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1巻 4章 エラルド
第二十話
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「どうしました、エラルド。……って、本当にどうしたんですかっ!? その顔の傷!」
ドアを開けたミルクを置き去りにして、救急箱を手に慌てて駆け寄ってくるクリス。
扉付近で立っているユースと共に、お屋敷内の一室で椅子に座って待機していたエラルドは、髪を降ろしたクリスを見た途端、一瞬にして分かりやす過ぎるほどにデレっと鼻の下を伸ばした。
それはエロスの暴力だ。蒼いシルクのレースは繊細で透け感があり、さらに大胆にざっくりと胸元の開いているAラインのフレアドレスを着ているクリスは、非常に妖しい性的な魅力を放っていたのだ。
薄い、蒼いレースからはクリスの白い肌が時折あらわに見えてしまい、男を強烈に誘惑してくる。さらに大胆に開いた胸元には、寄せてあげたのかわからないが、小ぶりながらもふっくらとした谷間があり、ついつい、そこに隠れているピンク色の突起を探してしまいそうになってしまう。実際はきちんと隠れているのだけれど、印象的なレース生地のために外からでも中からでも見えてしまいそうに思えるのだから仕方がない。普段のメイド服とのギャップ、そしてクリス自身の容姿も手伝って、ドレス姿は破壊的であった。
だがそれだけならまだ良かった。エラルドはまだ耐えることができた。けれどもパーティ前で何かしら忙しいのだろう、息切れしつつも頬を紅く染め、駆け寄ってくる姿はどうしようもなく下半身を刺激した。具体的に言うなればエラルドのペニスにある海綿体を充血させ、血液を集めて血管が浮き出るほどに大きく大きく勃起させようとしてくるのだ。エラルドに向けてクリスは興奮した、高揚した顔を見せているのだから、エラルドに罪はないのかもしれない。とはいえ、お屋敷内での出来事だ。物理的にも精神的にも大ピンチである。
いいや、だけれども、これだけならまだ、まだ、まだなんとかなったかもしれなかった。しかしながら、なんとその上で、近寄ってくるクリスの肢体からはいつもよりも濃い柑橘系の香りとともに、なぜかかぶさるように濃厚な性の香りが漂っていたのだ。ダメ押しに、胸元に光っていた汗が谷間に流れていくのを目撃してしまったエラルドは、これでもかというほど硬く、太く、長く、いつでも挿入できてしまえる状態となってしまっていた。椅子に座っているからわかりにくいものの、完全にアウトである。いつ首が飛んでしまっても文句が言えない状況だ。
立って挨拶がしたい。しかしすでに勃起っている。ここで直立でもしてしまえば、巨大なテントをクリス、ユース、ミルクの前で晒してしまうことは火を見るよりも明らかだ。
うむ。うむ。そうか、うむ。
駆け寄ってくるクリスを座ったまま眺める。小さいながらも胸が揺れている。
何度も何度も、キリっとした表情で男らしく頷いたエラルドは、助けを求めるかのごとくユースに視線をうつす。力なく首を振るユースに絶望。素早く視線を切り替え、クリスを案内してきたミルクに助けを求める。クリスの様子に目をキラキラさせて、「なるほど、なるほど。そうやって男を落としていくのですね」と、鼻息荒く感心をしていた。ダメだ。ヤツらはなんの助けにもならない。
「あぁ、もう、どうしてこんなことに」
クリスの心底気遣った言葉。
どうしてこんなことに、と本当に言いたいのはエラルドだった。
エラルドにできることは、ニヤけてしまうのを誤魔化すために、男らしくキリっとした表情を作って何度も頷くことだけだ。鼻孔をくすぐる性的な、そしてクリスの汗のにおい。吸って、そして吸う。香水の匂いなんて邪魔なものは完璧にシャットアウトだ。
クリスは椅子に座るエラルドの前まで来て、顔の治療ができるように跪く。救急箱を横に置き、美しく、凛々しい顔で救急箱の箱を開けた。
胸の谷間だ。
しかも股間の近くにクリスの顔が。
違う違う違う! 耐えろ、耐えるんだ、エラルド。でも、なんで、どうして、こんなことになっているのかさっぱりわからない。ボクは謝りにきただけで。実は雰囲気が良ければ告白も考えていたけどさ。それなのに二人きりになれないし、いや、二人きりになったらなったで今は危ないんだけどさ。逆にユースとミルクがいて助かっているというか全く助けになっていないというか。
まさかドレスがこんなドエロいとは思わなかった。さっきまではドレス姿のクリスに告白できるんだって舞い上がっていたけど、今は別のところが舞い上がってるし。違う、違う、そうじゃなくて、とにかく耐えろ、耐えるんだ、エラルド!
