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外伝 ズーミー編
第3話
体は小さいが如才がなく、よく気のつくジュロイは、主にボムトン商会と他の商会を繋ぐコーディネーター的存在である。
付き合いのある商会を招いて、商人だけで夜会を開くのは勿論、何か足りないものがあれば融通し合うのも気づくとジュロイが手配を終えている。
どこに行っても重宝がられるジュロイは、ボムトン商会長の懐刀と呼ばれる重要人物の一人。
だからこそ護衛がつけられているのだ。
「ソニーさん、私いくつくらいに見えますか?」
唐突にジュロイが訊ねた。
小さな体と幼い顔立ちをじっと見る。
「22、いや25くらいか」
商会である程度の責任を任されるとしたらそのくらいか?と考えて、何歳か上増して言ってみたが、ジュロイはクスッと笑って首を振る。
「私、実は37歳なんです」
「えっ?ええっ!」
「見えないでしょう?自分で言うのもなんですが、歳取るの忘れちゃってるみたいなんですよね」
ぷぷっと吹き出し、笑うジュロイは、だから絡まれちゃうんだと小さくこぼした。
「だからしょっちゅうちんぴらに絡まれるんです。」
「なるほど・・・しかし、私のようなどこの誰ともわからぬような者を護衛になど危機意識が低すぎるのではないですか」
ズーミーの言葉にチュロックが驚いた。
「そう言って注意を与えてくださる方だからですよ。助けた相手を送ると言ったら普通は礼を強請るものですが、貴方はそれもしない。聖人のような方だ」
「いや、それはっ、それはちがうんだっ、そんな立派な人間ではない!」
そう、きれいごとではない。
燃える屋敷と、死ぬかもしれないというのにその中にいた家族を見捨ててきた卑怯な人間なのだ。
そんなことは口が裂けても言えないが。
「私にとって大事なのは今のソニーさんがどんな方かです。私は私の目を信じていますからね」
胸を張るジュロイと、肩を竦めるチュロックは、しかたなさそうな顔をしている。
「今すぐ答えなくとも構いません。ぜひ数日うちでゆっくりと過ごしてから、良い返事を聞かせてもらえればね」
帰るというとしこたま美味い酒を飲まされ、次に目覚めた時、ズーミーはボムトン商会の使用人の寮に転がされていた。
「ううん、どこだここは」
目を擦りながら体を起こすと、硬すぎず柔らかすぎないベッドの上で足を伸ばして寝ていたことがわかる。
「起きたのかい?」
声の方に振り向くと、黒髪の若者が寝ぼけ顔で布団から顔を出していた。
「あんたもジュロイさんに連れてこられたんだって?」
「あんたも?もっ、てことは他にも」
「ああ。この商会の半分はジュロイさんに気に入られて連れてこられたもんばかりだ」
ニヤッと口の端を上げて笑う男。
「ああ、俺はビリーズだ」
「ソニーだ。あの、ジュロイさんは何を気に入るんだ?」
「んー。わからん。毎回気に入るポイントは違うらしくてな。ピピっと来るらしい。でもジュロイさんの勘は外れたことがないんだ。
だから商会長もジュロイさんが連れてきた人なら試用期間を短くしてやるんだよ。ソニーさん、ボムトンにようこそ」
握手の手を伸ばして来るビリーズの人懐こさに、ズーミーは驚いた。
「いや、まだここに世話になるとはきめていない」
「そうなのか?でもすぐにここがよくなる。金払いもいいし、人使いが荒くないのもいい。寮の飯がうまいし。あ、ソニーさんもここに住むといいぞ。部屋は空いてるし部屋代はなんと月に小銀貨2枚だ!」
「なっ、なに?本当か?」
今ズーミーが常宿にしているところの一週間の宿賃は小銀貨2枚である。寝に帰るだけ、荷物を置くだけの部屋に、月に小銀貨8枚はかかっているのだか、4分の1で住処を得られるのはすごい魅力である。
ジュロイの護衛になりたいかはともかく、すっかり荒事に慣れたとはいえ日雇いの人足やその場しのぎの護衛を続けるのは厳しいことだ。仕事がない日もある。
今のズーミーは騎士見習いだった頃とは違う体つきになっていたが、もう一度鍛錬して護衛として雇われるのも悪くないと思い始めていた。
「ソニーさん!護衛の話しは考えてくれましたか?」
寮の食堂にいると、懐こい笑顔でジュロイが話しかけてくる。
ゆっくり考えてと言っていたが、まだ一日も経っていないというのに。
「は、はあ。あの・・・護衛になったらここに住まわせてもらえるんですか?」
「ああ、勿論希望があれば寮に住込みも可能ですよ。寮費は月に小銀貨2枚と格安だし、それに飯代も含まれてるから、ここでしか食事をしないと言うなら金は全くかからなくなるかも」
「え!本当に?それはすげぇ」
「じゃあ護衛になりますか?」
「は、はあ・・はい、お願いします」
