不死の魔法使いは鍵をにぎる

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シュワーゼの兄との衝突

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シュワーゼは特区専用の図書館で満遍なく調べるつもりであること。
呪い関連の情報が一番だが、それに囚われずに幅広く情報を集めたいこと。
転移を生かして様々な土地に情報収集の足を延ばしてほしいこと。


食べながら飲みながら話し合っていたら、唐突に扉が開け放たれる。





「おい!シュワーゼ!」





大声とともに勢いよく入ってきたのはシュワーゼの兄、ブルデ。
シュワーゼが目を細めて笑みを作りながら、怒りのオーラを発する。



「兄さん突然どうしたの?不躾だよ。突然入ってくるなんて」

「うるさい!わけのわからない男を屋敷に入れやがって!レフラのほうがいい先生だ!勝負しろ!」



明らかに馬鹿にした態度でシュワーゼが小さく噴き出した。



「勝負?レフラとゲルハルトが?」

「そうだ!レフラのほうがすごいんだからな!見せてやる!」



けんけんと突っかかる兄の後ろで女がおろおろとしている。
女自身は競うつもりはなく、ただシュワーゼの兄が暴走しているだけの様子。



しかし特区内は全て結界の中に納まっている。
魔法は使えないはずではないのか。








「競うまでもないよ。結果はわかりきってる」

「そういって逃げる気だろ!そうはさせないぞ!」



声を張り上げる兄と淡々と言い返すシュワーゼ。
言い合っているところを遮る。




「特区内は魔法使えないんじゃないのか」

「ん?ああ。専用施設が設けられてるんだ。魔法訓練用のね。そこでなら結界内でも使えるよ」







特区に住むのは魔力量が多い者たちだ。
魔法訓練ができなければその利点を殺すことに繋がる。






シュワーゼの返答に納得していると、兄が私に突っかかってきた。



「お前!余裕ぶっこいてるんじゃない!勝負しろ!」



喚いて自分の要求を通そうとするガキらしい年相応の態度。
反して、紅茶を優雅に飲みながら、幼児らしからぬ冷めた態度のシュワーゼ。



「面倒でしょう。相手にしなくていいよ。ゲルハルト」

「いや、突っかかられてうるさいほうが面倒だな」



女の技術がどんなものかわからないが、秒で終わらせられる気がする。
差を見せつけて今後の衝突をなくしたほうが楽だろう。






「それもそうか。わかった」


するりと体を滑らせてシュワーゼは椅子から降りる。



「要求に応じてあげるよ兄さん。訓練小屋に行こうか」

「望むところだ!行くぞ!」







広い屋敷をいったん出て、屋敷回りに点在していた小屋の1つへと向かった。
錠前で施錠されているドアを開け、4人で中へ入る。

均された地面に芝生、程よく間をあけて生えた木々に流れる小川。
壁に囲まれてはいるが、室内という感じはあまりしなかった。



壁に沿って、地面に何かが埋められている跡がある。
それによって結界の影響を外しているのだろう。


ドアを閉めているシュワーゼに話しかける。





「何が埋まっているんだ」

「ぼくも知りたいんだよね。一度掘り出そうとしてこっぴどく叱られた。配置がずれると発動しなくなるんだって。魔具ではないよ。たぶん。魔具が浸透する前からある仕掛けみたいだからね」



好奇心たっぷりの視線をちらりと埋設物に向けるシュワーゼ。
配置が重要ということは、魔法陣と似た仕掛けだろうか。







シュワーゼと話している間に小屋の真ん中に仁王立ちして兄ブルデは構えていた。



「さあ早く始めるぞ!」

「兄さん。どう競うの?対戦?怪我するよ?」

「う」



突っかかるだけ突っかかっておいて、何も考えていなかったようだ。
目が上下左右に泳ぐ。



「じゃ、じゃあ!」






苦し紛れに言葉を紡ぎ、その内容で技術を競うことになる。

火魔法の基本、火玉の大きさ。
風魔法で切れる木の幹の太さ。
草木を成長させる速さ。

思いつく限りのものを思いついた端から、といった様相だ。



女の技術は予想以下で、同じ土台には程遠い。
新たに競わされるほどに魔力の使い過ぎで息切れを激しくさせる。

魔力量が少ないのか、魔力消費の容量が悪いのか、続けるほどに苦しさをにじませる。






「兄さん。続けるだけ無駄だよ。レフラ息切れしてる。限界じゃないかな」



延々と続けそうな気配の兄にシュワーゼが声をかける。
女の様子が目に入っていなかったようで、闘志に燃えていた目が急に焦りだす。



「レフラ!?苦しいのか!?」

「すみません。ブルデさん少し休憩すれば問題ないです。それよりも、1つも敵わなくて申し訳ないです…」



長距離全力疾走でもしてきた後かのように、息を切らしながら話す。
巻き添えを食らわないように距離をあけて立っていたシュワーゼが近づいてきた。





「ね?技術力ないでしょ?…酷すぎて驚いた」

「予想以上だったな。魔法学校はでてるのだろう?」








認定試験などがあるわけではないが、魔法学校を卒業していないと教師として働くことはほぼできない。
雇用主から信用性が低いと疑われるからだ。

治癒魔法などの高等魔法を扱えるなら別だが、魔法学校を出ていない者にはそもそもそれだけの実力がないことが多い。






「そのはずだよ。主席卒業だったはず」

「あれで主席だって?」



聞き間違えたのではないかと一瞬耳を疑う。

魔法学校へ行ったことがないからどのような教育を行っているかは知らない。
しかし魔法学校出の奴らを何人と見てきたから、おおよその水準は把握しているつもりだ。





…最低の実力だぞ。









「過去に会った、主席でも何でもない魔法学校出身者のほうが遥かに実力があったんだが」

「どういうことだろう。実力よりも知識を重視する評価だったのかな。教師の質が落ちてる?あの人の嘘…、は考えづらいな。性格的に」



シュワーゼと会話をする私を見てから、苦しそうな傍らの女を見、兄は表情をゆがめる。



「っ…、くそ!全然負けてないからな!今日はこのくらいにしておいてやる!」



見事な負け犬の遠吠え。
先ほどよりも息が整ってきた女を心配しながら、2人で出て行った。
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