不死の魔法使いは鍵をにぎる

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治癒と魔力調査

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マーツェの解体作業に加わり、魔物の魔力の質を確かめる。
砂山に手を突っ込んだかのような、ざらついた質感だ。

手際よく前足・後ろ足・胴体と解体しながら、マーツェも魔力の質を確かめていたらしい。



「…違うね。異なる質感だ。一般的な人間の魔力とは」

「そうだな」






魔物はほぼ無いが、人間の魔力の質を確かめた経験は豊富だとマーツェは言っていた。
マーツェの場合は空気や雰囲気を魔力から感じるのだという。

清涼感のある魔力。
深緑の爽やかさを感じる魔力。
温かみがあったり、甘ったるい空気のような魔力など。



「濁ってる感じ。息がしにくそうっていうか。下に溜まりそうな重たい感じがする」




魔物の皮を剥いだら、腐敗を遅らせる魔具で肉を保護して終了だ。

だらだらと同じ場所に留まっていたら再び魔物に襲われる可能性も高い。
魔力の質についてはまだ事例も少ない。


話し合うのは後にしてその場を後にした。











現在の目的地は、大型の魔物に襲われて多数の負傷者がいるという隣町だ。
治癒師は常駐しているものの、兵士の治癒に手一杯で市民にまで手が回らないのだという。


町のある方向に獣道を進む。


好奇心旺盛に動き回りそうな年頃にしては、ヘフテとダモンは大人しかった。

2人で手を繋いで歩き、何かを喋っては、顔を見合わせて笑う。
時折細い枝を手折ったり、果実をもぎに行ったりと道を逸れるが、すぐに戻ってくる。



想定よりもずっと手がかからない。





魔物が多く出て危険な時期にのんきに森を歩いている様は、少しノーラを思い浮かばせる。

ノーラはあっさりと魔物に食い殺されていたわけだが。










町に着いて、治癒師の手が回らない市民に治癒魔法を施していく。
その間、マーツェは情報収集、ヘフテとダモンは町内を探索するとどこかへ行った。



魔物の爪に深く抉られ化膿した傷。
複雑に骨が折れている足。
治癒師に止血だけしてもらったものの中身がぐちゃぐちゃな腕。

治すのに骨が折れる重いものから、擦傷や内出血など軽そうなものまで、順に治していく。


治癒と同時に魔力も調査。

皆それぞれ特徴は違うものの、総じて液体のような質感を受ける。
ユーゲンやベスツァフのような粒子のような質感は混ざっていない。


この町に居るのは赤色肌と黄色肌だった。
肌の色も関係してくることはあるのだろうか。







この日は町の宿屋に宿泊し、次の日にはまた移動する。


歩いて1時間程度で着く隣町にて、中型の魔物が数体現れては倒しきれずに逃し、を繰り返しているという。
魔物の姿を確認し、マーツェは長剣で首を切り落とし、私は魔力の弾で頭を吹き飛ばしていく。


人間と魔物でお互いに反撃・撤退を繰り返していたようで、傷の深い者は少ない。
細胞組織の働きを速める魔具を渡せば事足りそうだが、魔力の質を見るためにひとりひとり治していった。



主に赤色肌と黄色肌が占めているようだが、時折黒色肌の者がいる。


黒色肌の者からは煮詰めた汁のような濃厚さを受けた。
魔力量の多さが濃度として表れているのかもしれない。

どの肌色の者も、総じて液体に似た質感というのは変わらなかった。







魔物被害の噂を聞いてはそこへ移動し、魔物退治と治癒を施し、一緒に魔力も調査していく。

赤色肌。
黄色肌。
たまに黒色肌。
地域によっては褐色肌も交じる。



倒した魔物からも魔力の質を確かめ、事例の数は数百を超えただろうか。
これだけの事例が集まれば、結論を出してもいいだろう。
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