家族と名を捨て、母国から一人逃れて数年。ズーミーはこうしてボムトン商会ナンバースリー、ジュロイの護衛となり、気に入っていたはずの自由気まま、だけど最貧の生活から安定した生活に変わることが出来たのだった。
鼻持ちならない貴族だったズーミーは、平民、いや賤民の暮らしを経験し、貴族の誇りは手放した。
手放さざるを得なかった。
クタクタになるまで荷物を運んだり、体を張って護衛をしたりして、仕事終わりに貰う日当で安酒をあおり、安宿の硬いベッドに横たわって眠る。楽しみもこれといってないが、ただ自由なだけの毎日。
ボムトンの一員となった今も自由はある。
ただジュロイと出会ったことで、日銭宿に住み着くしかなかったのが寮に自室を持てるように変わり、酒と酒のつまみしかなかった食事は温かく栄養のあるものになった。
ボムトン商会で働くようになって四年も経った頃、ズーミーはジュロイに訊ねてみた。
なぜあのとき自分を拾ってくれたのかと。
「うん、まあ、ピピっときたんだ。
荒れて廃れた雰囲気だったけど、みんなが素通りして、自分も余裕などないのに助けてくれたのは、ソニーの中に厳しい暮らしでも失われなかった何か・・・、いや、厳しい暮らしを経験したからこそ磨かれた何かかな。そういうのがあるように見えて、手助けしたくなったんだ」
その夜、ズーミーは考えないようにしてきた過去の自分や家族のことを振り返った。
家族の財産をすべて焼き尽くし、何もかもを失わせた。シューラへの弁済もきっと家族が負ったことだろう。
自分にすべての罪を負わせたのだから当然だとずっと思っていたが、親に言われても、それをやるかやらないかは自分の判断だったのだ。
浅ましいことはしないと言うこともできたのに、遊興に贅沢にとシューラの金にタカったのも、ようするにすべて自分が撒いた種だったと。
「今頃わかるとは恐れ入ったもんだな」
自嘲したズーミーは、その夜自室に隠してある金を数えた。
まだ微々たる金額だが、両親に送りたいと思いついたのだ。
しかし。
「確か爵位も領地もすべて売り払ったと新聞に書かれていたはず・・・」
探すことはできるだろうか。
鏡の前に立つと、日に焼けた小麦色の肌は顔半分が火傷で引き攣れたまま。ギラリと鋭い視線と、艶のない髪をしたズーミーを見て、ズーミー・ソネイルだと気づく者はいないだろうと苦笑する。
顔を上げたズーミーは決意を固め、翌朝早く、商会の上で暮らすジュロイの元へ向かった。
付き合いのある商会を招いて、商人だけで夜会を開くのは勿論、何か足りないものがあれば融通し合うのも気づくとジュロイが手配を終えている。
どこに行っても重宝がられるジュロイは、ボムトン商会長の懐刀と呼ばれる重要人物の一人。
だからこそ護衛がつけられているのだ。
「ソニーさん、私いくつくらいに見えますか?」
唐突にジュロイが訊ねた。
小さな体と幼い顔立ちをじっと見る。
「22、いや25くらいか」
商会である程度の責任を任されるとしたらそのくらいか?と考えて、何歳か上増して言ってみたが、ジュロイはクスッと笑って首を振る。
「私、実は37歳なんです」
「えっ?ええっ!」
「見えないでしょう?自分で言うのもなんですが、歳取るの忘れちゃってるみたいなんですよね」
ぷぷっと吹き出し、笑うジュロイは、だから絡まれちゃうんだと小さくこぼした。
「だからしょっちゅうちんぴらに絡まれるんです。」
「なるほど・・・しかし、私のようなどこの誰ともわからぬような者を護衛になど危機意識が低すぎるのではないですか」
ズーミーの言葉にチュロックが驚いた。
「そう言って注意を与えてくださる方だからですよ。助けた相手を送ると言ったら普通は礼を強請るものですが、貴方はそれもしない。聖人のような方だ」
「いや、それはっ、それはちがうんだっ、そんな立派な人間ではない!」
そう、きれいごとではない。
燃える屋敷と、死ぬかもしれないというのにその中にいた家族を見捨ててきた卑怯な人間なのだ。
そんなことは口が裂けても言えないが。
「私にとって大事なのは今のソニーさんがどんな方かです。私は私の目を信じていますからね」
胸を張るジュロイと、肩を竦めるチュロックは、しかたなさそうな顔をしている。
「今すぐ答えなくとも構いません。ぜひ数日うちでゆっくりと過ごしてから、良い返事を聞かせてもらえればね」
帰るというとしこたま美味い酒を飲まされ、次に目覚めた時、ズーミーはボムトン商会の使用人の寮に転がされていた。
「ううん、どこだここは」
目を擦りながら体を起こすと、硬すぎず柔らかすぎないベッドの上で足を伸ばして寝ていたことがわかる。
「起きたのかい?」
