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結界避け不具合の解明
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小さく火の玉を出して確認しているマーツェ。
「うん。まだ生きてる。結界避けは発動してる。いい感じじゃないかな。ゲルハルトも試してみて…。その危険物消してくれるか?」
振り向いて魔力の弾を見たところで、マーツェは顔をしかめた。
じれったさに有りっ丈の魔力を込めたため、強大になった熱量とその大きさ。
熱量が強大すぎて他者が近寄れないのだ。
しかし通常の魔法のように瞬時に霧散させることができない。
暴発させないように徐々に霧散させていく。
数秒かけて手の平大に縮めた。
ここまで小さくなれば一瞬だ。
魔力の弾を消滅させてマーツェのところに向かう。
配置した魔石の中で特に質の悪い魔石。
ジーグが魔力を流していた地点。
埋めていた魔石が破損し、窪みとなっている。
ごく簡単な基礎魔法を使ってみて、結界避けの効力が壊れていないことを確認。
「確かにまだ結界避けの効力が続いているな。だが不具合にはなっていないようだぞ」
魔力制御が不安定になった感覚はなかった。
魔力の暴発も魔法の不発も起きそうにない。
「確かに。私も問題なく使える。もちろん負荷はかかってるけどね。不具合はまだ生じてないのかな。魔石1つじゃ足りないのか?もっと壊してみる?ジーグはどう?」
「そうだねえ」
そう言いながら魔法を繰り出そうとして口を歪めた。
「おや、難しいねえ。魔力がうまく、制御できな…、わっ」
小さな叫び声と共に、袋が破けるような乾いた音。
ジーグの魔法は不発に終わった。
どうやら魔力量や技量の差で不具合の影響が異なるようだ。
私にはほぼ影響無い。
よほど大量の魔力を用いない限り、魔力が暴れることはない。
結界の効力を避けきれていないことは感じるが、特に支障なく魔法も使える。
マーツェも魔法制御がしづらくなる不具合は感じていない。
しかし半端な効力の結界避けによって、負荷は生じている。
通常時よりも魔力消費が激しい。
疲れやすい状況だ。
そして、魔法が不発に終わったジーグの場合。
先ほどの様子から、間違いなく不具合が生じている。
通常時では有り得ない魔力の暴れ方。
制御することができず、魔法は不発や暴発をする。
恐らく負荷も大きくなっているはずだ。
試しに違う場所でも魔法使用を試してみる。
私とマーツェに変化はない。
ジーグは破損した魔石から離れる程に魔力制御が安定していった。
さらに実験を続け、結界避けの魔法陣について粗方理解できた。
魔法陣と魔石の基本的な配置。
それに大量の魔力。
これら3つがあれば結界避けは発動する。
しかし、魔法用訓練施設のような広範囲の結界避けは、人間の魔力だけでは補いきれない。
そこで魔石の数を増やし、魔力の必要量を減らすのだ。
増やした魔石をどこに配置するかは任意である。
決まった規則はない。
適当に間を埋めてもいいし、魔石や魔力の質が悪いと思われる部分へ集中的に配置してもよい。
任意の配置にも規則があるのではと考えていたため、魔石配置への理解が遅れたのだ。
魔力量が基準値を超えれば結界避けの魔法陣は発動する。
基準値を超えないが不発に終わるほどではない場合、効力は半端なものに。
その半端な効力の中で魔法使用を続けると、魔石に負荷がかかり、時には壊れることがある。
破損する魔石の位置は単純に魔石の質だけではなく、流していた魔力の弱さにも左右される。
質が悪い魔石、かつ流した魔力も弱い部分は特に壊れやすい。
流した魔力に差が現れるというのもなかなか理解できなかった点だ。
共同で魔力を流すことは滅多にない。
魔法というのは個人で扱うものだ。
いかに素早く正確に魔力を扱うかが重視される。
長らく魔法陣が禁止されていたこともあり、そもそも共同で魔力を流す状況にならなかった。
例え共同で魔力を流す必要がある場合でも、魔力量や技術が同程度のものを協力者に選ぶ。
流す魔力量に差が出ることがないのだ。
流す魔力を意図的に弱めたり強めたりということは不可能である。
よって、魔法陣に流れる魔力はどの地点でも一定だと思い込んでいた。
しかし魔法用訓練施設の建造時には、魔力量に差がある30数人が関わっている。
魔力量の差を均せるほどの、強大な力を持った魔法使いも混ざっていなかった。
ブルデなど上位の魔力量の者が担当していた地点では不具合が起こりづらい。
逆に下位の者が担当していた地点では魔石の破損や不具合が起こりやすかった。
不具合に差があることから間違いないだろう。
そしてこれが、魔石が破損しても、不安定ながら魔法陣が持続していた要因である。
半端な魔力量で発動した結界避けの魔法陣。
一定ではない質の魔石と魔力で構成されていた。
太い糸と細い糸でなんとか穴をあけずに編み上げたような、不安定な状態。
魔石の破損は、細い糸の切断と同義である。
一部の細い糸が切れたところで、全体に支障はない。効力は持続する。
しかし完璧な状態からは遠ざかるのだ。
より不安定に。
より壊れやすく。
それが魔力制御に悪影響をもたらした。
今回の実験で原因が判明したとともに、改善策も見出だした。
魔石が壊れた部分は魔力が弱い部分。
つまりは強化すればいいのだ。
数を増して魔石を埋めなおし、魔力を流す。
そうすれば魔法陣を修繕することができる。
これは大きな成果だった。
暴発に備えて治癒師を派遣しなければ魔法訓練ができない施設など、用を成していない。
修繕策があれば必ず知りたがる。
