ふたりの執事にくすぐら令嬢

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くすぐられたら、幸せです

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「綾乃様……そのすべてを、我々に預けてくださいますか?」

礼司の声は低く、優しく、まるで恋人の吐息のように耳元へ注がれる。
遼真は言葉なく、綾乃の指先にそっとキスを落とした。彼の唇は温かく、そこに触れた瞬間、綾乃の心臓が柔らかく跳ねる。

「……うん。預ける……ふたりに……全部……」

頬を紅に染めながら、綾乃は静かに目を閉じた。
その姿はまるで、すべてを明け渡す祈りにも似て、ふたりの執事の胸を強く打った。

「では――始めましょう。愛しき綾乃様へ、尽くす時です」

礼司が、綾乃の両手首をゆっくりとリネンのリボンで結び、天蓋のポールへと固定する。
遼真はその間、足元に膝をつき、つま先から足の甲へ、そっと指先を這わせていた。くすぐりにも、祈りにも似た動きで。

「っ……ふふっ……足……そこ、くすぐったい……」

くすぐったさは確かにある。だが、それは単なる刺激ではない。
くすぐられることで、自分が見つめられ、理解され、愛されているという実感が、皮膚を通して彼女の中に染み込んでいく。

「礼司さん……遼真さん……わたし、今……すごく、幸せ……」

「我々も、綾乃様を幸せにできることが、何よりの悦びです」

礼司は綾乃の脇腹へと手を伸ばした。
優しく包み込むように、しかし絶妙な力加減で、肋骨の隙間をくすぐる。そこは綾乃が特に敏感な場所――
遼真はその隙を突くように、下腹部へと指を滑らせ、円を描くように撫で上げていく。

「ぁ、ふ、ふふっ……だ、だめぇ……っ……ふたりしてそんな……あっ、ふふふっ……!」

「“だめ”が“もっと”に聞こえてしまうのは、我々の贔屓目でしょうか?」

「もしくは――綾乃様の本音かと」

綾乃の目元に涙がにじむ。笑いすぎて、でも笑うことが気持ちよくて。
まるで、快楽そのものが皮膚を通じて心の奥へ入り込み、魂をほぐしていくようだった。

「もう……っ、やだぁ……んふふふふっ……!」

礼司の舌が、綾乃の肋骨のすぐ下をゆっくりと這う。
遼真はその瞬間に、下腹部の敏感な部分を、指で円を描くようにゆっくりくすぐる。

「ひゃっ……は、あぁぁっ、ふふふふっ、やっ、そこ、もうっ……!」

くすぐったい。
でも、逃げたくない。むしろ――もっとされたい。

「……もっと……ふたりで……わたしのこと、くすぐって……」

「はい。綾乃様のご希望とあらば、どこまでも」

「ええ……どれほど笑い、果てても――我々は、その声を聴き続けます」

ふたりの執事が見つめ合い、うなずく。
次の瞬間、彼らの動きは、まるで音楽を奏でるように高度な調和を持って綾乃の身体へと流れ込む。

右脇腹を指でくすぐりながら、左の腰骨を舌先でくすぐる礼司。
足首から太腿の内側まで、くすぐるように撫でながら、耳元に熱を吹きかける遼真。

「ひゃうっ、あぁっ……だめぇっ、ふふふふふっ、もぉっ、むりぃっ……っ、でも、すきっ……もっとっ……」

笑いと涙と悦びと、すべてをひとつにして――綾乃は、ふたりの愛に包まれ続けた。
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