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外伝 ズーミー編
第6話
「あなた、どうしました?」
外の騒ぎに夫人とズーミーの兄が顔を出すと、二人が目を疑うことが起きていた。
「そうだったのか。わたしたちもいろいろあったが、でもおまえが生きていてくれてよかったと思う」
ズーミーの兄ラモーンが心からの言葉を呟く。
当初ラモーンは両親よりずっと強く深くズーミーに怒りと恨みを抱えていた。
財産の一部を失っても爵位は継げると思っていたのに、良心の呵責に耐えかねた父は何もかもすべてを手放してしまった。自分の人生は弟ズーミーのせいでめちゃくちゃになったと。
しかし、慣れない鍬を振るう父母を見ては見ぬ振りもできず、一緒にやってみたら思いの外楽しかったのだ。
育てた野菜を収穫し、それを食べたときの喜びやおいしさ!
いくら貴族と言え、たかが子爵。どうにもならない身分差を気にし、その鬱憤を晴らすように身分の低い者を虐げていた生活より、ずっと自由で素晴らしく晴れ晴れとしていた。
「あ、あにうえにも本当に申し訳なかった」
また頭を下げるズーミーにラモーンはやさしく微笑みかける。
「私は今の生活が本当に気に入ってるんだ。信じられないかもしれないが、農民になってみて、私は貴族に向いていなかったと思ったほどなんだよ」
覗き込むとズーミーに顔をあげるよう囁く。背中を撫でて、落ち着くようにと。
「貴族でなくなったからこそ、この自由を得ることができ、自分が育てた野菜を食べる喜びを知ることができたんだ、おまえを恨んだりもしていないぞ。だからほら顔をあげるんだ」
母ジェニスは瞼が早くも腫れ上がっている。
「私の可愛いズーミー!」
それだけ叫ぶと座り込んでひたすら泣きじゃくった。
小さな小屋に皆で入るとテーブルにつき、ジェニスは震える手で皆に茶を入れる。
勿論昔のような高級茶葉ではないが、自分たちで摘んできた茶葉を揉んで樅み、干して作った自慢の自家製茶なのである。
えぐ味がまったくない、澄み切った味と香りにズーミーの目が見開かれた。
生活のレベルにそぐわない茶だと思ったから。
「美味しいでしょ?自家製なのよ」
こんなふうににこにことする母を見た記憶はなかった。しかも素顔だ!
「平民になって、農家だなんてとんでもないとおもったのだけど、今となってはこの暮らしのほうがずっと豊かで人間らしくて幸せだと思えるのよ」
許されない、どれほど罵られても頭を下げ続けようと決心してきたのに、家族は泣きながらただ生きていたことを喜んでくれた。
拍子抜けしたズーミーに、母は自分が焼いたとパンやら卵やらと出してくる。
「は、母上がご自身で焼いた?」
「そうよ!掃除だって料理だって、何でもやっちゃうの」
ふふふと愉しそうに笑うのだ。
「アレイソはちょっと遠いし、私たちは畑があるから行くことはできないけど、たまにはこうして顔を見せてほしいわ」
美しかった母の顔や腕には、日焼けとぽつぽつとシミが浮いているが気にする風でもない。
ズーミーが自由になったように、家族も皆が自由になったのだと、そしてそれを楽しんでいる。漸く腹に落ちていた。
「あの、これを受け取ってほしい。父上たちに払わせた金には全然足りないけど」
ジュロイに持たされた金と自分がこつこつ貯めた金を全てテーブルに乗せると、両親と兄は目を丸くした。
「こんなにどうした?おまえ何か良くないことにでも手を染めているのか」
「いや違うよ、普段は商会の寮にいて金もたいしてかからないから貯められたんだ。あと商会がくれた支度金もある。少しでも使わせた金の代わりにして」
「そんな!もういいのに」
母がぶんぶんと首を横に振り、いらないとつっかえしてくる。
いや受けとってと押し返すズーミーと、暫く押し問答を繰り返したが、そのうちにどちらともなく笑いだした。
「まあでも、せっかくズーミーがくれるというのだから、農耕具や肥料を買う足しにしたらどうだろう?」
ラモーンが口添えすると、渋々といった体で父も頷いた。
「じゃあこれで貸し借りなしだぞ、ズーミー。次に来る時は気軽な気持ちで来なさい」
ズーミーの涙腺はまた崩壊し、つられて泣き出した家族四人は抱きしめあって。
「今日は泊まっていかれるの?」
母に聞かれ、小さく頷いたズーミーに、
ラモーンは腕を掴んで愉しそうに言う。
「手はいくらあってもいい!せっかくだからおまえも手伝っていけ」
鍬を持たされ、いつもとは違う肉体労働にクタクタになったズーミーは、初めての母の手料理に感激し、風呂の代わりに絞ったタオルで体を拭いて兄の狭いベッドに共に転がった。
─金を貯めて風呂を買ってやりたいな─
そう思うとやる気が湧いてくる。
飲みにでも行かない限り、食費込みの寮費以外金がかかることがないズーミーの方が、金に余裕があるのは間違いないから。
こうしてズーミーは二日間、家族と過ごして別れ際。
「手紙頂戴ね!絶対よ」
「必ず書きますよ母上」
「達者で暮らせよ」
