おんなのこ

桃青

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27.ささやかに女子活

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 ナイトルーティンを終え、ダイエットの本を三冊抱えて、ベッドに潜り込んだオキヨは、時刻を確認して呟いた。
「とりあえず、全部の本にざっと目を通してみようかしらね」
 細かい所は、今は読まなくていい。大事なことは、ダイエットとは何かという、大まかな核を掴むことだ。オキヨの読書が始まった。

 お米を食べてダイエットとか、脂質をたくさん摂ってダイエットとか、ちょっと毛色の変わった本をチョイスしていたが、三冊の本を読んで一つ分かったことは、シンプルであり、かつ全てのダイエットの原点である。要するに、バランスよく食べた上で、摂取する総カロリーを減らすのだ。今オキヨが保健所に行ったとしても、全く同じアドバイスを受けるに違いない。
 つまり。
「食べてはいけないものがある、という訳じゃなくて、バランスと摂取カロリーを考えた上で、好きな物も取り入れていけばいいわけね。そう考えると、ダイエットはそれほど悲観的なことではないのかもしれない」
「フライドチキンだって、パウンドケーキだって、食べてもいいのよ。ただカロリーが異常に高いことと栄養バランスの観点から、ダイエットをする時に、食べる選択肢から外れてしまうというわけ」
「ダイエットといえば野菜だけれど、栄養が摂れてカロリーが低いという点で、理想的な食べ物ということになる」
「本に目を通した後、私の食事について考えてみると、それは酷いものね。気付いているようで、気付いていなかったことが沢山あるわ」
 自分の考え方を変えなくてはならない。そのことにオキヨは気付いた。私は変わるのだ。行先は見えなくても、新たな道を進み始めようとしている。
(冷蔵庫や棚にある食品の整理から始めるべきね。きっと意識改革の役に立つはずだわ)
 ダイエットは始めてからが苦しいことを、彼女はまだ知らない。
 はい、スタートラインに立って。
 よーい、ドン!
 これで自信がつくかどうかは、まだ分からないけれど、オキヨはスタートを切った。走ろうが、逆走しようが、誰のせいにもできない彼女自身の道を。
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