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第二章
第38話 元暗黒騎士は忍ぶ気がない
「四天王に聞きたいんだが、ユグドラまでの移動手段はどうする?」
「どうもこうもねぇよ! 馬車の乗り継ぎと徒歩に決まってるだろォォ!?」
「ここまで来るのも大変でしたわ。本当に大変でしたわ……」
「これからまた移動って考えると憂鬱であるな」
「同情するよ……本当に」
なんか、前世のブラックベンチャーで毎日のように出張してた同僚を思い出す。結婚したばかりなのに、国内外問わずに出張の連続。
午前中に新幹線に乗って客先で打ち合わせをして、夜に戻ってきたかと思えば、翌日また別のところに飛行機で移動し、またまたその日の夜遅くにとんぼ返り。
恐ろしいのは、出張費用が出ないことだった。たまに払ってくれることもあったらしいが、基本的に自腹だったらしい。何かの法に触れないか。
同量はそのうち体調を崩して、気付けば職場からいなくなっていた。それほど移動というのは大変なのだ。
いや同僚の場合は会社の中身がアレだったというのもあるが。
四天王たちにまた移動で苦労をかけるのは忍びない。俺のとっておき、飛空挺に乗せていってあげよう。
「四天王に朗報だ。なんとわずか数時間でユグドラの王都まで飛べる乗り物があるぞ」
「マジかよ! 嘘じゃねえだろうなァァ! 嘘だったらファンクラブ会員辞めるぞゴラァァァ!!」
「いや別にファンクラブとかどうでもいいが……」
「よくありませんわ! ガルドギア帝国中の黒き剣ファンの生きがいでしてよ!」
もっと有意義なことに時間を使えばいいのに。
俺のファンクラブなんかに入って、一体なにが楽しいのだろう。
「グランデュクスよ、ファンクラブ脱退は認めん。四天王の名誉に傷がつくからな……」
「そうとも。我ら四天王は会員番号一桁、初期メンバーが抜けたら他の会員に示しがつかなぬ」
いや、問題はそこじゃないと思うんだが。
それに俺の中だと、もう四天王に傷がつくほどの名誉なんて存在しない。
俺みたいなやつを推してる連中だからな。感性がおかしいと言う他ない。
「話が脱線したから戻すが、移動手段は飛空艇という乗り物だ。空を飛ぶ船のようなモノだと思ってくれ」
「飛空艇? 空を飛ぶ船? そんな乗り物があるのか」
「無いから俺が作った。これなら数時間で王都まで飛べる。既に実証済みだ」
「なんて素晴らしい……そんな物を作り出せるなんて、革命ですわ……! 私達は今、伝説を見ていますわ!」
前世の知識頼りに作ったモノだから、あまり自慢できるわけじゃないんだけどな。
「ねぇダーリン、飛空艇で王都に向かうと目立つんじゃないかしら」
「それはそうかも知れないが、でも他に移動手段も無いだろう」
アリアスの言う事はもっともだが、徒歩で行くわけにもいかない。
魔力で動く自動車、魔導SUVに乗ったとしても死の大地から王都まではかなり時間がかかる。
現実的に考えると、多少目立っても飛空艇で移動するしかない。
「旦那様。私もアリアスさんの意見に賛成です。私を助けてくれた時、旦那様の飛空艇は多くの王国民に目撃されています。あまりにも目立ちすぎると思います……」
「逆にいいじゃないか。四天王の情報によると、王国は不自然なほどに静かなんだろう? だったら目立つ行為をして、王国民の反応を見てみようじゃないか」
「ダーリンって時々大胆な行動を取るわよね。自分は目立つのが嫌いですって感じの顔をしてる割に」
「違うぞアリアス。俺は何も考えてないだけだ」
「自分で言うかしら、普通……?」
だって既に敵視されているユグドラ王国にどう思われようと、別にどうでもいいからな。
それなら適当に行動した方が、俺の精神衛生上よろしいのだ。
一番いいのは、そもそもユグドラ王国と関わらないようにすることなんだが、それは中々難しいようだ。