「お互いに」
最後に父子が向き合った。
「ズーミー。本当に生きていてくれて良かった。おまえが生きている、それだけで父は幸せだ」
そう声をかけられて、泣きたくなるようなうれしい気持ちが胸に込み上げ、自分はなんて幸せなのかと実感する。
「また帰ってこい!必ず」
元貴族とは到底思えないほど、畑仕事ですっかり荒れてしまった父の手を掴み、握りしめながら大きく頷くと、ズーミーは新しい明日に向かって踏み出した。
その後。
家族と本当の意味で分かり合い、軽い足取りで仲間の元に戻ったズーミーは、さらにバリバリと働くようになる。
商会が他国へ行くときは警備計画をたてて、ジュロイに提案した。
どのルートを通り、どこで馬を乗り換え、どこで宿泊すれば効率よく安全な旅程になるか。
今までは進み具合により行き当りばったりだったが、ズーミーの計画書にそって移動すると、事前の宿の手配ができる上、危険な箇所を通過する際の護衛の増加などもできる。引退を控えたドニスにもたいそう褒められらて、ボーナスを貰うことができた。
その金でジュロイに実家に風呂を設置してくれるよう頼む。
「へえ、いいな風呂か」
「一日終わったあと、さっぱりしてほしいと思って」
「確かに承った!」
工事が終わった頃、手紙が届く。
母からだ。
「お風呂を贈ってくれてありがとう!毎日皆で楽しんでいます。あなたに早く会いたいです」
「ソニー、そういえばそろそろ休み取ったほうがいい頃じゃないか」
気の回りすぎる上司ジュロイが、風呂の出来栄えを見てこいと勧める。
「ソニーの警備計画書さえあればこっちは大丈夫だからな、出かける前にそれだけ作ってくれれば、長い休みもOKだ!」
「ははは、それを作るのが一番たいへんなんですけどね」
苦笑しながらもズーミーは感謝を込めて頭を下げた。
「ではお言葉に甘えてそのようにさせていただきます」
アレイソ土産を買い込んで馬に乗せ、トイリアに向う。
前に行ったときには、緊張して息ができなくなりそうだったが今は違う。
欠けていた大切なものが埋められ、満たされたのだ。
ズーミーとソネイル家の家族は、代々継いできた大きなものを失ったが、今はたぶんどの先祖より幸せだと思っている。
─金でも爵位でもない、小さいけど大きな幸せ─
小さな小さなソネイル家に着いたズーミーは、この幸せこそを守りぬくと心に誓い、ギィと建付けの悪い扉を軋ませながら開けた。
─次は扉を直してやろう─
完
■□■
外伝最終話までご愛読頂き、ありがとうございました。
現在長編の「婚約者は偽物でした!傷物令嬢は自分で商売始めます」を連載中です。
それと短編「おまえを愛することはない、そう言う夫ですが私もあなたを、全くホントにこれっぽっちも愛せません。」を公開しました。
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
外の騒ぎに夫人とズーミーの兄が顔を出すと、二人が目を疑うことが起きていた。
「そうだったのか。わたしたちもいろいろあったが、でもおまえが生きていてくれてよかったと思う」
ズーミーの兄ラモーンが心からの言葉を呟く。
当初ラモーンは両親よりずっと強く深くズーミーに怒りと恨みを抱えていた。
財産の一部を失っても爵位は継げると思っていたのに、良心の呵責に耐えかねた父は何もかもすべてを手放してしまった。自分の人生は弟ズーミーのせいでめちゃくちゃになったと。
しかし、慣れない鍬を振るう父母を見ては見ぬ振りもできず、一緒にやってみたら思いの外楽しかったのだ。
育てた野菜を収穫し、それを食べたときの喜びやおいしさ!
いくら貴族と言え、たかが子爵。どうにもならない身分差を気にし、その鬱憤を晴らすように身分の低い者を虐げていた生活より、ずっと自由で素晴らしく晴れ晴れとしていた。
「あ、あにうえにも本当に申し訳なかった」
また頭を下げるズーミーにラモーンはやさしく微笑みかける。
「私は今の生活が本当に気に入ってるんだ。信じられないかもしれないが、農民になってみて、私は貴族に向いていなかったと思ったほどなんだよ」
覗き込むとズーミーに顔をあげるよう囁く。背中を撫でて、落ち着くようにと。
「貴族でなくなったからこそ、この自由を得ることができ、自分が育てた野菜を食べる喜びを知ることができたんだ、おまえを恨んだりもしていないぞ。だからほら顔をあげるんだ」
母ジェニスは瞼が早くも腫れ上がっている。
「私の可愛いズーミー!」
それだけ叫ぶと座り込んでひたすら泣きじゃくった。
小さな小屋に皆で入るとテーブルにつき、ジェニスは震える手で皆に茶を入れる。
勿論昔のような高級茶葉ではないが、自分たちで摘んできた茶葉を揉んで樅み、干して作った自慢の自家製茶なのである。
えぐ味がまったくない、澄み切った味と香りにズーミーの目が見開かれた。
生活のレベルにそぐわない茶だと思ったから。
「美味しいでしょ?自家製なのよ」
こんなふうににこにことする母を見た記憶はなかった。しかも素顔だ!
