剣と魔法があっても一般人

ソ土ルク、

文字の大きさ
3 / 11

3、初めての戦い

しおりを挟む
まず攻撃態勢に移ったのは武器を持ってリーチの長いゴブリンだった。

笑いながら武器を振り上げて縦に振り下ろしてくる。

振り上げた時点で振り下ろしが来るのは予想できた為、右足で地面を蹴り、相手の左側に避ける。

小説の中の勇者とか武術の達人ならもっとギリギリで避けて反撃とかも出来るのだろうが、極普通の一般人からしたら避けられるだけ良しとしよう。


幸いゴブリンの振り下ろしの威力はそこまで高くなく、地面にガツっと音を立てるだけでクレーターが出来たりはしなかったし、振り下ろしのスピードもやったことはないが、俺がふった方が早いくらいだった。

だからといって、くらって大丈夫なのかと言われたら全力で首を横に振るしかないのでヒットアンドアウェイは継続する。


それに無闇やたらと攻撃を加えにいくのは難しい。

臆病かも知れないが、横薙ぎにされた時に回避できる位置にいないと、攻撃を咄嗟に避けられる気がしない。

ただ、まずは攻撃を当てない事には結局じり貧になるので、攻撃できるタイミングを探る。


攻撃を避けられたゴブリンだが、ギャーギャー喚きながらまた振りかぶってこっちに向かってくる。

ゴブリンって頭が悪いと良く小説等で見るけど、本当なんだなと頭の隅で考えながら、今度は先程よりも余裕を持って振り下ろしを相手の持ち手側に回避して、ゴブリンの脇腹に蹴りを入れる。


パンチじゃないのは想像以上に筋肉があったら骨が折れるかと思ったからだ。

まあ、それは蹴りでも一緒だけどそんだけ硬かった時点で俺の勝ちは無くなっていたはずなので良しとしよう。

蹴りを食らったゴブリンはうめき声を上げて持っていた棒を落として蹲っていた。


俺は即座に棒を奪い、距離を取る。

途中ゴブリンも棒を取り返そうとしてきたが、思ったよりも効いたのか動きが更に鈍く、無事に距離を取れた。

蹴った感触としては骨とかを折ったようなのはなかったし、思ったよりも柔らかかった位だった。

それでもダメージを与えられた事に喜びを感じつつ、奪った棒で軽く素振りする。


木の棒なので重くはないが、それでも常に持っているのは負担になる重さではあった。

ただ、これでリーチが伸びたので攻撃できるタイミングが増えそうだ。

ようやくダメージから復帰したゴブリンはまた馬鹿の一つ覚えのように正面から突っ込んでくる。

武器を奪ったが、扱いはゴブリン同様素人なので近付かれてしまえば逆に不利になると考えた俺は向かってくるゴブリンにタイミングを合わせ、剣道の構えから両手で全力で振り下ろす。


流石に脳天直撃はしなかったが、肩には当たり硬いものを砕いた感触が手に伝わる。

これが恐らく骨を砕いた感触なのだろうと若干嫌な気分になったが、そんな事を考えてる余裕は無いので再び大声を上げながら動きを止めたゴブリンに今度は右脇へ棒を横薙ぎにする。

遠心力のお陰でゴブリンの身体が少しだけ宙に浮き、また骨を砕く感触がした。


蹲ったゴブリンの頭に向けて全力で棒を振り下ろす。

本来なら葛藤とかもあったのだろうが、命の危機と戦闘に集中していたせいか躊躇わず頭に直撃させた。

それと同時に棒が折れてしまい、折れた部分は尖り半分程になっていた。

ゴブリンはピクピクと倒れたまま痙攣していた。

まだ生きているようで、このままでも勝ちは勝ちだろうが、いつ治ってまた襲ってくるかもわからない。


俺は深く考えるよりも前に棒の先の尖った部分を人間の心臓のあるであろう位置に全力で突き刺した。

返り血が飛んでくるが、幸い目には入らずゴブリンを見ると、ピクリとも動かなくなっていた。

ゴブリンから溢れる血だまりの中で俺は戦いに勝利して生きていることに安堵した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

現代ダンジョン奮闘記

だっち
ファンタジー
15年前に突如としてダンジョンが登場した現代の地球。 誰が何のために。 未だに解明されていないが、モンスターが落とす魔石はすべてのエネルギー源を代替できる物質だった。 しかも、ダンジョンでは痛みがあるが死なない。 金も稼げる危険な遊び場。それが一般市民が持っているダンジョンの認識だ。 そんな世界でバイトの代わりに何となくダンジョンに潜る一人の少年。 探索者人口4億人と言われているこの時代で、何を成していくのか。 少年の物語が始まる。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...