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果実を食べながらの対話
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しばらくダモンと魔王の会話が続き、一体の魔物が果実を持ってきた。
「これ好き」
果実に目尻を下げ、美味しいよとヘフテに告げるダモン。
1つ自分の口に入れ、もう1つ手に取ってヘフテに渡す。
果実を咀嚼し、強張っていたヘフテの表情が少し和らいだ。
「食べながら話そう。すぐに終わる話では無さそうだからな」
言いながら魔王自身も果実を口にする。
「さて。何についての話だ?」
「…フォルファ様についてお聞きしても?フォルファ様の思念が残留しているんですよね。奥方の形見に。魔王様が身に付けているその首飾りですか?」
「ああ、そうだ」
大昔の、材質も加工技術も低い時代に作られた首飾り。
一目で古いことは見て取れるが、大事に扱われているらしい。
「フォルファ様の想いが蘇るというのは本当ですか?恨みや憎しみ。幸せだった時間。いろんなものが感じられるとか」
「そうだな。フォルファ様は本当にお辛い経験をされている。人に裏切られていなければ、もっと多くの功績を世に残せただろう」
「その思念から知るのですか?勇者を呪う方法は」
「ああ。魔王になって、この首飾りを得て、初めて呪い方を知った。だがフォルファ様だけではない。歴代魔王の思念も残されている」
「歴代のですか?」
魔王は隠す様子もなくマーツェの質問に答えていく。
ダモンが連れてきたというだけで、仲間の証である魔法陣を身に付けているだけで、そこまで信用されるものだろうか。
信用していたとしても、こんな末端と言えるかも怪しい混ざり者に話して問題ないのか。
「ああ。フォルファ様ほど濃くはないが。
フォルファ様に心酔し魔王と名乗り始めた魔王。
みなの魔力を集めて力を高め始めた魔王。
その魔王が可愛がっていた魔王。
死ねない呪いを掛け始めた魔王。
混ざり者から初めてなった魔王。
人ではなくなる呪いを掛けた魔王。
極限までみなの力を溜めて魔力を得た魔王。
人に紛れて情報収集していた魔王もいた。
みな、何を考えどう行動していたのか、おおよそわかる」
「…解き方もですか?解呪方法も知るのですか?掛け方と同時に?」
小さく魔王が笑った気がした。
「解き方は知らずともわかる。通常の呪いは、入れた魔力を取り出せば解呪できるだろう。同じだ。呪う際に入れたものを取り出せばいい」
通常の呪いは、術者の魔力を対象者の体内に入れ込むことで呪いとなる。
体内に入り込んだ異物、他者の魔力を取り出せば解呪だ。
魔王の呪いでも同様のことをすればいいと言う。
しかし現状、私の体内に他者の魔力は入り込んでいない。
解呪方法を習得した際に念入りに調べた。
確かめた。
総動員した魔力で体内の隅々まで確認したのだ。
異物は感じられない。
しかし魔王の呪いは健在である。
何がどう入り込んでいるというのか。
「それは、魔王様のみが行えるのでしょうか。魔王様以外には不可能なのですか?例えば、魔王様並みの魔力を持った勇者だとか。勇者が呪いを解けるとしたら厄介です。命を賭した魔王様の呪いです。それが解かれるなんて」
「有り得ないな。人に魔王の呪いを解くことはできない。どれだけの魔力を持っていようと不可能だ」
「なぜですか?」
「質が違う。どんなに努力しようと、あがこうと、人には到達できない領域にある。今現在、私以外には不可能だ」
迷いなく強く断言する魔王。
果実を一つ口に放り込んで、さらに言葉を放つ。
「呪いを解いてほしいんだろう」
「は…」
マーツェが言葉に詰まった。
成り行きを熟視していた私も目を見開く。
魔王は始めから気づいていたのか。
魔王の呪いを掛けられた者を相手にしていると気づいていたのか。
魔王を注視しながら右手に魔力を集める。
少しでも怪しい動きをしたら攻撃か、防御か、何かしら対処しなければならない。
高まる緊張に相反して、魔王はのんびりとした声を出す。
「戦う気はない。私は丸腰だ。戦う仲間もつけてない。1人だ。幼い子供もこの場にいる。平和的に話し合おう」
無害だと表すように両手を上げてから、再び果実を口に含む。
確かに魔王は武器も防具も何も身に付けていない。
護衛などの魔物は一体もこの部屋におらず、一人である。
けれどほとんどの魔王が武器や防具を身に付けていない状態かつ単体で勇者と戦っている。
それだけでは戦う意思がないとは言い切れない。
しかし幼い子供が同席しているのは事実であり、魔王は暢気に果実を食らっている。
魔王の言を信用していいものだろうか。
横からマーツェの腕が伸びてくる。
私の動きを止めるように手が差し出され、話し合いの続行を示した。
「これ好き」
果実に目尻を下げ、美味しいよとヘフテに告げるダモン。
1つ自分の口に入れ、もう1つ手に取ってヘフテに渡す。
果実を咀嚼し、強張っていたヘフテの表情が少し和らいだ。
「食べながら話そう。すぐに終わる話では無さそうだからな」
言いながら魔王自身も果実を口にする。
「さて。何についての話だ?」
「…フォルファ様についてお聞きしても?フォルファ様の思念が残留しているんですよね。奥方の形見に。魔王様が身に付けているその首飾りですか?」
「ああ、そうだ」
大昔の、材質も加工技術も低い時代に作られた首飾り。
一目で古いことは見て取れるが、大事に扱われているらしい。
「フォルファ様の想いが蘇るというのは本当ですか?恨みや憎しみ。幸せだった時間。いろんなものが感じられるとか」
「そうだな。フォルファ様は本当にお辛い経験をされている。人に裏切られていなければ、もっと多くの功績を世に残せただろう」
「その思念から知るのですか?勇者を呪う方法は」
「ああ。魔王になって、この首飾りを得て、初めて呪い方を知った。だがフォルファ様だけではない。歴代魔王の思念も残されている」
「歴代のですか?」
魔王は隠す様子もなくマーツェの質問に答えていく。
ダモンが連れてきたというだけで、仲間の証である魔法陣を身に付けているだけで、そこまで信用されるものだろうか。
信用していたとしても、こんな末端と言えるかも怪しい混ざり者に話して問題ないのか。
「ああ。フォルファ様ほど濃くはないが。
フォルファ様に心酔し魔王と名乗り始めた魔王。
みなの魔力を集めて力を高め始めた魔王。
その魔王が可愛がっていた魔王。
死ねない呪いを掛け始めた魔王。
混ざり者から初めてなった魔王。
人ではなくなる呪いを掛けた魔王。
極限までみなの力を溜めて魔力を得た魔王。
人に紛れて情報収集していた魔王もいた。
みな、何を考えどう行動していたのか、おおよそわかる」
「…解き方もですか?解呪方法も知るのですか?掛け方と同時に?」
小さく魔王が笑った気がした。
「解き方は知らずともわかる。通常の呪いは、入れた魔力を取り出せば解呪できるだろう。同じだ。呪う際に入れたものを取り出せばいい」
通常の呪いは、術者の魔力を対象者の体内に入れ込むことで呪いとなる。
体内に入り込んだ異物、他者の魔力を取り出せば解呪だ。
魔王の呪いでも同様のことをすればいいと言う。
しかし現状、私の体内に他者の魔力は入り込んでいない。
解呪方法を習得した際に念入りに調べた。
確かめた。
総動員した魔力で体内の隅々まで確認したのだ。
異物は感じられない。
しかし魔王の呪いは健在である。
何がどう入り込んでいるというのか。
「それは、魔王様のみが行えるのでしょうか。魔王様以外には不可能なのですか?例えば、魔王様並みの魔力を持った勇者だとか。勇者が呪いを解けるとしたら厄介です。命を賭した魔王様の呪いです。それが解かれるなんて」
「有り得ないな。人に魔王の呪いを解くことはできない。どれだけの魔力を持っていようと不可能だ」
「なぜですか?」
「質が違う。どんなに努力しようと、あがこうと、人には到達できない領域にある。今現在、私以外には不可能だ」
迷いなく強く断言する魔王。
果実を一つ口に放り込んで、さらに言葉を放つ。
「呪いを解いてほしいんだろう」
「は…」
マーツェが言葉に詰まった。
成り行きを熟視していた私も目を見開く。
魔王は始めから気づいていたのか。
魔王の呪いを掛けられた者を相手にしていると気づいていたのか。
魔王を注視しながら右手に魔力を集める。
少しでも怪しい動きをしたら攻撃か、防御か、何かしら対処しなければならない。
高まる緊張に相反して、魔王はのんびりとした声を出す。
「戦う気はない。私は丸腰だ。戦う仲間もつけてない。1人だ。幼い子供もこの場にいる。平和的に話し合おう」
無害だと表すように両手を上げてから、再び果実を口に含む。
確かに魔王は武器も防具も何も身に付けていない。
護衛などの魔物は一体もこの部屋におらず、一人である。
けれどほとんどの魔王が武器や防具を身に付けていない状態かつ単体で勇者と戦っている。
それだけでは戦う意思がないとは言い切れない。
しかし幼い子供が同席しているのは事実であり、魔王は暢気に果実を食らっている。
魔王の言を信用していいものだろうか。
横からマーツェの腕が伸びてくる。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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