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最終章 望む世界。
運命神の神殿。
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険しい山岳地帯にある城塞都市オニキス。
運命神の神殿はこの街にある。
「相変わらず、寂れてるねぇ……」
女神様や農耕神様の神殿とは比べ物にならない。
「りゅうたろう、大きくなって」
ひらりと私の肩から飛び降りたりゅうたろうが、虎ほどの大きさに姿を変えた。
「さて、行きますか」
神殿の中に入ると、しんと静まり返っていた。
おそらく長い間手入れもされておらず、崩れかけている所さえあった。
うーん、大抵は神様の像があるものだが。
半身がかけた、元は白かったであろう像を見つけた。
これが運命神の像だろう。
「……」
先に見限ったのは運命神の方か、それとも人間の方なのか……。
不意に、せりがキャットハウスから顔を出した。
「にゃあ!」
イカミミの警戒状態で上を見上げている。
ぴしりという音と共に、神殿の天井に亀裂が走った。
まさか……。
細かい埃がぱらぱらと落ちてきた。
亀裂が広がっていく。
まずい、崩れる!
「りゅうたろう、キャットハウスに戻って!」
りゅうたろうがキャットハウスに入るのとほぼ同時に、がらがらと音を立てて神殿が崩れ始めた。
大きな瓦礫が、頭上から落ちてくる。
ちりん、と小さく鈴の鳴る音がした。
まばゆい光が私を包み込み、瓦礫が消滅していく。
腰にぶら下げていた、お稲荷さんのくれた御守りが光っている。
三度だけ身代わりになってくれるという御守り。
今ので使いきってしまった。
それにしても、まさか自分の神殿ごと私達を生き埋めにしようとするとはな。
「出てきなさいよ!」
神殿も像も全て無くなった場所で、私は声を張り上げた。
「みんな、出てきて」
猫達がキャットハウスから出てきた。
「せり、〈気配察知〉」
「シャー!」
一点を見つめて、せりが威嚇の声をあげる。
ふん、そこか。
出てくる気がないなら引きずり出すまでだ。
「福助、〈風魔法〉!」
「にゃ!」
福助が張り切って鳴いた。
福助の回りを、きらきらしたものが弾むように飛んでいる。
凄まじい威力の風を、せりの示した場所へと叩きつける。
「くぅ、〈火魔法〉!」
「にゃお」
福助の〈風魔法〉に合わせるような形で、くぅが〈火魔法〉を放つ。
ぐにゃりと空間が歪み炎が消えた。
姿を現したのは、黒いフードをかぶった小柄な男だ。
「愚かな。神に戦いを挑む気か」
「初めまして。運命神サマ」
ご挨拶がわりに一発ぶちかましてさしあげましたが、お気に召しませんでしたかね?
運命神の神殿はこの街にある。
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「……」
先に見限ったのは運命神の方か、それとも人間の方なのか……。
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まずい、崩れる!
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ちりん、と小さく鈴の鳴る音がした。
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腰にぶら下げていた、お稲荷さんのくれた御守りが光っている。
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「出てきなさいよ!」
神殿も像も全て無くなった場所で、私は声を張り上げた。
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猫達がキャットハウスから出てきた。
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ふん、そこか。
出てくる気がないなら引きずり出すまでだ。
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「にゃお」
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ぐにゃりと空間が歪み炎が消えた。
姿を現したのは、黒いフードをかぶった小柄な男だ。
「愚かな。神に戦いを挑む気か」
「初めまして。運命神サマ」
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