た、耐えれるのか……? 耐え、耐え……。あ、しゃがみ込んで救急箱の中身を取り出しているクリスの胸の中が。こう、胸元のドレス生地がふわりとめくれて。な、中が。中が! 小さめだから余計に……っ! 白いふわっとした山にあるピンクの頂がついに! も、もう少し……。もう少しで……。え、嘘だろ? 見えなくな……、エ、エラルド隊長ぉ! あと少しで山の頂上が! ふもとから見えそうで見えなかった、山の頂上が! つつつ、ついに!? つ、ついに……、あ、あぁ、あぁぁ……。見えなく。見えなくな……、なんだとぉ!? もう片方にあるあの影はまさか……っ! いや、違っ。くっ! み、みえ……っ!
「ユース、私の手袋を持っていてくださいな」
「かしこまりました」
ひじまであるレースの手袋をスゥっと艶めかしく脱ぎ、ユースに渡すクリス。当然、背筋が伸びて谷間が見えなくなってしまう。
あぁ、もったいない。あぁ……。せっかくの山が。ボクの登山が。プロの登山家を舐めているのか? 山はそこにあるから登るんだぞ? というかユース、ボクと代われ。手袋とか、うらやまけしからん。なんであんなに手袋がエロんだよ。隠れていた肌がはっきりと見えるからか? なんか手までエロく見えてきた。
けれどここぞとばかりに、キリッとすまし顔。
ふっ、危ない危ない。実に危ない。誰も見ていないな、うん。この程度。熟練の観測士のボクからしたら、造作もないことよ。ふっふっふっ……、ふぅ。これはヤバいな。最高のシチュエーションじゃないか。ご褒美か? ご褒美なのか? ならばもっと警戒をしつつ、見……、あっ、ミルクと目が合った。なっ……、にやりと笑いやがった! ヤツはボクに気が付いてやがる! 敵は内にあり! 敵は内にあり! ……いや、ヤツめ、頷いてやがる。あれはコチラの意思を理解した上での合図か? 上手くすれば味方に引き込める……?
「手袋を汚してはいけませんからね。ありがとう、ユース」
「いいえ。パーティの前です。大切なことですから」
ほほぅ、汚れてしまうとな。ナニで汚れるのかなぁ。お兄さん、触られてもいないのに、もう限界寸前だよ。なんだこれ。新手のプレイか? 焦らしプレイ? お預けプレイ? ボクはお預けされてるのか? なんかそう思えてきたぞ? だってお腹の肌もレースが透けて見えるし。し、下着は見えないけどさ。見えないけど……。ふ、ふとももが。白い太ももが。え、いやこれまさか履いていない!? いやまさか! くっ! 腰が動いてしまいそうだ! が、我慢だっ……! もう少ししたら、さらなるご褒美があるかもしれないのだからっ!
「もう、ユースはいつも固いですよね」
「仕事ですから」
かたい……?
いつもかたい、……いつも硬い!!
なんだとユース! ボクがこんなお預けプレイをされている間に、言葉遊びをするなんて! ボクたちの友情はどこへ行ったんだ! うらやま、うらやまぁぁぁ……!
あっ! クリスが消毒液をガーゼに付けてる! だから胸元がまた! さすがはクリス、わかってるぅ! ボクのことを一番良く分かっているのはクリスだよ! ……あぁっ! でも角度的にほとんど見えない。うぅぅ、うぅぅ……。上手い、上手すぎるよ、チラリズムをよくわかっている。
「エラルド、じっとしててくださいね」
「はい! わかりました!」
「エラルド……? そんなに緊張しなくても」
ふふっと笑ったクリスがガーゼを顔に当ててくる。ガーゼ越しに伝わる優しい手つき。顔は正面を向きつつ、痛いほどに目線を下にして胸元を確認しようと、全力で情熱を燃やして最大限の努力をするエラルド。さらに少し近づいきて、ガーゼを当ててくるクリス。股の間に、勃起した股間の近くにクリスのお腹が、白い肌が見えるお腹が。
ゴクリ。
ま、まて。
それよりも今は胸元が。
白いおっぱいが曲線を描いて。め、目の前に。柔らかそうな、柔らかそうな白い丘が……、あと少し……、あと少しなんだけど……。あと少……、もうちょっと前に来てくれたら、そうそう、そんな感じでもうちょっと……、あれ? あれは? あれはもしかして? あれはもしかしてぇッ!
脳を駆けずる強烈なる衝撃。
エラルド史上最大の歴史的大発見への大いなる期待に、ビクリッ、と身体が動いてしまう。
「あっ! すみません! 痛かったですか?」
「あ、いや、はい。大丈夫です、はい」
眉を下げたクリスの綺麗な顔が目の前に。
目をつむって精神統一。自身が動いてしまったために、結局目標を探ることができなかったのだ。大チャンスだったにも関わらず。エラルド、痛恨のミス……ッ!
な、なんというプレイなんだ! あと少し、あと少しで見えそうなのにッ! このバカ! バカルド! もうちょっと我慢してれば見えてたのに! 新大陸の発見だったのに! もう破裂寸前だよ! 発射しちゃうよ!
……うん、ごめん。というかぶっちゃけ、さっきちょこっと出ちゃったんだけどね……。無理だよ、我慢し続けれないよ。触らずに軽くイかせるとか、なんだ天才かよ。剣の天才ってそういう意味かよ。男でも全然かまわないよ。暴発しちゃったしね。身をもってクリスでイケることを証明しちゃったしね。問題ないよ、うん。むしろクリスのも見せて欲しいぐらいだよ。正直に言おう。ドレスを脱がしたい。
しかしエラルド、目をつむることでさらなる新境地を発見するに至る。
あれ……? もしかしてクリスのエロい匂いがより強く感じられないか? 目を閉じると五感が鋭く思えるからかな? うっ、クリスの手が、ガーゼで顔を……。あ、クリスがバランスを保とうとしてボクの太ももに手を置いて……、感触が。ち、近い。股間に近いよ、クリス。ダメだって。押し込まないで! そ、そんな……っ! あ、また出……っ、いや、ダメだ違う!
エラルドは急激にステップアップしている。
なんともったいない! 何をやっているんだ、エラルド! 今は目を開いて確認をするべきではないのか!? 目を開いて……、目を開いて!? 開く、のか……? 耐えらるのか? ボクは耐えられるのか!? 恐らく今、クリスは無防備だ。無防備に、無防備に……、蒼いドレスの下に、上品なおっぱいをさらしていることだろう。そうだ……、落ち着け。冷静に、冷静にゆっくりと目を開けるんだ。クリスの体温を感じられるよな? ということは近いというわけだ。おっぱいが。クリスのおっぱいが。クリスのおっぱいが! すぐそこに!
開眼。
ゆっくりと、慎重に。
崖の上の極致。
幸せ。
人類の幸せがそこに詰まっていた。
そして。
出た。
出てしまった。
うむ。わが人生に、悔いはない……ッ!