「もしかしてレクス……王都に向かう際に変装などする気は……」
「ん? なんで変装なんかする必要があるんだ?」
「まさか堂々と王都に乗り込む気ですか……!?」
「そうだけど、問題あるか?」
「いえ……レクスがそう言うのなら止めはしませんが……」
ローレシア、言いたいことは分かるぞ。
顔がバレてる状態で敵地に乗り込むのに、何の準備もしないのかと呆れているのだろう。
だが安心して欲しい。もしもの事が起きればその場のノリで解決してみせる。絶対に二人を傷つけさせはしない。
ついでに四天王も守ってみせる。ファンクラブ会員なぞどうでもいいが、俺を頼ってくれたやつらだからな。
「あの、アリアスさん……もしかして、私を助ける時もこんな感じだったんですか……?」
「安心して聖女様。あの時のダーリンは必死だったから、もっと考えなしに行動してたわよ」
「そ、それはそれで嬉しいような……不安なような……複雑です」
「心配ならここで待っててくれ。俺と四天王だけで行ってくるさ」
「いえ、私も陛下の真意を知りたいので着いていきます……! それに、王国民の皆様が心配ですから……」
「あんなことをされても、まだ心配するのか。人が良すぎるんじゃないか?」
「えへへ……レクスに過去のことは忘れて一人の女の子として生きていけって言われたはずなのに、中々忘れることは難しいですね」
俺、そんなクサイ台詞言ったかな? 似たようなことは言った記憶があるが。
ローレシアの前だと格好つけたくなってしまうからだろうか。
「もちろん私もついていくわ! 文句は無いわよね?」
「アリアスが来てくれるなら百人力だよ」
「嘘ばっかり。ダーリン一人で解決出来る癖に」
「一人で出来るのと、頼れる人がいるのは別だよ」
仕事と同じだ。業務量が多すぎて、猫の手でも借りたい時があるだろう。
もっともアリアスは猫の手というには過ぎた女だ。いてくれるだけでもありがたい。
「決まったようだな。ではその飛空艇とやらに乗り込もうではないか!」
「どこにありますの?」
「乗り物なんて、この村には見当たらねえぜェ!」
「もしや作り話……いや黒の剣に限ってそんなはずは無かろう。だが確かに、乗り物の類は見当たらなかったが……」
「飛空艇はすぐ近くにあるさ。何せ、この家の地下にあるんだから」
「「「「地下~~~~!?!?!?!?」」」」
こいつら、いちいち反応が大げさだ。おまけに全員同時にリアクションしてくる。
これが示し合わせたものじゃなければ、こいつらはよほど仲が良いに違いない。
バラエティ番組でリアクションが上手い芸人がいるが、ああいうのを見てる気分になる。面白い連中だ。
「そういえば、スキルで地下を拡張したんだったわね。格納庫とか言って、車と飛空艇を収納してるのよね」
「でもどうして地下に作ったんでしたっけ? 土地ならいっぱい余ってましたよね」
「駐車場は自宅のすぐ側が安全なんだよ」
嘘である。
本当は飛空艇が地下からブワーっと発進するシチュエーションに憧れたからである。
だってかっこいいじゃないか。家の地下から愛機が発進するんだぞ。男の子はみんな、こういうのが好きだろう。
もちろん、天井は開閉式だ。連動して家が稼働するおまけ付き。
秘密基地みたいでかっこいいだろう。こんなの、俺のスキルでしか作れないはずだ。
実用性? あるわけないだろう。ロマンと実用性はトレードオフなのだ。
「ま、まぁ……珍しい乗り物を秘匿しておくには、地下に隠すのは合理的ではあるからな……」
「この村のみんな、飛空艇も車も知ってるじゃない」
「うーん、あまり必然性が感じられませんよね。別に不満があるわけじゃないんですけど不思議です」
妻たちには俺のロマンが通じないらしい。これが結婚生活というやつか。
いや、そもそも本当に実用性がないモノをわざわざ生成した俺が悪いのだが……。
「でもダーリンが楽しそうだったから、いいんじゃないかしら?」
「そうですね。地下に格納庫を作ろうって言ってた時のレクスは、なんだかとても子供みたいでかわいかったです」
理解は得られなくても、許しを与えてくれる。
俺の嫁たちは本当に優しい。
「どうもこうもねぇよ! 馬車の乗り継ぎと徒歩に決まってるだろォォ!?」
「ここまで来るのも大変でしたわ。本当に大変でしたわ……」
「これからまた移動って考えると憂鬱であるな」
「同情するよ……本当に」
なんか、前世のブラックベンチャーで毎日のように出張してた同僚を思い出す。結婚したばかりなのに、国内外問わずに出張の連続。
午前中に新幹線に乗って客先で打ち合わせをして、夜に戻ってきたかと思えば、翌日また別のところに飛行機で移動し、またまたその日の夜遅くにとんぼ返り。
恐ろしいのは、出張費用が出ないことだった。たまに払ってくれることもあったらしいが、基本的に自腹だったらしい。何かの法に触れないか。
同量はそのうち体調を崩して、気付けば職場からいなくなっていた。それほど移動というのは大変なのだ。
いや同僚の場合は会社の中身がアレだったというのもあるが。
四天王たちにまた移動で苦労をかけるのは忍びない。俺のとっておき、飛空挺に乗せていってあげよう。
「四天王に朗報だ。なんとわずか数時間でユグドラの王都まで飛べる乗り物があるぞ」
「マジかよ! 嘘じゃねえだろうなァァ! 嘘だったらファンクラブ会員辞めるぞゴラァァァ!!」
「いや別にファンクラブとかどうでもいいが……」
「よくありませんわ! ガルドギア帝国中の黒き剣ファンの生きがいでしてよ!」
もっと有意義なことに時間を使えばいいのに。
俺のファンクラブなんかに入って、一体なにが楽しいのだろう。
「グランデュクスよ、ファンクラブ脱退は認めん。四天王の名誉に傷がつくからな……」
「そうとも。我ら四天王は会員番号一桁、初期メンバーが抜けたら他の会員に示しがつかなぬ」
いや、問題はそこじゃないと思うんだが。
それに俺の中だと、もう四天王に傷がつくほどの名誉なんて存在しない。
俺みたいなやつを推してる連中だからな。感性がおかしいと言う他ない。
「話が脱線したから戻すが、移動手段は飛空艇という乗り物だ。空を飛ぶ船のようなモノだと思ってくれ」
「飛空艇? 空を飛ぶ船? そんな乗り物があるのか」
「無いから俺が作った。これなら数時間で王都まで飛べる。既に実証済みだ」
「なんて素晴らしい……そんな物を作り出せるなんて、革命ですわ……! 私達は今、伝説を見ていますわ!」
前世の知識頼りに作ったモノだから、あまり自慢できるわけじゃないんだけどな。
「ねぇダーリン、飛空艇で王都に向かうと目立つんじゃないかしら」
「それはそうかも知れないが、でも他に移動手段も無いだろう」
アリアスの言う事はもっともだが、徒歩で行くわけにもいかない。
魔力で動く自動車、魔導SUVに乗ったとしても死の大地から王都まではかなり時間がかかる。
現実的に考えると、多少目立っても飛空艇で移動するしかない。
「旦那様。私もアリアスさんの意見に賛成です。私を助けてくれた時、旦那様の飛空艇は多くの王国民に目撃されています。あまりにも目立ちすぎると思います……」
「逆にいいじゃないか。四天王の情報によると、王国は不自然なほどに静かなんだろう? だったら目立つ行為をして、王国民の反応を見てみようじゃないか」
「ダーリンって時々大胆な行動を取るわよね。自分は目立つのが嫌いですって感じの顔をしてる割に」
「違うぞアリアス。俺は何も考えてないだけだ」
「自分で言うかしら、普通……?」
だって既に敵視されているユグドラ王国にどう思われようと、別にどうでもいいからな。
それなら適当に行動した方が、俺の精神衛生上よろしいのだ。
一番いいのは、そもそもユグドラ王国と関わらないようにすることなんだが、それは中々難しいようだ。
