115 / 212
第4章 地下迷宮。
猛勉強。
しおりを挟む
念のため、サナはガーネットに帰ってもらう事にした。
噴火した場合に備えて、ドワーフ達に警告するためだ。
「キング、ガーネットに〈空間転移〉!」
キングがぱちりと目を閉じ、サナと一緒に姿を消した。
「つかさ、次」
「はい!」
ナルシは、意外とスパルタ教師だった……。
せりは落ち着かない様子で、ずっとしっぽを振っている。
大丈夫、まだ大丈夫……。
だけど、間に合わなかったら……?
ぎりっと、私は唇を噛んだ。
「……落ち着け」
ナルシの言葉に、我に返った。
「まだ、時間はある」
「うん……」
私には兄弟がいないからよく分からないが、ナルシを見ているといかにもお兄さんという感じがする。
通常サイズになったりゅうたろうが、私の足に頭を擦り付けた。
私はずっと猫と一緒だった。
猫達は私と一緒に、こっちの世界に来る事を選んでくれた。
今、私は《猫を連れた冒険者》と呼ばれている。
……このまま、ずっと。
猫達と、この世界を冒険するために。
「よし! やるぞ!」
気合いを入れた私を見て、ナルシは一瞬目を見開き、それから笑った。
「……次、ここ」
スパルタなのは、変わらないけどな!
パンやチーズをかじりながら、古代神語の一夜漬けを続ける。
集中力が途切れかけたところで、少しだけ仮眠を取った。
サナがナロクと一緒に戻ってきた。
「つかさ、ずいぶんやつれちまったね……」
サナが、私を見て憐れむように言った。
やっぱり、そう見えますか……?
ギルドから声をかけてもらって、街の人達は避難の準備を始めたらしい。
「ナロクさんは、どうして……?」
街の人達と一緒に避難しなかったのか?
「自分の子供が命をかけとるのに、ワシだけ逃げるわけにはいかんわい!」
そう言って、ナロクはどっかりと座り込んだ。
私はナルシに古代神語を教わり続けた。
サナやりゅうたろう達も、黙ってずっと近くにいてくれた。
……。
…………。
……………………。
「●○□▼◇!」
「つ、つかさ……?」
突然意味不明な言葉を叫んだ私に、サナが顔をこわばらせた。
あー、うん、大丈夫。
ちょっと、言ってはいけない言葉を発しそうになっただけだから……。
だけど、とうとうやったぞ。
古代神語スキル、レベル2だ!
ぐらりと地面が揺れた。
ぱらぱらと土埃が落ちてくる。
噴火が近い!
「チャビ、おいで」
もう時間がない。
「チャビ、〈回復〉」
ごろごろとチャビがのどを鳴らし始めた。
同時に、魔方陣が淡く光り始めた。
噴火した場合に備えて、ドワーフ達に警告するためだ。
「キング、ガーネットに〈空間転移〉!」
キングがぱちりと目を閉じ、サナと一緒に姿を消した。
「つかさ、次」
「はい!」
ナルシは、意外とスパルタ教師だった……。
せりは落ち着かない様子で、ずっとしっぽを振っている。
大丈夫、まだ大丈夫……。
だけど、間に合わなかったら……?
ぎりっと、私は唇を噛んだ。
「……落ち着け」
ナルシの言葉に、我に返った。
「まだ、時間はある」
「うん……」
私には兄弟がいないからよく分からないが、ナルシを見ているといかにもお兄さんという感じがする。
通常サイズになったりゅうたろうが、私の足に頭を擦り付けた。
私はずっと猫と一緒だった。
猫達は私と一緒に、こっちの世界に来る事を選んでくれた。
今、私は《猫を連れた冒険者》と呼ばれている。
……このまま、ずっと。
猫達と、この世界を冒険するために。
「よし! やるぞ!」
気合いを入れた私を見て、ナルシは一瞬目を見開き、それから笑った。
「……次、ここ」
スパルタなのは、変わらないけどな!
パンやチーズをかじりながら、古代神語の一夜漬けを続ける。
集中力が途切れかけたところで、少しだけ仮眠を取った。
サナがナロクと一緒に戻ってきた。
「つかさ、ずいぶんやつれちまったね……」
サナが、私を見て憐れむように言った。
やっぱり、そう見えますか……?
ギルドから声をかけてもらって、街の人達は避難の準備を始めたらしい。
「ナロクさんは、どうして……?」
街の人達と一緒に避難しなかったのか?
「自分の子供が命をかけとるのに、ワシだけ逃げるわけにはいかんわい!」
そう言って、ナロクはどっかりと座り込んだ。
私はナルシに古代神語を教わり続けた。
サナやりゅうたろう達も、黙ってずっと近くにいてくれた。
……。
…………。
……………………。
「●○□▼◇!」
「つ、つかさ……?」
突然意味不明な言葉を叫んだ私に、サナが顔をこわばらせた。
あー、うん、大丈夫。
ちょっと、言ってはいけない言葉を発しそうになっただけだから……。
だけど、とうとうやったぞ。
古代神語スキル、レベル2だ!
ぐらりと地面が揺れた。
ぱらぱらと土埃が落ちてくる。
噴火が近い!
「チャビ、おいで」
もう時間がない。
「チャビ、〈回復〉」
ごろごろとチャビがのどを鳴らし始めた。
同時に、魔方陣が淡く光り始めた。
153
あなたにおすすめの小説
【完結】愛猫ともふもふ異世界で愛玩される
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
状況不明のまま、見知らぬ草原へ放り出された私。幸いにして可愛い三匹の愛猫は無事だった。動物病院へ向かったはずなのに? そんな疑問を抱えながら、見つけた人影は二本足の熊で……。
食われる?! 固まった私に、熊は流暢な日本語で話しかけてきた。
「あなた……毛皮をどうしたの?」
「そういうあなたこそ、熊なのに立ってるじゃない」
思わず切り返した私は、彼女に気に入られたらしい。熊に保護され、狼と知り合い、豹に惚れられる。異世界転生は理解したけど、私以外が全部動物の世界だなんて……!?
もふもふしまくりの異世界で、非力な私は愛玩動物のように愛されて幸せになります。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/09/21……完結
2023/07/17……タイトル変更
2023/07/16……小説家になろう 転生/転移 ファンタジー日間 43位
2023/07/15……アルファポリス HOT女性向け 59位
2023/07/15……エブリスタ トレンド1位
2023/07/14……連載開始
【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!
――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。
「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」
すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。
最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2022/02/14 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2022/02/13 小説家になろう ハイファンタジー日間59位
※2022/02/12 完結
※2021/10/18 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2021/10/19 アルファポリス、HOT 4位
※2021/10/21 小説家になろう ハイファンタジー日間 17位
不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
コミカライズ決定!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
コミカライズ決定です! 詳細は許可が出てから改めて発表しますので、しばらくお待ちください(*´꒳`*)
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2025/12/25,コミカライズ決定!
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる