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旅の終わり
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「良かったらこれ使って。ちょっと重たいけど。傷の治りが早まるから」
ユーゲンが手渡しているのは、私が作った数々の魔具。
細胞組織の活動を早める魔法陣が埋め込まれた物だ。
練習や実験を兼ねて造った魔具は持ちきれない数になってきており、たびたび街や旅の者にユーゲンは渡している。
「いいのか。魔具なんて貴重な物を…」
「うん。持ちきれないんだ。ボクらじゃ。有効に活用してよ。街の人たちのためにも」
「持ちきれない?そんなに多くどうやって…」
受け取った魔具をまじまじと見て、信じられないように呟く。
「自作か?」
「うん。ボクじゃなくてゲルハルトだけどね。旅の合間に作ったやつだよ」
兵士の反応から考える。
性能はともかく、やはり造りがまだ雑か。
素人目にも自作がわかるほどに不恰好だということだ。
そこらへんの地面から採取した粘土では限りがあるか。
いや、私の作りこみが甘いせいか。
考え込んでいたら、魔具を受け取った兵士が目の前に来ていた。
「魔具を造ったというのは本当か?」
面倒なことになる予感がありつつも、ユーゲンが既に言ってしまったのでもう嘘をついても仕方がない。
「…ああ」
しぶしぶ答えると、痛いくらいに力強く両肩を掴まれた。
「この街にとどまってくれないか」
ほら面倒になった。
私が答える前に畳み掛けるように言葉を続けてくる。
「治癒師がいなくなってからこの街は疲弊する一方だ。魔物は強くなってきているのに兵士が対応しきれない。怪我も増えて休養せざるを得ない者もでてきた。このままでは街の者を守れない。そのうち死者が出始めるだろう。この街に留まって、どうか一緒にこの街を守ってくれないだろうか」
「断る」
即答する私に兵士は声を荒げる。
「なぜだ!?そんなにその旅が重要か!?この殺伐とした世の中でどうしても成し遂げねばならないことか!?魔王討伐のほうが、みなで生き延びることのほうが、よっぽど重要だろう!?」
各々好きな話で盛り上がっていたはずが、いつのまにか兵士長の話に集中している。
しんと張り詰めた空気。
集まる視線。
水を飲みながら、ユーゲンも静かに私を見ていた。
ああ、ちっぽけに生きるお前たちにはわからないだろうな。
だだっ広い砂漠でささやかに生えた小さな草。
からからに喘いだ喉に注いだ一滴の滴。
そんな、どれぐらいぶりかわからない楽しみなんだ。
心動かされているんだ。
「…ユーゲンからもらった魔具で満足しとけ。私がこの街を滅ぼしてもいいんだぞ」
発せられたのは、冷気のように地を這う、冷たく低い声。
ほんのひと時あれば滅ぼせる。
自信があった。
視線で射殺すかのように兵士長の目を見る。
青白く血の気のひいた顔。
1歩、2歩と後ずさる。
ああ、久しいな。
その"化け物"でも見るかのような目。
面白くもなんともないのに口角が上がった。
足の向きを変えただけで私を注視する兵士たちはびくりと反応をする。
カウンターに1人分の金を置いて、店を出た。
ユーゲンとももう別れよう。
宿屋へ転移して、置いていた荷物を手に取る。
作成した魔具。
数着の着替え。
少量の食料に結晶になり損ねた欠片。
いくつも魔具を作成するなかで、欠片はそれなりの量が溜っていた。
これの使い道も考えないとな。
何にも使えないということはないはずだ。
夜も更けてから退館しようとする私に宿の主人はやめとけと引き止めてきたが、代金を置いて外へ出た。
宿無しとなった私は町の外へ向かう。
一度転移で根城に戻るわけだが、距離があるため魔力を練るのに時間がかかる。
腕の陣が発光することで人目につくのは勘弁だ。
魔具で周りを囲って安全を確保。
魔力を練って転移を発動させる。
多少埃は積もっていたが、根城は旅立つ前となんら変わりは無かった。