「もしかしてレクス……王都に向かう際に変装などする気は……」
「ん? なんで変装なんかする必要があるんだ?」
「まさか堂々と王都に乗り込む気ですか……!?」
「そうだけど、問題あるか?」
「いえ……レクスがそう言うのなら止めはしませんが……」
ローレシア、言いたいことは分かるぞ。
顔がバレてる状態で敵地に乗り込むのに、何の準備もしないのかと呆れているのだろう。
だが安心して欲しい。もしもの事が起きればその場のノリで解決してみせる。絶対に二人を傷つけさせはしない。
ついでに四天王も守ってみせる。ファンクラブ会員なぞどうでもいいが、俺を頼ってくれたやつらだからな。
「あの、アリアスさん……もしかして、私を助ける時もこんな感じだったんですか……?」
「安心して聖女様。あの時のダーリンは必死だったから、もっと考えなしに行動してたわよ」
「そ、それはそれで嬉しいような……不安なような……複雑です」
「心配ならここで待っててくれ。俺と四天王だけで行ってくるさ」
「いえ、私も陛下の真意を知りたいので着いていきます……! それに、王国民の皆様が心配ですから……」
「あんなことをされても、まだ心配するのか。人が良すぎるんじゃないか?」
「えへへ……レクスに過去のことは忘れて一人の女の子として生きていけって言われたはずなのに、中々忘れることは難しいですね」
俺、そんなクサイ台詞言ったかな? 似たようなことは言った記憶があるが。
ローレシアの前だと格好つけたくなってしまうからだろうか。
「もちろん私もついていくわ! 文句は無いわよね?」
「アリアスが来てくれるなら百人力だよ」
「嘘ばっかり。ダーリン一人で解決出来る癖に」
「一人で出来るのと、頼れる人がいるのは別だよ」
仕事と同じだ。業務量が多すぎて、猫の手でも借りたい時があるだろう。
もっともアリアスは猫の手というには過ぎた女だ。いてくれるだけでもありがたい。
「決まったようだな。ではその飛空艇とやらに乗り込もうではないか!」
「どこにありますの?」
「乗り物なんて、この村には見当たらねえぜェ!」
「もしや作り話……いや黒の剣に限ってそんなはずは無かろう。だが確かに、乗り物の類は見当たらなかったが……」
「飛空艇はすぐ近くにあるさ。何せ、この家の地下にあるんだから」
「「「「地下~~~~!?!?!?!?」」」」
こいつら、いちいち反応が大げさだ。おまけに全員同時にリアクションしてくる。
これが示し合わせたものじゃなければ、こいつらはよほど仲が良いに違いない。
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「そういえば、スキルで地下を拡張したんだったわね。格納庫とか言って、車と飛空艇を収納してるのよね」
「でもどうして地下に作ったんでしたっけ? 土地ならいっぱい余ってましたよね」
「駐車場は自宅のすぐ側が安全なんだよ」
嘘である。
本当は飛空艇が地下からブワーっと発進するシチュエーションに憧れたからである。
だってかっこいいじゃないか。家の地下から愛機が発進するんだぞ。男の子はみんな、こういうのが好きだろう。
もちろん、天井は開閉式だ。連動して家が稼働するおまけ付き。
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「この村のみんな、飛空艇も車も知ってるじゃない」
「うーん、あまり必然性が感じられませんよね。別に不満があるわけじゃないんですけど不思議です」
妻たちには俺のロマンが通じないらしい。これが結婚生活というやつか。
いや、そもそも本当に実用性がないモノをわざわざ生成した俺が悪いのだが……。
「でもダーリンが楽しそうだったから、いいんじゃないかしら?」
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