不死の魔法使いは鍵をにぎる

:-)

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聖人様が伝わる村

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どれくらいの月日が経っているだろうか。
双子が家庭を持つようにまでなっているから、20年ほど経っているのだろうか。





バウムの植物化はますます進んでおり、最近は歩くことをしなくなった。
足の裏から伸びた根が地面に根付いてしまい、引き抜けないのだそうだ。

風貌も、樹木に似た人間というよりは、人間に似た樹木へと近づいている。

歩きはしなくなったが、まだまだ話すことはできるようだ。
相変わらず、バウムは落ち着いた声でゆっくりと喋る。





転々と世界を巡って調査をしていると、魔王被害から復旧がほぼ完了したことに気づく。
被害状況を調べて対策を練り、より壊されにくい塀を作ったりと国として改善がなされているようだ。

どうせまた壊されるというのに、結構なことである。



王都周辺は避けているため実際の状況はわからないが、復旧がほぼ完了して余裕ができたため、以前作った不発の魔法用訓練施設の研究を始めたと風の噂で聞いた。

何が原因だったのか、どうすれば効力を完全に発揮する結界避けの仕掛けを作れるのか、専用の部署を作って研究させているらしい。
次に訓練施設を新設することになった際に使える、きちんとした資料を残すためだそうだ。


もしも原因が究明されたなら知りたいところだが、その機会は訪れるのかどうか。
シュワーゼが再び王城関係の者に生まれ変われば機会があるかもな。










新しい情報が掴める日は少なく、最近は各地で特有の料理を食べに行って終わる日も多い。

今はなぜか、知らぬ人間の家で馳走を食べている。

森で突然飛び掛かってきた魔物を頭を吹き飛ばして絶命させたら、どうやらその魔物に呪いをかけられた者がいたらしい。
直後に走ってきて礼を言われた。



魔物と人間が鉢合わせ、人間は攻撃、魔物は呪いをかけて逃亡。
その先に偶然私が立っていて魔物を倒したという流れのようだ。

呪いを解く方法は知らないし、魔物を倒すしかないのに足が速く追い付かなかった、とても感謝している、と強引に家に連れ込まれた。

恩人であるらしい私の意思確認など無しだ。
まあ、出された馳走に満足しているので良しとしよう。

滑らかでコクのある、もったりとした甘味がとてもおいしい。






味わっていると、部屋の扉が開いて誰かが出てくる。



「お兄ちゃん、何やってんの?」

「恩人をもてなしてんだ。お前も甘い物食べるか?」



意図せずして私が助けた男の、妹らしい。
見知らぬ人間である私の存在に怪訝な顔をしながら兄と会話をしている。


その妹が出てきた部屋に、小さな像が飾られているのに気づく。
長髪を1つに束ね、片足を引きずり歩くような姿の像。


いつの間にか同じ卓について甘未を食べている兄妹に問いかける。



「あそこに飾られている像はなんだ?」

「ここいらに伝わる聖人様だよ」



わざわざ像を卓に持ってきて、詳しく説明をする男。


間近で像を見てみれば、師匠にしか見えなかった。
髪型や引きずる歩き方はもちろん、好奇心に満ちた飛び出そうな目になだらかな丸い肩。




この像は、いったい。
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