執事と貴婦人に、くすぐられて悦ぶ彼女

文字の大きさ
16 / 35

崩れ始める均衡

しおりを挟む
その日、館の廊下には薔薇の香りがほのかに漂っていた。
細いヒールの音が静かに床を打つ。
セシリアが夜会服のまま、綾乃の部屋を訪れたのは、満月の真下だった。

「……綾乃さん。入ってもいいかしら?」

ゆったりとした声に、綾乃は心臓が跳ねるように応えた。

「セシリア……」

ドアを開けると、そこにいたのはいつもの優美な貴婦人ではなかった。
その瞳には、穏やかな慈しみと――燃えるような嫉妬が宿っていた。

「聞いたわ、あなた、彼にくすぐられたのね」

綾乃は息をのんだ。その声には、微笑みと毒が混じっている。

「……うん。ごめんなさい」

「謝ることはないわ。あなたは愛される権利がある。
でも……私も、あなたを愛しているの。
同じ女だからこそ、あなたの心も身体も、全部わかる。
だから――私のくすぐりで、思い出させてあげるわ」

そう言って、セシリアはベッドに腰を下ろし、
そっと綾乃の髪を撫でた。

「……脱いでちょうだい。今日のあなたには、おしおきが必要なの」

綾乃が身に纏っていた部屋着をそっと脱ぎ、シーツに身を預けると、
セシリアは上品な手つきで、柔らかなシルクの紐で手首を束ねた。

「逃げられないけれど、怖くない。ね? 私は、あなたの味方よ」

そう囁いて、セシリアの指先が、綾乃の足の甲に触れた。

「んっ……ふふっ……あっ、そこ……くすぐった……ぃ……」

「ここが反応するの、彼も気づいていたわね。でも……女である私の指は、違うのよ」

セシリアの指は、足の甲の骨のすじを沿って、
まるで香水をなぞるように、やわらかく、じっくりとくすぐっていく。

「ふふっ……はぁっ……セシリア……それ、だめぇ……っ」

「“だめ”と言いながら、足の指がピクピク動いてる。かわいいわ、綾乃さん」

ゆっくりと、指先は足首、ふくらはぎ、太ももへと昇っていく。
どこにも逃げ場のないくすぐったさが、じんわりと快楽に変わっていく。

「次は……この“脇腹”。
男のくすぐりは直線的。でも、私はあなたの“揺らぎ”に合わせて愛してあげるわ」

セシリアの爪先が、肋骨にそって曲線を描いた。

「ひぁっ……ふふっ、くすぐっ……セシリアっ、それ……! んふっ……ぁあ……!」

「あなたの笑い方が、昨日より柔らかくなってる。
彼の指で開いた扉を、私の愛で満たしてあげる……ね、そうでしょう?」

セシリアは、脇腹を撫でるだけでなく、
脇腹から脇の下へ、流線を描くように指を滑らせていく。

「んんんっ、セシリアぁっ……あっ、あぁんっ……そんなの、ずるいぃっ……!」

「ずるいのはどっちかしら? 私の大切な綾乃さんを、先に味わった執事こそ――」

そして、脇の下に中指と薬指だけでリズムを刻むくすぐり。
女だからこそわかる、“本当に感じるくすぐったさ”がそこにはあった。

「くすぐったいだけじゃない……セシリアの指って、……甘い……」

「それでいいの。くすぐりって、愛の一種だから。
痛くも苦しくもない、ただ笑って、溶けて、感じる……あなたをいちばん素直にする魔法よ」

綾乃の笑い声が、涙まじりに変わる。

「もう、だめ……っ、身体が溶けちゃうぅ……っ」

「……泣いていいのよ。笑いながら泣いて。くすぐったさに溶けてしまえばいい」

セシリアは顔を寄せ、頬に唇を寄せた。

「でも――この身体には、もう他の男が触れてるのね。
あなたの皮膚に残った“彼の指の記憶”が、私を嫉妬させるのよ。わかる?」

「セシリア……ごめんなさい……っ、でも……どちらも、嫌じゃないの……!」

「……ふふ。ならいいわ。
あなたを奪い合うくすぐり、続けてあげる。
脇の下も、脇腹も、足の裏も……全部、あなたがどう反応するか、知ってるから」

その夜、綾乃はセシリアの指先で、果てなく笑い、揺れ、快楽に包まれていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...