結局エラルドは、メロディア令嬢に会うこともなく、足早帰ることにして、その帰り際にクリスに心の底から感謝を伝え、そして謝罪をしたのだった。
ドアを開けたミルクを置き去りにして、救急箱を手に慌てて駆け寄ってくるクリス。
扉付近で立っているユースと共に、お屋敷内の一室で椅子に座って待機していたエラルドは、髪を降ろしたクリスを見た途端、一瞬にして分かりやす過ぎるほどにデレっと鼻の下を伸ばした。
それはエロスの暴力だ。蒼いシルクのレースは繊細で透け感があり、さらに大胆にざっくりと胸元の開いているAラインのフレアドレスを着ているクリスは、非常に妖しい性的な魅力を放っていたのだ。
薄い、蒼いレースからはクリスの白い肌が時折あらわに見えてしまい、男を強烈に誘惑してくる。さらに大胆に開いた胸元には、寄せてあげたのかわからないが、小ぶりながらもふっくらとした谷間があり、ついつい、そこに隠れているピンク色の突起を探してしまいそうになってしまう。実際はきちんと隠れているのだけれど、印象的なレース生地のために外からでも中からでも見えてしまいそうに思えるのだから仕方がない。普段のメイド服とのギャップ、そしてクリス自身の容姿も手伝って、ドレス姿は破壊的であった。
だがそれだけならまだ良かった。エラルドはまだ耐えることができた。けれどもパーティ前で何かしら忙しいのだろう、息切れしつつも頬を紅く染め、駆け寄ってくる姿はどうしようもなく下半身を刺激した。具体的に言うなればエラルドのペニスにある海綿体を充血させ、血液を集めて血管が浮き出るほどに大きく大きく勃起させようとしてくるのだ。エラルドに向けてクリスは興奮した、高揚した顔を見せているのだから、エラルドに罪はないのかもしれない。とはいえ、お屋敷内での出来事だ。物理的にも精神的にも大ピンチである。
いいや、だけれども、これだけならまだ、まだ、まだなんとかなったかもしれなかった。しかしながら、なんとその上で、近寄ってくるクリスの肢体からはいつもよりも濃い柑橘系の香りとともに、なぜかかぶさるように濃厚な性の香りが漂っていたのだ。ダメ押しに、胸元に光っていた汗が谷間に流れていくのを目撃してしまったエラルドは、これでもかというほど硬く、太く、長く、いつでも挿入できてしまえる状態となってしまっていた。椅子に座っているからわかりにくいものの、完全にアウトである。いつ首が飛んでしまっても文句が言えない状況だ。
立って挨拶がしたい。しかしすでに勃起っている。ここで直立でもしてしまえば、巨大なテントをクリス、ユース、ミルクの前で晒してしまうことは火を見るよりも明らかだ。
うむ。うむ。そうか、うむ。
駆け寄ってくるクリスを座ったまま眺める。小さいながらも胸が揺れている。
何度も何度も、キリっとした表情で男らしく頷いたエラルドは、助けを求めるかのごとくユースに視線をうつす。力なく首を振るユースに絶望。素早く視線を切り替え、クリスを案内してきたミルクに助けを求める。クリスの様子に目をキラキラさせて、「なるほど、なるほど。そうやって男を落としていくのですね」と、鼻息荒く感心をしていた。ダメだ。ヤツらはなんの助けにもならない。
「あぁ、もう、どうしてこんなことに」
クリスの心底気遣った言葉。
どうしてこんなことに、と本当に言いたいのはエラルドだった。
エラルドにできることは、ニヤけてしまうのを誤魔化すために、男らしくキリっとした表情を作って何度も頷くことだけだ。鼻孔をくすぐる性的な、そしてクリスの汗のにおい。吸って、そして吸う。香水の匂いなんて邪魔なものは完璧にシャットアウトだ。
クリスは椅子に座るエラルドの前まで来て、顔の治療ができるように跪く。救急箱を横に置き、美しく、凛々しい顔で救急箱の箱を開けた。
胸の谷間だ。
しかも股間の近くにクリスの顔が。
違う違う違う! 耐えろ、耐えるんだ、エラルド。でも、なんで、どうして、こんなことになっているのかさっぱりわからない。ボクは謝りにきただけで。実は雰囲気が良ければ告白も考えていたけどさ。それなのに二人きりになれないし、いや、二人きりになったらなったで今は危ないんだけどさ。逆にユースとミルクがいて助かっているというか全く助けになっていないというか。
まさかドレスがこんなドエロいとは思わなかった。さっきまではドレス姿のクリスに告白できるんだって舞い上がっていたけど、今は別のところが舞い上がってるし。違う、違う、そうじゃなくて、とにかく耐えろ、耐えるんだ、エラルド!