弱まっていた結界を張りなおし、寝床を整える。
その日は夢を見た。
寝ているときには夢を見ることもあるのだった、と思い出すくらいに久方ぶりの夢。
ユーゲンが手渡しているのは、私が作った数々の魔具。
細胞組織の活動を早める魔法陣が埋め込まれた物だ。
練習や実験を兼ねて造った魔具は持ちきれない数になってきており、たびたび街や旅の者にユーゲンは渡している。
「いいのか。魔具なんて貴重な物を…」
「うん。持ちきれないんだ。ボクらじゃ。有効に活用してよ。街の人たちのためにも」
「持ちきれない?そんなに多くどうやって…」
受け取った魔具をまじまじと見て、信じられないように呟く。
「自作か?」
「うん。ボクじゃなくてゲルハルトだけどね。旅の合間に作ったやつだよ」
兵士の反応から考える。
性能はともかく、やはり造りがまだ雑か。
素人目にも自作がわかるほどに不恰好だということだ。
そこらへんの地面から採取した粘土では限りがあるか。
いや、私の作りこみが甘いせいか。
考え込んでいたら、魔具を受け取った兵士が目の前に来ていた。
「魔具を造ったというのは本当か?」
面倒なことになる予感がありつつも、ユーゲンが既に言ってしまったのでもう嘘をついても仕方がない。
「…ああ」
しぶしぶ答えると、痛いくらいに力強く両肩を掴まれた。
「この街にとどまってくれないか」
ほら面倒になった。
私が答える前に畳み掛けるように言葉を続けてくる。
「治癒師がいなくなってからこの街は疲弊する一方だ。魔物は強くなってきているのに兵士が対応しきれない。怪我も増えて休養せざるを得ない者もでてきた。このままでは街の者を守れない。そのうち死者が出始めるだろう。この街に留まって、どうか一緒にこの街を守ってくれないだろうか」
「断る」
即答する私に兵士は声を荒げる。
「なぜだ!?そんなにその旅が重要か!?この殺伐とした世の中でどうしても成し遂げねばならないことか!?魔王討伐のほうが、みなで生き延びることのほうが、よっぽど重要だろう!?」
各々好きな話で盛り上がっていたはずが、いつのまにか兵士長の話に集中している。
しんと張り詰めた空気。
集まる視線。
水を飲みながら、ユーゲンも静かに私を見ていた。
ああ、ちっぽけに生きるお前たちにはわからないだろうな。
だだっ広い砂漠でささやかに生えた小さな草。
からからに喘いだ喉に注いだ一滴の滴。
そんな、どれぐらいぶりかわからない楽しみなんだ。
心動かされているんだ。
「…ユーゲンからもらった魔具で満足しとけ。私がこの街を滅ぼしてもいいんだぞ」
発せられたのは、冷気のように地を這う、冷たく低い声。
ほんのひと時あれば滅ぼせる。
自信があった。
視線で射殺すかのように兵士長の目を見る。
青白く血の気のひいた顔。
1歩、2歩と後ずさる。
ああ、久しいな。
その"化け物"でも見るかのような目。
面白くもなんともないのに口角が上がった。
足の向きを変えただけで私を注視する兵士たちはびくりと反応をする。
カウンターに1人分の金を置いて、店を出た。
ユーゲンとももう別れよう。
宿屋へ転移して、置いていた荷物を手に取る。
作成した魔具。
数着の着替え。
少量の食料に結晶になり損ねた欠片。
いくつも魔具を作成するなかで、欠片はそれなりの量が溜っていた。
これの使い道も考えないとな。
何にも使えないということはないはずだ。
夜も更けてから退館しようとする私に宿の主人はやめとけと引き止めてきたが、代金を置いて外へ出た。
宿無しとなった私は町の外へ向かう。
一度転移で根城に戻るわけだが、距離があるため魔力を練るのに時間がかかる。
腕の陣が発光することで人目につくのは勘弁だ。
魔具で周りを囲って安全を確保。
魔力を練って転移を発動させる。
多少埃は積もっていたが、根城は旅立つ前となんら変わりは無かった。
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