不死の魔法使いは鍵をにぎる

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地図外の村

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まずは認知できていない町村の存在確認だ。
魔物に協力してもらい、今まで調べられなかった範囲も調べて町村の存在を確かめた。


すると、私が知っている以外にも知られていなかった町が2、3存在した。

外部との交流少なく、ほぼ自給自足で暮らしている村。
実際に足を運び、村の代表者と言葉を交わし、国の施策について話を通す。


魔物との共存については懐疑的だったが、国の施策についてはすんなりと受け入れられた。



残るはヘフテの村と褐色肌の村である。







ヘフテの村にはヘフテ自身に話をさせた。

ダモンと共に村を出てから戻っていないヘフテ。
数年ぶりに顔を出したらこってり叱られたという。


村の規則を破り、その謹慎処分が解けてすぐの失踪。
始めのうちはヘフテを捜索したものの、見つかる気配はない。
森向こうの村民に殺されたのではとも考えていた。



幼子らしい丸っとした体から、大人の片鱗が垣間見える体へと変貌したヘフテ。
見てすぐにはかつてのヘフテと同一人物だとは認識できなかった。

両親、村の兄姉、そのほか知り合いに一通り叱られ、それから漸く王の施策について話すことができた。



人と魔物の共存を目指し、動いていること。
道を整備し、他所の町村と交流しやすくしたいこと。
孤児を保護するため、図書館を建築し王城との連絡を取りやすくしたいこと。

これまでの経緯やこれからの対応について大まかに話すと、村民からは否定的な態度が返ってきた。


かつてはダモンの村と共に過ごし、しかし魔物にも非があっただろうと袂を分かつに至った村。
人間側だと侮蔑されていたが、全面的に人間に賛成するわけでもないらしい。


一切の関わりなくこれまでを過ごしてきたのだ。
これからも関わるつもりはなく、人間からの支援も必要ない。
この村の存在は無視して、勝手にやっていればいい。

村代表のお婆がそう言い、他の者たちも頷く。
しかしヘフテは食い下がった。


いがみ合うのは止めて、皆で仲良く暮らしたい。
森向こうの村とも、魔物とも、人間とも、全員で仲良く。

悪いことじゃない。
良いことのはずだ。


ダモンと共に多くの町村を見聞きした。
多くの人間の世話になった。
魔物の、魔王の話も聞いた。
憎しみも、悲しみも、許せない事情もわかるが、それでも尚、皆で仲良くを目指したい。



必死に言葉を連ねたが、村民の心は動かせなかったようだ。
ヘフテは項垂れて戻ってきた。
一旦間をあけて、また話をしに行くつもりである。
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