た、耐えれるのか……? 耐え、耐え……。あ、しゃがみ込んで救急箱の中身を取り出しているクリスの胸の中が。こう、胸元のドレス生地がふわりとめくれて。な、中が。中が! 小さめだから余計に……っ! 白いふわっとした山にあるピンクの頂がついに! も、もう少し……。もう少しで……。え、嘘だろ? 見えなくな……、エ、エラルド隊長ぉ! あと少しで山の頂上が! ふもとから見えそうで見えなかった、山の頂上が! つつつ、ついに!? つ、ついに……、あ、あぁ、あぁぁ……。見えなく。見えなくな……、なんだとぉ!? もう片方にあるあの影はまさか……っ! いや、違っ。くっ! み、みえ……っ!
「ユース、私の手袋を持っていてくださいな」
「かしこまりました」
ひじまであるレースの手袋をスゥっと艶めかしく脱ぎ、ユースに渡すクリス。当然、背筋が伸びて谷間が見えなくなってしまう。
あぁ、もったいない。あぁ……。せっかくの山が。ボクの登山が。プロの登山家を舐めているのか? 山はそこにあるから登るんだぞ? というかユース、ボクと代われ。手袋とか、うらやまけしからん。なんであんなに手袋がエロんだよ。隠れていた肌がはっきりと見えるからか? なんか手までエロく見えてきた。
けれどここぞとばかりに、キリッとすまし顔。
ふっ、危ない危ない。実に危ない。誰も見ていないな、うん。この程度。熟練の観測士のボクからしたら、造作もないことよ。ふっふっふっ……、ふぅ。これはヤバいな。最高のシチュエーションじゃないか。ご褒美か? ご褒美なのか? ならばもっと警戒をしつつ、見……、あっ、ミルクと目が合った。なっ……、にやりと笑いやがった! ヤツはボクに気が付いてやがる! 敵は内にあり! 敵は内にあり! ……いや、ヤツめ、頷いてやがる。あれはコチラの意思を理解した上での合図か? 上手くすれば味方に引き込める……?
「手袋を汚してはいけませんからね。ありがとう、ユース」
「いいえ。パーティの前です。大切なことですから」
ほほぅ、汚れてしまうとな。ナニで汚れるのかなぁ。お兄さん、触られてもいないのに、もう限界寸前だよ。なんだこれ。新手のプレイか? 焦らしプレイ? お預けプレイ? ボクはお預けされてるのか? なんかそう思えてきたぞ? だってお腹の肌もレースが透けて見えるし。し、下着は見えないけどさ。見えないけど……。ふ、ふとももが。白い太ももが。え、いやこれまさか履いていない!? いやまさか! くっ! 腰が動いてしまいそうだ! が、我慢だっ……! もう少ししたら、さらなるご褒美があるかもしれないのだからっ!
「もう、ユースはいつも固いですよね」
「仕事ですから」
かたい……?
いつもかたい、……いつも硬い!!
なんだとユース! ボクがこんなお預けプレイをされている間に、言葉遊びをするなんて! ボクたちの友情はどこへ行ったんだ! うらやま、うらやまぁぁぁ……!
