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居なくなってからの日々
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ほどなくして、シュワーゼの父親が戻ってきた。
シュワーゼが処罰されたのは事実であること。
第三者との協力関係は見られなかったため家族等関係者に咎めはないこと。
罪人の遺体・遺品返却は認められないこと。
突然のことに理解が追い付かないながらも、淡々と報告をしている。
王に処刑された者は大罪人である。
大罪人には、別れの儀式を開くことは許されない。
身内とごく親しい者だけを呼び、内々にひっそりと別れの儀式を行うことになった。
遺体も遺品もない別れの儀式。
突然のことに呆けた顔で参列している者も多い。
シュワーゼの母親はすすり泣き、ブルデは涙ぐんで唇をかんでいた。
しめやかに儀式は執り行われ、傷は癒えないままに日常へと戻される。
私はシュワーゼの魔法教師という名目で屋敷の出入りを許可され、シュワーゼに教師が不要となってからは友人として出入りしていた。
もうシュワーゼはいない。
屋敷へ行くことがなくなり、1人調査をする日々。
シュワーゼとの情報共有がなくなっただけで、日々することに大きく変化はない。
そういえばシュワーゼが死んで生まれ変わった場合にどうするかを話し合っていなかったな。
生まれ変わる間隔に規則性はないと言っていた。
いつ生まれ変わるのかはもちろん、場所や外見等、一切がわからない。
根城を保って、シュワーゼが訪ねてくるのを待つべきか。
こう考えると、ユーゲンやシュワーゼに偶然会ったのは奇跡のようだったと思う。
転移して各地を飛び回り、情報を集める日々。
シュワーゼの屋敷には立ち入らなくなったが、特区や王城にはたびたび情報収集のため足を踏み入れている。
時折、レフラやブルデ、フォルグネに会うことがあり、言葉を交わす。
子に魔法を教えてやってほしいと一度レフラに頼まれたが断った。
人間と関わりを持ちすぎると、変わらない風貌を怪しまれる危険が増す。
シュワーゼがいなくなってから、どれだけの月日が経っただろう。
ブルデとレフラの子がそろそろ魔法学校卒業だと言っていたから、十年ほどだろうか。
老けにくい顔だという言い訳は通じない年月が経っている。
怪しまれないように、怪我をしたと言って面を被るようにした。
これはこれで奇異な目で見られるが、化け物として迫害されるよりかはましだろう。
なぜなのか、ブルデ・レフラの子に評判がよくて困る。
じゃれつくんじゃない。
ブルデの母親が亡くなり、父親も亡くなり、ふとそれだけの時が流れていたのだと気づく。
そのうちにフォルグネも亡くなった。
はやり病だった。
別れの儀式に参列したら、フォルグネの部下や上司、同僚、家族、友人など、一介の兵士にしては規模の大きな儀式になっていた。
フォルグネの顔は広かったようだ。
食堂の店員が、図書館の受付員が、町に住む者たちの顔ぶれが変わっていく。
レフラの顔にも皺が増え、ブルデの髪は白髪が交ざり始めた。
子はとっくに背丈が伸び切って同じ高さの目線である。
私の素顔を見た記憶がないせいだろう、たびたび面を奪おうとしてくる。
ずいぶんと勘に障る勝気な野郎に育ったものだ。
本人の気質か、育て方が功を奏したのか、周りに追随を見せない魔法技術を身に着けた現在は王城で働いている。
とびぬけた実力が過剰に自信をつけさせたのかもしれない。
とはいっても、私からしたら大したことのない実力なのだが。
病的だと言われていた臆病な王は、娘に王位を譲って人前に顔を見せることはなくなった。
ひたすら増強されていた兵力は王が変わってから方針を変え、王城から離れた町や村の堀づくりに駆り出されるようになった。
戦力増強よりも防衛を重視するらしい。
壊されたままだった塀の補修。
無事な塀はより強固なものへ改装。
ときには土を耕したりなどの手伝いもしているようだ。
結界張や治癒師の数は限られる。
派遣はどうしても王城付近の町が優先だ。
次の魔王が立ったとき、結界張や治癒師の派遣がなくとも持ちこたえられるように整備が進められている。
次の魔王がたつのは、早くて大体50年後だろうか。
そのころには新王は死んでいる可能性が高いが、次代の民のため、防備を整えている。
以前は隠れるように王の話をしていた民たちも、今の王は我々のことをよく考えてくれていると、堂々と話す姿も見られるようになった。
シュワーゼが処罰された時期に突如作られることになった訓練施設は、結局失敗に終わった。
効力がいまいちだったようだ。
結界の効力を減退させはするものの、既存の魔法用訓練施設には遠く及ばない。
一度、訓練施設の仕掛けにどのような魔法陣を描きどこに魔石を設置したのか、ブルデから資料を見せてもらったことがある。
シュワーゼから聞いた情報から考えて、歴然とした間違いは見当たらなかった。
魔法陣に流す魔力が弱かったのか。