「平民になって、農家だなんてとんでもないとおもったのだけど、今となってはこの暮らしのほうがずっと豊かで人間らしくて幸せだと思えるのよ」
許されない、どれほど罵られても頭を下げ続けようと決心してきたのに、家族は泣きながらただ生きていたことを喜んでくれた。
拍子抜けしたズーミーに、母は自分が焼いたとパンやら卵やらと出してくる。
「は、母上がご自身で焼いた?」
「そうよ!掃除だって料理だって、何でもやっちゃうの」
ふふふと愉しそうに笑うのだ。
「アレイソはちょっと遠いし、私たちは畑があるから行くことはできないけど、たまにはこうして顔を見せてほしいわ」
美しかった母の顔や腕には、日焼けとぽつぽつとシミが浮いているが気にする風でもない。
ズーミーが自由になったように、家族も皆が自由になったのだと、そしてそれを楽しんでいる。漸く腹に落ちていた。
「あの、これを受け取ってほしい。父上たちに払わせた金には全然足りないけど」
ジュロイに持たされた金と自分がこつこつ貯めた金を全てテーブルに乗せると、両親と兄は目を丸くした。
「こんなにどうした?おまえ何か良くないことにでも手を染めているのか」
「いや違うよ、普段は商会の寮にいて金もたいしてかからないから貯められたんだ。あと商会がくれた支度金もある。少しでも使わせた金の代わりにして」
「そんな!もういいのに」
母がぶんぶんと首を横に振り、いらないとつっかえしてくる。
いや受けとってと押し返すズーミーと、暫く押し問答を繰り返したが、そのうちにどちらともなく笑いだした。
「まあでも、せっかくズーミーがくれるというのだから、農耕具や肥料を買う足しにしたらどうだろう?」
ラモーンが口添えすると、渋々といった体で父も頷いた。
「じゃあこれで貸し借りなしだぞ、ズーミー。次に来る時は気軽な気持ちで来なさい」
ズーミーの涙腺はまた崩壊し、つられて泣き出した家族四人は抱きしめあって。
「今日は泊まっていかれるの?」
母に聞かれ、小さく頷いたズーミーに、
ラモーンは腕を掴んで愉しそうに言う。
「手はいくらあってもいい!せっかくだからおまえも手伝っていけ」
鍬を持たされ、いつもとは違う肉体労働にクタクタになったズーミーは、初めての母の手料理に感激し、風呂の代わりに絞ったタオルで体を拭いて兄の狭いベッドに共に転がった。
─金を貯めて風呂を買ってやりたいな─
そう思うとやる気が湧いてくる。
飲みにでも行かない限り、食費込みの寮費以外金がかかることがないズーミーの方が、金に余裕があるのは間違いないから。
こうしてズーミーは二日間、家族と過ごして別れ際。
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そう声をかけられて、泣きたくなるようなうれしい気持ちが胸に込み上げ、自分はなんて幸せなのかと実感する。
「また帰ってこい!必ず」
元貴族とは到底思えないほど、畑仕事ですっかり荒れてしまった父の手を掴み、握りしめながら大きく頷くと、ズーミーは新しい明日に向かって踏み出した。
その後。
家族と本当の意味で分かり合い、軽い足取りで仲間の元に戻ったズーミーは、さらにバリバリと働くようになる。
商会が他国へ行くときは警備計画をたてて、ジュロイに提案した。
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苦笑しながらもズーミーは感謝を込めて頭を下げた。
「ではお言葉に甘えてそのようにさせていただきます」
アレイソ土産を買い込んで馬に乗せ、トイリアに向う。
前に行ったときには、緊張して息ができなくなりそうだったが今は違う。
欠けていた大切なものが埋められ、満たされたのだ。
ズーミーとソネイル家の家族は、代々継いできた大きなものを失ったが、今はたぶんどの先祖より幸せだと思っている。
─金でも爵位でもない、小さいけど大きな幸せ─
小さな小さなソネイル家に着いたズーミーは、この幸せこそを守りぬくと心に誓い、ギィと建付けの悪い扉を軋ませながら開けた。
─次は扉を直してやろう─
完
■□■
外伝最終話までご愛読頂き、ありがとうございました。
現在長編の「婚約者は偽物でした!傷物令嬢は自分で商売始めます」を連載中です。
それと短編「おまえを愛することはない、そう言う夫ですが私もあなたを、全くホントにこれっぽっちも愛せません。」を公開しました。
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
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