あっ! クリスが消毒液をガーゼに付けてる! だから胸元がまた! さすがはクリス、わかってるぅ! ボクのことを一番良く分かっているのはクリスだよ! ……あぁっ! でも角度的にほとんど見えない。うぅぅ、うぅぅ……。上手い、上手すぎるよ、チラリズムをよくわかっている。
「エラルド、じっとしててくださいね」
「はい! わかりました!」
「エラルド……? そんなに緊張しなくても」
ふふっと笑ったクリスがガーゼを顔に当ててくる。ガーゼ越しに伝わる優しい手つき。顔は正面を向きつつ、痛いほどに目線を下にして胸元を確認しようと、全力で情熱を燃やして最大限の努力をするエラルド。さらに少し近づいきて、ガーゼを当ててくるクリス。股の間に、勃起した股間の近くにクリスのお腹が、白い肌が見えるお腹が。
ゴクリ。
ま、まて。
それよりも今は胸元が。
白いおっぱいが曲線を描いて。め、目の前に。柔らかそうな、柔らかそうな白い丘が……、あと少し……、あと少しなんだけど……。あと少……、もうちょっと前に来てくれたら、そうそう、そんな感じでもうちょっと……、あれ? あれは? あれはもしかして? あれはもしかしてぇッ!
脳を駆けずる強烈なる衝撃。
エラルド史上最大の歴史的大発見への大いなる期待に、ビクリッ、と身体が動いてしまう。
「あっ! すみません! 痛かったですか?」
「あ、いや、はい。大丈夫です、はい」
眉を下げたクリスの綺麗な顔が目の前に。
目をつむって精神統一。自身が動いてしまったために、結局目標を探ることができなかったのだ。大チャンスだったにも関わらず。エラルド、痛恨のミス……ッ!
な、なんというプレイなんだ! あと少し、あと少しで見えそうなのにッ! このバカ! バカルド! もうちょっと我慢してれば見えてたのに! 新大陸の発見だったのに! もう破裂寸前だよ! 発射しちゃうよ!
……うん、ごめん。というかぶっちゃけ、さっきちょこっと出ちゃったんだけどね……。無理だよ、我慢し続けれないよ。触らずに軽くイかせるとか、なんだ天才かよ。剣の天才ってそういう意味かよ。男でも全然かまわないよ。暴発しちゃったしね。身をもってクリスでイケることを証明しちゃったしね。問題ないよ、うん。むしろクリスのも見せて欲しいぐらいだよ。正直に言おう。ドレスを脱がしたい。
しかしエラルド、目をつむることでさらなる新境地を発見するに至る。
あれ……? もしかしてクリスのエロい匂いがより強く感じられないか? 目を閉じると五感が鋭く思えるからかな? うっ、クリスの手が、ガーゼで顔を……。あ、クリスがバランスを保とうとしてボクの太ももに手を置いて……、感触が。ち、近い。股間に近いよ、クリス。ダメだって。押し込まないで! そ、そんな……っ! あ、また出……っ、いや、ダメだ違う!
エラルドは急激にステップアップしている。
なんともったいない! 何をやっているんだ、エラルド! 今は目を開いて確認をするべきではないのか!? 目を開いて……、目を開いて!? 開く、のか……? 耐えらるのか? ボクは耐えられるのか!? 恐らく今、クリスは無防備だ。無防備に、無防備に……、蒼いドレスの下に、上品なおっぱいをさらしていることだろう。そうだ……、落ち着け。冷静に、冷静にゆっくりと目を開けるんだ。クリスの体温を感じられるよな? ということは近いというわけだ。おっぱいが。クリスのおっぱいが。クリスのおっぱいが! すぐそこに!
開眼。
ゆっくりと、慎重に。
崖の上の極致。
幸せ。
人類の幸せがそこに詰まっていた。
そして。
出た。
出てしまった。
うむ。わが人生に、悔いはない……ッ!
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