【完結】呪われ令嬢、猫になる

やまぐちこはる

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呪われたエザリア

森の小屋のふたりの想い

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 森の外の慌ただしさはともかく、厳重な警備体制を敷いたセインの店で、エザリアは意外とのんびり暮らしていた。

 安心感がすごいのだ。
守られているとほんの少しも疑うことなく信じることができる。
今セインは騎士団長イグルスと相談の上、森の店を閉めて、ほぼエザリアのそばで過ごしていた。
 仕事をしていないわけではない。
調合室で薬は作っており、スミルが数日おきに訪れて、冒険者ギルドに売りに行くのだ。
だから収入的には問題ないらしい。

 エザリアにも、自分と行きずりあったためにセインを巻き込んで迷惑をかけている自覚はある。
家に籠もっていてもセインの仕事は順調と知って、胸のつかえが一つおりたのだった。





 猫らしく、一日のかなり長い時間を寝て過ごすエザリアは、涼しいところがお気に入りだ。

窓際で日に当たり、暑くなったエザリアは、ちょっと涼しいところに入りたくてソファの下でうとうとしていた。

「エザリア?エザリアどこだい?エザリア?」

 どこか遠くでセインの声がする・・・?

 ─いえ違うわ!─

 寝ぼけていたエザリアは、セインがかなり必死で部屋中探し回っていることに気がついた。

 ふわぁーとかわいい欠伸をしてから顔を出すと、思わずエザリアが罪悪感を感じるほど、心配そうなセインと目があってしまう。

 ─怒られちゃう─

 そうエザリアは思ったが、セインは「よかった無事で!」と抱き上げてギュッと抱きしめた。

「姿が見えなくて心配したよ」

 頬擦りするからセインの顔はエザリアの白い猫毛だらけになっているというのに。

「部屋、暑かったかい?ちょっと冷やそうね」

 そう言って氷の魔石に魔力を流すと、部屋の温度が2度ほど下がり、エザリアに丁度いい室温になった。





 いたれりつくせりというのはセインのような男を言うのだと、エザリアはふと思う。
 穏やかでやさしく思いやりと気遣いに溢れている。セインのそばは居心地がよくて、状況が状況だから度を越して過保護だが、貴族の令嬢というより商会の跡継ぎとして厳しく躾けられ、教育されてきたエザリアには、人生初めての甘々な毎日だった。

 またセインが猫を抱きしめる。

「かわいいなエザリアは」

 猫を愛でたのだが、エザリアはボッと胸が熱くなるのを感じる。

「いいこいいこ」

 頭を優しく撫でられているうちに、セインの腕の中でまたウトウトとし始めた。
知ってか知らずか、セインは自分に言い聞かせるように独り言ちる。

「エザリア・・・・・・一日も早く君を人間に戻してやりたい。
けど君を手放したくないとも思ってしまう・・。

君はいつかは行ってしまう。
それを忘れてはならないというのに僕は・・・」
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