
「「「へい!」」」
「おい、そっちは三人一組でコイツの周りを囲め」
「「「へい!」」」
さすがは数ある暴力団の中でも屈指の武闘派。組員たちは脇目もふらずに最善手の連携を始めた。
これで深夜子は包囲されてしまうのか? 逃げ道もふさがれてしまうのか? ――それは違う。半コミュ障で空気が読めないのとは別問題。 こう言ったことは、幼い頃から実家で色々と叩き込まれている。
まず、影嶋不知火。これの相手をまともにすることは論外。最優先すべきは撤退である。よって最も手薄、かつ、最も出口として近い場所を捜索。右手側の奥にある扉と断定。途中の交戦は控えるか迅速に、出口近くまでたどり着ければ強行突破あるのみ。これが深夜子の判断だ。
――取り巻きたちが動き始める直前、深夜子はすでに行動に移っていた。不知火には目もくれず。自分の右手側をふさごうと、集まり始めた組員たちへと向かって駆け出していた。
会場では末席あたりで廃人と化している黒髪、茶髪はともかく。他の影嶋一家の組員たちは酒を交わしながら、何やら相談をしている最中だ。
「へい。それで別館には親会社の仕事で入ってるモンもおりやすから、標的(朝日達のこと)が明日チェックアウトしたら、駐車場から出るとこを誘導して追い込みをかけれる手筈になってやす」
「だけどさ、向こうにゃ例の五月雨のお嬢がついてんでしょ? 五月雨に直接手をかけんのはマズくない?」
「いや、五月雨のお嬢さんに手を出す必要はねえさ。影嶋を舐めたらどうなるか。前の会合でやってくれたクソチビと、もう一人ついてる女。それを男の目の前でグサグサに潰してやりゃいいのさ」
「キャハッ! みんなマジでチョ~ウケるぅ~。でぇ、不知火ちゃんじゃなきゃダメだっつ~オチビちゃんってのがコレぇ?」
数人の幹部とおぼしき連中が不知火を囲んで話をしている。テーブルには深夜子、五月、梅の写真が置いてある。不知火がその中から梅の写真を手に取った。
「キャハハハハッ!! ちょっ! コレ! ガチリアルでマジオニおチビちゃんなんですけどぉ~!?」
「姐御、裏取ってあるんで間違いありやせん。そいつが例のタクティクスを一人で潰したってバケモンですわ」
「ふぅ~ん、へぇ~、タクティクスをねぇ~? キャハッ! まぁ、たまにはぁ、手ごたえある相手もいいかぁ~」
そんな会場のどこかから、影嶋一家を見つめる視線が一つ。もちろん、すでに潜伏中の深夜子である。
何せだだっ広いこの会場。それがパーティションで仕切ってあるわ、あちこちに机やイスが組上げてあるわ、実に隠れ場所が盛りだくさん。ぶっちゃけイージーモードであった。
ただいま侵入当初からの会話をスマホにばっちり録音中だ。もう少しすれば連中の悪巧みも核心にせまり、証拠にできるレベルになるだろう。
これは朝日との約束が簡単に果たせそうだ。そう思うと少し気が緩みそうになる深夜子だが、静かにかぶりを振り気を取り直す。
先ほどからやはり気になるのが影嶋不知火の存在。五月から聞いてはいたが、思った以上に厄介そうに感じる。
気配を消したまま、頭の悪そうな格好をしたピンク頭の様子をパーティションの隙間から伺う。あの気配、間違いない。深夜子にとって久々であった。勝てると断言できないレベルの相手を見たのは。
さらに五月へ伝えるため、影嶋一家の戦力分析を続ける。部屋には総勢十八名と何故か目が死んでる謎の怪我人が二名。
まずは不知火の側にいる巨体の黒服サングラス。こちらは朝日に色目を使う泥棒蛇女こと蛇内万里、あれと同レベル。驚いたことに半数がAランクMapsに匹敵する腕と思われた。武闘派とは聞いていたが相当な戦力だ。
――ちょうどその間に充分な証拠となりえる内容も録音できていた。我ながらいい仕事だ。帰ったらこっそり朝日の寝顔を見よう。と、深夜子は一人ニヤニヤとする。ちょっとキモいですね。
残すはこの会合のお開きに紛れて退散。それで無事任務完了――――なはずだった。しかし、とあるものが場に出た瞬間。深夜子の目の色が変わる。
「で、最後にこちらが今回のカモ。神崎朝日って坊やですわ」
どこからの手配かはわからない。写りは良くないものだが、間違いなく朝日の顔写真。それがこの場に提示されたのだ。
「ちょっ!? こ、ここここれマジかあああっ!?」
「やっべえ! 上物って次元の超越してんぞ!?」
「あ、あたしこんな坊や初めて見た」
「ふわああああ! こんな子があたいの情夫だったらなぁ」
当然、場は色めき立つ。それは朝日の美貌なら仕方がない。深夜子も理解していることだ。
しかし、深夜子にとって絶対に聞き逃がすことができない。冷静さを根こそぎ刈り取られる言葉が耳に入ってしまった。
「ねえねえ、この坊や。外に売ったら、千億……いや、兆超えするんじゃない?」
――今、なんと言った?
――朝日を……売る?