声の方に振り向くと、黒髪の若者が寝ぼけ顔で布団から顔を出していた。
「あんたもジュロイさんに連れてこられたんだって?」
「あんたも?もっ、てことは他にも」
「ああ。この商会の半分はジュロイさんに気に入られて連れてこられたもんばかりだ」
ニヤッと口の端を上げて笑う男。
「ああ、俺はビリーズだ」
「ソニーだ。あの、ジュロイさんは何を気に入るんだ?」
「んー。わからん。毎回気に入るポイントは違うらしくてな。ピピっと来るらしい。でもジュロイさんの勘は外れたことがないんだ。
だから商会長もジュロイさんが連れてきた人なら試用期間を短くしてやるんだよ。ソニーさん、ボムトンにようこそ」
握手の手を伸ばして来るビリーズの人懐こさに、ズーミーは驚いた。
「いや、まだここに世話になるとはきめていない」
「そうなのか?でもすぐにここがよくなる。金払いもいいし、人使いが荒くないのもいい。寮の飯がうまいし。あ、ソニーさんもここに住むといいぞ。部屋は空いてるし部屋代はなんと月に小銀貨2枚だ!」
「なっ、なに?本当か?」
今ズーミーが常宿にしているところの一週間の宿賃は小銀貨2枚である。寝に帰るだけ、荷物を置くだけの部屋に、月に小銀貨8枚はかかっているのだか、4分の1で住処を得られるのはすごい魅力である。
ジュロイの護衛になりたいかはともかく、すっかり荒事に慣れたとはいえ日雇いの人足やその場しのぎの護衛を続けるのは厳しいことだ。仕事がない日もある。
今のズーミーは騎士見習いだった頃とは違う体つきになっていたが、もう一度鍛錬して護衛として雇われるのも悪くないと思い始めていた。
「ソニーさん!護衛の話しは考えてくれましたか?」
寮の食堂にいると、懐こい笑顔でジュロイが話しかけてくる。
ゆっくり考えてと言っていたが、まだ一日も経っていないというのに。
「は、はあ。あの・・・護衛になったらここに住まわせてもらえるんですか?」
「ああ、勿論希望があれば寮に住込みも可能ですよ。寮費は月に小銀貨2枚と格安だし、それに飯代も含まれてるから、ここでしか食事をしないと言うなら金は全くかからなくなるかも」
「え!本当に?それはすげぇ」
「じゃあ護衛になりますか?」
「は、はあ・・はい、お願いします」
家族と名を捨て、母国から一人逃れて数年。ズーミーはこうしてボムトン商会ナンバースリー、ジュロイの護衛となり、気に入っていたはずの自由気まま、だけど最貧の生活から安定した生活に変わることが出来たのだった。
鼻持ちならない貴族だったズーミーは、平民、いや賤民の暮らしを経験し、貴族の誇りは手放した。
手放さざるを得なかった。
クタクタになるまで荷物を運んだり、体を張って護衛をしたりして、仕事終わりに貰う日当で安酒をあおり、安宿の硬いベッドに横たわって眠る。楽しみもこれといってないが、ただ自由なだけの毎日。
ボムトンの一員となった今も自由はある。
ただジュロイと出会ったことで、日銭宿に住み着くしかなかったのが寮に自室を持てるように変わり、酒と酒のつまみしかなかった食事は温かく栄養のあるものになった。
ボムトン商会で働くようになって四年も経った頃、ズーミーはジュロイに訊ねてみた。
なぜあのとき自分を拾ってくれたのかと。
「うん、まあ、ピピっときたんだ。
荒れて廃れた雰囲気だったけど、みんなが素通りして、自分も余裕などないのに助けてくれたのは、ソニーの中に厳しい暮らしでも失われなかった何か・・・、いや、厳しい暮らしを経験したからこそ磨かれた何かかな。そういうのがあるように見えて、手助けしたくなったんだ」
その夜、ズーミーは考えないようにしてきた過去の自分や家族のことを振り返った。
家族の財産をすべて焼き尽くし、何もかもを失わせた。シューラへの弁済もきっと家族が負ったことだろう。
自分にすべての罪を負わせたのだから当然だとずっと思っていたが、親に言われても、それをやるかやらないかは自分の判断だったのだ。
浅ましいことはしないと言うこともできたのに、遊興に贅沢にとシューラの金にタカったのも、ようするにすべて自分が撒いた種だったと。
「今頃わかるとは恐れ入ったもんだな」
自嘲したズーミーは、その夜自室に隠してある金を数えた。
まだ微々たる金額だが、両親に送りたいと思いついたのだ。
しかし。
「確か爵位も領地もすべて売り払ったと新聞に書かれていたはず・・・」
探すことはできるだろうか。
鏡の前に立つと、日に焼けた小麦色の肌は顔半分が火傷で引き攣れたまま。ギラリと鋭い視線と、艶のない髪をしたズーミーを見て、ズーミー・ソネイルだと気づく者はいないだろうと苦笑する。
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