不死の魔法使いは鍵をにぎる

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古い呪いと魔王の話

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話している内容がわからず、ヘフテとダモンは眉を寄せて私たちを見上げている。



「お歌でわかった?仲良くできる場所、見つかる?」

「ごめんね。それとは違う話してた。仲良くできる場所はこれから探していこうね。絶対見つけるからさ。でもすごいよ。私たちの知りたいことがわかりそうなんだ。ずっと調べてたことだよ。ヘフテ、ダモン、ありがとう」

「そうだ、呪いについては何か知らないか?」

「呪い?」






古い言葉で作られた歌を引き継いでいるくらいだ。
古の呪いについても何か情報が残されているかもしれない。






「ああ。呪いのかけ方、解き方、何でもいい、何か教えられてないか?古の呪いという単語に聞き覚えはないか?」

「いに、しえ…」

「古いってことね。大昔の呪い。何か教わってないか?ヘフテも、ダモンも」





古という言葉が理解できなかったヘフテに、マーツェが言い方を変えて聞き出そうとする。

ヘフテは目を伏せて考え込む。





「…古い呪い、聞いたことある。たしか、魔王しか使えないって、言ってた」













思わずヘフテの肩を掴みそうになった。
前のめりになった体を戻し、自分を落ち着かせる。

一方、まくしたてるようにマーツェが質問を重ねる。




「詳しくわかる?話せる?魔王しか使えないのはどうして?理由はわかる?解き方は?古い呪いを解く方法はわかるか?」

「すごく、強い魔力が必要だって。だから魔王だけなんだって。解くのもたしか、魔王だけ」








解けるのは魔王だけ。





それは、呪いをかけた実際の術者である魔王と限定しなくてもよいのだろうか。
現在立っている魔王でも解けるのだろうか。




希望が見えた気がする。
姿も影も何も、欠片すら見えていなかったことに光が差し込んだ気がする。


ようやく終えることができるのだろうか。
この地獄のように続く生を止めることができるのだろうか。






「他には?他に知ってることは?なんでもいいよ。なんでも話して。呪いについて他に教えられてないか?考えて。思い出して。ダモンは?ダモンは何かわからないか?」



まるで攻め立てるような勢いで続くマーツェの言葉。
マーツェの勢いに驚き、ダモンは目を丸くさせている。

ヘフテもたじろぎながら答える。



「呪いは、魔王から。魔王が教えてくれたんだって。あ、魔法も。昔の魔王は、すごいんだって。でも人間全部攻撃するから、魔王はダメなんだって」

「ダメちがう」



ダモンがヘフテの言葉に噛みついた。

人間側か、魔物側か。
反対の立場にある村である。

教育方針が違うのだろう。



「逆なんだね。ダモンの村では駄目じゃないんだ。説明できる?魔王はどう駄目じゃない?」

「魔王様はねえ、つよいの。みんなの力を借りて、もっとつよいの。会ったことあるよ」

「え?魔王に?」

「うん。優しかった」





子供の説明では理解しづらい部分もあったが、聞き出した結果、こういうことだろう。


魔法も呪いも、大昔の魔王が教え、皆が使えるようになった。

皆というのがどこまでを含むのかはわからない。



魔王は仲間の協力により、力を得る。力というのは、おそらく魔力だ。
魔力を得ることで、魔王は死んでもなお持続する協力な呪いが使えるようになる。

これを解くには同等に強い魔力を持つ、魔王にしかできない。

呪いをかけた当事者である必要があるのか、他の魔王でもいいのかは不明だ。



そして魔王は、王都への侵攻を始める前に仲間の村々に顔を出している。

何を目的としているのか、ダモンの話からはわからなかった。
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