『男性売買』
この国で起こりうる最悪の男性犯罪の一つである。男性の拉致、誘拐に発端を成す人道に外れた行為。男性を求める外国へ売り渡す場合がほとんどで、恐ろしいほどの高額な金銭や貴金属、果ては資源や兵器までもがトレードされる。
朝日が拉致され海外に売られる可能性? 深夜子の脳裏にその光景がよぎった瞬間、目の前が真っ赤に染まった。
――まずい!
ほんのわずかな時間で我に返る。殺気を漏らすなどあってはならない。隠密行動で絶対にやってはならないことの一つだ。
自分らしからぬミス。いや大丈夫か。すぐに冷静さは取り戻した。殺気が漏れたのもほんのわずか一瞬のはずだ。これを察知できるとしたら、それは――――思考の最中、深夜子の背筋に寒気が走った!
コンマ数秒。反射的に影にしていたパーティションの側から飛び離れようとしたと同時にダンボールでも貫くかのような軽さで、分厚い合成プラスチックと合皮製パーティションの三箇所に穴が開いた。
「――くっ!?」
三つの穴から、ほぼ同時と思えるほどの速度で飛び出てきた、いや突き出てきたのは、太さ4センチほどの鉄製とおぼしき棒――棍と呼ばれる武器であった。
深夜子はそれを辛うじてかわし、そのまま数メートル後ろに飛び跳ね距離を取る。
「キャハハッ! いやぁ~ん。不知火ちゃんたちにノゾキかますとかマジ趣味悪ぅ~い。ちょっと、ちょっとちょっとぉ? どっちらさまですかぁ?」
そんな軽い口調で声が響き、穴の開いたパーティションが蹴り倒される。
ドンっとその上を右足で踏みつけ、右手に持った六尺(約180センチ)ほどの鉄棍を、まるでバトンのように小気味よい音で回転させる。ピンク髪のギャルツインテールに紫リボンのセーラー服姿、影嶋不知火がゆっくりとその上に進み出た。
その手に握られた鉄棍はやたらカラフルで、星やハートや蝶柄をデコレートした『ギャル系鉄棍?』とでも聞きたくなる代物であった。右手でバトンのように回された六尺(約180センチ)はあろうそれは虹色の円形を描き、最後に不知火の肩の上でピタリと止まる。
そのまま棍を軽く揺らしながら、不知火は少し並びの悪い歯をちらつかせ、ニヤついた表情を浮かべる。パーティションの上を中ほどまで進み、斜に構えて深夜子を見据えた。
「あっりゃりゃ~ん? その顔ぉ、例の五月雨ンとこの奴じゃね? キャハッ! な、ん、で、ここにいるのかなぁ? 不知火ちゃんチョ~びっくりしちゃったかもぉ~? キャハハッ!」
察しましたよ。ふざけた態度、ヘンテコな格好とは裏腹。不知火の目はそう言っている。一瞬だけ交差したお互いの視線、深夜子はそう感じた。
五月の狙いにどこまで勘づいているのかはわからない。だが、ここはなるべくそれを悟らせないようにするべき場面であろう。ふっ、我ながらちょっと格好いいな。と深夜子は無駄な思考も忘れない。
夜間迷彩柄の戦闘用スーツの腰に手を当て、薄手のグローブをはめた片手で前髪を軽くかきあげる。深夜子はその猛禽類のような眼差しをゆっくりと向け、涼しげに返す。
「んー。えと、道に、迷った?」
はい残念。深夜子なのでこれが精一杯。
――対して、不知火も深夜子を値踏みしていた。影嶋一家相手に一人で潜伏し、それが発覚。普通なら絶望的な状況であろうはずだ。しかしこの女は全く動じていない。どころか挑発ともとれる回答。相当に場馴れした手練れと評価する。
さらには気配の消し方。公務員だとは到底思えない。何よりもあの目つき。あれは間違いなくこちら側の人間の目だ。きっと裏では殺人もやっているに違いない。
一部は間違っていないものの、変な方向に評価がうなぎ登りである。だからと言って自分たちの圧倒的優位に変わりはない。不知火は余裕の態度を崩さず煽り返す。
「キャハッ! 何それぇ~、ギャグのつもりぃ? チョ~サムいんですけどぉ~。キャハハッ! ま、いっかぁ~わざわざ獲物ぴっぴが自分からお疲れちゃ~んな感じぃ?」
「んー。何言ってるかわかんない」
お互い様である。
――深夜子と不知火の微妙な会話を皮切りに、取り巻きたちにも動きが出始める。
『なっ、なんだてめえは?』
『ふざけたこと言いやがって!』
『くそっ、どこから入って来やがった?』
例えばアクション系漫画。取り巻きたちは動揺して、こんな反応を見せるのがテンプレ展開だ。ところが現実はそう甘くない。
「おう、出口をソッコーで固めな」
「「「へい!」」」
「おい、そっちは三人一組でコイツの周りを囲め」
「「「へい!」」」
さすがは数ある暴力団の中でも屈指の武闘派。組員たちは脇目もふらずに最善手の連携を始めた。
これで深夜子は包囲されてしまうのか? 逃げ道もふさがれてしまうのか? ――それは違う。半コミュ障で空気が読めないのとは別問題。 こう言ったことは、幼い頃から実家で色々と叩き込まれている。
まず、影嶋不知火。これの相手をまともにすることは論外。最優先すべきは撤退である。よって最も手薄、かつ、最も出口として近い場所を捜索。右手側の奥にある扉と断定。途中の交戦は控えるか迅速に、出口近くまでたどり着ければ強行突破あるのみ。これが深夜子の判断だ。
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