剣と魔法があっても一般人

ソ土ルク、

文字の大きさ
2 / 11

2 出会ったのは、、、

しおりを挟む
北に見えた人里に向かって歩き始めた俺だが、早速挫折しかけていた。
理由は簡単。
空腹と水分不足である。

あれから太陽が沈み始めて(これも日本と同じで東から西へと沈んでいる)体感ではあるが、後2時間程で夕方になるだろう。
その頃には何とかたどり着けそうだが、そこまで気力、体力が持つかは怪しい所だ。
とはいえ、嘆いていても仕方がない。
どのみちここで動かずに居たところで待っているのは死だけだろうし、空腹や水分不足で倒れても同じだ。
それなら僅かな望みにかけて歩いていくしか生きる術はない。

改めて空腹や水分不足と戦いながら人里へ向かい始めた俺だが、視線の先にまだ遠くはあるが生き物を発見した。

いや、生き物自体は歩いてる中でも見てはいた。
明らかに日本では見られない体長が1メートル以上あるであろう鳥に、草食動物だと思われる体長3メートル程のトリケラトプスのようなやつ等、どう考えても襲われたら数秒でミンチにされそうな奴等だった。
だから相当珍しいし、腹も減ってたけど挑む気にも近づく気にも欠片程もなれず、遠巻きに観察はしつつも草原の見晴らしの良い中で襲われないよう祈りながら歩いていた。

だが、今見つけた生き物はある意味定番だが会いたくなかった存在だった。
草原よりも更に濃い緑色の肌、身長は距離もあるので正確ではないが、恐らく150センチ程で、身に付けているのは遠目からでも汚れて見える腰ミノとどこからか拾ってきたであろう太めな木の枝。
そう、ファンタジーの定番ゴブリンだろう生き物だ。

これを見て改めてここは日本じゃないんだなと実感した俺だが、そんな悠長な事を考えてる余裕があるわけではない。
もちろん、今の俺は素手であり何なら持ち物は服以外に何もない状態だ。
しかもインドア派の一般人として生きてきた俺が武術関連の技術があるはずもなく、どちらかといえば最近運動不足気味だった為、ここまでの道中で疲労が溜まり万全には程遠い状態だ。

そんな中でファンタジーの定番キャラのゴブリンと戦わなければならないなんて、どんな無理ゲーだと内心叫びたくはなったが、無いとは思いつつそのまま過ぎ去ってくれるのに期待していた俺だが、案の定向こうは俺の存在に気付いたのか走って近付いてくる。

人ほどの大きさの生き物を殺した経験など無いし、そういった葛藤も無くはないが、小説で読んで知識として想像はしていたし、ファンタジーっぽい展開の時点で覚悟もしていた。
その為、動けなくなる程では無かったが、それでもニヤつきながら俺に向かって近付いてくるゴブリンに恐怖心が無いと言えば嘘になる。

初めて感じたが、これが殺気という物なのだろう。
こんな圧力というか恐怖心を煽られるような経験を日本での生活で経験するはずの無い俺はどう対処するのか正解など知らない。
ただ、このまま恐怖心に負けて逃げ惑った所で宛はないし、逃げ切れたとしても今度はゴブリン以上の存在に会ってしまったらおしまいだ。

ならここでこのゴブリンを倒すしかない。
どのみちここでゴブリンを倒せないなら遅かれ早かれ死ぬしかないだろう。
火事場の馬鹿力にでも期待して戦おう。
幸い、走って近付いてくるゴブリンの速度はそれ程早くない。
50メートル走換算なら13~14秒位だろう。
だからこそこれだけ気持ちを切り替えられた訳だが、無理ゲーに代わりはない。
それに俺から走って距離を詰める事もしない。
というか、そんな体力に余裕は無いし、ゲームと違ってHPなんて無いのだから攻撃を食らえば一撃でアウトな可能性もあるし、必然ヒットアンドアウェイが基本になる。
そんな風に戦う予定なら当然時間がかかるのは明白だし、体力もギリギリだろう。

何とかして勝てますようにと、心の中で祈りながらゴブリンが近付くのを待ち、深呼吸を数回して気持ちを落ち着け、右手のパンチを出しやすいように半身に構えた所でようやくゴブリンとの間合いが近付き、俺の初戦闘が始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

現代ダンジョン奮闘記

だっち
ファンタジー
15年前に突如としてダンジョンが登場した現代の地球。 誰が何のために。 未だに解明されていないが、モンスターが落とす魔石はすべてのエネルギー源を代替できる物質だった。 しかも、ダンジョンでは痛みがあるが死なない。 金も稼げる危険な遊び場。それが一般市民が持っているダンジョンの認識だ。 そんな世界でバイトの代わりに何となくダンジョンに潜る一人の少年。 探索者人口4億人と言われているこの時代で、何を成していくのか。 少年の物語が始まる。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...