半端な効力や魔力制御の不具合原因だけで取引を持ち掛けるより、断然交渉しやすい。
「うん。まだ生きてる。結界避けは発動してる。いい感じじゃないかな。ゲルハルトも試してみて…。その危険物消してくれるか?」
振り向いて魔力の弾を見たところで、マーツェは顔をしかめた。
じれったさに有りっ丈の魔力を込めたため、強大になった熱量とその大きさ。
熱量が強大すぎて他者が近寄れないのだ。
しかし通常の魔法のように瞬時に霧散させることができない。
暴発させないように徐々に霧散させていく。
数秒かけて手の平大に縮めた。
ここまで小さくなれば一瞬だ。
魔力の弾を消滅させてマーツェのところに向かう。
配置した魔石の中で特に質の悪い魔石。
ジーグが魔力を流していた地点。
埋めていた魔石が破損し、窪みとなっている。
ごく簡単な基礎魔法を使ってみて、結界避けの効力が壊れていないことを確認。
「確かにまだ結界避けの効力が続いているな。だが不具合にはなっていないようだぞ」
魔力制御が不安定になった感覚はなかった。
魔力の暴発も魔法の不発も起きそうにない。
「確かに。私も問題なく使える。もちろん負荷はかかってるけどね。不具合はまだ生じてないのかな。魔石1つじゃ足りないのか?もっと壊してみる?ジーグはどう?」
「そうだねえ」
そう言いながら魔法を繰り出そうとして口を歪めた。
「おや、難しいねえ。魔力がうまく、制御できな…、わっ」
小さな叫び声と共に、袋が破けるような乾いた音。
ジーグの魔法は不発に終わった。
どうやら魔力量や技量の差で不具合の影響が異なるようだ。
私にはほぼ影響無い。
よほど大量の魔力を用いない限り、魔力が暴れることはない。
結界の効力を避けきれていないことは感じるが、特に支障なく魔法も使える。
マーツェも魔法制御がしづらくなる不具合は感じていない。
しかし半端な効力の結界避けによって、負荷は生じている。
通常時よりも魔力消費が激しい。
疲れやすい状況だ。
そして、魔法が不発に終わったジーグの場合。
先ほどの様子から、間違いなく不具合が生じている。
通常時では有り得ない魔力の暴れ方。
制御することができず、魔法は不発や暴発をする。
恐らく負荷も大きくなっているはずだ。
試しに違う場所でも魔法使用を試してみる。
私とマーツェに変化はない。
ジーグは破損した魔石から離れる程に魔力制御が安定していった。
さらに実験を続け、結界避けの魔法陣について粗方理解できた。
魔法陣と魔石の基本的な配置。
それに大量の魔力。
これら3つがあれば結界避けは発動する。
しかし、魔法用訓練施設のような広範囲の結界避けは、人間の魔力だけでは補いきれない。
そこで魔石の数を増やし、魔力の必要量を減らすのだ。
増やした魔石をどこに配置するかは任意である。
決まった規則はない。
適当に間を埋めてもいいし、魔石や魔力の質が悪いと思われる部分へ集中的に配置してもよい。
任意の配置にも規則があるのではと考えていたため、魔石配置への理解が遅れたのだ。
魔力量が基準値を超えれば結界避けの魔法陣は発動する。
基準値を超えないが不発に終わるほどではない場合、効力は半端なものに。
その半端な効力の中で魔法使用を続けると、魔石に負荷がかかり、時には壊れることがある。
破損する魔石の位置は単純に魔石の質だけではなく、流していた魔力の弱さにも左右される。
質が悪い魔石、かつ流した魔力も弱い部分は特に壊れやすい。
流した魔力に差が現れるというのもなかなか理解できなかった点だ。
共同で魔力を流すことは滅多にない。
魔法というのは個人で扱うものだ。
いかに素早く正確に魔力を扱うかが重視される。
長らく魔法陣が禁止されていたこともあり、そもそも共同で魔力を流す状況にならなかった。
例え共同で魔力を流す必要がある場合でも、魔力量や技術が同程度のものを協力者に選ぶ。
流す魔力量に差が出ることがないのだ。
流す魔力を意図的に弱めたり強めたりということは不可能である。
よって、魔法陣に流れる魔力はどの地点でも一定だと思い込んでいた。
しかし魔法用訓練施設の建造時には、魔力量に差がある30数人が関わっている。
魔力量の差を均せるほどの、強大な力を持った魔法使いも混ざっていなかった。
ブルデなど上位の魔力量の者が担当していた地点では不具合が起こりづらい。
逆に下位の者が担当していた地点では魔石の破損や不具合が起こりやすかった。
不具合に差があることから間違いないだろう。
そしてこれが、魔石が破損しても、不安定ながら魔法陣が持続していた要因である。
半端な魔力量で発動した結界避けの魔法陣。
一定ではない質の魔石と魔力で構成されていた。
太い糸と細い糸でなんとか穴をあけずに編み上げたような、不安定な状態。
魔石の破損は、細い糸の切断と同義である。
一部の細い糸が切れたところで、全体に支障はない。効力は持続する。
しかし完璧な状態からは遠ざかるのだ。
より不安定に。
より壊れやすく。
それが魔力制御に悪影響をもたらした。
今回の実験で原因が判明したとともに、改善策も見出だした。
魔石が壊れた部分は魔力が弱い部分。
つまりは強化すればいいのだ。
数を増して魔石を埋めなおし、魔力を流す。
そうすれば魔法陣を修繕することができる。
これは大きな成果だった。
暴発に備えて治癒師を派遣しなければ魔法訓練ができない施設など、用を成していない。
修繕策があれば必ず知りたがる。
半端な効力や魔力制御の不具合原因だけで取引を持ち掛けるより、断然交渉しやすい。
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