魔石の数や位置が正しくなかったのか。
魔石の質が悪かったのか。
原因はわからないまま、魔法用として新設された施設は武術や剣術の訓練に使われている。
シュワーゼが処罰されたのは事実であること。
第三者との協力関係は見られなかったため家族等関係者に咎めはないこと。
罪人の遺体・遺品返却は認められないこと。
突然のことに理解が追い付かないながらも、淡々と報告をしている。
王に処刑された者は大罪人である。
大罪人には、別れの儀式を開くことは許されない。
身内とごく親しい者だけを呼び、内々にひっそりと別れの儀式を行うことになった。
遺体も遺品もない別れの儀式。
突然のことに呆けた顔で参列している者も多い。
シュワーゼの母親はすすり泣き、ブルデは涙ぐんで唇をかんでいた。
しめやかに儀式は執り行われ、傷は癒えないままに日常へと戻される。
私はシュワーゼの魔法教師という名目で屋敷の出入りを許可され、シュワーゼに教師が不要となってからは友人として出入りしていた。
もうシュワーゼはいない。
屋敷へ行くことがなくなり、1人調査をする日々。
シュワーゼとの情報共有がなくなっただけで、日々することに大きく変化はない。
そういえばシュワーゼが死んで生まれ変わった場合にどうするかを話し合っていなかったな。
生まれ変わる間隔に規則性はないと言っていた。
いつ生まれ変わるのかはもちろん、場所や外見等、一切がわからない。
根城を保って、シュワーゼが訪ねてくるのを待つべきか。
こう考えると、ユーゲンやシュワーゼに偶然会ったのは奇跡のようだったと思う。
転移して各地を飛び回り、情報を集める日々。
シュワーゼの屋敷には立ち入らなくなったが、特区や王城にはたびたび情報収集のため足を踏み入れている。
時折、レフラやブルデ、フォルグネに会うことがあり、言葉を交わす。
子に魔法を教えてやってほしいと一度レフラに頼まれたが断った。
人間と関わりを持ちすぎると、変わらない風貌を怪しまれる危険が増す。
シュワーゼがいなくなってから、どれだけの月日が経っただろう。
ブルデとレフラの子がそろそろ魔法学校卒業だと言っていたから、十年ほどだろうか。
老けにくい顔だという言い訳は通じない年月が経っている。
怪しまれないように、怪我をしたと言って面を被るようにした。
これはこれで奇異な目で見られるが、化け物として迫害されるよりかはましだろう。
なぜなのか、ブルデ・レフラの子に評判がよくて困る。
じゃれつくんじゃない。
ブルデの母親が亡くなり、父親も亡くなり、ふとそれだけの時が流れていたのだと気づく。
そのうちにフォルグネも亡くなった。
はやり病だった。
別れの儀式に参列したら、フォルグネの部下や上司、同僚、家族、友人など、一介の兵士にしては規模の大きな儀式になっていた。
フォルグネの顔は広かったようだ。
食堂の店員が、図書館の受付員が、町に住む者たちの顔ぶれが変わっていく。
レフラの顔にも皺が増え、ブルデの髪は白髪が交ざり始めた。
子はとっくに背丈が伸び切って同じ高さの目線である。
私の素顔を見た記憶がないせいだろう、たびたび面を奪おうとしてくる。
ずいぶんと勘に障る勝気な野郎に育ったものだ。
本人の気質か、育て方が功を奏したのか、周りに追随を見せない魔法技術を身に着けた現在は王城で働いている。
とびぬけた実力が過剰に自信をつけさせたのかもしれない。
とはいっても、私からしたら大したことのない実力なのだが。
病的だと言われていた臆病な王は、娘に王位を譲って人前に顔を見せることはなくなった。
ひたすら増強されていた兵力は王が変わってから方針を変え、王城から離れた町や村の堀づくりに駆り出されるようになった。
戦力増強よりも防衛を重視するらしい。
壊されたままだった塀の補修。
無事な塀はより強固なものへ改装。
ときには土を耕したりなどの手伝いもしているようだ。
結界張や治癒師の数は限られる。
派遣はどうしても王城付近の町が優先だ。
次の魔王が立ったとき、結界張や治癒師の派遣がなくとも持ちこたえられるように整備が進められている。
次の魔王がたつのは、早くて大体50年後だろうか。
そのころには新王は死んでいる可能性が高いが、次代の民のため、防備を整えている。
以前は隠れるように王の話をしていた民たちも、今の王は我々のことをよく考えてくれていると、堂々と話す姿も見られるようになった。
シュワーゼが処罰された時期に突如作られることになった訓練施設は、結局失敗に終わった。
効力がいまいちだったようだ。
結界の効力を減退させはするものの、既存の魔法用訓練施設には遠く及ばない。
一度、訓練施設の仕掛けにどのような魔法陣を描きどこに魔石を設置したのか、ブルデから資料を見せてもらったことがある。
シュワーゼから聞いた情報から考えて、歴然とした間違いは見当たらなかった。
魔法陣に流す魔力が弱かったのか。
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