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小さな魔方陣
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ヘフテの了承を得られたところで、ダモンの村を視界に捉えられる場所へと転移で移動した。
ヘフテ・ダモンの説明と辺境の地図を照らして、大まかに場所を把握した形だ。
随分と魔王城が近い場所である。
これは平時でも人間は近づかないだろう。
村からの距離は充分に取った。
視力を最大限強化しなければ人の姿は確認できない。
視力のいいヘフテは普通に見えるようだが。
念のため結界を張り姿は隠した。
「さてさて。どう入ろうか。結界とかは張ってないみたいだね。見た感じだと」
自分の魔法では効力が足りず、私が上乗せしてマーツェに視力強化をかけている。
村の様子を観察しながら話し合いだ。
「結構村人いるね。数が多い。これなら紛れてもばれないんじゃない?」
村人が20人ほどしかいないベスツァフやズィリンダ達の村では、他者が入ればすぐに気づいた。
住民全員が顔見知りであり、住民に変装する以外でこっそり入り込むことは不可能だった。
それに比べてダモンの村は、ざっと数えて400程度は人がいるだろうか。
屋内にいる者も当然いるわけで、実際の数は更に多いだろう。
目立たないようにすれば入り込むことは可能かもしれない。
ちなみに、村よりも高台になる森に現在姿を隠している。
目線を右に移せば、話にあった小さい森を挟んで、ヘフテの村も一部見える。
家が建っている範囲から考えると、ヘフテの村はダモンの村に比べて3分の1程度の大きさだろうか。
ヘフテの村も住民全員の顔を把握していそうだ。
「ヘフテは、村の者全ての顔がわかるか?」
「うん。わかるよ?」
「ダモンはどうだ?」
「ぜーいんは、わかんない」
ヘフテとダモンの村、両者で姿形に決定的な違いはない。
褐色肌の者。
一部人間とは異なる部位を持った者。
どちらの村にも同じく属している。
顔を把握していない限り、他所の者だとは明確に判断できまい。
ヘフテの村側では、ダモンの村、つまり敵の村の者だと判断できる。
しかしダモンの村側では、ヘフテの村、敵の村の者だという判断に迷いが生じることになる。
何か、姿形以外で村の者だと判断できる材料があるのだろうか。
「ダモン、自分たちの村の人間だと、どう判断しているんだ?敵だとされるヘフテの村の者が紛れても、全ての顔を把握できていないならわからないだろう。敵対しているのに、それは不用心がすぎる」
「そっか。そうだね」
ダモンは話を理解できなかったようで軽く眉を寄せてこちらを見上げてくる。
代わりに、マーツェが反応をした。
「ダモン。ヘフテと会ったとき、すぐにわかった?敵の村の人だってわかった?」
「うん」
「それはどうして?なんでわかるんだ?」
「ヘフテにはねえ、ないの」
「無い?何が無いんだ?」
「これ」
口元を覆っていた面を外し、面の内側を見せるダモン。
端に小さく、模様が描いてある。
指一本で隠せる小ささ。
「…魔法陣か?」
こんなに小さく簡易的な魔法陣は見たことがない。
「知らないひとに会ったらねえ、かくにんするの。なかったらダメなの」
「ヘフテは知ってたか?この陣のこと」
「ううん。知らない」
ダモンから調べる許可が取れたのでマーツェと共に面を調べた結果、魔法陣は共鳴して熱を持つことがわかった。
魔力を流していないときはもちろん何の反応もない。
魔法陣に魔力を流し、調べたい相手を定める。
相手も同じ陣を持っていれば、陣同士が共鳴して熱を持つ仕組み。
陣がこれほどまでに小さいのは、熱を小さくするためだと思われる。
試しに大きな陣を描いて実験してみたら、熱を持ちすぎて火傷しそうな勢いだった。
ヘフテ・ダモンの説明と辺境の地図を照らして、大まかに場所を把握した形だ。
随分と魔王城が近い場所である。
これは平時でも人間は近づかないだろう。
村からの距離は充分に取った。
視力を最大限強化しなければ人の姿は確認できない。
視力のいいヘフテは普通に見えるようだが。
念のため結界を張り姿は隠した。
「さてさて。どう入ろうか。結界とかは張ってないみたいだね。見た感じだと」
自分の魔法では効力が足りず、私が上乗せしてマーツェに視力強化をかけている。
村の様子を観察しながら話し合いだ。
「結構村人いるね。数が多い。これなら紛れてもばれないんじゃない?」
村人が20人ほどしかいないベスツァフやズィリンダ達の村では、他者が入ればすぐに気づいた。
住民全員が顔見知りであり、住民に変装する以外でこっそり入り込むことは不可能だった。
それに比べてダモンの村は、ざっと数えて400程度は人がいるだろうか。
屋内にいる者も当然いるわけで、実際の数は更に多いだろう。
目立たないようにすれば入り込むことは可能かもしれない。
ちなみに、村よりも高台になる森に現在姿を隠している。
目線を右に移せば、話にあった小さい森を挟んで、ヘフテの村も一部見える。
家が建っている範囲から考えると、ヘフテの村はダモンの村に比べて3分の1程度の大きさだろうか。
ヘフテの村も住民全員の顔を把握していそうだ。
「ヘフテは、村の者全ての顔がわかるか?」
「うん。わかるよ?」
「ダモンはどうだ?」
「ぜーいんは、わかんない」
ヘフテとダモンの村、両者で姿形に決定的な違いはない。
褐色肌の者。
一部人間とは異なる部位を持った者。
どちらの村にも同じく属している。
顔を把握していない限り、他所の者だとは明確に判断できまい。
ヘフテの村側では、ダモンの村、つまり敵の村の者だと判断できる。
しかしダモンの村側では、ヘフテの村、敵の村の者だという判断に迷いが生じることになる。
何か、姿形以外で村の者だと判断できる材料があるのだろうか。
「ダモン、自分たちの村の人間だと、どう判断しているんだ?敵だとされるヘフテの村の者が紛れても、全ての顔を把握できていないならわからないだろう。敵対しているのに、それは不用心がすぎる」
「そっか。そうだね」
ダモンは話を理解できなかったようで軽く眉を寄せてこちらを見上げてくる。
代わりに、マーツェが反応をした。
「ダモン。ヘフテと会ったとき、すぐにわかった?敵の村の人だってわかった?」
「うん」
「それはどうして?なんでわかるんだ?」
「ヘフテにはねえ、ないの」
「無い?何が無いんだ?」
「これ」
口元を覆っていた面を外し、面の内側を見せるダモン。
端に小さく、模様が描いてある。
指一本で隠せる小ささ。
「…魔法陣か?」
こんなに小さく簡易的な魔法陣は見たことがない。
「知らないひとに会ったらねえ、かくにんするの。なかったらダメなの」
「ヘフテは知ってたか?この陣のこと」
「ううん。知らない」
ダモンから調べる許可が取れたのでマーツェと共に面を調べた結果、魔法陣は共鳴して熱を持つことがわかった。
魔力を流していないときはもちろん何の反応もない。
魔法陣に魔力を流し、調べたい相手を定める。
相手も同じ陣を持っていれば、陣同士が共鳴して熱を持つ仕組み。
陣がこれほどまでに小さいのは、熱を小さくするためだと思われる。
試しに大きな陣を描いて実験してみたら、熱を持ちすぎて火傷しそうな勢いだった。
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